『街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「このアプリ入れて最初のお題が、『遠くの街へ』だったのよな……」
まさか、2月に「近くの街へ」だの、「遠くの町へ」だの、そういう変化球来ないよな。某所在住物書きは今日も相変わらず、自分の執筆スタイルから何が書けるか、悶々に悩んでネット検索をさまよっている。
「街」と「町」は違うらしく、かつ、街の説明が各ページごとにゴチャゴチャ違う。
商店街、住宅街、街道に街頭。どの説明と、どの語句に基づいて街を書けば、楽に今回投稿分が終わるか。
「逆に『町』って、熟語少ない、ワケでもない?」
街に困ったら、町も調べよう。物書きは「町 熟語」に執筆のヒントを見出そうとして、
検索をかけた途端、「町」の字がゲシュった。
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室、早朝。
部屋の主を藤森といい、街に花と山野草あふれる雪国の出身で、ここ数年、例の感染症のために帰省をずっと見送っていたのだが、
国内での感染確認から4年、とうとう5年目に突入する泥沼と、なにより今回の題目が題目であったので、
過去の波の事例から、第10波の感染者数は2月末、3月上旬頃には減少に転じると賭け、予想し、
スマホで新幹線の予約を、取ろうとして、チケットの枚数で、悩んで首筋をかき、ため息を吐いていた。
職場で長い付き合いの後輩は、生粋の東京都民。
藤森のスマホに実家の花が、雪が送られてくるたび、あるいは藤森の部屋にクール便で到着した、田舎クォンティティーの野菜等々を分けてもらうたび、
「連れてって」と、何度も駄々をこねた。
本人は世辞でも社交辞令でもないと言う。
事実だろうか。多分事実だろう。五分五分の確率で。
はぁ。
ぼっちの部屋に再度、ため息が溶けた。
ひとりで勝手に帰省して、土産のひとつでも買ってきて、事後報告するのが無難なのだ。
――去年後輩にデカい借りさえ作らなければ。
(8年越しの恋愛トラブル、粘着質な加元さんとの縁を切れたの、完全にアイツのおかげなんだよな……)
詳細は過去11月13日投稿分だが、スワイプが酷く、至極、わずらわしい。
要するに理想押しつけ厨の元恋人に執着され、職場にまで押し掛けられた藤森に、トラブル解消のきっかけを与えたのが、何を隠そう、この後輩であったのだ。
五分の世辞を警戒して単独帰省を敢行して、実は本心が五分の事実の方だったとき、
土産を受け取った後輩の、心的温度はどこまで急降下、あるいは急上昇するだろう。
『せんぱぁい?』
目を細め、口角が上がっているようで実は唇一文字、瞳がちっとも笑っていない後輩を、藤森は容易に想像することができた。
『わたしね、何回も、先輩に、「先輩の街へ連れてって」って、言ったような気がするの』
くしゃり。
きっと藤森が購入したご当地菓子だの、小さな紙製の包装箱だのは、秒で握りつぶされるだろう。
『ところで、加元さんの件、私、先輩からまだ貸し、取り立ててなかった気がするの。
桜が咲く頃とか予定無い?先輩の親友の、隣部署の宇曽野主任も、誘っちゃって良いかなぁ』
わぁ。たいへん。
「……話題だけ振っておくか」
高解像度の後輩が、藤森の脳内でスマホをかかげて、グランクラス料金で座席を予約する。
さすがに現実になっては困るのである。
藤森は時計をチラ見し、モーニングコールの名目には丁度良い時刻であることを確認して、
それとなく、ただそれとなく、後輩にメッセージを、
送ろうと思い立って、しかし送信直後に思い直し、
わざわざ朝っぱらに変な話題を提示するより、昼の休憩中にしれっと話す程度で良いだろうと考え、
最終的に、スマホを通勤バッグに突っ込んだ。
その日の昼休憩で予定通り、藤森は帰省時の新幹線の座席予約について、それこそしれっとサラっと、後輩に話を出したのだが、
