『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#57 雨に佇む
雨に打たれなければ、癒えない感情は存在する。
雨に打たれなければ、満たされない感情も存在する。
雨に打たれなければ、生まれなかった感情も存在する。
雨に打たれなければ、流せない感情も存在する。
そういうものをわたしは幾つか知っている。
きっと誰しもが知っている。
だからドラマや映画などで、使い古されている。
そんなことを、雨の降る窓辺に佇んで、コーヒーを飲みながら考える。
雨の降り頻る日曜日の朝は、退屈なのに、このようにどこか好ましい。
『雨に佇む』
$>月0^\日
「はぁ~、明日から学校かぁ~」
そんな事を呟きながら目の前に散乱する真っ白な課題達を見てため息を吐く。
なぜ俺は何時も課題が残っているのか、
夏休み、それは長期休暇とも言う。
一見して長期休暇は学生にしかない自由に過ごせる時間だが人によっては変わってくる。
俺、田川 優は夏休みが大嫌いだった。
普通の家庭では夏休みといえば親戚や祖父母の家に行ったり、何処か旅行へいったりする。
しかし優の家では自営業。
まだ田舎の寂れた町で店をしているため裕福とは言えなかった。
また海沿いに住んでおり、夏には花火大会がある。
つまり、、、、稼ぎ時だ。
祖父母の家とは遠く疎遠になっており、友達は皆旅行やらお母さんの方の実家に帰省したりで、誰も居なくなる。
もう俺には浜辺さん家のたましか相手してくれるやつがいない😭。(⚠たまは猫です。)
つまり、暇だ。
本当に暇だ。
家の周りには何も無いしゲームを買う資金も無い。
さっきも言ったが一緒に遊ぶ友達もいない。
隣町には大きなお店があるがここから8キロも離れていて
ボロい自転車しかない俺にはキツそうだ。
そんなこんなで、俺からしたら学校に行ってるほうがマシなくらいだ。
そんな俺はからっきし勉強が駄目だ。
塾にも行ってみまし、勉強もした。
だけどほんっとうにできなかった。
そんな俺が一人で課題が終わるわけもなく、昨日帰ってきた瑠菜に手伝ってもらい課題を進めている。
たが、一向に終わる気がしない。
観察日記や作文、ポスター作成などはやった。
たが、明日学校だ、、、
今年も怒られるんだろうな〜
先生も少しは見逃してくれるが体裁もある。
こればっかりはどうにもならない。
観念してがんばりますか、
「あ゙ぢぃ〜」
帰り道駄菓子屋さんで買ったアイスキャンディーを咥えて
そんな事を呟く。
もう9月になると言うのに一向に気温は下がってくれない。
大きな入道雲がこちらを覗いてるようだ。
あれから宿題は瑠菜に手伝って貰ってなんとか許して貰えるくらいは出来た。
夏休み明けテストは酷かったが
なんとか30点は取れた。
いや~頑張ったよ俺。うん。頑張った。
そんなこんなで帰り道ご褒美としてアイスキャンディーを買って帰った。
夏休み明けだ、皆浮かれて授業中に怒られてたな。
『俺は、○○の〇〇にいったわ。マジそこで食った魚がマジ美味くてさ、値段はしたんだけど一生に一回は食ったほうが良いよあれ。』
『まじ?いいなぁ~うちは実家に帰省してアイス買って食べただけ。』
そこかしこでこんな会話がする。
俺が会話に混ざれることもなく一人寂しい思いをするだけだ。
夏の景色は好きだ。夏特有の少し爽やかな匂いも大きな雲も、キラキラと輝く夜空も、、、
でも、夏休みは嫌いだ。俺一人だけ置いて行かれるようで
皆楽しく過ごしているのに、、
何時もはこんなこと無いのに夜中に目が覚めてしまった。
