白井墓守

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『雫』

雫が垂れている。
鍾乳石から垂れるように、下の岩へと垂れている。

雨垂れ石を穿つ、とは言うが。
……こんなに苦労なく、努力無く、安易に時間が過ぎ行くだけで、何かを成せてしまうなら。

——努力とは、無意味なのだろうか?

生まれた土地、生まれる家族、育つ環境、生まれ持った能力。そんなものは自分では選べない。

分かっていたとしても、理解していたとしても。
受け入れられない現実がある。

「私の努力は、無意味だったか……」

私の頬から、雫が滑り落ちた。

……いつか、私の涙も石を穿つのだろうか。


おわり

4/22/2026, 4:59:15 AM