『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
そう、これは黒のない夜の絵だ。
美しい青と紫と緑しかなく、これを背景に、灯りで照らされた広場は薄い硫黄色と緑がかったレモンイエローで色づけされている。
1888年9月9日ならびに14日 ウィレミーン宛
ゴッホ展自分用メモ
『雫』
雫が垂れている。
鍾乳石から垂れるように、下の岩へと垂れている。
雨垂れ石を穿つ、とは言うが。
……こんなに苦労なく、努力無く、安易に時間が過ぎ行くだけで、何かを成せてしまうなら。
——努力とは、無意味なのだろうか?
生まれた土地、生まれる家族、育つ環境、生まれ持った能力。そんなものは自分では選べない。
分かっていたとしても、理解していたとしても。
受け入れられない現実がある。
「私の努力は、無意味だったか……」
私の頬から、雫が滑り落ちた。
……いつか、私の涙も石を穿つのだろうか。
おわり
『雫』
あなたの頬に、雫が溢れました。
それが涙だと気づくのに、少し時間がかかりました。
泣いているひとを前にして、わたしはいつも言葉を失います。
何かを言わなければという気持ちと、何も言ってはいけないという気持ちが、胸のなかで静かにぶつかり合って、結局わたしはただ、あなたのことを見ていました。
雫は、頬の上をゆっくりと伝いました。
急ぎもせず、止まりもせず。
まるで、長いあいだどこかに留まっていたものが、やっと行き場を見つけたみたいに。
悲しいのか、と聞こうとして、やめました。
悲しいに決まっている。でも、それだけでもないような気がして。
涙というのは、悲しみだけが呼ぶものじゃないと、あなたを見ていて思いました。何か大切なものに、ふいに触れてしまったときにも、人は泣くのだと。
わたしはそっと、あなたの隣に座りました。
何も言わずに。
それがせめてもの、わたしにできることでした。
しばらくして、あなたは小さく息をついて、少しだけ笑いました。
その笑顔が、さっきの雫よりずっと、わたしの胸に沁みました。
「ところで」
「ところで?」
「中の人的にはこの手の漢字は疑問だったりする」
「なぜに?」
「学習効果の都合上打ち直しているが、間違えやすいし間違えると恥ずかしい」
「なるほど?」
「らしいね。確かに間違えやすそうだし老眼があると読めない気がする」
「字は拡大できるから……」
「漢字を見ると雨の下ぽたぽたみたいなので分かりやすいけどね」
「読めればねー」
お題『雫』
雫
波は眼前に、崖は足元に。
浴衣を着た男女が深海に沈む。
珊瑚礁は遥か遠く。
冷たい濁流に身を任せながら、己にかかる重力と浮力を楽しむように。
それが束の間の思い出だとしても、それが生きた証だと刻むように。
沈む。
それが世の流行による愚行だと分かっていようとなかろうと。
屋形船が見た景色は、文楽として大衆に広められる。
「寿命がきたら、みんな光の泡になって消えてしまえたらいいのに。」
大切に育てた命がこの世を去ってしまったとき、雫は下を向いて、そう呟いた。
そして、その亡骸を優しくなで、土に穴を掘り始めた。
ボクは、ただ黙ってその様子を見守ることしかできなかった。
雫は、自分の1番大切にしているものを一緒に埋めた。亡骸になってしまったものが、淋しくないように。
全てが終わったとき、地面が僅かに光り出した。しばらくすると、それは細かい泡になり、空へ真っ直ぐ登りはじめた。。
キラキラして、とても美しかった。
輝きを増しながら登っていく光の泡たちを彼女とボクは、ずっとずっと見続けていた。
夢を押し付けてごめんなさい
自分が選んだ選択肢なのに
誰かを悪者にしてごめんなさい
いつまでも迷子で振り回してごめんなさい
ずっと、そう
私が暗闇から抜け出せないから
周りにいる人を巻き込んでしまって
一緒に暗闇でさまよう。
ごめんなさい
何かがこぼれるような
雫の音がした
あ 世話になった…
い し、師匠
あ そろそろだな
い いや、まだ…
あ 行け
い ?
あ 向こうへ
い え、俺?
あ どちらかを選ばなくてはならないしな
い 師匠…
『雫』
「美しい…」
カメラのファインダー越しに
見える新緑から落ちる雫に
思わず声が出た。
キラキラ光る
丸い粒
こんなにも世界は美しいのか…
こんなに美しい世界を
どうして人は壊そうとするのか?
