『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
さぁさぁ狂ったように踊りましょう。
ホップステップで踊ろうか。
裸体になってさ踊りあかそう。
等々。踊りが歌詞に入っているものを思い出せば、それは何故か踊ることが主目的ではないように感じる。
まるで踊るとは常人のすることではなく、気が触れた人間の行動だとでも言いたげな歌詞だ。
まったく、失礼な話ではなかろうか。
踊ることは楽しいことや嬉しいことを表現する方法にもなれば、体の仕組みを理解することでトリックアートみたいな不可解な踊りだって出来るというのに。
「踊る=ダンス」 と結びつくことはこの歌詞たちからは見当たらない。
でも、知ってる。いや分からされている。
ダンスはセンスとか努力とかをふんだんに混ぜ合わせたケーキみたいな物で、そう易々と出来るものじゃない。
そんなにキラキラした世界に僕は存在しない。
だから思い出した曲たちは、
僕のモノクロな青春を隠すように、
極彩色で彩られた曲たちなのだ。
Shall we dance?ではなく、
I’m dancing alone.なのだ。
『踊りませんか?』
【68,お題:踊りませんか?】
綺麗な満月が空に浮かぶ、秋のとある日
冷たい空気を胸いっぱいに満たして、私は1人崖の上に立っていた
目眩がするほど高いこの場所に、しかも深夜に来たのにはちゃんと理由があった
薬草がほしい
私の母は病気だ、そして家は貧乏だ
医者に見せる金もない、そうなれば自分達でなんとかするしかないわけだが
生憎、私に医療の知識はない
どうにか治す方法をと、いろんな人に聞いて回って
なんとかかき集めた情報が
満月の夜に数時間、人目のつかない山奥の崖の上に咲く、と言うこと
場所は昼のうちに目星をつけ、今は開花を待っている状態な訳だが
何せ秋の山奥だ、寒いし夜に起きているせいで眠たい
「...ッダメ、寝るな私」
ズッと鼻を啜り、眠い目を擦ってどうにか目を覚ます
寒いからだろう、いつもよりも眠たい気がする
だがここで寝たら、薬草を持ち帰れないどころか私まで帰れなくなるかもしれない
「...~~♪~、~~~♪」
寝るわけにはいかない、目を覚ますために最近聞いた曲を口ずさんでみる
どこで聞いたんだっけ、ピアノのゆったりした曲で......ダメだ余計眠くなってきた
とりあえず無言になるよりはましだと思い、そのまま歌い続ける
夜の冷気が喉に染みて、途中に何度か咳き込んでしまった
ザッ...
「...!」
突然草を踏む音が聞こえ、私は口を閉じる
サァッと血の気が引くのを感じた、猪...熊だろうかどっちにしろ今は鉢合わせたくない相手だ
しかし、相手は予想だにしない人物だった
「こんばんはお嬢さん、良い夜だね」
「あな...たは?」
いつの間にか私の後ろにいた、白髪の青年
白いシルクハットとマント、道化師という言葉が似合うであろう背の高い青年は
ゆっくり私の方に歩いてくると、恭しく頭を下げ手を差し出した
「ぼくは...、ちょっと事情があってね、失礼かもしれないが名乗れないんだ
...こんなに月も綺麗なことだし、貴方の歌で1曲どうかな?」
「えっ、でもその...私踊ったことない...」
「大丈夫、ぼくがリードする」
軽く手を引かれて、ぽすんと彼の腕のなかに落ちる
顔を上げると穏やかな笑みで、歌ってと促す彼の姿があった
私がたどたどしく紡ぐメロディーに合わせ、彼はゆっくり身体を揺らし
驚くほど優雅な手付きでステップを踏んで見せた、きっと踊り慣れているのだろう
彼の動きに合わせると、自然と足が動くように感じる
「なんだ、上手じゃん」
月明かりの下の短い舞踏会
私が歌い終わったのと同時に彼の後ろで小さく花開くものがあった
「あっ、咲いた!」
パッと手を振りほどいて駆け寄る
淡い光に照らされ咲く小さな薄紫の花、間違いないこれだ
「良かった...これで母さんも...」
「えっ」
ふと後ろで面食らったような声が聞こえ、振り返ると
不自然な格好で固まっている彼の姿があった
「どう、しました...?」
「いやっ、何でもないよ...ぼくはもう行くね」
ザアッと風が吹き、顔を庇って下を向く
視線を上げた時にはもう彼はいなかった
最初から最後まで不思議な人だったな...
