『遠い日の記憶』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
その子はまるで真夏に咲くヒマワリのようだった。
転校初日。クラスの第一印象ははっきり言って“ひどい”ものだった。教壇の上で自己紹介する僕に誰も目を合わせようとしない。寝てるヤツ、読書してるヤツ、スマホでゲームしてるヤツ。ソイツ等もひどいけど、注意しない担任もどうかと思った。そんなわけでとりあえず、新しい学校生活には夢も希望もわかなかった。
でもそんな中に彼女がいた。僕は彼女の隣の席だった。初日から筆記用具一式を忘れた僕に親切に貸してくれた。シャーペンも消しゴムも定規も、何もかもが黄色。良く見れば、彼女の長い髪を1つに纏めているヘアゴムも、片耳に付いているピアス(この学校の校則ではセーフらしい。もう学校全体がひどいんだと思った)も、彼女が持っているもの身につけているもの全てが黄色だった。
彼女はいつもにこにこしていて、僕が見る限り真面目に授業を受けていた。周りがこんなに粗悪だと言うのに、1人だけ凛としていた。まるで夏の、真っ直ぐ伸びるヒマワリのようだと思った。
『ここが世界の全てじゃないから』
暫く経ってわりと彼女と仲良くなってから僕は、どうしてそんなに真っ直ぐでいられるのかと聞いたことがある。そうしたら、彼女は笑いながらそう答えた。成程と思った。彼女はずっと遠いところを見ている。こんな、長い人生の中のほんの僅かな時に意識を向けて思い悩むようなことをしないのだ。彼女は僕よりもずっとずっと大人で、自分を持った人だった。僕は彼女が眩しいと思った。
あれから十数年。彼女はどうしているだろうか。結局、彼女と一緒に過ごせたのはあの1年だけで、学年が上がった翌年はクラスが離れてしまった。そうこうしているうちに彼女は海外へ留学し、向こうの大学に入り、今や世界を相手に活躍しているらしい。
夏がくるたび、街でヒマワリを見るたびに思い出す。たった1年だけの関わりだったけど、僕の記憶の中ではずっと枯れないヒマワリとして遺っている。またいつか、どこかで会えるだろうか。遠い日の記憶を今夏も辿りながら、そんなことをひっそり思った。
#26【遠い日の記憶】
初めての彼氏は頭が良くて
スポーツ万能で
イケメンではなかったかもしれないけど
自分の能力を鼻にかけることもなく
ユーモアのある人だった。
勉強も運動も中の下だった私は
そんな彼にすっかり魅了され
頼んでもいない友達のアシストで告白し
まさかのお付き合いスタート。
あれよあれよと言う間に彼女に昇格した。
しばらくして
さまざまな要因から不安が押し寄せた私が
彼にその気持ちを伝えると
こんな言葉が返ってきた。
「君が僕を嫌いにならない限り
僕が君と別れることはないよ」
嬉しい言葉なのに、どこか腑に落ちない。
この恋に、あなたの意思はないの?
それから数ヵ月後。
ちょっとした喧嘩の中で
私は繋がれていた手をわざと振り払った。
案の定、その手は引き留められることもなく
嫌いとも、別れるとも言わないまま
カレカノの関係は終わった。
あの時、あの言葉を鵜呑みにして
「私が彼を好きな限りずっと一緒にいられるんだ!」と
思えたら良かったのかな。
告白するつもりはなかった。
付き合うことになるとは思わなかった。
だって、あなたには好きな人がいたでしょう?
