『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
さらさらと降り続く雨の中で佇む姿に目を奪われる。
鼻筋がシュッとして涼しげな目元。端正な横顔。
雨を物ともせず、集中力を高めているかのように前方を見据えている。
周りの雑音を遮断するような鋭い目付き。
感情を表には出さないが、その眼差しは静かに闘志を燃やしていた。
いつだってそうだった。
いつだって私たちに希望の光を見せてくれた。
登場曲が流れだした。
ヘルメットを被り直し、その眼差しのまま、おもむろにバットを持って歩き出す。
夏の雨の中で。
夏の雨の中で、その背中に願いを送る。
“雨に佇む”
あれ、と教室の窓の外を二度見する。雨と湿気で滲む窓の外にやけに目立つ人影が見えた気がして、幽霊かと見返した先には頭の先からつま先までしっかり存在感のある生きた人間が一人ぽつんと佇んでいた。
黒いブレザーが基本のうちの制服とは違う、グレーのブレザーは最寄り駅が同じ私立校の制服だった。最寄りの駅こそ同じだが、駅を出れば反対方向になるのにこんな天気のなかわざわざどうしたのだろう。呆然と窓の外を眺める俺に興味が湧いたのかクラスメイトの何人かもどうしたどうしたと窓の外へ目を向ける。
「うわ、誰かの彼女かよ」
「学校で待ち合わせるとか見せつけてんのかよ」
彼女の姿を目にした途端ざわつくクラスメイトの言葉に、なるほどと思う。なるほど、彼女か。なんでこんな雨の中と思ったけれどそういうことか。
残念ながら16年の生きていた中で自分自身はもちろん近しい友達に恋人ができたこともなかったが、そういうこともあるのかと納得する。
やっとそこまで思考がたどり着いた俺を置いて、クラスメイトたちは誰の彼女なのか彼女の容姿がどうこうと話に花を咲かせていた。
紺色の傘にほとんど隠されて、彼女の顔はよく見えないし距離もあるがぽつんと佇む姿はやけに人の目に付く不思議なオーラがある様な気がして、なんの根拠もなく美人だと騒ぐクラスメイトの気持ちもよくわかる。
美人だ美人じゃない、誰々の彼女では?誰々の彼女は違う学校だと盛り上がっていた話が、そのうちの一人が窓の外を指差すことでピタリとやんだ。
「彼氏登場だわ」
「うわ、あれ三年のあの先輩じゃね」
ぽつんと佇む彼女に、傘もささずに駆け寄る男子生徒は俺のよく知る先輩だった。同じ部活の先輩で、なんとなくいけ好かない男だった。穏やかで誰にでも優しくしてもてまくる癖に目立つことを嫌い、自分に好意を寄せる人が苦手というとんでもなくズルい男だ。
あの先輩の彼女ってことは絶対美人じゃん!うわ顔見てぇ!と俄然沸き立つクラスメイトとは対照的に俺の気持ちはどんどんと下がっていく。
俺が密かに好意を寄せていた隣のクラスの子は彼に告白して見事にフラレて泣いていたらしいのに。何だよ、アイツばっかりと睨みつけた先ではずぶ濡れになった先輩が彼女の傘を手にして仲良く相合い傘をしながら駅へ歩いていくのが見えた。
思いっきり風邪ひいて、あいつが今度の試合でボロ負けしますようにと祈りながら俺は相合い傘をしてる二人の背中を見送った。
雨に佇む
張り付くような湿気が限界に達し地面に落ちる。次から次へと零れて止まない。ちょっと飲み物を買いに来ただけでスマホしか持ってこなかったので、仕方なく申し訳程度の軒下で立ち止まる。
走るか待つか、特に急ぐこともないが手持ち無沙汰な私は、決められないままぼんやりと目の前を通り過ぎる車を眺める。
毎日毎日仕事に追われて時間を過ごすうちに、それ以外のことについて考えるのが下手になった。アスファルトの匂いがする。
気になることもそうでないことも、インターネットから濁流のように得ることができる。自分で思考せずとも、それっぽい意見を流し見て考えた気になっている。自分は物事をよく考える質だと認識していたのはいつの頃までだったか。遠くで閃光が走る。
