自分の顔や肌を隠すのが習慣になって、いつしか晒すことが恐怖に変わっていた。信頼できる相手にもそれは変わらず、誰も私の顔は知らないまま。
テラを離れた今もそれは変わらない。刀剣男士はともかく、審神者たる者は黒や茶色の控えめな色目の髪や瞳が多い。
それもあって、変わらず隠していた。
誰にも見せることなんてもうないと、思っていたはずだったのに。
「主、ちっくと聞きたいことが……」
髪の毛を乾かしていた時、背後から声をかけられた。鏡越しに目が合って、何も考えずに振り返った。
「おお!おまさん、綺麗な顔立ちをしちゅーやいか」
心臓が止まるような感触がした。
「鏡」
8/19/2024, 9:59:01 AM