戦争なんて虚しいだけなのに…
僕は明日一眼レフではなく
銃を持って戦いに行く。
祖国のために。
お題『雫』
君の夢を見た。
君に会いたくて、謝りたくて、許されたい。
ごめんね、本当にごめんね。
「雫」
穏やかな君の世界は涙のよう 青みがかった雫の形
卵は、生のとろりとした食感が残っている状態が、いちばん素晴らしい。
おっと、食の好みに争いは不要。
あなたの味覚を否定したいわけではなく、あくまで私の好みの話だ(こうしてちゃあんとことわっておかないと、知らない人間に口をきわめて罵られたりする世の中になってしまったのだ。嘆かわしいことだね)
卵かけご飯、温泉卵、あるいはオイル漬け。
とにかく柔らかさを保っているものが好きだ。
固まり始めた黄身の、しっとりとしたケーキ生地、あるいは練り切りみたいな食感も悪くはないが、液体の状態が残っていて固まった身と一緒に口に入れるのがよい。
さらにいうなら、そこにパンなんかがあると最高だ。そう、あの有名な昔のアニメ映画に出てきた、目玉焼きパン!あれを見るたびに食欲が喚起されて、親にねだったものだった。でもあれも、やっぱり半熟の目玉焼きであるべきなんだよね。
……そう、ただ、私はなんというか、卵の状態を見るのがどうにも下手で。
だからこうして、トーストからぽたぽたと垂れた卵液を袖にこぼして、情けないざまを見せているのだが。
しかし、私は後悔してはいない。自分の一番好きなものを自分で作ろうとする心こそ大事で……ああごめん、行儀悪かった。袖についた卵液は舐めないようにする。
十日目 雫
街の喧騒をいつしか離れ、すれ違い様に傘を閉じる。湿った空気に包まれながら、何となしにベンチへ腰掛ける。猫の鳴く声、人の足音、風に揺れる木々、降車する人々。
ぼんやりと、何かを待っているような気になる。
足元の小さな水面が揺れるのを見て、ふと顔を上げると、屋根からまた一つ、雫が落ちようとしていた。
雫
雫、、、
水の、果汁の、涙の、雨の、
シャワーの、鍋の蓋の、
涙の雫は、うつくしい連想をさせるけど
よだれの雫は、だらしなさや
意地汚さを連想させる。
ホラーの中での
ピチャンと音がしたら、
ゾワゾワして幽霊が出てきそうだし。
ピチャン、、、
あ〜皿を洗わないと。
ぽた、ぽた。滴り落ちる雫が、岩の小さなくぼみに池をつくっている。
ぽた、ぽた。小さなくぼみは、かつてはなだらかな平地であった。
ぽた、ぽた。ぽた、ぽた。
雫に岩を穿とうという志はなく、ただ、自然の法則のままに、上から下へと、重力に従って落ちている。
落ちる先を選ぶことはない。どの雫も、岩に落ちれば先に落ちた雫と合わさって、雫としての形は保たれない。
雫は雫ですらないのかもしれない。
ぽた、ぽた。ぽた、ぽた。
それでも、見出せばそこに、雫はあった。
岩の小さなくぼみに、雫がよりあつまって、ひとつ落ちるたびに、ひとつよりすこし多く、溢れてゆく。
ひどい土砂降りの中
ひとつの雫がキラリと光った
その雫は頬を優しく撫でて流れていく
いつの間にか雨は止み日差しが差し込む
止まっていた足が不思議と前へ前へと動き出した
【雫】
いつも思い出す
雨の日は…
空を見上げあなたのことを…
雨の日は嫌いじゃない、と言ったから
私も少し好きになった
雨の日が…
ふと、流れ落ちる
あなたが恋しくて
テーマ : 雫
何かをじっくり考えるのなら、落ちる雫の音が響くくらい、静寂に満ちた場所が良い。
月の雫がうんたらかんたら綺麗なイメージ付いてるけど
こちとら『エウロパの雫』のほうがテンション上がる
誰かSF小説書けるんじゃないですか
いいですよ使って
「雫」
「あぁ、本降りになった」
さした傘の露先を伝い雨の雫が滴り落ちる
街外れにある小さな公園
東家の脇に立って2時間が過ぎた
「やっぱり…」
そっと目を伏せた
雨はさらに激しく傘を叩つける
傘を支えきれないほどに
「またひとりか…」思わず漏れた言葉が雨音にかき消される
公園の出口に向かってゆっくり歩き出す
歩を進めるうちに、まるで潮が引くように心が冷めていく
自分でもハッとするほどの感覚だ
そして私は顔を上げた「それもいいか」
こころなしか傘から滴る雫の勢いが弱くなった気がする
明日はきっと青空が戻ってくる
私もきっと笑顔に戻ってやろう
「雫」