『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#雫
我の目から
一粒の雫が落ちた
まるで栓をしていたように
どんどん雫が落ちていって
ついに我の下には大きな池ができた
もはやこれは
雫ではない
深い悲しみが混じった
涙であった
其方に会いたい
もう一度、我の話を聞いておくれ
もう一度、我に笑いかけておくれ
『雫』
庭のツツジを眺めていた
紅白の花が賑やかだ
ツツジを摘んで
花の付け根の雫を吸う
子供の頃によくしてた
いつからしなくなったのか
摘まれる花を
可哀想に思ったのか
たくさんの悲しみに触れてきた僕は
ツツジすら哀れむようになった
花にも涙を注ぐとは
昔の人の言葉が頭をよぎる
春の陽気も
やや夏の気配を帯びてきた
そろそろ暑さに備えなければ
日に焼け始めた
ツツジの花の
その行く末を想っている
涙が雫のように流れるまで泣いたことがない。辛いと言う言葉を話したことがない。笑顔の一歩が心から満ちてくる人が良い。
4月21日 のん
題名:雫
滲む結果、零れた涙。
失敗だらけの人生だ。
“努力”掲げて歩いた。
“結果”を丸めて捨てた。
偽った、その性格は、
戻せないや。
他人の評価が怖くてずっと。
いらない努力をし続けたんだ。
笑えないよ、こんな日常。
咳払いして、誤魔化す毎日。
分からないよ、こんな人生。
比較し過ぎて壊れた私も。
助けてって素直に言えずに、
誰に助けてもらうんだ?
笑えないよ、こんな日常。
愛想笑って、嘘つく毎日。
分からないよ、こんな人生。
結果も出せずに惨めな私も。
助けてって誰にも言えずに、
自分の首を絞め続ける。
笑ってくれよ、こんな日常!
詐欺師の気分を味わう毎日。
分からないよ、こんな人生!
私を含めて全員怪物だ!
助けてって言葉も思いつかずに、
奈落へと向かうだけなんだよ?
─馬鹿?
今
私の冷たい頬を
ひび割れた頬を伝うのは
一体...。
やけに頰に沁みる
痛い筈なのに
何故か暖かい
流れ落ちる液体が
暖かな液体が
頰を濡らして行く
体の何処かが痛い
沢山だと叫んでいる
つまり私は、悲しんでいる?
私は、泣いている。
私の手を握る手に
雫が一粒落ち
視線を上げた
今
私自身の感情が
落ちた雫が映したモノが
何かが私には分からない。
手を濡らした貴方は
優しく微笑む
ヤサシク笑う
それは悲しみという
不幸には全く
似合っていなくて
ただシズクだけが
暖かくヒカッテいる
その事しか分からなかった。
題材【雫】より
静かな森の中で、白い湖は霧の中。
『雫』
雨上がりの農道には
夕日が左後ろから落ちていて
雑草についた雫が
まるで実がなったような
イルミネーションのような
そんな景色を見せてくれた
少し進めば蜘蛛の巣が張られていて
そこでも雨の雫は
まるで作られたように配置されている
それはガラス細工の作品のような
そんな繊細さを見せていた
僕は雫が日常を変える芸術によって
いつもより雨の匂いが華やかに感じた
雫
私はこの村から出たことがない。というのも出ることを許されていないからだ。この村の神の巫女として、結界を守ることでこの国が守られるだとかどうとか。
もっとも、私はそのことを信じていない。何せ何一つ特別なことはしていない。祈りの時間があるわけでもなく、滝行をするでもなく。ただ村の人々と同じように起きて食事をして働いて、寝る。毎日毎日、毎日そのことの繰り返しだ。
私はこの村をでたい。大人に言っても反対するだけだから誰にも伝えたことはない。
