『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今朝起きて鏡を見たら頭部に猫の耳のようなものができてました。
触って確認しましたが感触はありませんでした。
人間用の耳はあります。
この場合、病院へ行くべきでしょうか?行くとしたら眼科と耳鼻科どっちがいいでしょうか?
知人にも相談できず困っております。
アドバイスよろしくお願いします。
(茨城県51歳女)
-お題『鏡』102
《鏡》
私は、本部の図書資料室で私が読むための本を借り、彼の執務室へ帰りの廊下を歩いているところ。
ここの廊下には、所々に横に長めの鏡が飾ってある。上層の人達が使う施設の物だけあって映りも綺麗だし、枠組みの装飾もシンプルながら品のあるよい物だと私でも一目で分かる。
身だしなみのためかな。と考えながら曲がり角に入ると、そのすぐ壁に掛けられた鏡に彼の横からの立ち姿が映っていた。
「今、若い娘と住居を共にしていると聞きましたがね。」
誰だろう。鏡面にも視界にも入らない所から、40代かそこらくらいの知らない男性の声がした。
方向から、彼と会話をしてるみたい。
私は、慌てて曲がり角の影に隠れる。なんか立ち聞きみたいで嫌だなぁ。でも、ここを通らないと執務室には戻れない。
仕方ないから、ここで様子を伺ってタイミングを見て出ていこう。
「ええ、知人を預かっているのですよ。」
その知人って、私のことだろうな。
私の監視の事情は、極一部の人にしか知らされていないらしい。面倒と混乱を同時に避けるために普段は知人と言ってると、前に彼から説明を受けたことがある。
闇の眷属にボロボロにされたこの帝都内で、この者はそいつらに関わる者かも、なんて広まったらそれだけでパニックになりかねない。冷静だし、彼や帝都を害する気持ちが全くない私からするとありがたい事この上ない話だよね。
「手に余るのではないのですか。若い身空で知人を預かり面倒を見るなど。そのような苦労をなされずとも。」
彼を思いやっている言葉だけど、口調はいかにも上から圧力を掛けるもので。
実際の立場は彼の方が上なのに。彼がその正義感から前皇帝に疎んじられていた名残が、まだ残ってるなんて。
気分が悪くなった私は曲がり角から少し顔を出し、鏡越しに彼を覗き見る。
そのスッと天へと伸びるような綺麗な姿勢と落ち着いた微笑みを湛えた横顔は、人柄の控えめさとは裏腹に確固たる誇りと清廉さに満ちていた。
「苦労、ですか。それなりにはありますが。」
鏡越しの彼の視線が、話し相手の方へ向く。
微笑みはそのままなのに、視線は相手を撃ち取らんばかりの鋭さだった。
「少なくとも毎日退屈はしなくなりましたね。」
堂々とした彼の声が、朗々と響く。
ああ、この人は強くなった。
かねてより続く前皇帝派からの弾圧も、国を導く重責も、ちゃんと彼の手に負えている。
その横顔を見て、私は心から安堵した。
と、同時に。
これは、何とも言えない感想。
時々…うん、時々彼に心配を掛けたりハラハラさせていた自覚はあるので、本当に何も言えない。
いらない刺激を与えてはいるな、と意気消沈する。
いつも申し訳ないです…と、私は鏡の中の彼に向かって心の中で手を合わせて謝った。
話は終わったのか、相手の人の軽い挨拶の声と共に、1人分の足音が遠ざかっていく。
鏡面の彼も、ホッとしたのか一度大きく胸を膨らませて息を吐いていた。
私は、そのままぼんやりしながらこっそりと鏡の彼を見ていた。
チカリ、と一瞬鏡が光を弾いた。
すると、立っていた彼の身体が鏡の方を向く。
そして、鏡の中の彼がまっすぐに私を見つめて、ふわりと柔らかく微笑んで手招きをした。
あ、立ち聞きしちゃったの気付かれてた。
そんな気まずい動揺と。
さっきまで鏡の中で見せていた男性に向けた鋭い視線と、今私に向いている暖かな視線とのギャップ。
そんな全く違う面を見て、心を射抜かれた動揺。
私は激しく心を揺さぶられながら曲がり角を出て、彼の手招きへ向かって歩を早めた。
鏡よ鏡
どうして私はこんなにブスなの?