薬草を大事に抱え、暗い山道を下りながら考える
もしかして彼は、私が自殺しようとしてると勘違いしたのではないだろうか
だって普通ならば私のような年齢の人間が、1人で山になど入らない
止めようとしてくれて現れたのなら、彼は優しい人だ
家に着く、明かりがまだ点いていた
身体がよくないというのに、母は私を待っていてくれたのだろう
木で出来た扉を開けて光の中に飛び込む
「ただいま母さん、さっき凄く優しい人に会ったんだよ」
優雅な音楽、いとも滑らかに動いている足、少し賑やかな外野。そんな舞踏会で、憧れのあの人は今日も色々な人と踊っている。あぁ羨ましい。私もあの人と踊りたい。しかし、私は目立つことが嫌いで嫌いで仕方がない。昔受けたあの視線。昔受けたあの言葉。今はないそれが、今存在する私を苦しめている。
ある月夜、誰もいない中庭で、あの人が一人踊っていた。いつもみせるあの踊りは、やはりというかなんというか練習の賜物であったのだ。そんな練習を邪魔したくはない。だけど、今なら誰もいない。目立つこともないだろう。そうやって自身の心と葛藤していると、あの人と目があった。目があったあの人はとても美しく、私の葛藤をいとも簡単に消し去った。その瞬間、あの人はゆっくり笑って何かを言おうとした。丁度、偶然にも、私は声を出そうとしていた。
「「私と一緒に、踊りませんか?」」
誰か助けて
毎日死ぬことしか考えられない
私が生きていることを私自身が不快に感じている
過去に戻りたい
過去に戻って自殺したい
この苦しみから逃げたい
どなたと? ――私と。
どちらで? ――こちらで。
いつから? ――今から。
いつまで? ――いつまでも。
どうして? ――それは、踊れば分かるでしょう。
/お題「踊りませんか?」より
自分で決めた道。
だから、忙しくても弱音なんか吐いてる暇はなくて。
必死で頑張って、寝ずに考えて、できる限り要望に答えて。
そんな日々が、正直、辛かった。
そんな時、あいつは言った。
”踊りませんか?”と手を差し出して。
あいつに連れ出されて、久しぶりに繰り出した街は、明るくて、賑やかで、楽しかった。
ずっと忘れていたなにかが、ようやく解った気がして。
ずっと掴みたかったなにかに、やっと届いた気がして。
”踊りませんか?”
それは、あいつだけが使える魔法の言葉。
狭くなった世界から俺を連れ出してくれるあいつの、ちょっと不思議な誘い文句。
さてさて、次はいつ誘われるんだろう?
踊りませんか?
本当は1度ぐらい
あなたと踊ってみたかった
ステップなんて
どうだって良くて
音楽に合わせて
ただユラユラと
左右に揺れているだけでも
いいのに
シャイなあなたが
踊るはずがないからと
わたしは知らんふりして
飲み終えたグラスの氷を
ずっと眺めていた
あの時
勇気を出して
踊りませんか?と
ひとこと言えていたなら
何かが変わっていたのかな…
# 踊りませんか? (295)
【踊りませんか?】
恋とは、愛とは、そんな抽象的な事はどうでもいい
恋も愛も見えないし、皆が同じ気持ちで定義なのか
証明しようがないのに同じだと勘違いしてしまう
彼はそっと私の手を取り、
「私と踊りませんか?」
と言い、端正な顔でこちらを見ている
恋に関して冷静で、盲目的では無いつもりなのに
彼を前にすると盲目的なのかもしれないと考える
私は彼の手を握り返し、彼に身を任せた
それは、楽しくて熱くて夢のような時間だった
私は勇気を出して彼をそっと抱き締めた
彼にも抱き締めて欲しかったし夢を見せて欲しかった
だが、彼は私を抱き締めはしなかった
端正な顔を歪め、冷たい目でこちらを見ていた
彼は私に恋を囁き、愛を誓って共に踊ってくれた
だから彼の私に対する恋を、愛を、私と同じ物だと
勘違いし、自分と同じ愛を求めていた
彼はただ恋や愛に踊るような楽しさを求めていた
全てを受け入れて抱き締め合う愛というものを
彼は求めていなかったのだ
そうなると、誰かと分かり合うのは
本来は不可能なのではないだろうか
自分そのままを受け入れられる関係なんて
どちらかを曲げないと生まれないのではないだろうか
だけど本当は誰かに自分の全てを愛して欲しいな
太陽が沈み、月と町の明かりのみが光を放つ時間。
3人の高校生達が、路地裏を走っていた。
「居たぞ、あそこだ!」
オレンジ髪の少年が、前に走っている存在を指差す。
「確かに…あいつで…間違いありませんわね。」
お嬢様口調の少女が、息を切らしながら喋る。
「ふふっ…か弱きお嬢様は、もうギブアップかな?」
キザっぽい少年が、少女を煽る。
「ま、まだまだですわ!あいつを倒すまで、私は止まりませんわよ!」
「お前ら、張り合ってる場合じゃないだろ!
