雨に佇む
張り付くような湿気が限界に達し地面に落ちる。次から次へと零れて止まない。ちょっと飲み物を買いに来ただけでスマホしか持ってこなかったので、仕方なく申し訳程度の軒下で立ち止まる。
走るか待つか、特に急ぐこともないが手持ち無沙汰な私は、決められないままぼんやりと目の前を通り過ぎる車を眺める。
毎日毎日仕事に追われて時間を過ごすうちに、それ以外のことについて考えるのが下手になった。アスファルトの匂いがする。
気になることもそうでないことも、インターネットから濁流のように得ることができる。自分で思考せずとも、それっぽい意見を流し見て考えた気になっている。自分は物事をよく考える質だと認識していたのはいつの頃までだったか。遠くで閃光が走る。
ポケットに伸ばそうとした手を止めて、暫くここにいることにした。
8/27/2024, 4:02:11 PM