村を飛び出す理由は色々とあるけれども、一番の理由は神社で掃き掃除をしていた時のことだ。水撒きをした後の葉についていた雫を眺めていたあの人に逢いたいからだ。
朝、凛々と茂った葉っぱ
そんな葉っぱにひと雫
朝が来たとわかり
嫌なような
太陽によって照らされて
輝く葉を見て
清々しいような
ただいまは
このひと時を
大切に
No.66
『雫』
今日は雨。
ずっとずっと。雨。
外じゃみんな傘をささずに歩いているけど雨。
私も今日は傘を持ってきていない。
それでもいいんだ。もう濡れたっていい。
全部終わったんだ。振り向いて欲しかった相手には
もう素敵な人がいたんだ。
あの人も傘をささずに歩く。それでもきっと幸せだろう。
私とは大違い。こんなに空は青いのに雨がずっと降っている。
...まだ止むことは無さそう。
語り部シルヴァ
『雫』
雫が落ちる音がした。
堰き止めていたものが壊れてしまった感じがした。
もう戻れないと悟った。
涙は出ないけど、私は泣いていた。
落ちた雫は、水たまりになっていた。
ひと雫
ひと雫が
集まって
水たまりになる
空を映す
………雫
「雫」
君の瞳から溢れるその雫を、僕が受け止めてあげられるなら、どんなにか幸せだっただろう。
君の辛さを、悩みを、僕が少しでも背負えたら、どんなにか幸せだっただろう。
君の泣き顔を、笑顔に変えられたら、どんなにか幸せだっただろう。
でも、君の悩みの原因はアイツなのに、君を笑顔に出来るのもアイツしか居なくて。
だから、君の悩みの原因の、アイツを消してあげるよ。
そうすれば、君はそもそも悩まなくて済むし、泣き顔にもならないだろう?
君を笑顔にする事は出来なくても、泣かさないようにはきっと出来ると思うんだ。
だから、君の悩みの原因を僕が消したら、少しは僕の事を見てくれるかな?
140番 苦労苦誤ジューシー
斬新な象さん 不可侵な神経戦
囲いの鯉居残り 恋のしこり
幼稚園 ワンチャン終わっちゃう
アラモード 諦めムード 奈良詣で
ワーカーホリック 輪っか放りっく
食文化 半分ジャンク 3分割
素うどん入りの かけ情け
苦労苦誤ジューシー 赤子シチュー5杯
おまはん暇なん わしゃ穏便
陣太鼓近代化 稀代の大根 叩いた炊いた
三日門下 啖呵課題か 居丈高
軟体担った 塗りたて成れの果て
マイナス要因 ひねもすナンセンス
猛獣まずまず マジ文字和人
はかなくも 日がな嘆くも 長雲磨くも
夜更かしまやかし もう昔
虚しさの雫が溜まりに溜まったら
煮詰めて毒のキャラメル作ろう
#雫
ただあなたが幸せであるならば
地位も名誉も外車もいらない
#何もいらない
その日は雨だった。いつものように校門を抜け1人で家へと帰宅する。傘を忘れてしまったがどうということはない。これくらいの雨ならば大丈夫。
そう思っていました。雨足は私が1番目の交差点を渡る時に既に強く帰路の半分まで来るとゲリラ豪雨と見まごうくらいの大雨へと変貌した。
携帯で天気情報を見てみる。勘違いしないので欲しいのが私は学校に違反物を持ってきたわけでも私立の中学校に行っているわけでもない。
私は現役高校生である。
今日も今日とてぼっちで家へ帰ろうとしてこうなってしまったのだ。
「「はぁーついてないなぁ」」
え?声が被った事に驚いて慌てて向こうを見ると向こう側の人も驚いた表情でこちらを見ている。
彼女の名前は牧野桜と言った。彼女もこの近くの高校に通っていて雨のせいでここに雨宿りしにきたらしい。ついでに彼女も同じぼっち仲間である。
私達はすぐに打ち解け世間話をするぐらいの仲になった。それがやがて1月経つと友達となり2月経つと親友と呼べる仲になった。