ルーナ、魔法で足止め!」
「ええ、任せなさい!はぁぁぁ!」
ルーナが走りながら、虚空から杖を出す。
漆黒の杖の上に、キラキラと光る緑色の宝石が付いていた。
力を込め、杖を追っている存在に向ける。
すると、風の壁が突如出来上がり、道を塞ぐ。
追われてた存在は、立ち止まり、こちらの方に振り返る。
月光に照らされ、姿が明らかとなる。
それは、漆黒を身に纏っていた、人型の何かだった。
足止めのおかげで、3人組はその存在に追いつく。
「ルーナありがとう!
もう逃げられないぞ、化け物!」
化け物は唸り声をあげ、威嚇し始める。
ヤマアラシのように、背中から棘を出す。
「ほう?これが君の能力か…流石化け物…腕がなるじゃないか」
「ちょっと幽夜(ゆうや)、関心している場合じゃないですわ。さっさと倒しますわよ」
ルーナが呆れたように言う
幽夜は、いつのまにか手に短剣を持って、構えていた。
刃までも、漆黒に染まっている、短剣が月夜に照らされる。
「ということで、敵に情けは無用!
倒させてもらう!」
少年もレイピアを虚空から取り出し、化け物に攻撃を仕掛ける。
漆黒に染まった持ち手に、対をなすような白い刃が輝いている。
それに反抗するように、化け物は背中の針を放出し攻撃する。
少年は、それをレイピアで払いのけるが、それで手一杯のようだ。
ルーナは、風を吹かせ、針の勢いを弱める。
「幽夜!今だ!」
「勿論、分かっているさ!」
幽夜が化け物の懐に潜り込む。
首と思われる位置を、横に斬り払う。
頭と胴体が分かれ、頭がごとんと鈍い音をして落ちる。
戦闘終了 そう思い、ルーナとレイピアの少年はほっと息をつく。
「これで終わりですわね 案外拍子抜けでしたわ」
「…いや、まだ終わりじゃないよ」
「え?」
幽夜が短剣を構える
その瞬間、残った胴体のあらゆる場所から針が発射される。
幽夜が、目にも見えない動きで、その棘を全て払いのけた。
流石の動きに、2人はびっくりして動けなかった。
胴体だけになった化け物が、ゆっくりと立ち上がる。
落ちていた頭が溶け、首からにょきにょきと頭が生えてくる。
幽夜は化け物に近づき、攻撃を仕掛ける。
しかし、化け物がその攻撃を防ぐ。
「なかなかやるね…なら 僕と一曲、踊らないかい?」
カッコつけた言葉を言ったその瞬間、化け物と幽夜の真剣勝負が始まった。
2人が援護しようにも、出来ない。
入り込む隙が無いのだ
その2人は、まるで踊っているかのように、かろやかに戦っていた。
一つの芸術と言っても、過言では無い。
激しい攻防の末、またもや化け物の首がごとんと落ちる。
そして、化け物の体がサイコロステーキのように、バラバラになり、そして霧になって消えた。
今度こそ、戦闘終了だ。
「幽夜!大丈夫だったか!」
「あぁ、問題ないさ。2人とも、油断しすぎだよ。
今度から気をつけてくれ」
「た、確かにそうだけれど…貴方、無茶しすぎですわ!