結果として、後輩の本心は五分の事実の方だったらしく、グランクラスの出費は見事に回避された。
今年の2月末から3月上旬頃、藤森は後輩とともに、故郷たる花と山野草あふれる雪国の街へ、帰省することになる。
街へ行きたい。
普段、スーパーも銀行もドラッグストアも図書館も歯医者もパン屋も徒歩5分以内の所にある場所に住んでいるからか、街に行く機会がない。
要するに、行動範囲が狭いのだ。今は無職だから尚更。
1本バスに乗れば街に行けるのに。行こうとしないのは、本当のとこ行きたく無いのかもしれない。
木を隠すなら森の中。
人を隠すなら街の中。
#街へ
僕は散歩が好きだ。同じ道を歩いていても体調や気分によって見え方が全く違うからだ。それがどうしても不思議でまた散歩をしてしまう。
今日もいつものルートの道路の狭い住宅街を進み、前方の十字路を渡ろうとしたその瞬間、左側から車が猛スピードで通り過ぎた。頭で考えるよりも先に体を後退させ、衝突を避ける。バランスを崩し、尻餅をついた。飛び出してきた車に文句を言いたかったが、頭が冷静さを取り戻した頃には、車はもう見えなくなっていた。今更痛覚が戻ってきて、倒れる時に打ったと思われる腕や足が痛かった。今日の散歩は最悪だ。さっさと帰ろうと腰を上げようとしたそのとき、
「あの、よかったらこれ、使ってください」
いつの間にか目の前にいた女性がハンカチを差し出してくる。僕はうまく言葉が出てこなくて、愛想悪く受け取ってしまう。彼女は急いでいるのかすぐに立ち去ってしまった。
翌日、僕は昨日と同じ時間に散歩する。彼女にハンカチを返すために。
街へ…。
少しポジティブになりたくて街へ出てみる…。
どこから行けばいいのか分からない…。
何から見れば良いのか分からない…。
目的がないと街に出たらいけないのか…。
自分と葛藤する…。
人混みに疲れ、雑音に埋もれる自分…。
それでも街の電飾だけは自分を癒してくれた…。
街へ #35
また私は一人で深い夜の街へ駆けていた。
晴架に呼ばれたわけではない。
夜の風を浴びたかったわけでもない。
ただ独りで満たされない心を満月で満たそうとした。それ以上の意味はない。
私みたいに太陽に頼らないと輝けないから。
私は自分と月を重ねてしまう。
私と一緒にしないでほしいと言われてしまうかもしれないけれど、私と月は違う。
そんなことは分かっているよ。
私は誰かの相談にしかのれないし、多分いらなくなったらまた捨てられるだろうなという怖さがあるけれど、月はずっと空にいる。
私たちに安らぎと優しさをくれる。
捨てられたりなんかしない。
いつも私たちを見守ってくれている。
ビルの間から見える雲の流れ。
凛と立つ寒さに負けない緑の街路樹。
北欧のインテリアショップ。
美味しい噂の新しいカフェ。
春の予感の靴のお店。
街の彩りの中を歩く。
活気に息づく時間を君と。
題「街へ」
récit œuvre originale
街へ
ちょっと田舎のこの町から
ちょっと都会のあの街へ出かけた。
一見、普通に家族がいて友達がいて
一見、普通に仕事や学校に行って
一見、普通に生活しているような
人達が街に溢れている。
心身の不調と闘う娘と私は
電車に乗って街に混ざっていた。
向かいの席に、娘より少し歳上の
白いワンピースを着た可愛い人が
座っていた。なんてステキな笑顔の人
なんだろうと、目の端で見ていた。
その両腕にはリストカットの傷跡が
並んでいた。
こんな可愛い笑顔の人が、どんな思いで
毎日過ごしているのだろうと思った。
特別なことなどなくても、充実した
穏やかな日常を過ごすことが
どうしてこんなに難しいのだろう。
街には、普通に見える人達で溢れている。
余談_φ(・_・
ここでの“普通”という言葉の使い方が
あまり好きではないのですが
あえて使います。
電車に乗って、街へ行こう。
行くときはドキドキソワソワ、帰りは満足感でふわふわぐったり。
映画館にランチにショッピング。
晴れた日は、街へ行こう!