ポケットに伸ばそうとした手を止めて、暫くここにいることにした。
変な人だった。雨の日に傘を持ってこないような人。
先輩。曰く、片手が塞がるから嫌いなのだと。
馬鹿なんじゃないですか、と私は言うけれど、その人は私よりもずっと頭が良かった。
今、先輩のいない雨の日に、歩幅を合わせなくて良いことに安堵している。貴方に認められることだけを目標に生きてきた。他者の尺度。幸福。貴方は自由に見えた。固定観念に囚われない、効率主義者。貴方は傘をささないことで何かから身を守っていた。それを推察することさえ出来ずにいる。きっと雨は降ったままでいい。
私は何度も相合傘の二人を見送る。
世界の首都の、間違った回答を繰り返す。
青年は、雨の中に佇んでいた。
傘を差さない雨の日は、想像以上に静かだった。
頭を、肩を、濡らしていく雨は、シャワーとは少し違った感触で不思議だ。
スラックスは肌に張り付いて、なんなら下着にも雨が浸透しているだろう。もはや境目もわからない。
足踏みをするとぐしゃぐしゃと鳴る水音に、幼児用のプープー音の鳴る靴を思い出して、青年が笑いそうになっていると、前から男が歩いてきた。
こんな大雨の中だ、他には誰もおらず、必然と目が合う。
「こんにちは」
「こんにちは」
晴の日だろうと雨の日だろうと挨拶は大切。同じ考えの持ち主のようで少し親近感が湧く。
「どうかされました?」
濡れ鼠になっているのに逃げも隠れもしない青年を不思議に思ったのだろう。男は尋ねる。
「あぁ、これは、子どもの頃やってみたかった事をやってるだけなんですよ」
「やってみたかったこと?」
「はい。やってみたかった事その16の『雨の中佇む』。本当はその3の『台風の中佇む』をやってみたいんですが、なかなかいい台風が来ず…とりあえず派生してその16を体験中です」
「なるほど…」
男は一つ、こくりと頷き、真顔で続ける。
「それは奇遇ですね。実は私も雨を浴びに来たんですよ」
「あっ、だからあなたも傘も差さずに雨の中歩いてらしたんですね」
そう、男も青年に負けず劣らずびしゃびゃになっていた。
安物そうには見えない黒いスーツも革靴も、見るも無惨。
「さっきまで風呂に浸かっていたんですよ」
「お風呂に?」
「はい、服のまま。やってはいけないと思い込んでいたことにチャレンジしようかと思い」
「まぁ、それは素敵ですね!」
「思いの外気持ちが良く、いつ風呂から上がろうか考えていたら、雨が降ってきたので。どうせなら全身ずぶ濡れになってやろうと」
男は水を含みすぎて萎れた前髪をかき上げる。
「本当に奇遇ですね!まさか同じお考えの方にこんなところで会えるなんて嬉しいです」
青年は前髪を伝ってきた雨が目に入りそうになり、びしゃびゃの手で拭う。
「あの…実は、本当はその7をやるために今日は出てきたんです。もしよかったらご一緒しませんか?」
びしゃびゃの手をそのまま組んで、青年はちらと男を見やる。
「子どもの頃やってみたかった事その7、ですか?」
「えぇ、その7は『夜の学校のプールに忍び込んで満喫する』です」
「…だからその大きな浮き輪を持っていたんですね」
実は、青年は雨に佇む傍ら、オーロラ色の下地にピンクの水玉というド派手でドでかい浮き輪を方肩に引っ掛けていた。ここにツッコミ役は存在しない。
「しかし、忍び込む、ですか…」
浮かれた浮き輪を見ても崩れなかった男の表情が、思案に変わる。
「あっ、忍び込む、と言っても、ちゃんと許可はいただいているんです。人様に迷惑をかけるのは本意でないので」
青年は両手を左右に振り、説明を続ける。
「ちょっと手助けをしたことがある学校さんにお願いをしたら、ちょうど昨日で水泳指導が終了したそうで。ちゃんと塩素も入れておくから、なんなら今日昼から使ってくれと言ってくださったんですが。
ぼくが入りたいのは夜の学校のプールだったので」
「それは――素晴らしいですね」
思案顔が晴れて真顔に戻る、いや、少しだけ微笑んでいるようだ。