今日も一緒に家に帰っていると彼女が突然、「私転校するの」と言い出してきた。
驚いて言葉が出ずにいると彼女は酷く申し訳なさそうにそして寂しそうに目を伏せていた。
彼女の前では心配したりして快く送ったが内心はとても乱れていた。たった1人の友人が居なくなってしまうなんて。
1人だけの帰路で私は目から雫を零した。
お題「雫」
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
更新が遅れてすみません。
雫
わらって
悲しさが消えた
眠って
疲れも消えた
飲んで
なかったことにした
何かが震えている
抑えているものが溢れていく
何粒かが滴り落ちて
ようやく
私を知った
私は変態だろうか。
いつもの、前から5両目の、自動ドア付近で音楽を聴いている彼。
目を閉じて、身体を揺するでもなく、座席のエンド側に長身を少し預けている。
私は、彼とは対角線上の自動ドア付近に立ち、彼を横目でちらりと眺めていた。
今年最初の真夏日となった今日、車内はエアコンが稼働しているとはいえ、自動ドア付近に立っていると、湿気を含んだ生ぬるい外気とエアコン若干の冷気が混合して肌を撫で、べとつく嫌な感触がしていた。
車内全体が湿気を孕み、これ以上混雑すれば、衣服が肌に貼り付くような不快感が増すに違いなかった。
けれども、私の目に写る彼が纏う空気感は、別物だったように思う。
どこか俗世離れしたような、深緑の中のような心地よいひんやりした空気。
彼と彼の周りの空間だけが切り取られたような錯覚を起こしそうだった。
私は、眼鏡を外して額に浮いた汗をハンカチで拭いた。ついでに鼻の頭も、ぽんぽんと軽く叩く。
小学生の頃、あれも真夏日だった。
クラスの男子に、鼻の頭に汗をかいているところを嗤われたのだ。
「浜里の汗、樹液っぽくてきしょいわ~。」
それから、男子間での渾名は『浜里カブト』とか、ただの『カブト』とかになった。
第二次性徴期に差し掛かる時期だったこともあり、私にとってはあまり思い出したくもない苦い記憶だ。
私は眼鏡をかけ、改めて彼をちらりと見た。
相変わらず、エンド側に背を預けている。
その首筋が少し汗ばんでいることに、私は気づいた。
まるでオートフォーカスされたように、私の視線は彼の首筋に釘付けになり、「なんて、艶っぽいんだろう」と思った時には、頬が一気に火照りだした。
変態か、私は。
彼の汗ばんだ首筋に見惚れてしまうなんて。
汗の雫は、醜悪の対象でしかなかったのに。
彼の其れは、違って感じられた。
#雫
とある小学校の、とある教室。
その休憩時間、子供たちは自分の好きなように過ごしていました。
外で遊ぶのが好きで、外でサッカーをする子。
寝るのが好きなのか、机に突っ伏して寝ている子。
友達とおしゃべりするのが好きな子。
そして本を読むのが好きな子。
何の変哲もない休憩時間の風景。
そして休憩時間は元気いっぱいの子供たちも、授業となれば静かになります。
学級崩壊もなく、皆真面目に授業を受ける……
何の変哲もない一般的なクラスでした。
ですが、こんな平和なクラスにも、学校の先生たちが頭を悩ます二人の生徒がいます。
一人目の名前を、鈴木 太郎といいます。
容姿はこれと言った特徴は無く、物静かな印象を受ける、本が好きな子供です。
休憩時間はいつも本を読んでいます。
そして、『読書に集中するあまり、周りの事に気が付かないタイプ』でした。
何も知らない人間からは『大人しくていい子』と見られるこの少年……
実は、学校の行事を当たり前の様に休み、授業態度も悪い、超問題児なのです。