私は街が嫌いだった。
ネオンを着飾り激しく点滅する歓楽街に身を侵されてしまった私は、ゆるゆると過去のことを思い起こす。
田舎生まれということに対するコンプレックスゆえの反骨心だったのかもしれないけれど、私は街に行くが嫌いだった。お母さんがやけに厚い化粧で、一張羅を着ていることに耐えられなかった。お母さんが、行くよっと声をかけても押し入れの中に閉じこもったままで返事もしなかった。結局半べそで引きずられながら外出したのだ。
それが今となってはこのザマ。もうどっぷりだった。
羽振りのいいオジさんの腕にしがみついて嫌らしい色調のランプで照らされたベッドに沈み込む。彼が私の首にごつごつした手を当ててゆっくりと締め付けてゆく。呼吸ができなくなる。視界がぼんやりとして、その先の世界が見える。あすこは桃源郷。街はあすこへの入口だったのだ、と私は気づいてしまった。
都会の根本で燻る狂気。魔法みたいに出てくる札束。窒息寸前の快感。私は今日も街に溺れて気持ち良くなる。
私は、此処が好きだ。
田舎の村さ住んでるおらは、都会の街にある高校受験する為さバスさ乗った。
街さ行ぐなんて初めでの出来事。しかも一人だ。もうこれは一づの冒険だ!
わぐわぐど不安抱えでバス降り、電車さ数十分揺られるど、見だごどもねえ高え……何あれ? あれがビル? 高過ぎる。そだ高えビルが建ぢ並ぶ街へど降り立った。
こだ高え建物、倒ぼっこしたらどうなっちまうんだべー。おっかねえ。
そだ風さキョロキョロ辺り見回しつづ、少し歩ぐど良い匂いが漂ってぎだ。どうやら飲食街のようだ。そういえばドキドキしてで朝ご飯食べるのすら忘れでだ。
見だごどもねえメニューが並ぶ店さ入る。そういえば、一人で外食するのなんて初めでだ。ますますドキドキしてぎだ。
「イラッシャイマセー」
なんだが片言の外国人が声掛げでくる。
とりあえずメニュー指差す。暫ぐするど料理が運ばれでぎだ。正直、んめぇのがはわがらねがった。
店出るど、ホテル探し始めだ。
受験自体は明日で、今日はホテルさ泊まり混みで勉強するんだ。あど、受験会場も確認しておがねえど。ホテルの近ぐさあるらしいがら、そらほど見づげんのは難しくねえどは思うげんとも。
親さ渡されだ地図見る……雑でよぐわがらねがった。
仕方なぐ、周りの人さ声掛げるごどにする。
「あのー……すまねえ」
「Ce qui s'est passé?」
「え! えっと……!」
やばい。外国人だ。何言ってるがわがんねえ。
「えっと、えっと……すまねえー!」
おらはダッシュで逃げ出した。名も知らぬ外国人さんごめんなーい!
暫ぐ歩って、余計さ場所がわがらなぐなった。
今度ごそ日本人さ話し掛げっぺ。
「あ、あの、すまねえ……」
「什么? 我现在很忙!」
まだ日本人でねがった……アジア人だげんとも、間違えだ……。
「すまねえでしたー!」
そしてまだ逃げ出した。
なんでこらほど外国人がいんの? はっ! もしかして、都会は外国人さ乗っ取られぢまった!? おっかねえ。
「よぉ、姉ちゃん。なんかお困りかい?」
日本語だ!
振り返るど、そごさはスーツ着でサングラス掛げだ強面の男の人が……。
ヤ、ヤクザだー!
殺される。わがねだ。おらには田舎で待ってる爺さまや婆さまや父っつぁまやおっかさまやポチがいんだ。死にだぐねえよー!
都会おっかねえ。もう都会になんて来ねえ!
ヤクザはおらの手がらひょいど地図取り上げだ。
「ん? このホテル行きたいんか?」
……え?
思わず顔上げ、こぐごぐど頷ぐ。
「ホテルならここだよ」
え!?
気付げば、目の前さホテルがあった。どうやら周辺ぐるぐる回っていだだげのようだ。しょうしい。
「そうかぁ、お客さんか。ようこそ、うちのホテルへ」
えぇ!?
ヤクザでねぐで、このホテルの人!?