ねぇ…なんで…?
答えてよ…
「鏡よ鏡、壁鏡~!」
高校の時、女性の先生がそう言った途端
教室に爆笑が起こった。
なんだよ~
壁鏡~?
そんなんではしゃぐ生徒たちを横目に
釈然としない様子の先生。
笑いを取りに行ったのではないようだ。
白雪姫に登場する女王様の超有名台詞だと思うが
しかし私もカベカガミ~は聞いたことがない。
魔法の鏡で意思もある相手を種類というか設置状況みたいな
呼び方をするなど、いかな気位の高い女王様でもしないのでは?
鏡の機嫌を損ねること請け合いである。
地域的なものだろうか。先生の育ったとこでは
そう教わった?まあ無くはないと思うが。
今日のテーマを見てふと思い出した。
担任ではなかったよな、うーん。
何の教科の先生だったか、てか顔すらよく覚えてないのだが
その女性先生の「壁鏡~!」は一生忘れられないだろう。
ホント、そも何の授業であれ言ったんだろう?
(鏡)
鏡
自意識が高い人は、よく鏡を見るのだと思う。
とある有名シンガーソングライター(女性)は、テレビの番組で母校を訪れた際、
校舎のピアノ室にあったアップライトピアノを懐かしそうに弾いていた。その時、ピアノに映る自分を見つけてささっと容姿チェックしてた!自分がどう見えてるか、気をつけているんだと思った。
だからいつもおしゃれで綺麗なのね!
でも、こうも思った。鏡で自分チェックしてるところを、人から見られないようにしなければと、ね!
『鏡』
永遠の若さと美しさを追い求めた結果、人を捨てて人ではないものに成った。夜の社交場にも以前と変わりなく出られると思っていたけれど、由々しき問題のためにそうはいかなくなった。
その問題とは鏡を覗いても自分の姿が映らないこと。自分の身ひとつでは身だしなみを整えることすらできなくなった私は、仕方なくしもべを増やして髪を整える係を命じてみた。鏡に映らない以上自分だけでは判別がつかないけれど、どうやら壊滅的な出来栄えだということは手触りだけでわかった。
まずは教育からだ。人よりも知能の劣るしもべたちにセンスが良いとはどういうことかをみっちりと教え込むこと十年ほど。同じ要領で化粧をする係、服を選ぶ係を育て上げるのにさらに十年ほど。夜の社交場での実践を経て、どこに出しても恥ずかしくないしもべを育て上げられるようになった。
この数十年の間に美しさへの探究よりも育て上げることの喜びに目覚めた私は美容学校を起ち上げ、しもべのみならず普通の人に対しても広く門戸を開いた。
あれから何年が経っただろうか。今年も新入生達の前に現れ、年齢不詳の学園長としてどよめいた場の挨拶を締めくくる。
「鏡に映る美しさはもちろん、鏡に映らない美しさまでもを表すのです」
「ハッピーバースデー葉瀬(ようせ)」
上を見上げると黒髪の少年がこちらを覗き込んでいる。
何、ハッピーバースデー?
「誕生日おめでとう、もう君✕✕歳だよね」
結構年取ったよねぇ?と笑いながら話しかけてくる。
「まぁ俺の中ではまだ10にもなってないけど。まだまだ赤ちゃんだねぇ」
目が笑ってない。よしよし、と頭を撫でられる。
何急に。
「君に誕生日プレゼントを渡そうと思って」
はいこれ、と顔の前に出されたのは片手に収まる程度の小さな箱。
「鏡だよ」
鏡?