何度言っても反省せず、『あいつはもうだめだ』と先生たちも半ば匙を投げていました。
二人目の名前は、佐々木 雫《しずく》。
太郎とは違い、彼女は校則ギリギリまで制服を改造し、派手な印象を受ける、オシャレが好きな子供です。
休憩時間はいつも、友達とおしゃべりしています。
そして『おしゃべりに夢中になるあまり、周りの事に気が付かないタイプ』でした。
何も知らない人間からは『学校の風紀を乱している』と見られるこの少女……
実は、学校行事を率先して参加し、授業も真面目に受ける、超優等生なのです。
ですが何度いっても服装だけは絶対に改めず、『服装さえ直してくれれば文句は無いのに』と先生たちから嘆かれていました。
正反対で、一見接点のなさそうなこの二人……
物語は、雫が太郎に声をかけるところから始まります。
◆
とある日の昼休憩の時間の事でした。
「ねえ、タロちゃんタロちゃん、何読んでるの?」
「……」
雫は親し気に、太郎に呼びかけます。
ですが、太郎は読んでいる本に集中しており、全く気が付きません。
「おーい、タロちゃんー」
「……」
「ねえってば!」
「……」
呼び続けても太郎は身じろぎ一つしません。
このまま呼びかけても、らちが明かないと考え雫は、太郎の肩を掴み揺さぶりました。
「へ?え?何?」
太郎は驚いて、読んでいた本から顔を上げました。
「やっと気づいた。 何回呼んでも、気づいてくれないもん」
「え?ああ、ごめん」
太郎はよく分かりませんでしたが、とりあえず謝りました。
そして混乱しながらも、状況の把握のために声をかけてきた人間の顔を見ます。
ですがそれが雫だと気づき、太郎はげんなりしました。
というのも太郎は、雫とは出来れば関わり合いになりたくないと思っていました。
雫は容姿こそ太郎の好みでしたが、太郎はギャルが嫌いなのでした。
『ギャルのような陽キャは、自分のような陰キャを馬鹿にしている』と思い込んでいるのです。
太郎は卑屈でした。
「なんで、私の顔を見て嫌そうな顔をするの?」
「別に……」
ただし、太郎にはそれを直接言うほどの度胸はありませんでした。
「それで何の用? 佐々木さん」
「ええー、そんな他人行儀みたいな呼び方をしないで。
雫って呼んでよ、タロちゃん」
「へっ」
太郎はまたも混乱しました。
タロちゃんと呼ばれたこともですが、親しくない女子に名前呼びを要求されるとは夢にも思わなかった(妄想ではあった)からです。
『これがギャルか…… 距離感がおかしい』と、太郎は思いました。
もちろん思うだけで、特に何も言いませんでした。
要求を無視することにしました。
「それで何の用? 佐々木さん」
「雫って言って」
「……」
「雫」
「……雫」
「オッケー」
太郎は屈しました。
太郎は度胸も無ければ根性も無いのです。
「それで何の用? ……雫」
「うん、タロちゃんが何の本を読んでるのかなと思って」
3度目の質問にしてようやく答えが得られたことに、太郎は安堵しました。
太郎は読んでいた本の表紙を見せます。
「ありがとう…… うん、やっぱりこれアニメでやってるやつだよね」
「うん、これが原作」
「おおー」
雫は思わず感動の声を上げました
「小説好きなの?」
「うん」
「カッコいい」
「う、うん」
太郎は急に褒められて、照れてしまいました。
そして『これがオタクに優しいギャル!? 実在したのか』と勝手に感動していました。
太郎の中で、雫への好感度が爆上がりしていきます。
「ねえ、タロちゃん。コレの一巻持ってる?」
「家にあるけど……」
「貸して」
「やだ」
「おねがーい」
