『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
/鏡/
僕は鏡に映らない。
水溜まりとか写真とかには映るけど、鏡だけ。よく分からないけれどそういうものらしい。
周りの人達は当たり前のように僕を受け入れていて、身支度の時大変だね、とたまに同情されるくらいで至って普通に暮らせている。
そんな周囲をありがたく思いながらも、同時に僕は軽蔑していた。そして直ぐに自己嫌悪に陥る、いつものパターンだ。
僕以外の全てが映る鏡。
異端を受け入れてくれる周囲。
優しい世界の筈なのに全てをめちゃくちゃにしたかった。誰に何を言っても変えられない日々から逃げたくて、鏡に向かって手を伸ばす。当然のように、鏡に映ることも、まして鏡の中に入ることも出来やしなかった。
手が鏡に触れた時にたてた小さな音だけを、手繰り寄せるしかなかった。
家の最寄り駅から程近くにある居酒屋。
そこのトイレは一人用の個室トイレだが、なぜだろう
側面に頭から足先まで映る無駄に大きな鏡がある。
別に自分の用を足す姿など見たくもないのに、つい見てしまう。
顔を赤くして目をどろんとさせて情けない格好をした…
意図は知りませんがアレ、撤去してもらえませんかね?
アリス!
はっと体を起こした。
膝から小説が滑り落ちた。
私はソファで小説を読みながら
眠ってしまったらしい。
アリス 早く、夕食の支度をして頂戴
全くこの子は…
ぶつぶつと小言が続くのを遮るように、
私はエプロンを付けた。
私はアリス。この家の娘だ。
疎まれている方の。
野菜を際限なく刻みながら、手に目をやる。カサカサとして艶のない肌。
姉のロリーナ、妹のエディスは
こんな家事はしたことがない。
しなくて良い。私だけ…。
…ッ。一瞬手を切ったと思った。
爪を刃がを掠っただけだ。
ただそれだけなのに。涙が意図せず流れた。
何?怪我したの?
手当を
そんな声を背中に受けながら、
台所を飛び出した。広い屋敷を走り抜け、
ある部屋に入る。扉が静かに閉まった。
顔を上げてぎょっとした。
亡霊のような女の顔が私を見ていた。
暖炉の上のマントルピースの鏡だ。
私こんな酷い顔をしているの…。
…アリス。アーリス。
私を呼ぶ優しい声。
アリース。こちらへおいで。
私は鏡へ手を伸ばした。
いつもの自分じゃないみたい。
涙で顔に張り付いた髪がぱりぱりになってる。
ねぇ、どうして泣いてるの。
そんな怯えた顔でこっちを見つめないで。
私は私を見捨てたりしないから大丈夫だよ。
鏡に映った私を慰めるのも励ますのも全て自分。
でも、涙を拭って頭を撫でることはできない。
鏡の向こうの自分には触れられない。
疲れた目をしてこっちを見つめてくる私。
どうしたら触れられるのかな。
傷みも孤独も分かってるつもりだけど。
どうしたってその肩を抱いてあげられることはできない。
『鏡』
貴方の愛さえ得られれば、姿も見えない誰かからの承認なんていらなかったのに。
___鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだあれ?
鏡は、私が映したいものを映す。
ただ世界が反転しているわけじゃない。
鏡の中には、私が映したい私が存在する。
-鏡-
鏡を見るのは嫌いだ
ニキビやそばかすが増えるたびに必死で薬を塗った
一重で野暮ったい瞳は、百均のアイプチで無理やり大きくした
くびれのない横腹を見て、何度もため息をついた
美容にいい食事や体操を必死でやって、鏡を見るたびに、何も変わらない現実を突きつけられた
「若いうちは化粧なんてしなくてもかわいいのに」
大人は化粧した綺麗な顔で平然と言う
その綺麗さを私は喉から手が出るほど欲してるのに、当の本人は「若いっていいわね」なんて言う
愛想笑いの下で、水でもかけてその化粧を剥いでやろうかと何度も思った
鏡を見るたびに私は私が嫌いになる
有経らと別れた巴は、その足で昇降機に乗った。
弐を押すと、扉が閉まる。
昇降機に備え付けられた等身大の鏡に向き、特に崩れていない襟や前髪の向きを整えてみる。
あれほど悩んでいたのが嘘みたいだ。巴は高揚していた。主である有経の紹介を断り、目星をつけている相手がいる旨を打ち明けたことで後に引けなくなった。こうなったら一刻も早く目当ての相手に交渉しなければならない。
昇降機は珍しくどこの階にも寄り道しなかった。百名近くが生活する寮の昇降機で、八階から一度も止まらず進むのは珍しい。
二階に来るのは久しぶりだった。先程までいた八階に比べると質素で雑然としている。花瓶に生けた花や絵画、洒落た調度品なんてものはない。広間に備え付けられた机や椅子も質素だ。今、上で寝泊まりしている人たちだって、皆嘗てはここで生活していたのだ。あの有経だって例外ではない。
