『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鏡(2023.8.18)
鏡に映った自分の顔を見てみる。
毎日見ている顔だけど、本当は見たことがない顔。
なんとなく見慣れない顔。
周りのきらきらした人たちと比べたら、不細工だな、なんて思うこともたくさんあるけど、夜中に見たりすると「おっ、なんかいい面構えじゃん」なんて思ったりもする。
それと同じように、よく言われることかもしれないけれど、周りの人の態度は自分を映す鏡だ。自分の顔以上に、自分の態度なんてなかなか顧みるのが難しい。だから、「なんかいい感じ」の人は、大切にしていこう。与えられたものを、自分も同じだけ返す。他人の優しさを、鏡のように返せるようになれば、きっと今日も「なんかいい感じ」の自分でいられるはず。
鏡を見る
少しも磨かれたことのない曇った鏡
鏡の向こうにシケたツラが見える
腹立たしさ情けなさ苦しさ
様々な負の感情が綯い交ぜになって押し寄せてくる
耐えきれなくなって感情を鏡をぶつける
叩き割られた鏡の破片が床に散らばる
肩で息をしながら下を見る
散らばった無数の破片に無数のシケたツラが映る
「増えただけじゃねーか」
腹立たしかったのがだんだん笑えてきた
ポタリと血が垂れる
まだ生きてやる
そう誓った
―――誓い
#46【鏡】
私が微笑むと 貴方も微笑む。
私が貴方を疑うと 貴方も私を疑う。
私が見つめると 貴方も見つめ返す。
貴方を「愛している」と私が願うと 私を「愛している」と貴方から伝えられる。
――― そして貴方の言葉で 簡単に私は壊れる。
『鏡』
鏡
自分にとって鏡は良くも悪くも不思議なものだと思う。
鏡は自分の邪気を祓ってくれる神秘なものとも言うし、運気を上げてくれるのだそう。あとは身支度するときに鏡は必須だ。鏡はオシャレを気遣ってくれる大切なものだ。
でもそれとは反対で良くないこともある。例えば、鏡と鏡をくっつけて起こる合わせ鏡は幽霊など死んだ人が通る霊界に繋がるのだそう。それから、ふと顔を見上げたとき、鏡に人ならざる者が後ろに佇んでこっちをみていた、という怖い話もよく耳にする。
私はオカルト系を信じる方なのでそれを想像してしまうと鏡が恐ろしく感じてしまう。例え、それをあなた達が笑って信じないとしても構わない。
ただ、それが私の妄想なのだとしても。私にとって鏡は好きとも嫌いともいえない不思議なものに違いないのだから。
鏡
翡翠を嵌めた瞳。月光を閉じ込めた髪。陶器さながらの滑らかな肌。硝子細工に似た指。
父様の最愛をそっくり写したそれは今や、無惨にも罅割れ、光のない虚ろな顔で私を見つめている。
「可哀想」
割れた肌に指を這わせた私の呟きは誰にも拾われない。
あなたが。あなたが悪いのよ。あなたが私の父様を奪ったのだから。
最後に聞いたのは、憎しみに満ちた声だった。
可哀想な私の姉。最初に父様に愛された子。貴女を想って創られた私を妬み、狂って死んだ憐れな娘。
けれど、その死を他人は知らない。彼女を一番に愛した父様ですら。
「人形に成り代わられた気分は如何?」
割れた鏡の奥。映った私は微笑っていた。
【鏡】
顔を上げると、あなたに相応しい私と目が合う。
やっぱりメイクって偉大。それに、とっても素敵。
あなたに会う日だけは、誰が見てもきれいな私でいたい。
この気持ち、なにか間違っているのかな。