「やだ」
雫の渾身のお願い攻撃にも関わらず、太郎は断りました。
太郎は自分のコレクションを他人に触らせたくないタイプのオタクでした。
こんな時にだけ、太郎の意思の強さが発揮されたのでした。
そして太郎は代替案を提示します。
「自分で買えよ」
「無理。 ママからお小遣いもらえないの」
「そのたくさんのアクセサリーとか髪飾りは?」
「コレ? これはお下がりとか、貰いものとか…… お金無いから、貰いものでやりくりしているの」
「ふーん」
太郎は気のない返事で答えます。
正直雫のお小遣い事情には興味が無かったからです。
ですが、心の中に少しだけ同情する気持ちが芽生えていました。
同じ作品を愛するものとして何とかしてやりたいと思ったからです。
雫とは関わりたくない。
だけど、この小説もおもしろいから読んで欲しい。
太郎は心の中で葛藤した末、結論を出しました。
「分かった。 貸してやる」
「ほんと、うれしー」
雫は嬉しさのあまり、その場で飛び跳ねました。
雫の短いスカートがめくれそうになり、思わず太郎は目をそらします。
太郎は紳士なのです。
「一つだけ条件がある」
太郎の言葉に、雫は飛び跳ねるのをやめます。
「もう少し大人しめの格好をしてくれ。スカートも長くして」
「えー可愛いじゃん」
「派手な格好が苦手なんだよ」
「ふーん。まあ、いっか。タロちゃんに嫌われても仕方ないしね」
雫は太郎のお願いを受け入れました。
「あ、そうだ。 せっかくだから、私も言うね。
授業中に本を読むのは駄目だよ。授業はちゃんと受けましょう」
「いや、でも――」
「だめ」
「……」
「持ってきちゃいけないスマホを持ってるの、先生に言うよ」
「う、分かったよ」
太郎は、隠れてゲームをするため、先生に内緒でスマホを持ってきていました。
大事なスマホを没収されてはたまりません。
渋々ながらも雫の要求を飲むことにしたのでした。
こうして二人は、お互いに駄目なところを直すことを約束したのでした。
◆ ◆
その二人の様子を見ていた人物がいました。
香取 翔子という担任の教師です。
翔子は、この問題児二人をなんとか更生しようと頑張っていました。
ですが、頑張りに対してあまり効果が出ていないのが現状でした。
しかし、二人のやり取りを見て、自分が間違っている事に気が付きます。
過度の干渉はかえって反発され、成長の妨げになると……
そして教師があれこれ言わずとも、子供同士の交流で子供たちはお互いを刺激し合い成長すると言うことを……
途中で聞き捨てならないことが聞こえましたが、些事な事。
教師にとって、子供の成長は何よりも喜ぶべきことなのです。
翔子は感動でのあまり、目から雫を――もとい涙を流すのでした。
「雫」
朝目が覚める。今日はやけに静かだ。
いつもならテレビや料理の音、あとあいつのデカい声が聞こえてくるはずなのに。何かあったのか?
少し不安になったので、リビングへと早足で向かう。誰もいない。
テーブルの上には、朝ごはんのサンドイッチとメモが置かれていた。
「おはよう!!!これを読んでいるということはようやっと目が覚めたということだね!!!今日はちょっと家を空けるよ!!!桜餅をたーくさん買って帰りを待っていてくれたまえ!!! ボクより」
珍しいこともあるもんだ。……というか、ここはあんたの家じゃないんだが……。居候のくせに。
ただ少し気がかりなのは、行き先も帰る時間も書いていないということ。念のために、自分は自称マッドサイエンティストに連絡をすることにした。
「あ!!!おはよう!!!何か用かい?!!」
どこにいるんだ?