広間には三人いた。突然やって来た巴に、それまで楽しそうに談笑していた三人は、慌てて立ち上がり、挨拶する。
「静さんはどこの部屋にいますか」
そのキビキビした動きにたじろぎそうになるのを抑え、巴は目的の人物の名前を告げてどこにいるのか尋ねる。三人は顔を見合わせ、そのうちの一人が代表して現在寝泊まりしている部屋の場所を伝える。
「こちらにお連れ致しましょうか?」
「いいえ、直接伺います。教えていただきありがとうございました」
「いえ……」
丁寧に頭まで下げた巴に三人が戸惑っていることなどつゆ知らず、巴は件の部屋の前に行く。扉の前の名前札は、表向き、つまり外出していない。大抵は部屋の中にいるはずだ。万一、部屋にいなくとも、寮内のどこかにいる。巴は深呼吸し、扉を叩いた。
現実は貴方を映し出す『鏡』
だから
現実を変えたければ、今に不満があるなら、貴方を変えるしかない
貴方が普段発している言葉、考え方や毎日の行動
それらを変えていく
周りの人を変えようとしない、
貴方を変えることだけにフォーカスする
そうしているうちに自然と貴方の周りも変わっていく
鏡に映る自分が変われば現実も変わる
今の不満も自分が作り出していたことに気がつくよ
ふと顔を上げると、目が合った。そいつは何の気力もない顔で呟いた。
タスケテ。
自分では発したつもりもないのに、鏡から聞こえたその声は、確かに鼓膜を震わせた。瞬時にはその言葉を認識できず、ただ動いたその唇を凝視してしまう。
‥え。
「なんで」
認識はしたものの、どうしても理解できなかった。
なんで、そんな顔なのに、そんなこと言えるんだよ。そんな気力が残ってるはず、ないのに。なんで。
わからない。
見つめ合ったまま、睨みつける。
最低。お前は、最低だ。
鏡の中の自分が、微かに笑った。困ったように、眉尻を下げる。
そんな顔をするなよ。腹が立つなんてもんじゃない。情けなくなるんだ。だから、そんな顔するなよ、
「絶対、見捨てないから、もう」
自分の呟きがまた鼓膜を震わせる。真っ当に、自分の脳に認識されることがわかっているから、だから驚かない。もう何も意外じゃない。
決めたんだ。
睨みつけて、最低だと踏みつけて、それでもお前だけは見捨ててやらない。
覚悟しとけ。絶対、死んでやるか。
だから死ぬなよ。お前は、そこで見てろ。
馬鹿野郎。
ーー鏡よ、鏡。何時もあんずは、受け身だね。
苦しくないですか??何か、言っていいヨ(*^^*)
私も、鏡のあんずと同じで、口ベタだヨ^_^
こないだ、好きな人に、『あんずちゃんといるいると苦痛』と言われたネ。』
私は、悲しくた悔しいくても、何も言えなかった。只、俯いた。でも、身体は、悲鳴を上げた。
嘔吐しそうになった。このままだと吐くと思いヤバイ、!と思って私は、やっと口開いていた。
『私の苦痛ですか??』と、だけ言った。私の精一杯だったの。🙏ごめんなさいm(_ _;)m
君は、黙って俯き頭を振った。ズルいなな〜。君は、陰では、そンな風に想っていたなんて……。
手術をして、左眼の型が歪になって、くっきりと、残るメスの跡がちょっとずつましになっている。
左眼だけが扇風機の風で、涙がマリアさまのように起用に出ている。
(私は、不器用だヨ^_^)
目医者さんの石は、『目を瞑って』と、言われた。
『あんずちゃん、左眼は、完全には、瞼は、閉じてないから涙が出るんだヨ^_^』と、言われた。
頑張って自分のことを好きになろうとプリクラもいっぱい撮った。私に、とってのリ、スタートのつもりだった。
私に、とっての儀式なの。
否定されてめちゃくちゃ、悔しいかったし、悲しかった。
君は、何処をとってもパーフェクトだヨ^_^素敵だから、私は、君のことが好きになりました。😢
でも、あんずは、自分自身のことを理解っています。だから、君のとなりでおしゃべりしたり、アニメの話しをしたり、君のスマホの画像を隣でみせてもらうだけで、ーー近くになった距離が嬉しかったの。君は、私のことが苦痛ですか?私は、君の隣でユメを見ていました。
鏡よ、鏡、悔しかったんだヨ、私。
眉毛を描いて、ピューラーして、大好きな青を瞼にのせて、街へお出かけを友達としょうかな〜♫
鏡よ、鏡。
たとえ、左瞼が完全に、閉じてなくても、また、自分に自身が持てますように。
また、お世話になったイケメンの看護師さんに、会えたら元気がもらえるかも。(*^^*)♫その時は、明るくみたいに、
『あんずちゃ〜ん♫』と、音符を付いた声で読んで下さると、私は。嬉しいです(*^^*)♫
新しい風が私に吹きますように……。
鏡
お土産屋さんに並んだ、ちりめん細工の鏡。
桜に紅葉、兎に猫。赤や桃色、黄色や青。
たくさんの模様に、数多の色。
同じものなんてない鏡を、手に取っては戻す。
彼女は、どれが好きだろう?
