『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
水面に鏡のように映った自分の姿、相対する2人の私。
片方の私は誰にでも愛想良く振る舞って、
もう片方の私は他人にとんでもなく悪いことを言ってしまう。
優しい私と悪い私、一体どちらが本当の私?
水面の底からあぶくが立って、ざぶりと女神様が姿を現した。
「貴方が落としたのはどちらの貴方?」
女神様の横で優しい私と悪い私が私を見つめていた。
私がどちらかの私を選び、私が選んだ私が本当の私となるのだろう。
私は少しの間沈黙し、そして答えた。
「どちらも本当の私です」
女神様はニッコリと微笑んだ。
「正直者の貴方には、この金の貴方を授けましょう」
この日から私の体は金色になった。
後日、私の体から出る汗などの黄金の排泄物を巡って世界中を巻き込んだ大戦が起こるのだった。
まるで鏡を見ている様な生き写しだった。
彼女の様な芯のある瞳に、耳心地の良い声。
少し癖のある髪が光に照らされてより一層明るく輝く。
宝石で出来ているかの様な眩さ全てに魅了されている。
それなのに、どうしてこんなに違うのだろう。
私が間違えた時は泣いて心配した彼女の面影は何処にもない、聞こえる様に大きなため息で要領が悪いと言う。
彼女には格好付けたかったから泣き言なんて言えなかったのに、小さな事でも聞いて欲しい。
ずっと好きだった彼女が結婚した時、私は彼女の幸せを願って泣けたのに、どうしてこの子は誰にも渡したく無いのだろう。
年甲斐も無く縋り付く自分が、何なのか分かっている。
けれど、これを恋というにはあまりにも綺麗じゃない。
美醜の観点から見れば、彼女は自身の顔を美しいと感じる。下地を塗り、ファンデーションをのせ、肌に色を足した後の顔は、もっと美しいと感じる。鏡の中の自分と目が合えばその顔は上の中であるように感じ、芸能人とはいかぬものの、高校時代クラスにいたマドンナとも引けを取らぬような、美しさがあると思う。
しかしひとたびその姿で外に出て、人の目を感じると、彼女は萎縮しきってしまうのだった。
鏡を通さぬせいでわからない自身の顔が幾多に変形し、変異し、理解を超えた形をつくるのだ。それはあまりにも醜悪なのではないだろうか?彼女はそう考えて、いつも街を歩く。
人間というものは、全てそのような危惧を背負い、生きるものなのだろうか?鏡という自身を映すものがなければ、何一つ自身を見つめ直せない欠けた生き物。
朝塗ったリップは腫れた唇のように見えていないだろうか?アイシャドウをなった瞼はアザのように見えてないだろうか?チークも、肌が汚れているように見えていないだろうか?
それは彼女の心をいつでも締め付けるのだけれど、それでも彼女は鏡を見ると安堵し、自信を美しいと感じるのだ。そうして明日はどうなってしまうのかと怯えに震える。
そうして翌る日、彼女はまた鏡を見て——言葉を失う。そこに映るのは奇形だった。頭は不自然に膨らみ、目は腫れて眼球はほとんど隠れ、唇は馬鹿みたいに大きくて分厚く気持ちが悪かった。
バケモノだ。彼女はそう思う。そうしてそれが自身の顔だと気づき、絶叫しながら近くにあったコップで鏡を叩き割ってしまった。ああ、お気に入りのコップにはヒビが入って、ずっと使っていた鏡はもうすでに直すこともできない。
割れた鏡にすら薄ら汚れな醜異なバケモノが映っているのを見て、彼女は、もう何を信じれば良いのかわからなくなった。
13日目
鏡の中の自分を見て思うことはただ1つ。
「なんでこんなにも醜いのだろう。」
街を歩けばオシャレをした可愛い人ばかり。
その人たちはきっと鏡を見ることが楽しくてしょうがないのだろう。
すっぴんでもメイクをした後でも可愛い生まれ持った美貌の人は私の気持ちなんか分かるわけないだろう。
どんなにおしゃれして可愛い子の隣で無理をして歩いても、男が見るのはノーメイクでも可愛い隣の美女。
私はただの引き立て役にしかならないのだ。
可愛くもない女が普通の顔面偏差値の女と歩いていてもそーなるだろう。
あーあ。
この世の全ての女が、男が、私よりも顔面偏差値が高くなければ。
私は誰かに愛されたのだろうか。
【鏡】たまたまゲッターズ飯田さんの
【他人に思う気持ちは常に己を表すもの】という
ツイートをみて、もしかして、あの人は、わたしの鏡
なのではないだろうか?とバカバカしくもおもって
しまった。私みたいなのが、あの人の鏡だなんて、
あの人からみれば迷惑な話かもしれないけど、
思うのは勝手なので、そう考えたら、もしかして、