「それなら、やってよい『やってはいけないこと』だ」
「でもやりたかったことは『忍び込む』なので忍び込む体で行きます。…もちろん鍵もお借りしているんですけどね」
「では、お言葉に甘えて、お供させてください」
「やった!こちらこそありがとうございます」
勢いよくお辞儀をして飛んだ水滴が、男のスーツに付いた金の天秤柄バッジにぶつかり、弾けた。
「私、着衣泳好きだったんですよ」
「実はぼく、着衣泳やったことがなくて」
「じゃあまずは実践ですね。私がやり方をお伝えしますよ」
「ありがとうございます!助かります」
吹っ切れた青年と、ぶち切れた男。
頭の大事な糸が切れた二人を見ていたのは、俯いて雨に佇む向日葵だけだった。
【雨に佇む】
無性に濡れたい時がある。
頭から足まで、理由もなく水浸しになりたい。
無性に叫びたい時がある。
日頃の鬱憤全部まとめて、吐き出したいのだ。
声に出せない辛さが、募る、募る、募る。
だから、行動に移っちゃうんだよね。
家のものを全てぶっ壊して、ついでに自分も壊れてくれよって。
ああ、もう壊れてるのかも。
なにか、理由もないけれど、とにかく、無性に叫びたい。
雨の中で佇んでみたところで、この暗い気持ちは洗い落とせない。
ゲリラ豪雨級の雨であっても、心の澱は流れてなどいかない。
そこにあるのは、そうなったらいいのに……という願望と、そうはならない現実だけだ。
雨に佇む
ある雨の夜のことだった。
私は気づけばずぶ濡れで、でも、周りは誰も気にもとめない。
私の存在なんて、認識していないかのように。
雨なんて、降らなければいいのに。
なんだかひどくさみしいような感じだ。
ふと、服が張り付いてきているのを感じた。
私の淡い色のワンピースは濡れて、色が濃くなっている。
傘をさしているはずなのに、それも意味をなさないくらいに降る雨。
いっそ、濡れて帰ってしまおうか。
なんて、考えながら家に向かう。
帰ったら、お風呂、沸いてるといいなぁ…。
そんなことを思っていると、スマホが鳴った。
「雨、すごいけど、大丈夫なの?雨宿りしてから帰ってきな。」
母からだった。
雨宿り、かぁ…。
天気予報を調べても、雨は止む様子がない。
いいや。帰ろう。
帰ってゆっくりお風呂に浸かればいい。
割り切ってしまえば、雨というのも楽しくて、たまには濡れて帰るのも悪くはないような気がした。
雨粒の傘に当たる音を楽しんで歩く。
次の雨の日はどんな傘と歩こうか。
雨に佇む
ざあざあと。しとしとと。
天から限りなく降り注ぐ水は平等に全てを流す。
流して欲しい。苦しみも悲しみも痛みも全部、流してほしい。
何日も前から予報されてきた豪雨というだけあってその勢いは折り紙付きだ。道路は水浸し、靴は染みるしガパガパ言って歩きにくい。だけど歩けないほどじゃない。
右足をだして左足を出す。右足をだして左足をだす。
そうしていればいつかは何処かに辿り着く。
何処に行きたかったかなんて覚えていないけど、
何処まで行かなければいけなかったかは、何となく覚えている。
だから歩く。歩き続ける。
雨の終わりは見えずとも、太陽の夢を見ることはできるから。
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時々雨に打たれたくなる時があるお嬢
この後傘持った石蕗に回収されて笹本にこんこんと叱られる
反省の色はない またやる
雨に佇む
ただ空を見上げる
空一面を埋め尽くす白い雲
私は今、光を探す
雨に打たれながら顔を覆ったあの帰り道
雨でよかった
ずぶ濡れになっても帰らないあの休み時間
雨がよかった
せーのでとんだあの水たまり
雨はよかった
流れた雨は一縷の涙
私は雨を嫌いになった
あの冬の冷たさを思い出すから
私は雨に佇む
あなたが私を温めてくれるのだから
あめ.
雨に佇む
傘を持たない私が雨に佇んでいたら、傘を差し出してくれる誰かは現れるでしょうか?