#023 『偽る鏡』
遠い国への出立を間近に控えたある夜、人払いをした寝所に忍んできた者があった。
驚きはしなかった。久しいことではあるが、彼女が城に暮らしていた頃にはよくあったことだから。
「帰りの馬車からこっそりと降りて、そこの茂みに隠れておりました。あぁ、疲れた」
「まあ。それでは、お腹も空いたでしょう」
瓶入りの砂糖菓子を取り出して渡すと、侵入者は行儀悪く口笛を吹いた。直後に口元を抑え、周囲を見回す。誰も聞きつけた者はいないようだ。確信してから、二人は顔を見合わせて笑った。
ひとつ年下の異母妹は、幼い頃から外見こそ瓜二つと言われて育ったが性格は真反対と言ってよかった。臆病で弱気な姫君と快活で奔放な元侍女。
「姫様」
不意に真顔に戻ると、彼女は正面に膝をついた。
「月のない夜です。茂み伝いに通用門へ向かい、角を折れたところに馬車を待たせてあります」
正面、やや下方から見つめる真摯な相貌は、まるで鏡に写った自分自身のよう━━有無を言わせぬ、その意志の強さを除けば。
「御者は我が家の子飼い、車室には従兄がおります。先日、あの衣装箱に動きやすい服を隠しておきました。さ」
話を聞く間に涙が込み上げた。意図は改めて聞くまでもない。
「遠い国よ。渡ったら二度と帰ってこられない。共通の言葉もない。それに、八番目の妻と聞いたわ」
「構いません」
「お父様よりお年を召した、大変に怖い王様だと」
「なんの。姫様ならともかく、このわたしが負けるものですか」
鏡から伸びたような腕に抱き止められる。聞き及んだ数々の噂話をいくつぶつけても、この鏡が割れてしまうことはない。
「その代わり、毎日のお茶の時間と砂糖菓子はなしですよ。それから、我が家にも多少の刺繍糸はありますが、触るなら必ず絡めて床に放り出しておくこと」
冷静な声が指南する。
「それと、武術などどうせ男には敵わないのだから、不貞腐れてやめておしまいなさい。わたしは彼方の国で甘いお菓子や果物をたっぷりいただいて、うんと下手になった刺繍と縫い物で時間をつぶします」
まともな返事をすることもできず、繰り返しうなずくだけが精一杯だった。
手伝いを断り、不慣れな手つきで身軽な衣装に着替える。髪を下ろして緩く結い直し、手早く雑に巻き上げる方法を教えてもらう。
「わたしの母、従兄、身近な使用人だけがこのことを知っております」
絹織の夜着に繊細な飾り紐を結び、入れ替わった偽姫は強い意志をたたえた瞳で異母姉を見つめた。
「お見送りはいたしません。どうぞお元気で」
無言で見つめ合い、うなずき、無言のままに目を伏せて別れの印とする。
足音を立てぬよう踏み出した通路は暗く、しかし広く長く遠くへとつながっていた。
お題/鏡
2023.08.19/こどー
久しぶりの執筆⭐︎
私はいつから遊んでないんだろうか。
最近、仕事が忙しくて、全然友達と遊べていない。
誘いも断ってばかりだ。
上司にも怒られてばかりだし、なんにも上手くいってない。
帰ってきてもしんと静まってる家。
思えば全然部屋の片付けもしてない。
疲れた。眠い。
とりあえず、手を洗おう。
ふと洗面所に立つと鏡に目が止まる。
やつれた自分がいた。
変な顔。ブスだなぁ。
鏡の前でにらめっこでもしてみるか。
私は変な顔をしてみた。
なんとも笑えない顔。
「……ふふっ、ふ」
マジで笑えない。
変な顔過ぎ。
「……あ〜あ」
ずっと我慢してたんだなぁ。
自分でも知らないうちに仮面着けてたみたい。
鏡を再び見ると、泣いている自分がいた。
いつの間にか泣いてたのか。
……結構疲れてたんだなぁ、身体も、心も。
「……明日、会社休もっ」
※BMK「アッカンワラベー」という曲をモチーフにしています。
■テーマ:鏡
鏡の世界に入りたかった。わたしの常識が通じない世界に行きたかった。もっと自分の限界を、高くしていたかった。
#鏡
お題
『 鏡 』
鏡って本当になんだろうね、
だって自分が前に立てば自分が映るんだよ?