男の人はよく、無責任な言葉を口にする。
メイクしないほうが良いとか、素顔も絶対に可愛いとか。
口では感謝を述べるけど、心では余計なお世話だと思う。
メイクをするのは私のためで、有象無象のためではない。
あなたはそんな甘い言葉を一度も吐かなかった。
上手だね、よく似合ってるって褒めてくれる。
きっと偽らなくても貶すことはしないだろうけど。
自信を持ってあなたの隣に立つには、魔法が必要なの。
初対面の大学生の時、私は既に素顔を晒していなかった。
だから、あなたは本当の顔を知らない。
キャンバスのように彩られた私しか知らない。
緊張するけど、次の泊まりの日に私は仮面を脱ぐ。
同棲しないか、と何度もされた提案を断ってきた。
空を飛べそうなぐらい嬉しいけど、怖かったから。
だって、あなたはまだ素顔の私を知らないのに。
失望されたら。嫌われたら。想像だけで不安になる。
男の人はたいてい、顔を一番重視するでしょう。
少なくとも、今まで親しくなった人はみんなそうだった。
メイクを知る前の私は、自分ですら好きでなかった。
あなたの入浴している今、あの頃の私に戻る。
メイクは私の戦闘服だから、ないと弱気になってしまう。
お風呂上がりのあなたがキッチンに来て、目が合う。
表情の変化を見たくなくて俯くと、ため息が聞こえた。
「なんだ」安堵だった。「少しは信用してもらえた?」
惨状
知りもしない何かを
少年は睨んでいた
惨状
見えもしない何かを
少年は憎んでいた
惨状
それが敵であると
少年は知っていた
ずっと
少年は鏡を睨んでいた
鏡
/鏡/
僕は鏡に映らない。
水溜まりとか写真とかには映るけど、鏡だけ。よく分からないけれどそういうものらしい。
周りの人達は当たり前のように僕を受け入れていて、身支度の時大変だね、とたまに同情されるくらいで至って普通に暮らせている。
そんな周囲をありがたく思いながらも、同時に僕は軽蔑していた。そして直ぐに自己嫌悪に陥る、いつものパターンだ。
僕以外の全てが映る鏡。
異端を受け入れてくれる周囲。
優しい世界の筈なのに全てをめちゃくちゃにしたかった。誰に何を言っても変えられない日々から逃げたくて、鏡に向かって手を伸ばす。当然のように、鏡に映ることも、まして鏡の中に入ることも出来やしなかった。
手が鏡に触れた時にたてた小さな音だけを、手繰り寄せるしかなかった。
家の最寄り駅から程近くにある居酒屋。
そこのトイレは一人用の個室トイレだが、なぜだろう
側面に頭から足先まで映る無駄に大きな鏡がある。
別に自分の用を足す姿など見たくもないのに、つい見てしまう。
顔を赤くして目をどろんとさせて情けない格好をした…
意図は知りませんがアレ、撤去してもらえませんかね?
アリス!
はっと体を起こした。
膝から小説が滑り落ちた。
私はソファで小説を読みながら
眠ってしまったらしい。
アリス 早く、夕食の支度をして頂戴
全くこの子は…
ぶつぶつと小言が続くのを遮るように、
私はエプロンを付けた。
私はアリス。この家の娘だ。
疎まれている方の。
野菜を際限なく刻みながら、手に目をやる。カサカサとして艶のない肌。
姉のロリーナ、妹のエディスは
こんな家事はしたことがない。
しなくて良い。私だけ…。
…ッ。一瞬手を切ったと思った。
爪を刃がを掠っただけだ。
ただそれだけなのに。涙が意図せず流れた。
何?怪我したの?