「身だしなみとか大事でしょ?常に持ち歩いてチェックしなよ」
開ける前にネタバレするやつ居るかよ。
「それがここに居るんだよねぇ。実用性あるからいいでしょ?本当は鏡って題名、違う話書きたかったけど我慢して書いたんだから受け取ってね」
なんでそこまでしてくれたの。
「だって君、誕生日でしょ?」
なんて雑な理由なんだ、と考える。
「君には、俺に叶えられないことを叶えてほしいんだよ」
ぐいっ、と両頬を捕まれて顔を向かせられる。
「君は、俺の鏡なんだから」
「...ん」
目を覚ますと、いつもの天井。
(さっきのは夢......あれ?どんな夢見てたんだっけ)
体を起こすとカタン、と何かが落ちる。
「......?」
片手に収まる程度の小さな箱。その中には綺麗な青い装飾が施された鏡が入っていた。
お題 「鏡」
出演 葉瀬
鏡を見ると、いつも同じ自分の姿がある。
変わりたいのに、いつまで経っても変わることのできない自分。でも、自分の中の考え方は、昔とは少し違っている。成長している。だから、焦らずに、一歩一歩、目の前のことを乗り越えていけたら、それでいいと思う。
鏡の向こう側に行ったらどうなっているのか。
ふと考えたことがある。
しかし、鏡に映っているのは今の私の偽物。
その偽物が実はいないはずの双子のような人ならば
私は彼女に「入れ替わりたい」と誘ってみる。
彼女にとってこちら側の私は、鏡の向こう側だ。
だから、自分と同じ考えを持っているなら好都合。
文字や物が反転して見える世界は、
どこまで反転するのだろう。
人の恋心も逆ならば、私は向こう側の彼を探そう。
思いがけない世界を向こう側の私は楽しんでいるから
鏡の上に鏡の絵を描くという発想は、到底思いつかない。
確か『暗黒館の殺人』だったと思う。
詳細は伏せるのだが、山奥深くに住む館の住人たちは奇妙な秘密を抱いていて、特に館の主人は、毎日その鏡の上に描かれた鏡の絵を見るという。
当然絵なので、自身の姿は映らない。
そのことに主人はホッとするという。
そういった奇妙な行為をする。
絵は、たしか油彩だったか、水彩だったか忘れたのだが、まあ、やがて時が過ぎるごとに風化し、表面が剥げ、キラキラと鏡本来の性質が見えるようになる。
そのことに、館の主人は逆に恐れおののく、という場面がサラリと描かれる。
どうして?
という理由は、ネタバレになっちゃうので、書けないのですね。
『暗黒館の殺人』は、全4巻からなっていて、まあ1000ページは普通に超えるでしょうという長編ミステリ。
タイトル通り、『暗黒館』と呼ばれる真っ黒の洋館内で連続殺人が起こる。
いわゆるクローズドサークルというもので、この鏡の絵というもただの小道具かと思いきや、ちゃんとした機能を持つ、どんでん返しの一助を担う。
これだけでストーリーが浮かびそうなのに、こういったアイデアを多量に含ませて、あの長編ストーリーを描けるのは、やっぱり大御所だよね〜。
という感じに落ち着いてしまう。
【鏡】
どの家庭にも、"鏡"というものがあるはずだ。私は毎日"鏡"に写る自分を見るとこう思う。「今日も安定のブサイクだな」日々、私の精神は徐々に壊されていく。こんな毎日はとても辛い。"鏡"は綺麗だが時折残酷だ。
鏡を覗き込んで
リキッドファンデを重ねてゆく
見せたくないものをカバーして
美しく取り繕ってゆく
貴方の前でも この鏡の私のように
取り繕ったままでいられるかしら
お題:鏡
風呂に入ると目の前に鏡がある。シャンプーをしている自分の目を見つめる癖が昔から抜けない。
いつだって鏡に映る自分の目は、光が無くそのせいでどんな表情をしても心底つまらないという顔をしているものだから、いつからか私は表情を作るのをやめてしまった。
「今の目、怖かったよ〜」
「いや人殺しそうな目だね笑」
「すいません!」
家族の前では気を抜いてしまうため、よく目元が怖いとイジられる。好きで怖い目をしている訳ではないが、どうやら私は気を抜くと怖い目をしているらしい。
「〇〇は優しいよね〜」
「〇〇だけは真面目に授業聞いてくれるから、俺助かってるよ。」
「〇〇さん、今日の掃除当番変わって!」