「どうぞ、使ってください」も嬉しいけど、「どちらの方向ですか?近くまで一緒に行きましょう」って、言って欲しい。
そんな漫画のような出来事に憧れます。だって、これだけ生きてて一度もないんですから、こーゆーこと。(憤)
でも逆に、私から声をかけたら男性なら、どんなリアクションをとるだろう。気になります。
「え、いいんですか?ありがとうございます」が理想的かな。
「、、結構です」だったら
濡れた傘を一度閉じて、開閉ボタンを押して、その方に水しぶきを浴びせてやりましょう。
台風とコメ不足ばかりが流れるテレビ。冴えない私の毎日。
土砂降りの雨に佇んで、滝修行の如く濡れたら禊ぎ払いになるでしょうか。
それとも、まさかの「どうぞ」が来るでしょうか。
そんなことが起こったらすぐに報告しますからね。
乞うご期待!
ないわーend
"雨に佇む"
書店で目を惹かれて買ったこの古本。
本当に雨に佇んでいたかのように雨の跡がある。
雨なのか涙なのか今の私はまだ知らない。
強い雨が降る夕方の山道を車で走り抜ける
途中、両脇の電線におびただしい数のカラスが羽を休めていた
鳴くわけでもなく、等間隔に並んでじっと雨を浴びている
もしかして 帰宅してまずはシャワーを浴びるみたいな感覚なのだろうか?
雨に佇むカラスたち
明日はどこへ向かうのだろう。
「雨に佇む」
最近、雨が多い。だから、つい雨の日に、佇んでしまう。
雨も滴るいい女ってか?私はそんないい女ではない。
周りは雨に佇む人はいるのかな?
(現パロ)
学校から出たら、雨が降っていた。雨の予報が出ていたらしい。最近は全くテレビを見ていないから、天気予報がよく分からない。
たとえ天気予報を見ていたとしてもとりあえず、今の天気は雨で僕は傘を持っていない、それだけが明確な事実だった。
さてどうしようか。雨が止むまで待っているというのも一つの手だけれども、残念ながらこれはゲリラ豪雨ではないらしい。僕が佇んでいるロッカーに来た同級生が『天気予報見て、傘を持ってきてよかった』なんて言葉を吐きながら、傘を広げて帰っていったのを見たからだ。
天気予報で予想されるゲリラ豪雨なんていうのは、ゲリラとは言わない。つまりそういうことで。雨が止むまで待っているとなると、リアルに何時間かかるかはわからない。もしかしたら、最終下校時刻を過ぎてしまうかもしれないのだ。
職員室で傘を借りれるなんて話も聞いたことがあるが、最近は傘の返却のマナーがなっていないらしく、そもそもそのルールが今まで適用しているかどうかもわからない。
要するに詰んでいる。完全なる詰みだ。
まぁ、いつ止むかわからないとはいえども、とりあえず、ギリギリまでは待っていた所存である。その間の暇つぶしはどうしようか。学生らしく、勉強でもするか。
「嫌だな……」
「何が?」
自分で考えたその案を自分で嫌だと感じてつい口にそれが漏れた時、タイミングよく来たクラスの同級生がそう聞いてきた。
隣の席の女子生徒だった。名前は…………何だったっけ。席替えをしたばかりで、名前を覚える気がなかったからまだわからない。少なくともすれ違ったぐらいで挨拶もしないだろうという仲ではある。つまり、僕の発言を拾われたこと自体が既におかしく、そのことで面食らうレベルには、仲がいいとは言えなかった。
「…………雨が降っているからさ」
自分の発言が拾われてしまったからには、せめて何が答えなくてはならないという思考回路から僕は正直に自分の気持ちを述べた。
「天気予報で言ってたじゃない。見てないの?」
「生憎にも」
そう呟くと、彼女はやれやれと首を振りながら自分の傘を広げた。紺色に猫のモチーフが描かれた傘。一人で使うには、少々本当に大きいんじゃないんだろうか。
彼女は少々考える素振りをした後、そっと呟いた。
「傘がないならば、入れて行ってあげようか?」
「大丈夫だよ」
そこまで仲が良くないクラスメイトに傘に入れてもらうほど、まだ危機的状況ではないだろうなんて、思考回路が働いて僕は丁重にお断りをした。が、彼女には、その答えが気に入らなかったらしい。