皆寝静まって静かだ。
いや、セミの鳴き声はうるさい。
なかなか寝付けないから、少し散歩に行ってみる。
そういえば今日は雨だった気がしたんだが、
傘は、、、まあ良いか。
そんな俺が馬鹿でした。
いきなり雨が降ってきた。
取り敢えず急いでタバコ屋の屋根の下に雨宿りする。
俺は少し散歩しようと外に出たは良いもののなかなか家に帰る気にもならず歩いてるうちに海の近くまで来てしまった。
タバコ屋の先、線路を越えたとこに海がある。
坂を下ってタバコ屋がはっきり見えてきた時、雨が降り出した。
最初はポツポツ少し降ってただけだったが、5分もせずに土砂降りになった。
急いで屋根があるタバコ屋に避難したんだが、いつ帰れるか、、、。
時計持ってくれば良かった。
おばあちゃんからもらった大切な時計。
雨に濡れて壊さなくて良かったと思おう。
スコールみたいだったし30分のもすれば止むだろう。
こんな時間誰も起きていない。
都会だと人は居るだろうが、ここは田舎だ。
誰も居ない夜に一人寂しい気がした。
皆楽しそうだったな。
俺も旅行、、、行ってみたいな、、、、
らしくもない。
後どれくらいで雨止むかなぁ、
今帰っても夢見は良くなさそうだ。
『ねえ、君。こんな時間に何しているの?』
どこからともなく声が聞こえた。
「?!」
顔を上げてみると目の前には綺麗な顔をした女の子がいた。
しかし何故か女の子は見たことのない制服だった。
どこかで見たことのあるような女の子から、きっと人間では無いことが分かった。
何故だろうか怖くは無かった。
俺は今まで幽霊の類は見たことはない。
無のに何故見えるのだろう。
『ふふ、私の顔に何か付いてる?』
俺が不思議なあまり顔を凝視していたみたいだ。
「ごめんね、君は、、、幽霊?」
女の子はびっくりと顔に張り付いていた。
俺はその顔が面白くって笑ってしまった。
すると今度は女の子が不思議そうな顔をする。
俺は笑いそうなのを抑えて何でもないと言う。
それから女の子と話をした。
昔女の子はここで死んだと、それから地縛霊になってここを離れられないと。
そして女の子は記憶が無いと、、、
それからは他愛のない話だったがどうやら女の子が亡くなったのはだいたい50年くらい前だと分かった。
「どうやら君の話を聞いてると君が亡くなったのは50年くらい前だと思うんだ。」
『そうなんだ。優は賢いね。優からしたら大分昔の事のはず無のに何でわかったの?』
「俺はおばあちゃんが良く世話してくれたから
それと、俺は頭良くないぞ笑」
お母さんたちは自営業で忙しく世話してくれたのは祖母だった。祖父は俺が生まれるずっと前になくなってしまったらしい。母方の祖母とは同居していた。
その祖母ももう10年前に亡くなっている。
おれの記憶に居るばあちゃんは何時も笑ってたな。
そんなこんなで雨がやんできて俺は帰ることにした。
『また私と話したくなったら12時位にこの線路の近くに来て』
女の子はそう言うと消えてしまった。
あれから何も無い日々が続いている。
学校に行って友達と何でもない話をして、、、
あの時女の子と話をして楽しかった。
俺は、あの女この子が好きだ。
幽霊とか、まだ一回会って話をしただけだとか、置いて、
あの女の子が好きだ。
もう一度会って話をしたい。叶わぬ恋でもいいから。
その夜夢にばあちゃんが出て来た気がした。
0〆$月÷<ユ日
俺は会いに行く女の子に。
その日も雨だった。
線路付近に行くと女の子は現れた。
女の子とはまた話をした。
楽しかった。俺が調子乗ったのがいけなかったのかな?
