雨に佇む
ある雨の夜のことだった。
私は気づけばずぶ濡れで、でも、周りは誰も気にもとめない。
私の存在なんて、認識していないかのように。
雨なんて、降らなければいいのに。
なんだかひどくさみしいような感じだ。
ふと、服が張り付いてきているのを感じた。
私の淡い色のワンピースは濡れて、色が濃くなっている。
傘をさしているはずなのに、それも意味をなさないくらいに降る雨。
いっそ、濡れて帰ってしまおうか。
なんて、考えながら家に向かう。
帰ったら、お風呂、沸いてるといいなぁ…。
そんなことを思っていると、スマホが鳴った。
「雨、すごいけど、大丈夫なの?雨宿りしてから帰ってきな。」
母からだった。
雨宿り、かぁ…。
天気予報を調べても、雨は止む様子がない。
いいや。帰ろう。
帰ってゆっくりお風呂に浸かればいい。
割り切ってしまえば、雨というのも楽しくて、たまには濡れて帰るのも悪くはないような気がした。
雨粒の傘に当たる音を楽しんで歩く。
次の雨の日はどんな傘と歩こうか。
8/27/2024, 3:47:33 PM