「…………本当に?」
「ああ。いつまで降るか僕は知らないけれど、きっとすぐに止むだろうと思うからね」
「…………やまないよ。今日の夜まで降り続けるって、弱くなったりもしないって天気予報で言ってたよ」
「…………それなら困るかもしれないな」
「そうでしょ。ならさ、ボクの傘入れば」
そこまでして入れたい理由はなんだなどと聞きたい気持ちが少しだけ生まれてしまったけれど、でも夜まで降り続けるんだったら、断るということも良くないのかもしれない。
「それじゃあ、お言葉に甘えて入れてもらおうかな」
僕がそう言うと、彼女は若干嬉しそうな顔をした。
雨は僕が家に着いて数分後に止んで、天気予報を見た家族曰く『予報よりも少しだけ長引いた』とのことだった
私は愛に囲まれ生きてきた。
友達に困った事もなかったし、恋人に裏切られた思い出もない。
家族仲も良好でいつも自分が愛されて育ってきた自覚はある。
ただ、自分が本当にそれで良いのかという問いは常に私の中にあった。
愛されている故の無頓着、無意識で他人の事を傷つてけている。
そんな感覚が私にはあった。
私は私の大切な人全てを甘い愛で満たしたい。けれどそれは私のエゴかもしれない。
私はただ、愛の雨に佇む。
心の中がバレていた。彼はわたしの好きな人を当てた、わたしが彼を好いているということを。そんなに分かりやすかったかなとは思うけれど、バレているのならもう隠す必要はないかもしれない。ただただ恥ずかしい。周りは動いているはずなのに、何も頭に入ってこない。目の前を通り過ぎる車と人が、水を跳ねて進むのが見えるだけ。
「くるみ分かりやすすぎ。僕が好きな人おらんとか言ったらすぐ拗ねるしさ」
わたしは鈍感。いやいや、でもでも。
「可愛いなあって思ってたよ」
彼がよくわたしに会いにくるなあとは思ってたけれど、それはきっと友達の範疇で、恋愛感情はないと思っていた。わたしはそう思い込んでいたに違いない。混乱しすぎて記憶がまばらになってきた。空気を読まない車が信号で目の前を止まる。
「いつからなん?」
「内緒」
「んもう」
なんだろね、この胸のごわごわした気持ち。綿が詰められている感じ。でもね、なぜか不快じゃない。きっとただ混乱してるだけ。
「まあそういうことです。くるみはどうしたいっすか?」
なぜか敬語になる彼。
「んー……いつも通り接してくれたらそれで嬉しい」
「……曖昧なんが一番困るんすけど」
彼はなぜか嬉しそうに笑った。もっと彼に近づきたかったけれど恥ずかしくなって、帰ろ、とだけ言って立ち上がる。もちろん彼もついてきたけれど何も話せなくて、ただ雨上がりの音が耳にぶつかるだけだった。
#雨に佇む
#57 雨に佇む
雨に打たれなければ、癒えない感情は存在する。
雨に打たれなければ、満たされない感情も存在する。
雨に打たれなければ、生まれなかった感情も存在する。
雨に打たれなければ、流せない感情も存在する。
そういうものをわたしは幾つか知っている。
きっと誰しもが知っている。
だからドラマや映画などで、使い古されている。
そんなことを、雨の降る窓辺に佇んで、コーヒーを飲みながら考える。
雨の降り頻る日曜日の朝は、退屈なのに、このようにどこか好ましい。
『雨に佇む』
$>月0^\日
「はぁ~、明日から学校かぁ~」
そんな事を呟きながら目の前に散乱する真っ白な課題達を見てため息を吐く。
なぜ俺は何時も課題が残っているのか、
夏休み、それは長期休暇とも言う。
一見して長期休暇は学生にしかない自由に過ごせる時間だが人によっては変わってくる。
俺、田川 優は夏休みが大嫌いだった。
普通の家庭では夏休みといえば親戚や祖父母の家に行ったり、何処か旅行へいったりする。
しかし優の家では自営業。
まだ田舎の寂れた町で店をしているため裕福とは言えなかった。
また海沿いに住んでおり、夏には花火大会がある。