すごいね
鏡の前に立ってみるよ。
1人だったらポーズとってみるし
プリでもインスタで写真撮る時の上目遣いだってしちゃうよ
誰かに見られたらオワコンだけど(笑)
偉大だね
今の私は醜くしか写らない。だから、せめて写っている肌だけでも綺麗に写りたい。面だけでも
あの子は私と話す時はいつも無表情。だって私があの子と話す時は無表情だから。どうでもいい思っているから。相手は自分を映す鏡。あの子のことを深く知れば、きっと無表情から笑顔に変わるだろう。
『鏡』
肩口で切り揃えた真っ黒な髪。
夜の闇を溶かし込んだような真っ黒な目。
日に焼けていない真っ白できめ細かい肌。
薄っすらと色づいた頬と唇。
似合うからと着せられたレースとフリルのついた服。
ギュッと冷たい手に握られた。自分と同じ大きさの手。
左横に顔を向ければ全く同じ顔が自分をみていた。
同じように瞬きをして、呼吸も揺れる髪の一筋までぜん ぶ同じ。
ジッと静かに見つめ合う。なんだか不思議な気分になっ て握られた手を握り返した。
「まるで鏡のようね」
どちらが言ったのか分からない。クスクスと笑いあって その様ですら全く同じでまた笑った。
そっくりなんて言葉じゃ足りないね。
【題:鏡】
自分自身に問いかける。本当にこれでよかったのか、と。
齢は六十を超え、身体のどこかがきしむ音を聞かぬ日はない。
先代である父から家を継ぎ、傾きかけた事業を立て直そうと、これまで必死にやってきた。幸いにも多少の商才はあったらしく、魔術師や貴族と特産品や調度品の取引を通じて、それなりに財も成した。結婚こそ縁はなかったが、弟一家と交流しているおかげで、寂しさなどはない。身の回りの世話なども、雇い人がしてくれており、何不自由のない生活を送ることができている。
振り返れば、いい人生だったと、他人は羨むだろう。
けれど……。
屋敷の階段を降りながら、胸に湧く思いがある。
まだ冷たい空気の中で、春の訪れの気配を感じたとき。秋の初めに、心を揺らすような涼しい風が吹いたとき。
何かに、呼ばれるような気はしなかったか。
小さな荷物を担いで、見知らぬ土地に行って自分を試してみたくはないか。そんなふうに、何者かにそそのかされることはなかったか。
踊り場にある、大きな姿見の前に着いた。
何代も前から受け継がれている、立派な額装がしてあるものだ。
その中に映し出された、自分の姿と向き合った。
仕立てのよい衣服に身を包んでいても、その表情は、どこか、満たされていないように見える。
磨き上げられた鏡面に、近づいた。節が目立つ手を伸ばし、触れてみる。
わかっていた。
この手は、契約のためのペンではなく、旅のための杖を握りたいのだ。
階段を降りる時、頑なに手すりを使わないのは、いまだに足腰が弱っていないと思いたいのだ。
自分が、本当は何を望んでいるのか。
鏡の中に、一瞬、旅装に身を包んだ自分が見えた、ような気がした。
当主としての責任は、もう十分果たしたように思う。一緒に事業をしている弟なら、この家を継いで、上手くやっていってくれるだろう。
心の中で蓋をしていた箱が、ゆっくりと開く。
今まで背負っていたものを下ろし、どこというあてもなく、国中を旅してみよう。もしかすると、その先の国々へも。
そう決めた後の自分は、見たこともないほど、穏やかな顔で笑っていた。
さあ、心のおもむくままに。
『旅の途』
(鏡)