手当を
そんな声を背中に受けながら、
台所を飛び出した。広い屋敷を走り抜け、
ある部屋に入る。扉が静かに閉まった。
顔を上げてぎょっとした。
亡霊のような女の顔が私を見ていた。
暖炉の上のマントルピースの鏡だ。
私こんな酷い顔をしているの…。
…アリス。アーリス。
私を呼ぶ優しい声。
アリース。こちらへおいで。
私は鏡へ手を伸ばした。
いつもの自分じゃないみたい。
涙で顔に張り付いた髪がぱりぱりになってる。
ねぇ、どうして泣いてるの。
そんな怯えた顔でこっちを見つめないで。
私は私を見捨てたりしないから大丈夫だよ。
鏡に映った私を慰めるのも励ますのも全て自分。
でも、涙を拭って頭を撫でることはできない。
鏡の向こうの自分には触れられない。
疲れた目をしてこっちを見つめてくる私。
どうしたら触れられるのかな。
傷みも孤独も分かってるつもりだけど。
どうしたってその肩を抱いてあげられることはできない。
『鏡』
貴方の愛さえ得られれば、姿も見えない誰かからの承認なんていらなかったのに。
___鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだあれ?
鏡は、私が映したいものを映す。
ただ世界が反転しているわけじゃない。
鏡の中には、私が映したい私が存在する。
-鏡-
鏡を見るのは嫌いだ
ニキビやそばかすが増えるたびに必死で薬を塗った
一重で野暮ったい瞳は、百均のアイプチで無理やり大きくした
くびれのない横腹を見て、何度もため息をついた
美容にいい食事や体操を必死でやって、鏡を見るたびに、何も変わらない現実を突きつけられた
「若いうちは化粧なんてしなくてもかわいいのに」
大人は化粧した綺麗な顔で平然と言う
その綺麗さを私は喉から手が出るほど欲してるのに、当の本人は「若いっていいわね」なんて言う
愛想笑いの下で、水でもかけてその化粧を剥いでやろうかと何度も思った
鏡を見るたびに私は私が嫌いになる
有経らと別れた巴は、その足で昇降機に乗った。
弐を押すと、扉が閉まる。
昇降機に備え付けられた等身大の鏡に向き、特に崩れていない襟や前髪の向きを整えてみる。
あれほど悩んでいたのが嘘みたいだ。巴は高揚していた。主である有経の紹介を断り、目星をつけている相手がいる旨を打ち明けたことで後に引けなくなった。こうなったら一刻も早く目当ての相手に交渉しなければならない。
昇降機は珍しくどこの階にも寄り道しなかった。百名近くが生活する寮の昇降機で、八階から一度も止まらず進むのは珍しい。
二階に来るのは久しぶりだった。先程までいた八階に比べると質素で雑然としている。花瓶に生けた花や絵画、洒落た調度品なんてものはない。広間に備え付けられた机や椅子も質素だ。今、上で寝泊まりしている人たちだって、皆嘗てはここで生活していたのだ。あの有経だって例外ではない。
広間には三人いた。突然やって来た巴に、それまで楽しそうに談笑していた三人は、慌てて立ち上がり、挨拶する。
「静さんはどこの部屋にいますか」
そのキビキビした動きにたじろぎそうになるのを抑え、巴は目的の人物の名前を告げてどこにいるのか尋ねる。三人は顔を見合わせ、そのうちの一人が代表して現在寝泊まりしている部屋の場所を伝える。
「こちらにお連れ致しましょうか?」
「いいえ、直接伺います。教えていただきありがとうございました」
「いえ……」
丁寧に頭まで下げた巴に三人が戸惑っていることなどつゆ知らず、巴は件の部屋の前に行く。扉の前の名前札は、表向き、つまり外出していない。大抵は部屋の中にいるはずだ。万一、部屋にいなくとも、寮内のどこかにいる。巴は深呼吸し、扉を叩いた。
現実は貴方を映し出す『鏡』
だから
現実を変えたければ、今に不満があるなら、貴方を変えるしかない
貴方が普段発している言葉、考え方や毎日の行動
それらを変えていく
周りの人を変えようとしない、
貴方を変えることだけにフォーカスする
そうしているうちに自然と貴方の周りも変わっていく
鏡に映る自分が変われば現実も変わる
今の不満も自分が作り出していたことに気がつくよ
ふと顔を上げると、目が合った。そいつは何の気力もない顔で呟いた。
タスケテ。
自分では発したつもりもないのに、鏡から聞こえたその声は、確かに鼓膜を震わせた。瞬時にはその言葉を認識できず、ただ動いたその唇を凝視してしまう。
‥え。
「なんで」
認識はしたものの、どうしても理解できなかった。
なんで、そんな顔なのに、そんなこと言えるんだよ。そんな気力が残ってるはず、ないのに。なんで。
わからない。
見つめ合ったまま、睨みつける。
最低。お前は、最低だ。
鏡の中の自分が、微かに笑った。困ったように、眉尻を下げる。
そんな顔をするなよ。腹が立つなんてもんじゃない。情けなくなるんだ。だから、そんな顔するなよ、
「絶対、見捨てないから、もう」
自分の呟きがまた鼓膜を震わせる。真っ当に、自分の脳に認識されることがわかっているから、だから驚かない。もう何も意外じゃない。
決めたんだ。
睨みつけて、最低だと踏みつけて、それでもお前だけは見捨ててやらない。
覚悟しとけ。絶対、死んでやるか。
だから死ぬなよ。お前は、そこで見てろ。