「それでは受付へ参りましょう。お荷物お持ちします」
さっとおらから荷物受げ取るど、すたすたど前歩ぎエスコートしてくれる。
何これ、さすけねえ? 騙されでねえ? 本当は悪の秘密結社だったりしねえ?
中さ入るど、受付さ見覚えのある外国人が――。
「Ah! La personne de tout à l’heure !」
「也许你也会留在这里?」
何言ってるがわがんねえげんとも、とりあえず笑ってごまがしておぐべ。
「もしかしてあなたもそこの高校を受験するんですか?」
さっきのヤクザ……でねぐでホテルの人が訊いでくる。おらは頷いだ。
「じゃあこの二人と一緒ですね」
え! この人らも受験生!?
「エ、アンタモ!?」
「ヨロシクネー!」
アジア人が驚いだ様子でこっち見る。白人がおらの手取りぶんぶんと振ってくる。
つーが日本語話せだんかい。
「こちらが部屋の鍵です」
鍵受げ取っぺどするど、白人がそれ横がら取り上げだ。
「え、おらの鍵」
「ジャア、ミンナデベンキョウダー!」
「部屋イクヨ」
「え、え、なんで二人どもおらの部屋さ来るごどに!?」
「受験頑張って」
ヤクザみてえなホテルの人も二人を止めでくれるごどなぐ、笑顔で手振る。おらは半ば引ぎずられるように部屋へど向がった。
都会って、街って、おっかねえ。
早ぐ田舎さ帰りでえ。田舎の村でのんびりしてえ。
なんで村には高校がねえの。街まで出ねえどいげねえって本気で言ってる?
おらの初めでの冒険は、こうして始まったのだった。
『街へ』
僕の愛した街はとても美しい所だった。
自然と社会が均等に保たれていて、街には笑顔も溢れていた。
それはまるで幻想郷の様な街だった。
僕は、旅好きで旅の途中で出会った彼女と一緒に色んなところに出掛けていた。
僕は、いつも彼女に僕の愛した街について話していた。彼女もそれを喜んで聞いてくれて、いつか2人であの街に一緒に行こうと約束した。
今は、別の街に来ている。
彼女は、出かけたままずっと帰って来ない。
なので僕は、彼女を探して色んな街を転々としている。
でも、どこへ行っても彼女は見つからない。
それにどんなに向かっても、僕の愛したあの街には辿り着けない。
どうして、、、
見つからないんだ。
どうして、、、
辿り着けないんだ。
彼が昏睡状態になってから1年が経った。
私が出掛けている間に事故に巻き込まれ、彼は未だに目を覚ましていない。
彼はずっと、あの街の話をしてくれた。
きっと、貴方の事だから眠りながらも探しているのでしょ?
だから、せめて私の手で……
タイトル:街へ
「街へ」
私は一週間前に記憶喪失をしたらしい。理由は学校に行く途中に、居眠りトラックに跳ねられ頭を強く打ったかららしい。その時私の他にも誰か居たらしいが、今も思い出せないでいる。
「……?」
私は知らない間に寝ていたらしい。相当疲れていたのだろう。
今は夜だ。
気まぐれだった。急に一人街で散歩がしたいと思い、重い足を動かした。
今日の私は黒い格好だ。理由は忘れたけどなんだか目の周りが痛い。今日は雨が降っているというのに、傘を差さずに外へ出た。
私の肩に一つ二つと止めどなく雨の雫が私に降ってくる。
私は耳を澄ます。いつもの街だが一人で歩くとまた違う風景が見える。いつもなら誰かの体で見えなかった物が見える――
キイィィィィィ――――――ン
うっ!