私達を、もっと頼ってくださいまし!」
ルーナがぷんぷんと怒る
「それはすまなかった 僕1人でも倒せると思ってね」
「確かにお前は強いが、ルーナの言う通り無茶は禁物だ。俺たちも居るんだからな。」
少年が、幽夜の肩に手を置く。
「…ありがとう勝(しょう)君」
「さて、そろそろ帰りますわよ。3人揃って寝不足だと、優花に怪しまれますわ。」
スカートについた埃を払いながら、呼びかける。
「そうだな。じゃあ2人とも、帰ろうか。」
「あぁ、帰ろうか。」
3人の高校生達が、月光に照らされながら帰路に着く。
大切な友人に、本当の事を明かさぬまま。
お題『踊りませんか?』
行きたくない。
けど行かなきゃならない。
私は桜華財閥の一人娘。
周りは
「羨ましい。私もそんな生活してみたい。」とか
「この家に生まれて幸せね。努力しなくてもなんでも手に入るわね〜」とか
「一生チヤホヤされて生きていけるのねぇー」
なんて、勝手なことを言うけど私は普通の家に生まれたかった。
貧乏でも、食べるものがいいものでなくてもいい。
ただ家族みんなで笑って食卓を囲むの。
普通の高校生のように放課後はカフェなんて言って恋バナして、会話に華を咲かせるの。
周りからの視線を気にせずに楽しく外を歩けるの。
想像するだけでも幸せな気分になる。
お嬢様なんて、全然いいことなんてないのに。
小さい頃から、食事のマーナを教えられて。
家族で食べることなんて滅多にない。ただメイドが見てるだけ。
大金持ちのお嬢様学校に通って、帰りの放課後はSPに見守られながら真っ直ぐに家に帰らないといけない。
同級生なんて、自分の家の自慢ばかり。楽しくない。
たまに、周りからの言葉に叫びたくなる。
「変わりたいなら、変わってあげるよ!
わたしは普通に生活したいの!誰か変わってよ!」
って。
実際はそんなこと言えやしないけど。
鏡に映る化粧をして綺麗なドレスに身を包んでいる着飾られた私の姿。
鏡に映る私は笑えるほど酷い表情をしていた。
どこにいても1人でいても息苦しい。
もう全て投げすてたい。
こんな家出てしまいたい。
そう思うけど、すぐに頭の中に浮かぶのはお父様の顔。
「はぁー。」
ため息をつくと、すぐにお手伝いさんが入ってきた。
「麗さま。パーティーのお時間です。」
「分かりました。今行きます。」
今すぐにでも帰りたいと願っている自分の重たい腰を上げて、会場へ向かった。
♡ ••┈┈┈┈┈┈┈┈•• ♡♡ ••┈┈┈┈┈┈┈┈••
「この子がわたくし、桜華 利秀の一人娘、桜華 麗です。これからお世話になると思いますのでよろしくお願いいたします。」
「初めまして。桜華 麗です。
これからよろしくお願いいたします。」
子供の頃に身につけた愛想がいい綺麗な微笑みを浮かべて挨拶をする。
お偉い様方の反応は・・・・・・・上出来か。
「ほぅ。綺麗なお嬢ですねぇ。
ぜひ、うちのバカ息子の嫁にきてほしいぐらいだよ。」
「ふふっ。口がお上手で。」
吐き気がする。
こんなジジイ達に笑顔を浮かべて、ご機嫌を取ってる自分にも。
いやらしい笑みで私を見てくるジジイ達にも
そんな気持ちを表に出すことは許されるわけもなく、言葉とともに取り繕う。
そんなふうに笑顔でいれば、一通りの挨拶は終わる。
少し離れたところでお父様と2人きりになる。
「麗。もっと、話さんか。相手は気に入られれば得するお偉い様だぞ。お前ならできるな?あの時のように私は娘にがっかりはしたくないからな。」
お父様の居丈高な様子に少しだけ恐れを感じ、首を縦にふる。
「はい。お父様のご期待に応えられず申し訳ありません。次はもっと必ず完璧に振る舞います。」
「それでこそ私の娘だ。
今日はもういい。私はまだやることがあるから、麗は会場の中にいなさい。多少はゆっくりしてていい。
でも、桜華財閥の娘の威厳を忘れずにな。
誰かから話しかけられたら完璧な態度で振る舞えよ。
私の娘なんだ。それができるな?」
「はい。承知いたしました。」
お父様は私の頷いたのを確認して、私の元を離れた。
苦しい。
どこにいてもどんな時でも。
休んでていいと言われても、後に続く言葉が気を休ませない。
お父様から出る言葉はいつも決まってる。
「どこにいても、桜華財閥の娘だと言うことを忘れるな。」
「常に完璧でいろ。」
「がっかりしたくない。」
そんな言葉ばかり。
気持ちは分かるんだ。
お父様も、ここまで先代が完璧に作り上げてきた桜華財閥を潰してはいけない。娘の私が少し誤った振る舞いをすることで事が大きく変わることだってある。
だから、お父様も必死になる。
私にも完璧な態度を求める。
一度の失敗は許されない。
小さい頃、小学6年生に一度だけ失敗したことがある。
それは小さく事は済んだけど、お父様にはすごく怒られた。
「私をがっかりさせるな!私の娘なんだから、私が絶対に恥をかくことをするな!