私もあの人のようにいけるところまでいけるのでは
ないかと、そりゃひたすらひたすら勉強も何もかも
得ないとだめだろうけど、可能性がないわけでは
ない。という不思議なパワーをもらったような
気がしなくもない(笑)。
あの人が鏡と思う方は誰なんだろう??。それも
気になった。あっ!今度はこの話してみようかなー(笑)。実際の鏡は嫌い。自分と向き合うのはニガテです
3 年後のpure
今日も鏡を見る。
うん、可愛い。
そう思いながらメイクをする。
他の人は、自意識過剰なんか言ったりする。
自意識過剰で何が悪い。
私のために可愛くなって何が悪い。
そうじゃなきゃ、ボロボロになる。
だから私は今日も可愛くなる。
鏡(2023.8.18)
鏡に映った自分の顔を見てみる。
毎日見ている顔だけど、本当は見たことがない顔。
なんとなく見慣れない顔。
周りのきらきらした人たちと比べたら、不細工だな、なんて思うこともたくさんあるけど、夜中に見たりすると「おっ、なんかいい面構えじゃん」なんて思ったりもする。
それと同じように、よく言われることかもしれないけれど、周りの人の態度は自分を映す鏡だ。自分の顔以上に、自分の態度なんてなかなか顧みるのが難しい。だから、「なんかいい感じ」の人は、大切にしていこう。与えられたものを、自分も同じだけ返す。他人の優しさを、鏡のように返せるようになれば、きっと今日も「なんかいい感じ」の自分でいられるはず。
お題:鏡
やめたほうがいいよ。
やめたほうがいい。
だってこんなにも汚い。
しばらく。
その顔色が良くなるまで書かないほうがいい。
だってこんなにも汚い。
量産は楽しくないよ。
できない。
やめておきなさい。
鏡に向かっておしゃべりするのはいけないらしいね。
大好きだよ。
こんなにも気づかってくれる。
鏡を見る
少しも磨かれたことのない曇った鏡
鏡の向こうにシケたツラが見える
腹立たしさ情けなさ苦しさ
様々な負の感情が綯い交ぜになって押し寄せてくる
耐えきれなくなって感情を鏡をぶつける
叩き割られた鏡の破片が床に散らばる
肩で息をしながら下を見る
散らばった無数の破片に無数のシケたツラが映る
「増えただけじゃねーか」
腹立たしかったのがだんだん笑えてきた
ポタリと血が垂れる
まだ生きてやる
そう誓った
―――誓い
#46【鏡】
私が微笑むと 貴方も微笑む。
私が貴方を疑うと 貴方も私を疑う。
私が見つめると 貴方も見つめ返す。
貴方を「愛している」と私が願うと 私を「愛している」と貴方から伝えられる。
――― そして貴方の言葉で 簡単に私は壊れる。
『鏡』
鏡
自分にとって鏡は良くも悪くも不思議なものだと思う。
鏡は自分の邪気を祓ってくれる神秘なものとも言うし、運気を上げてくれるのだそう。あとは身支度するときに鏡は必須だ。鏡はオシャレを気遣ってくれる大切なものだ。
でもそれとは反対で良くないこともある。例えば、鏡と鏡をくっつけて起こる合わせ鏡は幽霊など死んだ人が通る霊界に繋がるのだそう。それから、ふと顔を見上げたとき、鏡に人ならざる者が後ろに佇んでこっちをみていた、という怖い話もよく耳にする。
私はオカルト系を信じる方なのでそれを想像してしまうと鏡が恐ろしく感じてしまう。例え、それをあなた達が笑って信じないとしても構わない。
ただ、それが私の妄想なのだとしても。私にとって鏡は好きとも嫌いともいえない不思議なものに違いないのだから。
鏡
翡翠を嵌めた瞳。月光を閉じ込めた髪。陶器さながらの滑らかな肌。硝子細工に似た指。
父様の最愛をそっくり写したそれは今や、無惨にも罅割れ、光のない虚ろな顔で私を見つめている。
「可哀想」
割れた肌に指を這わせた私の呟きは誰にも拾われない。
あなたが。あなたが悪いのよ。あなたが私の父様を奪ったのだから。
最後に聞いたのは、憎しみに満ちた声だった。
可哀想な私の姉。最初に父様に愛された子。貴女を想って創られた私を妬み、狂って死んだ憐れな娘。
けれど、その死を他人は知らない。彼女を一番に愛した父様ですら。
「人形に成り代わられた気分は如何?」
割れた鏡の奥。映った私は微笑っていた。
【鏡】
顔を上げると、あなたに相応しい私と目が合う。
やっぱりメイクって偉大。それに、とっても素敵。
あなたに会う日だけは、誰が見てもきれいな私でいたい。
この気持ち、なにか間違っているのかな。
男の人はよく、無責任な言葉を口にする。
メイクしないほうが良いとか、素顔も絶対に可愛いとか。
口では感謝を述べるけど、心では余計なお世話だと思う。