あなたの顔は忘れても
この恋だけは忘れられないわ。
僕には年の離れた兄ちゃんがいてさ
まだ幼稚園にも行ってなかった頃、ある日兄ちゃんが、うちに何人か友達を連れて来たんだ
その中の一人が、僕に「何歳?」って聞いたんだけど、恥ずかしくて答えられなかった
彼らはひとしきり遊んだ後、兄ちゃんも一緒にどこかに行ってしまった
僕は、もう誰もいなくなった道を走りながら「3歳! 3歳!」って叫んだっけ
なんでそんなことしたのか今もよくわかんないけど、3歳児なりに、そうしないと気持ちの整理がつかなかったのかもね
あの日
大好きだった人は
急な引越しでいなくなった
大事な大事な人で
きっと相手も同じだったと思う
でも
お互いに子供
カッコつけて引っ越す事に
何でも無いようなフリして
本当はそうじゃ無いのに
どう表現したらいいか分からずに
見送った
覚えているのは
笑うと可愛い笑顔と
バカみたいに近い距離感
そしてあなたの名前だけ
皆はどうだろうか。
俺の記憶はどちらかと言えば、辛いものばかりが鮮明に残っている。
親に初めて手をあげられた日。
飼ってた犬が首輪を外して駆け出した背中。
恋人に別れを告げられた日の青空。
そのどれもがもう遠い昔なのに、色も匂いも思い出せる。
根っからのマイナス思考がそうさせるのか、片手で足りるくらいの幸せな出来事は、反対に朧気だ。
チラチラと舞い戻るその記憶が煩わしく、それでいて忘れたら俺じゃなくなる気がしている。
多分俺という人間を作りあげたその記憶は、忘れてはいけない物なのだろうと思う。
明日から上書きされる新しい記憶が、穏やかであればいいとは……思っている。
「遠い日の記憶」
僕は色んなことを経験したから、都合良く事が運ばないことは知っている。
何年も前の話だ。
僕は予防接種が大の苦手だった。
注射を打つくらいなら死にたいと思うほどに。
だから、
どうにかして注射を打たなくていい方法を考えた。
子供の発想だから今考えるとバカらしいが、
当時は真剣だった。
医者に挨拶をすればいい子だと思われ、
注射を打たなくていいと思ったんだ。
つまり注射は、
悪い事をした子供が打たれるものだと思っていたんだ。まぁそんなことは上手くいくはずもなく、
普通に打たれた。
その日の夕食は僕の大好きなお寿司だった。
都合のいいことなんてない、
でも予期していない良い事は起こりうる。
僕に大切なことを教えてくれるのはいつも、
遠い日の記憶
前もこう思うことがあった。
もし今私の体が誰かに乗っ取られてしまって、
自分の意識なんか微塵もなくて、
そんな状態で自殺されたら、
それは自分の罪になるのか、と。
自分の意思で死ぬ事が自殺なのか、
自分で自分を殺すことが自殺なのか、
自殺が死んでからのいちばん大きな罪だと、
小さい時から思い込んでしまっている私には、
この問題は果てしなく大きく、
無駄なものだった。
誰かが私の代わりに私を動かしてくれるなんて、
そんなことはないのに。
乱雑に置かれた錠剤と、
好きでもない、強い度数のお酒を前にして、
今1度、あの日の記憶のように、
考え直す。
「遠い日の記憶」
「書く習慣っていうアプリやってる人おいで!!!!」
というオプチャの管理人ですー!
みんな優しいとってもよい集まりです!
ぜひおいでね〜!
昨日は納豆ご飯を食べ、白いTシャツにジーンズを履き、部屋の窓から海を眺めた。
では、おとといは、1週間前は、1ヶ月前は、1年前は…
鮮明に覚えている。
昨日と同じように生きていた。
わたしには、遠い記憶など無い。
近い記憶を惰性で繰り返しているだけだから。
生ぬるい海風を感じながら、わたしはまた冷蔵庫のドアに手をかける。中には納豆と卵があった。
<遠い日の記憶>
笑って泣いて自分の気持ちを
素直に言えずに
信じてもらいたくても
信じれないと言われた日
どん底になって思い出したくも
無いはずなのに
あの時一緒に聴いて歌った歌が
流れるとやっぱり
楽しかったあの日々に戻れたらって
思ってしまうよ
鍵のない扉は開かない
聲なき慟哭
大地を焦がすような陽射し
覚すことのない夢
断片を繋ぎ合わせて作った鍵
その扉は開けてはいけない
その好奇心は己を殺すことになる
#遠い日の記憶
〜遠い日の記憶〜
子供の頃5歳ぐらいだったろうか
泣き虫だった私
その日も泣いて怒っていた
たしかなんかが気に食わなかったんだろう
自分の思い通りにいかないとイライラするくせがあった
そして唇を尖らせ
泣きじゃくる
そんな時
「感情をそんな表に出さないの」
そう言われた
良くも悪くも素直だ
親に従う
それが始まりだったかもしれない
人の感情を読んで
空気を読んで
自分の感情と入り交じり
自分の意見さえいえなくなってしまった
いつも自分と相手が頭に浮かんでる
大人ならきっといい事とされる
でも子供の心も忘れたくなかった
今は波に揺られてるけど
そんな心を取り戻したい
あの頃ともう一度向き合いたい
あの日笑いあったこと。あの時傷ついたこと。
遠い昔の出来事になった。
思い出は、感情の抜けた「覚え」に変わった。
「遠い日の記憶」
ねえ、君はあの時なんて言ってくれたんだっけ。
/「遠い日の記憶」
遠い日の記憶と聞いてすぐ思い浮かんだのは小学生の頃のことです。
小学生の頃の私は毎日のように家の前の公園で遊んでいました。日焼けも気にせずただ無邪気に走り回って、今では想像もできない暗い真っ黒になっていました。日焼けを気にして夏でも長袖を着ているなんて想像もしていないでしょう。
孤独だった
周りがみんな敵に見えて
怖かった
だから敵が来ないように
高いたかい壁を四方に作って
本当の孤独になった
ある日そこからやはり出ようと思い立ったけれど
自分が作った頑丈すぎる壁が自分で壊せなかった
わたしは毎日必死で壁を壊した
びくともしない
これを越えるしかないんだ…
そこから毎日必死で壁をよじ登った
くる日も来る日ものぼって
何年もかけて壁の上にたどり着いた
つぎは、登った分だけ降りなきゃいけない
怖かった
疲れた
悲しくなった
でも、壁の上に登ったら
下からたくさんの声が聞こえてきた
待ってたよおかえり!