周りは私が気を張っている時の目を怖いとは言わない。けれど、私の目はどうやら誰にでも優しくそして使いやすい目らしい。
本当の自分は家族の前での方だと分かっている。だって、気を抜いて怖い目だと言われても怒りは湧かないから。
でも、家族に怖いと言われるのは怖い。
だって、そうしたら学校の人達のように気を張らなくてはいけなくなる。
「本当の私って何?」
鏡に映る自分にそう問いても、返事は返ってこない。
なぜなら、鏡は私だから。
私は誰かの鏡。
お終い
解説
皆は互いに鏡を目に持っている。
そのため、映ったものは嘘ではないし本物だが時には都合のいいものばかり映す嘘の鏡もある。
私も、皆を都合よく映しているだけかもしれないよという本心と映るものは違うというお話。
鏡を見ると、昔から可愛い可愛い言われてきた顔がうつる。
そのせいかな、アイドルに憧れちゃったのは。叶うことのない、私の大切な遠い遠い夢。
鏡よ鏡、なんて問いかけてもそこにはただ自分が写っているだけ。
『鏡』
真実を写す鏡。そんな言葉を耳にしたことがある。
この街に暮らす多くの住人が、幼い頃から立ち入っては行けないと教わってきた森の奥深く。草木を掻き分けて進むと、ボロボロで灰にまみれた小さな小屋があり、扉を開けた先にその鏡があるのだとか。
僕は親のことをあまりよく覚えていないけれど、どうしてかその森に立ち入ろうとして、何時間も何時間も説教された記憶がある。噂によると、森に入った者は二度と帰ってこれないのだとか。
僕の家は母子家庭だった。僕たちは小さな一軒家で暮らしていた。しかし、ある日の夜中、僕たちの家に強盗が入ってきて、母が刺されて亡くなってしまった。僕は刺されはしなかったものの、殴られた跡や切り傷が多数見つかったことから、犯人に酷い暴行を受けたとされた。6年が経った今でも犯人は逃走中で、手がかりも少ないらしい。
当時の僕は9歳とまだ幼かったこともあり、暴行や親の死による精神的ショックで記憶を失ってしまったらしく、これらはあくまでも警察から聞いた話だ。
僕はあの日から毎日のように、悪夢を見続けている。黒く塗られて顔が見えないどこかの誰かに、何度も何度も殴られて罵倒される夢だ。精神科の先生曰く、記憶を失っているといえど、恐怖が体に染み付いてる可能性が高いのだとか。
僕は僕たちを襲った犯人が憎くて仕方がない。母のことは覚えていないから、母が亡くなってしまったことが悲しいかと問われると正直分からないけれど、僕は一時期、悪夢のせいで寝れない日々を過ごし、ご飯が喉を通らなくなり、家の外に出ることさえも出来なくなってしまった。体は痩せ細り、学校にも通えず、もう死んでしまいたいと何度も思った。何故僕がこんな目に合わなければいけないのだと何度も思った。
だから僕は決意した。真実を写す鏡を見つけることを。
決めてから行動に移すのは一瞬のことだった。僕は今、祖父母の支援を受けながら一人暮らしをしているということもあり、行ってはいけないと、行かないでくれと止めてくる人がいなかったから。
夜。僕は念の為、スマートフォンと財布、懐中電灯を持って、その森に足を踏み入れた。
そよそよと風の音が耳をくすぐってくるくらいで、森は酷く静かだった。一時間ほど歩いた頃、僕の目線の先には、灰被ったボロボロの小屋があった。僕は思わず駆け出して、その扉に手をかけた。
「見つけた」
扉を開けた先には、噂通り一つの鏡が置いてあった。僕は一人歓喜の声を上げて、その鏡の前に立った。
噂によれば方法は簡単で、鏡を人間だと思って、知りたいことを尋ねるだけなのだとか。僕は深呼吸をして、声を出した。
「鏡よ鏡。あの日、僕たちを襲った犯人は誰ですか?」
僕が問いかけた瞬間、鏡は白い光を放ち、僕は思わず目を瞑った。目を瞑っている間、やっと犯人を知ることが出来る喜びの気持ちが溢れるのと同時に、何故か犯人を知ることが怖いと感じていて、息が苦しかった。
もう一度、大きく深呼吸をして、そして目を開けた時、鏡に写っていたのは──僕の姿だった。
歪んでみえる、目の前のものすべて。鏡の中の自分でさえも。みんな、都合のいいように変えてしまっているから。
詩(お題)
『鏡』
鏡よ 鏡よ 鏡さん
世界でいちばんは 私よね?