馬鹿野郎。
ーー鏡よ、鏡。何時もあんずは、受け身だね。
苦しくないですか??何か、言っていいヨ(*^^*)
私も、鏡のあんずと同じで、口ベタだヨ^_^
こないだ、好きな人に、『あんずちゃんといるいると苦痛』と言われたネ。』
私は、悲しくた悔しいくても、何も言えなかった。只、俯いた。でも、身体は、悲鳴を上げた。
嘔吐しそうになった。このままだと吐くと思いヤバイ、!と思って私は、やっと口開いていた。
『私の苦痛ですか??』と、だけ言った。私の精一杯だったの。🙏ごめんなさいm(_ _;)m
君は、黙って俯き頭を振った。ズルいなな〜。君は、陰では、そンな風に想っていたなんて……。
手術をして、左眼の型が歪になって、くっきりと、残るメスの跡がちょっとずつましになっている。
左眼だけが扇風機の風で、涙がマリアさまのように起用に出ている。
(私は、不器用だヨ^_^)
目医者さんの石は、『目を瞑って』と、言われた。
『あんずちゃん、左眼は、完全には、瞼は、閉じてないから涙が出るんだヨ^_^』と、言われた。
頑張って自分のことを好きになろうとプリクラもいっぱい撮った。私に、とってのリ、スタートのつもりだった。
私に、とっての儀式なの。
否定されてめちゃくちゃ、悔しいかったし、悲しかった。
君は、何処をとってもパーフェクトだヨ^_^素敵だから、私は、君のことが好きになりました。😢
でも、あんずは、自分自身のことを理解っています。だから、君のとなりでおしゃべりしたり、アニメの話しをしたり、君のスマホの画像を隣でみせてもらうだけで、ーー近くになった距離が嬉しかったの。君は、私のことが苦痛ですか?私は、君の隣でユメを見ていました。
鏡よ、鏡、悔しかったんだヨ、私。
眉毛を描いて、ピューラーして、大好きな青を瞼にのせて、街へお出かけを友達としょうかな〜♫
鏡よ、鏡。
たとえ、左瞼が完全に、閉じてなくても、また、自分に自身が持てますように。
また、お世話になったイケメンの看護師さんに、会えたら元気がもらえるかも。(*^^*)♫その時は、明るくみたいに、
『あんずちゃ〜ん♫』と、音符を付いた声で読んで下さると、私は。嬉しいです(*^^*)♫
新しい風が私に吹きますように……。
鏡
お土産屋さんに並んだ、ちりめん細工の鏡。
桜に紅葉、兎に猫。赤や桃色、黄色や青。
たくさんの模様に、数多の色。
同じものなんてない鏡を、手に取っては戻す。
彼女は、どれが好きだろう?
#023 『偽る鏡』
遠い国への出立を間近に控えたある夜、人払いをした寝所に忍んできた者があった。
驚きはしなかった。久しいことではあるが、彼女が城に暮らしていた頃にはよくあったことだから。
「帰りの馬車からこっそりと降りて、そこの茂みに隠れておりました。あぁ、疲れた」
「まあ。それでは、お腹も空いたでしょう」
瓶入りの砂糖菓子を取り出して渡すと、侵入者は行儀悪く口笛を吹いた。直後に口元を抑え、周囲を見回す。誰も聞きつけた者はいないようだ。確信してから、二人は顔を見合わせて笑った。
ひとつ年下の異母妹は、幼い頃から外見こそ瓜二つと言われて育ったが性格は真反対と言ってよかった。臆病で弱気な姫君と快活で奔放な元侍女。
「姫様」
不意に真顔に戻ると、彼女は正面に膝をついた。
「月のない夜です。茂み伝いに通用門へ向かい、角を折れたところに馬車を待たせてあります」
正面、やや下方から見つめる真摯な相貌は、まるで鏡に写った自分自身のよう━━有無を言わせぬ、その意志の強さを除けば。
「御者は我が家の子飼い、車室には従兄がおります。先日、あの衣装箱に動きやすい服を隠しておきました。さ」
話を聞く間に涙が込み上げた。意図は改めて聞くまでもない。
「遠い国よ。渡ったら二度と帰ってこられない。共通の言葉もない。それに、八番目の妻と聞いたわ」
「構いません」
「お父様よりお年を召した、大変に怖い王様だと」
「なんの。姫様ならともかく、このわたしが負けるものですか」
鏡から伸びたような腕に抱き止められる。聞き及んだ数々の噂話をいくつぶつけても、この鏡が割れてしまうことはない。
「その代わり、毎日のお茶の時間と砂糖菓子はなしですよ。それから、我が家にも多少の刺繍糸はありますが、触るなら必ず絡めて床に放り出しておくこと」
冷静な声が指南する。
「それと、武術などどうせ男には敵わないのだから、不貞腐れてやめておしまいなさい。わたしは彼方の国で甘いお菓子や果物をたっぷりいただいて、うんと下手になった刺繍と縫い物で時間をつぶします」
まともな返事をすることもできず、繰り返しうなずくだけが精一杯だった。
手伝いを断り、不慣れな手つきで身軽な衣装に着替える。髪を下ろして緩く結い直し、手早く雑に巻き上げる方法を教えてもらう。
「わたしの母、従兄、身近な使用人だけがこのことを知っております」
絹織の夜着に繊細な飾り紐を結び、入れ替わった偽姫は強い意志をたたえた瞳で異母姉を見つめた。
「お見送りはいたしません。どうぞお元気で」
無言で見つめ合い、うなずき、無言のままに目を伏せて別れの印とする。
足音を立てぬよう踏み出した通路は暗く、しかし広く長く遠くへとつながっていた。
お題/鏡
2023.08.19/こどー
久しぶりの執筆⭐︎