メイクをするのは私のためで、有象無象のためではない。
あなたはそんな甘い言葉を一度も吐かなかった。
上手だね、よく似合ってるって褒めてくれる。
きっと偽らなくても貶すことはしないだろうけど。
自信を持ってあなたの隣に立つには、魔法が必要なの。
初対面の大学生の時、私は既に素顔を晒していなかった。
だから、あなたは本当の顔を知らない。
キャンバスのように彩られた私しか知らない。
緊張するけど、次の泊まりの日に私は仮面を脱ぐ。
同棲しないか、と何度もされた提案を断ってきた。
空を飛べそうなぐらい嬉しいけど、怖かったから。
だって、あなたはまだ素顔の私を知らないのに。
失望されたら。嫌われたら。想像だけで不安になる。
男の人はたいてい、顔を一番重視するでしょう。
少なくとも、今まで親しくなった人はみんなそうだった。
メイクを知る前の私は、自分ですら好きでなかった。
あなたの入浴している今、あの頃の私に戻る。
メイクは私の戦闘服だから、ないと弱気になってしまう。
お風呂上がりのあなたがキッチンに来て、目が合う。
表情の変化を見たくなくて俯くと、ため息が聞こえた。
「なんだ」安堵だった。「少しは信用してもらえた?」
惨状
知りもしない何かを
少年は睨んでいた
惨状
見えもしない何かを
少年は憎んでいた
惨状
それが敵であると
少年は知っていた
ずっと
少年は鏡を睨んでいた
鏡
〔鏡〕
僕は鏡に映らない。
水溜まりとか写真とかには映るけど、鏡だけ。よく分からないけれどそういうものらしい。
周りの人達は当たり前のように僕を受け入れていて、身支度の時大変だね、とたまに同情されるくらいで至って普通に暮らせている。
そんな周囲をありがたく思いながらも、同時に僕は軽蔑していた。そして直ぐに自己嫌悪に陥る、いつものパターンだ。
僕以外の全てが映る鏡。
異端を受け入れてくれる周囲。
優しい世界の筈なのに全てをめちゃくちゃにしたかった。誰に何を言っても変えられない日々から逃げたくて、鏡に向かって手を伸ばす。当然のように、鏡に映ることも、まして鏡の中に入ることも出来やしなかった。
手が鏡に触れた時にたてた小さな音だけを、手繰り寄せるしかなかった。
家の最寄り駅から程近くにある居酒屋。
そこのトイレは一人用の個室トイレだが、なぜだろう
側面に頭から足先まで映る無駄に大きな鏡がある。
別に自分の用を足す姿など見たくもないのに、つい見てしまう。
顔を赤くして目をどろんとさせて情けない格好をした…
意図は知りませんがアレ、撤去してもらえませんかね?
アリス!
はっと体を起こした。
膝から小説が滑り落ちた。
私はソファで小説を読みながら
眠ってしまったらしい。
アリス 早く、夕食の支度をして頂戴
全くこの子は…
ぶつぶつと小言が続くのを遮るように、
私はエプロンを付けた。
私はアリス。この家の娘だ。
疎まれている方の。
野菜を際限なく刻みながら、手に目をやる。カサカサとして艶のない肌。
姉のロリーナ、妹のエディスは
こんな家事はしたことがない。
しなくて良い。私だけ…。
…ッ。一瞬手を切ったと思った。
爪を刃がを掠っただけだ。
ただそれだけなのに。涙が意図せず流れた。
何?怪我したの?
手当を
そんな声を背中に受けながら、
台所を飛び出した。広い屋敷を走り抜け、
ある部屋に入る。扉が静かに閉まった。
顔を上げてぎょっとした。
亡霊のような女の顔が私を見ていた。
暖炉の上のマントルピースの鏡だ。
私こんな酷い顔をしているの…。
…アリス。アーリス。
私を呼ぶ優しい声。
アリース。こちらへおいで。
私は鏡へ手を伸ばした。
いつもの自分じゃないみたい。
涙で顔に張り付いた髪がぱりぱりになってる。
ねぇ、どうして泣いてるの。
そんな怯えた顔でこっちを見つめないで。
私は私を見捨てたりしないから大丈夫だよ。
鏡に映った私を慰めるのも励ますのも全て自分。
でも、涙を拭って頭を撫でることはできない。
鏡の向こうの自分には触れられない。
疲れた目をしてこっちを見つめてくる私。
どうしたら触れられるのかな。
傷みも孤独も分かってるつもりだけど。
どうしたってその肩を抱いてあげられることはできない。
『鏡』
貴方の愛さえ得られれば、姿も見えない誰かからの承認なんていらなかったのに。
___鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだあれ?
鏡は、私が映したいものを映す。
ただ世界が反転しているわけじゃない。
鏡の中には、私が映したい私が存在する。
-鏡-