何してるの早く降りておいで!
ほらこのロープ使っていいよ!
あたたかかった。
敵じゃなかったんだ…
【遠い日の記憶】
遠い日の記憶
暇な日常生活を送っていると、毎日が同じことの繰り返しで特別記憶に残る事がない。
だから遠い日の記憶であっても、ついこの間のように思い出してしまう。
それが特別な記憶だったならなおさら執着してしまう。
ただ学生時代の記憶はあやふやだ。
学生の毎日は目まぐるしく変わるから、特別な記憶が上書きされていく。
楽しいことも嫌なことも辛いこともたくさんあったはず。それなのに覚えているのは、友人関係で悩みすぎて犬の散歩途中に道端で吐いたことだ。
あの頃は面倒だったけど、悩む程度には友だちがいたんだな。
いまは悩む友だちもいない。
あの頃からやり直したら、私の人生はなにか変わるだろうか。
「これが、猪。これは、ウサギ。ほんでこれは、鹿の足跡やな。」
手を繋いで土手の上を歩きながら、父は一つひとつの足跡の主を教えてくれる。これは、私の遠い日の記憶だ。
薄く白い霧の中。土手は集落の端で途切れている。ふだんなら、絶対に足を運ばない寂しい場所だ。
こんなところにわざわざ来る必要があったのだろうか。どうして父は、わざわざこの場所に私を連れてきたのか。
もしかしたら、あれは幻だったのかもしれない。意識のない父の横で、私はそんなことを考える。身体には、いくつかのチューブがつながれている。
私を支えてくれた日灼けした肌が、少ししぼんで見えるのが悲しい。父は、いつの間にこんなに歳を取ったのだろう。
無音の病室に、かすかに蝉の声が響いてくる。それを聞くと、故郷での遠い日の出来事が、まるで夢のように思い出される。
いや、もしかしたら本当に夢だったのかもしれない。あまり良好とは言えなかった父との関係を埋め合わせるために、仲の良い風景を脳が捏造したのではないか。
そんなことも考えた。しかしその記憶は、私の心にしっかりと根を下ろしている。
【遠い日の記憶】
君に連れられてここでピクニックをしたんだよ。
覚えてるかな?
あの日は雲ひとつない青空で、満開の花畑がすごく綺麗だったんだ。
君がお花で冠を作ってくれてね、嬉しかった。
それと友達と作ったんだって、クッキーを持ってきてくれたよね。
僕の好きなチョコレートが入ったクッキーでね、
すごく美味しくて僕が全部食べちゃったんだ。
そんな僕に、驚きながらも笑顔でまた作って来るねって言ってくれて、
その時僕ね、君とずっと一緒にいたいって思ったんだ。
─────ねぇ、もう一度笑顔を見せて
-遠い日の記憶-
『遠い日の記憶』
この先の未来を夢想し、
遠い日の記憶を辿いながら
今を生きよう。
遠い日の記憶
記憶もだんだん遠のいて
いくのは悲しい…
今に目を向ける
ことしかできない…
数少ない経験を
積み重ねて、いまがある
そして…明日がある
今も
いずれは遠い1ページに
過ぎない。
忘れていても…
心は覚えているから…
ふと…
記憶が戻る時もある
いまは
記憶喪失のよう…
でも…
いまは…それでいい
と自分に言い聞かせ…
きょうに感謝して
眠る…
ありがとう