「あー、え〜っとアレだよ!!!再発行した公認宇宙管理士の認定証を受け取りに行っているのさ!!!」
なるほど。それならいい。
「ちゃ〜んと桜餅を買って待っていてくれたまえよ!!!それじゃあまた……ね。」
……切れてしまった。
まあ、大した用事じゃなさそうだからいいか。
そう思って買い物に出掛けた。
洗剤と、電池と、それから桜餅をありったけ。
買い物もやることも済ませて、掃除やら夕食の準備に取り掛かる。
……にしても、随分と時間がかかるんだな。
もう夕方なのに、あいつはまだ戻ってこない。
もう一回連絡を入れるか。
『これは自動音声だよ!!!』
『ボクに用があるんだね!!!悪いが今は話ができないんだよ!!!悪いがまたあとで連絡をくれるかい?!!それとも留守番電話モードに切り替えるかい??』
留守番電話モードなんてものがあるのか……。
とりあえず一言だけメッセージを残そうか。
「おい、今どこで何やってる?」
……なんとなく違和感がある。
好物の桜餅があるのになかなか帰ってこないうえ、大抵連絡がつくはずなのに、いつもと違ってそれもない。
もしかしたら何かあったのかもしれない。
あいつの端末をこっそり見てみるか。
位置情報は……『未知の存在』が作った空間内を示している。
認定証の受け取りをしに行ったんじゃなかったのかよ。
なんであの空間にいるんだ?
自分はあいつの居場所へと急いだ。
01110011 01110101 01101101 01100001 01101110 01100001 01101001
〜明朝〜
さて、認定証が再発行されたみたいだから受け取らないといけないなぁ!仕方ない、受け取りに行くとするか!!
受け取りの準備をしている途中で、例の空間の質量が増加していることに気づいた。
……ん、待て。これは……?
まさか、何故だい?!!
あの空間を編集する権限はボクにしかないはずだぞ?!!
もしかして、残り僅かの宇宙を吸収してさらなるエネルギーを得たというのかい?!!
かなり古い機械人形が過剰なエネルギーを得ると宇宙規模の大爆発が起こるリスクがさらに高まる!
……仕方ない。ボクがなんとかしなければ!
彼らには悪いが、ボクだけで決着をつけるしかない!
こんな危険なことに巻き込むわけにはいかないからね。
……もしかしたら無事に帰ることもかなわないかもしれない。
それでも、宇宙を守るためならこの身を犠牲にすることも厭わないよ!ボクはそう決めたからね!!!
それじゃあ、行ってくるね。
今まで、ありがとう。キミもちゃんと、幸せになってね。
*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。+o○*.。+o●*+.。o○
「……で、なんでキミがここにいるんだい?」
人手は多い方がいい、と思ってな。
「どうして、ボクがキミに何も言わずにここに来たか、わからないのかい?」
抑揚のない口調だ。
いや、何かあったのかと思って、その……心配になったんだ。だから危険を承知でここに来た。
「……。ボクよりもずっと脆いニンゲンの分際で、なにができるというのだね?」
……。
「わかったのなら早く元いたところに戻りたまえ」
いや、戻るわけにはいかない。あんたをひとりこの場所に置いてはいけない。自分に「誰かに頼ることを覚えろ」って言ったのは、ほかでもないあんただろ?
「全く……いけしゃあしゃあと!」
「予備の装備を持って来ておいてよかったよ。ほら、これ。その赤いボタンを押すだけだよ。」
渡された装備を身につける。言われた通り赤いボタンを押した。本当にこれだけでいいのか?何かが変わったようには思えないが……?
「今度はそっちの青いボタンを押したまえ。そうすれば武器が出てくるはずだよ。」
……小型の銃のような武器が出てきた。
「試しにボクを撃ってみたまえよ。今身につけているそれの強度がわかるはずだ。」
ほ、本当にいいのか……?!かなり恐ろしいと思いつつ銃口を向ける。レーザーが当たったが、かすり傷ひとつつかない。
「今の一発はキミの星が吹き飛ぶほどの威力があるがこの通りだ!……この武器の出番がないことを祈るが……。」
そうだ。聞くのを忘れていた。ここで何が起こっているんだ?