女の子に俺のばあちゃんのはなしをして、ばあちゃんの形見の腕時計を見せた時女の子が泣き出した。
そしてすぐいなくなった。結局3時間くらい待ってみたが再び現れることは無かった。
あれから余裕のある時には線路に行ってみたが女の子には会えなかった。
数年がたった。
今年も帰省して女の子には会いに行くつもりだ。
今度女の子にあったらプロポーズをする。
指輪を持って夜会いに行く。
その日は雨だった。
ついに女の子に会えた。
でも俺は雨に佇む悲しそうな女の子は見たくなかった。
女の子はこちらに気づいて泣き腫らしたのがわかる顔を向け笑った。
とても寂しそうな笑い顔だった。
俺は、女の子を救えない。
女の子に俺の腕時計とプロポーズするつもりだった指輪を渡した。
女の子は何処か寂しそうな顔をして消えていった。
腕時計と指輪は持って行ってもらえて良かった
女の子はばあちゃんの彼女だった。
ただ、時代が悪かった。そんなもの認められるわけもなく
賢かったばあちゃんは嫁に出された。
女の子はばあちゃんと二度と会うことは出来ないようそれぞれを遠く離される予定だった。
女の子は何者かに殺された。
お昼の十二時大きな入道雲だったらしい。
女の子は死んだ後ばあちゃんが賢かったせいだと思い呪ったらしい。でも気持ちの折り合いがついた後女の子はばあちゃんを諦めらずに時が経ってしまったらしい。記憶がなくなるほどの年月ばあちゃんを待ってたらしい。
俺は呪の影響でめちゃくちゃ頭が悪くなったらしい。
ばあちゃんも気持ちの整理がつかず結局ばあちゃんと会えたのは女の子が成仏して消えた後らしい。
俺は結局30になっても彼女を作れなかった。
妖精さんになっちゃったわ。
昔死んだらしいじいちゃんが教えてくれた。
嫁を取られたって悲しんでたわ
部活終わりだった。
頭に冷たいものが当たった。
雨と気づくのはそう遅くはなかった。
気づけばどんどん強くなって、地面が乗算レイヤーをかけたかのように、暗く染っていく。
傘をさそうと思ったけど、やっぱりやめた。
風に乗って、帰路に着いた。
雨の冷たさが心地よかった。
これも自然の賜物だね。
雨に佇む
雨が風に吹かれて
少し斜めに降ってるとき
窓に当たって流れていくのを
見るのが好き
これは内側からしか見れない景色
そんな雨のフィルターを通して観る
いつもと違う佇まいの街並みは
自分の知らない街だった
雨に佇む
その日は、何日かぶりの晴れだった。
しかも晴天。雨が続いていたのに突然。
待ち合わせ場所に来た君は、空を見て「綺麗だね」と微笑んでいた。
彼女の様子がいつもと違っていたなんて、浮かれていた俺には気付けなかった。
君が見たいと言っていた映画を見に行って、君のお気に入りの服屋を回って、事前に予約してあった夜景の綺麗なレストランに足を運んだ。
今思えば、フォークとナイフを持つ手が止まってぼーっと夜景を眺めていた彼女の気持ちに気付いていれば、まだ良かったのかも知れない。
レストランを出た後、公園に向かった。
ビルのネオンが光って、とても夜景が綺麗だった。
ベンチで今までの事を話した。
そして、話が落ち着いてきた頃、僕はベンチを立ち、唾を飲み込み、「結婚してください」そう言った。
彼女は、
「ごめんなさい」
そう言って泣いていた。
初めて見た泣いた姿、プロポーズ失敗という現実。
全てに混乱していた。
彼女は、泣きながら「プロポーズされる事は前々から分かっていた」と言っていた。
彼女の両親はすごく厳しく、彼女と僕のことについても反対していたそうだった。
僕にその事を相談できなくて、今に至るというわけだった。
僕は嘘が下手で隠すのに必死だった。それと同様に、人の嘘を見抜くのも下手だった。
だが、僕は「君が飽きて僕を振ったならまだしも、親に反対されていたということなら認められるように頑張る。」と言ったが、彼女は頭を横に振り「本当にごめんなさい。親にもこれが最後と言われて来たの。」そう言い残して走り去って行った。