私は頭を抱え、その場にしゃがむ。
急に頭に激痛が走る。それと同時に私の脳裏で何かの映像と声が流れ出す。
「ほんとお前は雨に濡れた街が好きだなぁ。」
「しょうがないじゃーん。好きなものは好きなん
だもん!」
「ま、そんなところもお前の魅力だけどな(笑)」
わたしと誰かが楽しそうに笑言をしている。
――ポロポロ
「あ、れ?ど、どうして…」
気付けば私の目から涙がポロポロと流れてきた。それは止まることを知らず、いつの間にか私は声を上げて泣いていた。ある人の名前を口にして。
「優弥!優弥ぁぁぁぁ~!ゆうやあぁぁぁぁ~!」
その名前を口にしたときまた
キイィィィィィ――――――ン
そして先程のように映像が流れ出した。先程よりももっと多く。
「……ッ!」
全てを思い出してしまった。
恋人がいたこと、そして名前は優弥ということ。そして優弥と学校に行っている最中に、居眠り運転をしているトラックに、私が跳ねられそうなところを優弥が楯になったこと。
……そして、優弥が亡くなって、葬式が今日だと言うことを。
私はその場に倒れ、気付いたら自分の部屋のベッドの上に居た。
私は気付いた、これからは優弥が居ないこと。もう二度とあの優しさに、暖かさに触れられないと言うこと。私の全てを許してくれる目を見れないと言うこと。私の全てを包み込んでくれる暖かい彼がいないと言うこと。
私はこれから生きていけるのだろうか。
私は狂ってしまわないか。
「ハハハッ…ハハ……優弥……愛してるよ……」
グサッ
こんにちは!
今日は頑張って長文を書いてみました!!
誤字脱字がないか不安でしょうがないです(笑)
でも久々に長文書いたんですけど、結構良い感じに出来て嬉しいです😆
これからも呼んでくださると嬉しいです😊
可愛い服を身に付けて、背伸びした靴をとんと履き、おしゃれな帽子を頭に乗せたら、さあ!玄関を飛び出そう!
今日も街は大賑わい、八百屋も桶屋も人でいっぱい!今日は風なんて吹いてないのにね!
わあ!街一番のジュエリー屋さん、綺麗な宝石がたくさん並んでる!真っ赤な宝石に真っ青なお客さん、頑張れ隣の彼女さんが期待してるよ!
小腹がすいてきた?ならカフェに行こう、ここのマスターは堅苦しいけど、出てくるパフェは世界一可愛くて美味しいんだ!
今日は牛肉が安いって!ステーキにハンバーグにきのこの肉詰め、色々できちゃう!夕飯は何にしようかな?
気がつけば夕焼け小焼け、建物の影はすごく長い、それでもまだまだ街は眠らない、提灯が輝き、焼き鳥の匂いが鼻をくすぐる、あー!お腹が空いた!
街はいろんな魅力に溢れてる!街へ出掛けないのはもったいない!さあ、君たちも街へ行こう!
『街へ』
海から聞こえる波の音。空から聞こえるカモメの戯れている鳴き声。歩いていると風に乗ってくる焼きたてのパンのにおい。ガヤガヤと賑わう人たちの明るい声。僕に手を振るサラサラの髪の上に赤いリボンが特徴の女の子。
そんな街へ繰り出すと、僕の中で毎日新しい物語が始まる。僕はこの街が大好きだ。
______やまとゆう
『街へ』
小さい頃から兄と教皇以外に存在を知られていなかったオレにとって、聖域での生活は退屈そのものだった。
同年代の子供はおろか従者とすら話すことは憚られ、やむを得ず外出するときは厳重に警戒して外に出た。
そんな生活を続けていれば嫌になることは当然で、ある日オレは兄と教皇に無断で街に出た。聖域の外の街は人が多く気圧されたが、賑やかな街並みにオレは舞い上がった。
物見遊山で街中を歩いていると、「泥棒!」という声がした。声の方を見ると、一人の男がこちらに向かって走ってきた。手には何やら大きな荷物を持っている。
オレは反射的にその男に足をかけると男は盛大にすっ転んだので、腕を捻り抑え込んだ。少しして、少年がこちらに駆けてきた。
「あ……捕まえてくれたんですか。ありがとうございます」
「いや……」
「師匠に言われた買い物だったので、助かりました」
オレと同じくらいの年に見える少年は、心から安堵した感じでオレに頭を下げた。
「師匠?」
「え、あっ……」