いいか。常に完璧でだ。
泣くな!泣いても何も変わらないし、許されない!
次こそ失敗しないように努力しろ!」
お父様のあんなに怒った顔は見たことがなくて涙が溢れるけど、それさえ許してもらえなかった。
お父様はその日からもっと厳しくなり、稽古やマナーの勉強が寝るまで続いた。
その日から私は知識を頭の中に入れ込み、完璧に振る舞えるように頑張った。
お父様の笑顔はしばらく見ていない。
昔のことを思い出すと頬から笑みが消えそうになるが、必死で取り繕って、端に移動してワインを注ぐ。
すると、急に音が鳴り始めた。
ダンスの時間のようだ。
男女がペアになって踊るらしい。
なら私も踊らなければならない。
そう思って周りを見回すと1人の男性が誘ってきた。
「一生に踊りませんか?」
「もちろん。光栄ですわ。」
笑顔で受け入れて踊り始める。
それからはそれの繰り返しだ。
曲が終わりに近づき、あと1人ぐらいで終わりかなっと思った時、
見る景色が停止した。
周りの踊っている人達はピタリ止まり、動かない。
お父様も動いていなかった。
・・・・・どうなってるの?
不思議すぎる出来事に意味がわからなくなった時
「おねーちゃん。」
声がした。
声の方を向くとそこには、
1人の男の子。
5歳ぐらいの男の子だ。
この大人だらけのパーティーに子供が1人だけいて、その子は動けている。
どう言うことなのだろう?
「びっくりさせてごめんね。おねーちゃん。
ここはね、僕が世界を停止したんだ。
だから、おねーちゃんと僕以外は動かないよ。」
「あなたがしたの?なんで?」
男の子はうーん。と言って笑う。
「だってこのままにしてたらおねーちゃん。壊れちゃうから。だから止めちゃった。今は誰も見てないし、誰もいないから、安心して休んでいいよ?」
壊れちゃう、か。
「おねーちゃんにも休む時間があっていいんだよ。
お嬢様らしくしなくていいの。
ありのままでいていいんだよ。この世界は1時間。
1時間しかあげれないけど、ごめんね。ゆっくり休んで。ご飯もたくさん食べて。なーんにもきにしなくていいよ。」
もう何がなんだかわからないけど、もういいと思った。
「このドレス脱いできていい?」
「いいよ。」
ドレスを脱いで身軽になる。
お腹が空いたなと思って、ご飯をご馳走になる。
「人の目なんて気にしなくていいからね。」
それからは食べ方も気にせずに思い切り食べた。
そして、控え室のベットに横になって好き放題する。
少し羽目を外しすぎかと思ったけど、誰も見てないならいいやってなって、自由に過ごす。
生きてる中で1番楽だったと言ってもおかしくない時間だった。
もうすぐ1時間が経つ。
もうこの時間が終わる。
名残り惜しく思った時、
「楽しめたかな。」
いつの間にか消えていた男の子がまた現れて、そう言ってきた。
「うん。楽しめた。
ありがとう。」
「おねーちゃん。きつい時は休んでもいいんだよ。
例え周りがなんと言おうがおねーちゃんは1人の女の子。
桜華 麗 じゃなくて、普通の女の子の麗でいてもいいんだよ。僕はそっちの方が好きだよ。」
「でもーーーーー「待ってて、もうすぐ迎えにいくから。僕が君を救うから。」
謎の言葉を残して消えた。
それからは普通に世界が動き出した。
なんだったのだろうか。
不思議な男の子。
迎えに行く?ってどう言うことだろう?
パーティーで、男の子のことが頭から離れなかった。
続く?かもです。
『踊りませんか?』
ゆっくりとした調子から始まる
私の奏でる演奏に合わせて
貴方はワルツを踊る
軽やかで、まるで精霊のように美しい
けれど、
そんな貴方と踊る相手は私じゃない
私はただ、音を紡ぐだけ
貴方は私の気持ちなど知らずに
他の女性と踊る
嫉妬や妬みではなく、憧れてしまう
貴方と踊ることに
私の演奏に会わせて踊っている貴方は、
まるで操り人形のよう
少しの優越感と、少しの劣等感
嗚呼、
この演奏をやめて、貴方と踊りたかった
叶わぬ願いをのせて響く演奏
一度で良い
私と踊りませんか?