頬に流れていた涙は、ちょんちょんっと降り始めた雨に混じって消えていた。
さっきまで晴れて星が綺麗だったのに、僕の涙とともに雨は強くなっていく。
ここまで恋愛に本気になったことはなかった。
彼女の好みを聞いて、
彼女が行きたいところに行って、
彼女の好きな夜景が見れる所にだって何度も行った。
なのに、どうして。
僕は強い雨に打たれながら、ただただ佇むだけだった。
あなたは、雨のなかで立っている。
ぬれてしまって、
さむくて、ふるえてる。
かたをふるわせて、
雨がほっぺたを伝って落ちていく
雨よ、雨。
どうぞ止んでおくれ。
わたしは、かさなどもっておりませんから、
あなたにさしてあげられないのです。
雨に佇むひまわり
燦々と降り注ぐ日光が似合うイメージだが
雨に濡れながら凛と咲いているのも似合う
車の下で猫が雨宿りしている
危ないので、退去をお願いすると
威嚇されてしまった
人間同士でも思いやりがすれ違うのだから
猫相手では思いやりは伝わらない
仕方ない
幸い時間に余裕はあるので
何とか安全に退去してもらうまで
交渉を続けよう
雨に佇む
突然の夕立に、周章てて、近くの公園の小さな屋根付きのベンチに逃げ込んだ…久しぶりに来た公園は、思いの外狭くて、遊具も小さくて、今更乍ら吃驚した…子供の頃は、広くて、滑り台も高くて、ブランコも、空まで漕げそうな気がしていたのに…
そして、何時も一緒に遊んでいた、女の子の記憶も蘇って来た…木陰で、新聞紙を敷いて、ままごとして、大人になったら、結婚しようねって、約束をしては、ほっぺにチューもしていたっけ…
そんなことを、雨宿りし乍ら、一人で思い出して、今は名前すら、覚えていない女の子を懐かしんで…
貴女は、雨の中にひとり佇む人にはならなくて良いのです。
悲しいことがあれば、誰かの胸を貸してもらって泣けばいい。
嬉しいことがあれば、皆と踊り狂えばいい。
貴女は、人と交わり、人と共に在るのが良いのですよ。
そして静かに佇んだりせず、わいわいと賑やかに、その時間を楽しんでくださいね。
雨に佇む
小雨の中での運転中、道路脇に傘をさして佇む人がいた。
通り過ぎた時、何気に見たバックミラーで私は嬉しくなった。
その人の傍には黄色いレインコートを来た小さな犬。
飼い主さんの傘は殆どその子犬の上だった。
「佇む」って何か物悲しい印象の言葉だけれど、優しい空間にもあるんだな…
と感じさせてくれた一瞬でした。
雨に佇む
雨に佇む、一本足の赤いアナタは
少し艶が出て頼もしく見える。
雨に佇む、丸顔の錆びたアナタは
バスが来るまで傍に付き添ってくれる。
雨に佇む、置き忘れられたアナタは
持ち主が戻って来るのを待っている。
雨に佇むアナタは、少し寂しそう。
ただそこで待っている。
お昼頃から急に振りだした雨はどんどん勢いを強めていって、窓の外をすっかり灰色のカラーフィルムに閉じ込めてしまった。
外を歩く人影はすっかり消えて、寂れた喫茶店じゃ常連さんはおろか、雨宿り客ですら来ない有り様。なんかもう、閑古鳥すら鳴いてないかもしれないくらい、店内は喧騒とはかけ離れた状態になっていた。
このまま雨が降るならもうお客さんは来ないかもしれないな、なんて思ってゆっくり早めの店じまいの支度を始めた頃だ。
お向かいにある、グレーのシャッターがかかって久しい家屋の軒下にぽつんと一人、シャッターよりも濃いグレーの色をしたスーツの男性が立っていた。
けっこうな長身のくせして、あんまりにも静かに、そしてぽつねんと立っているものだから一瞬電柱が増えたのかと思ったが、確かにあれは男性だ。
いかにも社会人という装いの彼の腕にかかっているのは灰色の町中で一際目立つであろう、メロンクリームソーダみたいな模様をしたポップで可愛い傘だった。すごくオーソドックスなビジネススーツに古ぼけたシャッター。灰色に覆いつくされた町中で、鮮やかな緑だけがやたら浮いている。
なぜ、そのチョイス?
というか、何待ち?