鏡よ 鏡よ 鏡さん
弱気で不細工は 加工よね?
鏡よ 鏡よ 鏡さん
死ぬ気で持ち上げて 褒めたげて!
鏡よ 鏡よ 鏡さん
割れてもいちばんは 私よね?
誰もが魔女を 心に住ませ
自虐の毒りんご かじってる
魔女のせいにして 平穏気取る
そんな世界を 終わらせたいの!
私は宇田川美奈、都内の大手メーカー勤務の24歳
私には一卵性の双子の姉麗奈がいる
一卵性の双子はよく「合わせ鏡」のようだと言われるけれど、私達の場合も全くその通り
顔が見分けがつかない程そっくりなのはもちろんだけれど、思考や行動も申し合わせたようにピッタリとシンクロする
幼い頃は父親でさえ見分けがつかないこともあったらしいし、中学の時には入れ替わって授業を受けたこともあった
クラスの仲の良い子は気が付いてクスクス笑っていたけれど、声も殆ど同じだったからそれぞれの担任の先生は全く気が付かなかった
スリル満点の愉快な思い出だ
双子全般が同じかどうかは知らないけれど、時には気持ちが悪いほど私達は本当にシンクロする
呼び止められて振り返る時も、同じタイミングで同じ様な仕草
危ない時や咄嗟の行動も全く同じ
「鏡に映ってるみたい!」
と友達は良く大笑いした
別の部屋で同じ質問に答えても同じ答えになるし、
「麗奈はきっとこう答えるから逆にしよう!」
と答えを出すと、麗奈も同じ事を考えて、結局同じ答えになってしまうのだ
高校の時に麗奈が部活中に怪我をしたことがあった
私は別の場所で別の事をしていたのだけれど、突然左の足首がひどく痛んだ
実はその時麗奈は左の足首を捻挫したのだ
でも、そういう事はむしろ常で、そういうものだと思って生きてきていた
ところがお互い大人になるにつれ、鏡のようにシンクロし合う存在であることをお互いに疎ましく感じるようになった
それは私達が大学3年の時のことだ
二人ほぼ同時に好きな人が出来た
そして、ほぼ同じ時期にお付き合いをはじめた
そんなに分身のような仲でも、仲だからこそなのか好きなタイプについて話をしたことは無かったが、何となく想像はついた
きっと好きなタイプも似ているのだろう…と
ある日ダブルデートをすることになり、お互いの彼が登場すると、何と相手も双子同士だったのだ
そのことを麗奈は面白がったが、私は嫌だった
理由は分からないがすごく嫌だった
そこまではっきりと意見が分かれたことはその時が初めてだった
それ以降、私が麗奈を避けるようになり、私は自宅を出た
そして、麗奈とシンクロさせる心に蓋をした
それから数年が過ぎ、昨年麗奈は結婚した
相手は双子ではなかった
そしてまったく私のタイプでも無かった
あの時何故あれほどまでに麗奈を疎ましく思ってしまったのかは今でも分からない
でも、どれだけ疎ましく思おうとどれだけ離れていようと、所詮私達は合わせ鑑
結局は無意識にシンクロしてしまうのだ
でも、麗奈は家庭人になり、私は仕事人としてキャリアを積もうとしている
お互い別々の道を歩き始めている
二人を映し出す鏡の向きも、映し出す景色も少しずつ変化しているのかも知れない
「鏡も多様性の時代なのかもね…」
とちょっと可笑しくなった
『鏡』