「例の彼女がこの空間内に戻ってきたんだ。そしてここでキミの暮らす宇宙をさらに吸収したんだ。」
「この狭い空間内に膨大なエネルギーが集まるとどうなるかわかるね……?そう、宇宙規模の大爆発のリスクが非常に高くなる。」
「前時点ですでにかなり危険な状態だったのに、さらにエネルギーが加わった。準備が済み次第適切な処理を行うつもりだったが今は最早一刻を争う事態だ。」
「ボク達がすべきことは、この2つだ。彼女を無力化し、宇宙を切り離すこと、だよ。」
「ボクが彼女の内部にあるシステムにアクセスして動きを止め、機能を凍結させる。だからキミは彼女に紐づいたエネルギー源を切り離してくれたまえ。」
「おそらくエネルギー源はこの空間のどこかに複数ある。キミはそれを探して切断するんだ。おそらくこの前のスノードロップの花みたいに、わかりやすい形で存在するだろう。一刻も早く、見つけてくれたまえ。」
自分たちは急いで作業に取り掛かった。
どこにあるのかもわからないエネルギー源を探す。
何か四角い石碑のようなものがある。そこから根っこのようなものが出ている。
……これが宇宙と繋がっているのか?
「よく見つけてくれた!!!それを切り離したまえ!!!ボクの予想ではあと7つある!!!任せたよ!!!」
急に喋られるとびっくりする。
でもいつもの調子が戻ってきたみたいだ。よかった。
その後、すぐに宇宙と繋がる石碑が見つかった。
無事に切り離し終わり、自称マッドサイエンティストの元へ向かう。
「よくやってくれた!!!ボクも彼女の動きを止められたよ!!!さあ、最後に、彼女を回収しようか!!!」
もうすぐ決着がつくのか。
ホッとするような、不安なような。
「油断は禁物だよ!!!」
気を引き締め直して、宇宙を吸収する存在の元へと急ぐ。
「……いたぞ。あれがキミたちの宇宙を吸収した彼女だ。」
「ここはボクに任せたまえ。」
「……やぁ!久しぶりだね!調子はどうだい?」
「……貴方は私に嘘をついた。許すことはできないわ。それに、私が呑み込んだ宇宙まで奪った。どうしてそんなことをするの?」
「どうして、って……。この宇宙はキミのものではない!それにそもそも、ボクはキミの敵じゃないよ!」
「そうやってまた私を油断させるつもりなんでしょう?」
その直後、あいつは固まったかのように動かなくなった。何かが起こったに違いない。
「貴方も私の言う通りになって頂戴?」
「……すまない。」
小さな声で呟いたあと、こう続けた。
「ボクはここまでみたいだ。彼女の言いなりになる前に、キミの手でボクを葬ってくれないかい?」
こっちを向きもせずに、震える声で。
なんで、こんなことに……?
自分はあんたの後ろ姿を見つめることしかできなかった。
あんたの顔の縁から、雫が溢れた気がした。
……もしかしたら、「彼女」を止めたらどうにかなるんじゃないか?何か、なにかできることは?
……この銃についているロープで縛ればやつの動きを止められるかもしれない!とにかくやるしかない!
……それも虚しく、ロープはあっという間に解けてしまった。
「何やってる……?早く逃げたまえよ……。」
自分にできることなんて、何もなかった。
……だが今できることはひとつ。
逃げることだけだ。
自分はあんたを担いで逃げた。意外と重いな……。
……。
なんとか戻れた。
おい、戻れたぞ!
「……。」
反応がない。
おい、どうしたんだよ!桜餅、食べないのか?
「……。」
そのあと、色々試しているうちに、何日も経った。
でもあんたは動かない。
どうしたんだよ。なんで、なんで動かないんだよ。
あんたの端末が鳴っているのが聞こえたが、自分にはそれを確認する余裕すらなかった。
自分があの空間に勝手に行ったからあんなことになったのか?自分がもっと強ければあんたを守れたのか?
こんな静かな暮らし、すごく寂しいよ……。
自分はただただ自分の涙の雫が落ちていくのを見ることしか出来なかった。
雫
雫が落ちた
その雫は、サシャフローレスが流した涙だった
彼が、可愛らしい女性、次期にクリステン王国の姫様と
なる〇〇と、出会う前、さまざまな問題を抱えていたのだ