店じまいの支度もそこそこに、私はなんだかスーツの彼から目が離せなくなってしまった。スーツの彼というべきか、鮮烈なグリーンと言うべきかは分からないけど。
そして、彼がシャッターの下で雨宿りを始めてから早くも15分を過ぎようか、という時。
ぱしゃぱしゃと水溜まりも気にせずに軽やかに響く足音がした。
「パパー!!」
喜びに上擦った声と共に、ずぶ濡れの小さい女の子が、スーツの彼の元に飛び込む。女の子の手には、大人用の大きなビニール傘が握られていた。
「おかえり。まったく、お前がパパの傘持ってっちゃうから見ろ、パパこんなにびしょびしょだぞ。」
「えー? 可愛い傘でよかったじゃん。ていうか、パパの傘重かった。手疲れちゃった。」
「だからお前もこんなに濡れてんのか……」
苦笑いをしながらも、濡れた前髪をかき分ける手付きはとても優しい。
「これは帰ったらまず風呂だな……」
「えぇー! やだー! お腹すいた!」
そんなことを言いながら、二人は傘を開く。
男性は、シンプルなビニール傘を。女の子は可愛いメロンクリームソーダの傘を。
「あ! パパ、見て!」
「メロンクリームソーダだって!」
女の子がキラキラした顔で指差したのは、雨で片付け損ねていたウチのメニュー看板だった。
「へえー、美味しそうだな。」
「食べたい!」
身体冷やすだろ、なんて言いつつ歩き出そうとするお父さん。しかし最早女の子はさながら水浴びをして固く地面に根を張った草木のように、しっかりと脚を地面に突き立てたまま、看板を指さしつづける。
「食べたい!!!」
「こんなに濡れてたらお店に迷惑かかるだろ。今度また来よう。な?」
「じゃあお店の人に迷惑か聞いてみて!!!」
え、わたし?
いつの間にか、女の子の真ん丸の目はガラス窓越しにしっかりと私の姿を捉えていた。
「お姉さん!! お店入ってもいいですか!!!」
圧がすごい。
なんかもう、顔にメロンクリームソーダと書いてある。幻視が見える。
さて、もちろん迷惑なんてことはあるわけがない。
私は目一杯の歓迎の気持ちを込めて、両腕で大きく丸を描くのだった。
『雨に佇む』
【雨に佇む】
私は雨が好きだ
傘を差し雨の中を歩くのは楽しい
雨粒がリズミカルに傘を打つ
耳をくすぐる音楽は私を楽しませてくれる
目を閉じると昔の記憶がよみがえる
まだ小さかったころ、水の中から上を見上げると
たくさんの雨粒が水面に落ち、天上は無数の波紋でいっぱいになった
あの美しい光景は忘れないだろう
もう、あの頃には戻れない
しかし、昔の雨も、今の雨も、大好きだ
天上を見上げる
雨はまだ止みそうにない
雨に佇む
雨の音は好きだ。なんとなく、心が落ち着くから。
ザーザーと音を立てて降る雨も、土砂崩れなどを起こさないなら全然良い。
でも、今の私は人間関係や、受験という土砂降りの雨に打たれている。
現実で降っている雨は、屋根のあるところに行けば、打たれなくて済む。でもこの雨は雨宿りができない。
時間を無駄にしたと思うほど、雨の勢いは増して、心を濡らし、体の動きを重くする。
やまない雨はないなんていうけれど、いつ止むの?
一ヶ月?一年?十年?それとも死ぬまで?