演奏も何もない
――無音のワルツを――
ほらおいで 月が綺麗だ
誘う手が 引き出す夜へ めくるめくまま
#短歌 #書く習慣 20231004「踊りませんか」
美しく舞う。
その人は、凛としていて……誰よりも、泰然自若な人だった。
たとえ、なにをいわれようとも、いつも、己の正しさを貫く人だった。
舞いは、その人の全てを映すと思う。
舞いをどれだけ努めたか、どれだけ表現したいか、どれだけ想っているか。
だから、舞いには……その人の思いが籠もる。
その人の舞いは 力強く、かろやかで、やわらかい。
そして、指先から爪先の細部まで、美しい。
決して、観客を退屈させない……それどころか、魅せられる。
その人の舞いには、人を惹き込ませる力が在った。
恐らく、それほどまで、その人は……舞いに命を賭けているのだろう。
たった一つ、その振り付けに 鮮烈な思いを籠める。
いつか、必ず…わたしは、貴方とともに舞う。
それが、わたしの夢だった。
月を浴びて、BGMは無いけれど、ここで貴方と踊る。
いやだ、いやだ、認めない私は認めない
私は障害者じゃない!私は音が聞こえるわ!!
だから、踊らせてよ…
ちゃんと、音聞こえるもの…
ダンスと音楽は私の全てなの!
だから、奪わないで…
――――――――――――――――――――――――――
「あなたが、詩さん?」
え、?そうですけど…
「良かった。ちょっと着いて来て。」
えっちょっ、まって、
扉を開けると、
私の好きなダンスを踊っていた。
でも、何かが違う…
「これね、手話を混ぜたダンスなのよ。ねぇ、あなたダンス好きなのよね?だったら、私達と踊りませんか?」
別れた魂達が
あの星この星で
再び出会い
手を繋いで踊る
慣れないダンスで
戸惑いながら
時々踏みあった
足に血を滲ませ
曲が変わる度に
相手を変え
また初めてのように
ぎこちなく
かみ合わない
互いのリズムに
導きながら
導かれながら
踊る
踊る
踊りませんか
心ゆくまで
足の痛みさえ
忘れるほどに
踊りませんか
飽きるほどに
二人だけの
新しいダンスを
「踊りませんか?」
人生や運命
そんな気重な舞踏会からの招待に
「踊りませんか?」
エスコートしてくれる声音と差し伸べられる手は
何故かいつも
美麗で優しく魅力的だったりするものだから
「ありがとう、喜んで」
ついうっかり
後先見ずに掴んでしまう
-2nd story-
傘をくるくる回す小さな娘は
ダンスでも踊っているみたいだ
大きくなったら…
王子様のような素敵な彼氏もできるのだろうね
でも、それはまだ先の話
「可愛いお姫様、一緒に踊りませんか?」
振り返った娘はキョトンとした後に笑う
手を差し出すと、握り返す小さな指
大きな傘と小さな傘が、くるくる回る
雨もリズムに合わせて、パラパラ跳ねる
期間限定の王子様だけど
今暫くは、パパにしておいてね
一緒に踊って
時間を共有する。
目を見つめあって
手を取り合って、
ダンスホールは
大きな絵本の挿絵となり、
私たちだけが
私たちだけのものになる。
今宵貴方と全てを
一瞬を
私にくれませんか?
–踊りませんか?–
#14 踊りませんか
風と一緒に舞っている
春はたんぽぽと
夏は向日葵と
秋は金木犀と
冬は椿と
年中草木と
風になびかれ飛んでいく
今日は貴方と踊ろうか
2023/10/5
3__踊りませんか?
愛した人々の鉄のにおいが充満する地下室。
これで何度目だろうか。
厚く重い扉を開ける。
長く冷たい廊下を通り、バスルームへ。
シャボンの匂いに包まれ、黒を洗い流す。
衣装部屋へ向かい、白を身に纏う。
屋敷の外へ出て馬車に乗る。
優雅な音楽。着飾った人々。庭に咲き誇る真っ赤な薔薇。
今日も私を仮面を被るのです。
そうすれば、ほら。
「踊りませんか?」
貴方じゃなくても私を愛してくれる人はいる。