つまり、、、、稼ぎ時だ。
祖父母の家とは遠く疎遠になっており、友達は皆旅行やらお母さんの方の実家に帰省したりで、誰も居なくなる。
もう俺には浜辺さん家のたましか相手してくれるやつがいない😭。(⚠たまは猫です。)
つまり、暇だ。
本当に暇だ。
家の周りには何も無いしゲームを買う資金も無い。
さっきも言ったが一緒に遊ぶ友達もいない。
隣町には大きなお店があるがここから8キロも離れていて
ボロい自転車しかない俺にはキツそうだ。
そんなこんなで、俺からしたら学校に行ってるほうがマシなくらいだ。
そんな俺はからっきし勉強が駄目だ。
塾にも行ってみまし、勉強もした。
だけどほんっとうにできなかった。
そんな俺が一人で課題が終わるわけもなく、昨日帰ってきた瑠菜に手伝ってもらい課題を進めている。
たが、一向に終わる気がしない。
観察日記や作文、ポスター作成などはやった。
たが、明日学校だ、、、
今年も怒られるんだろうな〜
先生も少しは見逃してくれるが体裁もある。
こればっかりはどうにもならない。
観念してがんばりますか、
「あ゙ぢぃ〜」
帰り道駄菓子屋さんで買ったアイスキャンディーを咥えて
そんな事を呟く。
もう9月になると言うのに一向に気温は下がってくれない。
大きな入道雲がこちらを覗いてるようだ。
あれから宿題は瑠菜に手伝って貰ってなんとか許して貰えるくらいは出来た。
夏休み明けテストは酷かったが
なんとか30点は取れた。
いや~頑張ったよ俺。うん。頑張った。
そんなこんなで帰り道ご褒美としてアイスキャンディーを買って帰った。
夏休み明けだ、皆浮かれて授業中に怒られてたな。
『俺は、○○の〇〇にいったわ。マジそこで食った魚がマジ美味くてさ、値段はしたんだけど一生に一回は食ったほうが良いよあれ。』
『まじ?いいなぁ~うちは実家に帰省してアイス買って食べただけ。』
そこかしこでこんな会話がする。
俺が会話に混ざれることもなく一人寂しい思いをするだけだ。
夏の景色は好きだ。夏特有の少し爽やかな匂いも大きな雲も、キラキラと輝く夜空も、、、
でも、夏休みは嫌いだ。俺一人だけ置いて行かれるようで
皆楽しく過ごしているのに、、
何時もはこんなこと無いのに夜中に目が覚めてしまった。
皆寝静まって静かだ。
いや、セミの鳴き声はうるさい。
なかなか寝付けないから、少し散歩に行ってみる。
そういえば今日は雨だった気がしたんだが、
傘は、、、まあ良いか。
そんな俺が馬鹿でした。
いきなり雨が降ってきた。
取り敢えず急いでタバコ屋の屋根の下に雨宿りする。
俺は少し散歩しようと外に出たは良いもののなかなか家に帰る気にもならず歩いてるうちに海の近くまで来てしまった。
タバコ屋の先、線路を越えたとこに海がある。
坂を下ってタバコ屋がはっきり見えてきた時、雨が降り出した。
最初はポツポツ少し降ってただけだったが、5分もせずに土砂降りになった。
急いで屋根があるタバコ屋に避難したんだが、いつ帰れるか、、、。
時計持ってくれば良かった。
おばあちゃんからもらった大切な時計。
雨に濡れて壊さなくて良かったと思おう。
スコールみたいだったし30分のもすれば止むだろう。
こんな時間誰も起きていない。
都会だと人は居るだろうが、ここは田舎だ。
誰も居ない夜に一人寂しい気がした。
皆楽しそうだったな。
俺も旅行、、、行ってみたいな、、、、
らしくもない。
後どれくらいで雨止むかなぁ、
今帰っても夢見は良くなさそうだ。
『ねえ、君。こんな時間に何しているの?』
どこからともなく声が聞こえた。
「?!」
顔を上げてみると目の前には綺麗な顔をした女の子がいた。
しかし何故か女の子は見たことのない制服だった。
どこかで見たことのあるような女の子から、きっと人間では無いことが分かった。
何故だろうか怖くは無かった。
俺は今まで幽霊の類は見たことはない。
無のに何故見えるのだろう。
『ふふ、私の顔に何か付いてる?』
俺が不思議なあまり顔を凝視していたみたいだ。