そんなのキツすぎる。
でも、どんなにキツくても、自ら自分の命を断つ勇気もない。それに、まだ私の傘はあるから。
まだ、まだもう少し頑張れる。
絶対に、いつか雨を晴らすんだ———。
なんて思っていたのからはや一年。中学生から高校生になり、有難いことに受験も上手くいった。
でも、だからといって雨が止んだわけじゃない。
相変わらず、人間関係や勉強や将来などのいろんな悩みの雨の中に、私は佇んでいる。
少し背伸びして入った高校。周りは皆んな頭が良くて、高校生最初の夏で、挫折ばかりしている。
でも、少しだけ、目の前に光が差して、夢と言えるものができた。
あのとき、不登校で悩んでた時も、死にたくなった時も、私の傘になってくれた人達のように、私も誰かの傘になりたい。私の憧れの人達がしているように、大勢の人を笑顔にする出来ないけど、他の方法で、私は誰かの傘になる。
今はまだ頼りないボロボロの傘でも、私が大人といえるときになったら、絶対に、私があなた達の立派な傘になってみせるから。
季節の夏の中を跳ねる。
そして、いつもなら9月のやさしい雨に佇み、そっと秋にふわりと着地するはずだった。
だけど今年はきっと10月になってもまだまだ夏で、暑い日が続いてると思っていると、いきなりドスンと晩秋が落ちてくるかもしれない。
「雨に佇む」
「雨に佇む」
一輪の花があった。雪にも風にも茹だる日差しにも屈しない花が唯一首をたおるのは、雨の日だった。どうやら大切な人を亡くした時に雨が降っていたらしい。いつも花に水をくれる人だったけれど、雨の日、それも嵐の日に、花の様子を見に来た帰り道で事故に遭ったようだ。雨による視界不良で彼が見えなかったらしい。車と正面衝突した彼は一瞬で散った。花は雨が降る度に思う。この雨に打たれて一瞬で散ることができれば、私も彼の元へ行けるのに、と。しかし雨はいつも酷く優しく、花の花弁を揺らすのだ。
今日は、何もできなくてごめん
うまく励ませなくてごめん
重くてごめん
日記でも謝り続けて、自分が認めてなくても
でもそれを認めてくれて
ありがとうっていって?っていってくれる
意味わかんないじゃんw、でも
ありがとう
_ごめんね
2024/5/29 21:14:20
「あこがれのひと」
「雨音って、好きなの」
彼女はそう言って髪をかきあげた。
その言葉も、その仕草も、見るだけで蕩けてしまいそうで──
※
降水確率は二十パーセント。
朝も晴れていたし、まさか雨が降るなんて思わないだろう。
気象アプリで雨雲レーダーをチェックすると、やはり通り雨のようだ。
昇降口にひとり。
大粒の雨を降らせる雨雲を睨みつける。
「バス、一本見送るしかないか」
図書室へ向かおうとしたそのとき、視界の端に彼女を捉えた。
「……あ、」
声をかけようとしたが、出来ない。
彼女の隣に立つ男子生徒の距離が妙に近いからだ。
そのまま二人を見ていると、男子生徒は鞄から折り畳み傘を出し、彼女に差し出した。
そうだよね……
あんなに素敵な人、モテないわけがない。
それこそ男なんて選びたい放題では?
胸の奥に広がるこの不快感にも似たものを、認めたくなくて、彼女たちに背を向けた。
そのまま、速度を上げて廊下を進む。
ただの憧れではないのかもしれない。
友情ではないのかもしれない。
だけど、恋ではない──ないはずなのに。
私が、彼女に向けているこの気持ちは、何?
いつの間にか、立ち止まっていた。
渡り廊下の両脇は土砂降り。
────雨に佇む
#雨に佇む
最愛の人を無くした。
病気で少しづつ弱ってはいたが、まさか。
亡くなるなんて、
まだ、行きたい場所一緒に食べたかったもの。
まだまだあったよ?
でも、1番思っているのは君なんだろう。
今日は、寄りにもよってきみの嫌いな雨だ。
「ごめん、今日だけは雨に肩を借りるね」
そうすれば、出したくもない目からの水が分からないから。
「もう少しだけ、ここに居させて。」
雨になるとあいつが立っている。
学校帰り、児童玄関の前、あいつが立っている。
赤い魚。
むなびれで黒い傘を持って、脛まで分かれた足の
先はスニーカーを履いて。
ぼくを待っている。
みんながそいつの横を通り過ぎていく。
だけどぼくが歩き出すと後をついてくる。
なにをするでもないが、ついてくる。
こんなの完全に不審者ってやつだと思うから、
ほんとは人に話したり、助けを呼んだりしたい。
だけどしってる。
こいつはぼくにしか見えてない。
家まで着くと、敷地には入らずぴたりと止まる。
そしてぼくが家に入って行くのをじいっと見てる。
しばらくして見に行くと消えている。
夏の間だけ。雨が降ったら必ずというわけでもない。
僕は大人になった。
今日は雨。
窓の外、会社の前の道に目をやる。
「また来てるな…。」
「雨に佇む」