「ごめんね、君は、、、幽霊?」
女の子はびっくりと顔に張り付いていた。
俺はその顔が面白くって笑ってしまった。
すると今度は女の子が不思議そうな顔をする。
俺は笑いそうなのを抑えて何でもないと言う。
それから女の子と話をした。
昔女の子はここで死んだと、それから地縛霊になってここを離れられないと。
そして女の子は記憶が無いと、、、
それからは他愛のない話だったがどうやら女の子が亡くなったのはだいたい50年くらい前だと分かった。
「どうやら君の話を聞いてると君が亡くなったのは50年くらい前だと思うんだ。」
『そうなんだ。優は賢いね。優からしたら大分昔の事のはず無のに何でわかったの?』
「俺はおばあちゃんが良く世話してくれたから
それと、俺は頭良くないぞ笑」
お母さんたちは自営業で忙しく世話してくれたのは祖母だった。祖父は俺が生まれるずっと前になくなってしまったらしい。母方の祖母とは同居していた。
その祖母ももう10年前に亡くなっている。
おれの記憶に居るばあちゃんは何時も笑ってたな。
そんなこんなで雨がやんできて俺は帰ることにした。
『また私と話したくなったら12時位にこの線路の近くに来て』
女の子はそう言うと消えてしまった。
あれから何も無い日々が続いている。
学校に行って友達と何でもない話をして、、、
あの時女の子と話をして楽しかった。
俺は、あの女この子が好きだ。
幽霊とか、まだ一回会って話をしただけだとか、置いて、
あの女の子が好きだ。
もう一度会って話をしたい。叶わぬ恋でもいいから。
その夜夢にばあちゃんが出て来た気がした。
0〆$月÷<ユ日
俺は会いに行く女の子に。
その日も雨だった。
線路付近に行くと女の子は現れた。
女の子とはまた話をした。
楽しかった。俺が調子乗ったのがいけなかったのかな?
女の子に俺のばあちゃんのはなしをして、ばあちゃんの形見の腕時計を見せた時女の子が泣き出した。
そしてすぐいなくなった。結局3時間くらい待ってみたが再び現れることは無かった。
あれから余裕のある時には線路に行ってみたが女の子には会えなかった。
数年がたった。
今年も帰省して女の子には会いに行くつもりだ。
今度女の子にあったらプロポーズをする。
指輪を持って夜会いに行く。
その日は雨だった。
ついに女の子に会えた。
でも俺は雨に佇む悲しそうな女の子は見たくなかった。
女の子はこちらに気づいて泣き腫らしたのがわかる顔を向け笑った。
とても寂しそうな笑い顔だった。
俺は、女の子を救えない。
女の子に俺の腕時計とプロポーズするつもりだった指輪を渡した。
女の子は何処か寂しそうな顔をして消えていった。
腕時計と指輪は持って行ってもらえて良かった
女の子はばあちゃんの彼女だった。
ただ、時代が悪かった。そんなもの認められるわけもなく
賢かったばあちゃんは嫁に出された。
女の子はばあちゃんと二度と会うことは出来ないようそれぞれを遠く離される予定だった。
女の子は何者かに殺された。
お昼の十二時大きな入道雲だったらしい。
女の子は死んだ後ばあちゃんが賢かったせいだと思い呪ったらしい。でも気持ちの折り合いがついた後女の子はばあちゃんを諦めらずに時が経ってしまったらしい。記憶がなくなるほどの年月ばあちゃんを待ってたらしい。
俺は呪の影響でめちゃくちゃ頭が悪くなったらしい。
ばあちゃんも気持ちの整理がつかず結局ばあちゃんと会えたのは女の子が成仏して消えた後らしい。
俺は結局30になっても彼女を作れなかった。
妖精さんになっちゃったわ。
昔死んだらしいじいちゃんが教えてくれた。
嫁を取られたって悲しんでたわ
部活終わりだった。
頭に冷たいものが当たった。
雨と気づくのはそう遅くはなかった。
気づけばどんどん強くなって、地面が乗算レイヤーをかけたかのように、暗く染っていく。
傘をさそうと思ったけど、やっぱりやめた。
風に乗って、帰路に着いた。
雨の冷たさが心地よかった。
これも自然の賜物だね。
雨に佇む