オレが何気なく呟いた言葉に、彼はしまった、といった感じで口を抑えた。それを見て、オレは成程、と思った。
オレの予想通り、彼は聖域で修行をしている聖闘士候補生だった。小宇宙にはまだ目覚めていないが、その萌芽のようなものが彼には感じられた。
オレはそれを指摘した後、自分も候補生であると嘘をついた。この聖域で、オレの事を知らず、オレと話してくれる者は他にいなかったからだ。彼も、仲間が出来たと喜んでくれた。師匠は誰かと聞かれた時は少し困ったが、適当に誤魔化すと彼は「まぁいいか」と笑ってくれたのでオレも笑い返した。
それからオレは時々彼と周囲の目を盗んで遊んだ。オレは立場上から、彼は修行をサボっている後ろめたさから、誰にも見つからないようにだ。既に黄金聖闘士としての力をつけていたオレに比べ、彼はその肉体も小宇宙も貧弱ではあったが、そんなことオレには関係なかった。オレは彼と会い、遊ぶことが楽しくて仕方なかった。
しかし、ある日を境に彼は姿を見せなくなった。
サボっていることがバレたのか。最初はそんな風に考えていたが、一週間程経った頃、一人の候補生が死んだという話を耳にした。その候補生は崖から転落して死んだという事だった。そして、その崖とは、一週間前、彼と会うことを約束していた場所だった。
オレは愕然とした。オレにとっては何でもない場所でも、彼にとっては命懸けで来るような場所だったのだ。オレが彼との力の差を考えず、自分のことだけ考えていたせいだ。オレは激しく後悔し、自分の部屋で泣き通した。
オレが双子座の弟でなく、誰憚ることなく姿を見せられる存在であったなら――強烈な自己嫌悪は、やがてオレの存在を秘匿する兄と教皇、そして聖域そのもに向けられることとなった。
オレがいなければ、聖域がなければ、彼は幼くして死ぬことはなかったはずなのに。
オレの心に暗い火が灯ったのはこの時だった。その火は、その後もずっとオレの心で燻り続けた。
街へ
出掛けよう
新たな治療法を目指して
新たな病院を探して街へ出る
次こそは元気になれますように
次こそは長く働けるように
街にはいい病院があると信じて
街へ
今週、銀座の街で高級ディナーをご馳走になる!
高級ディナーの喜びより…銀座の街にキチンとした格好で出かける憂鬱が勝つ…………
1/28「街へ」
ガタガタ、ゴトゴト。
馬車の荷台はひどく揺れる。だが歩くよりはずいぶん楽だ。
今日は兄貴と街へ買い出し。自分用に買うものはないが、週に一度の楽しみだ。
街は春祭りの頃だ。綺麗に着飾った娘たちに会える。暖かな陽気も相まって、うきうきと心が弾む。
ガタガタ、ゴトゴト。
荷馬車は揺れながら、俺たちを街へ運んで行く。
(所要時間:6分)
1/27「優しさ」
「かわいいね」
そう言ってウサギをなでる君も可愛い。
「うちでも飼いたいな」
穏やかな眼差しが僕を虜にする。
「それで、死んだら残さず食べてあげたい。でも骨は食べられないから、庭に埋めてお墓を作ってあげるの」
優しい君を、うっとりと僕は眺める。
僕も、君が死んだら残さず食べてあげるよ。
(所要時間:6分)
1/26「ミッドナイト」
寝静まることのない都市。空には巨大な月。その月を背景に、ビルの屋上、マントに包まれて立つ姿がひとつ。
「今宵の月は良い」
男が呟く。
「お前を葬るには実によき日だ」
「こっちの台詞だ」
別のビルの陰で、銀の剣を抜く女。
「決着をつけてやる」
剣を構え、月明かりに飛び出す。男はマントを広げ、ふわりと跳躍する。
二人はもつれ合いながら、真夜中の底に墜ちていく。
(所要時間:10分)
1/25「安心と不安」
ようやく見つけた。むすっとした顔で、窓枠に肘をついていじけている。
「また振られたんだって?」
「うるさいなぁ」
「恋多き乙女は大変だな」
恋多き乙女にやきもきする幼馴染みはもっと大変だけどな。
でもよかった。あいつはあんまり良くない噂を聞いてたから。
「でさ、それとは別に気になってる人がいるんだけど」
「えっ」
もしかして、「今、隣りにいる人」…とか?
どぎまぎしていると、
「今、隣りのクラスの牧村くん」
「………」
あいつは女好きで有名だぞ。大丈夫か?
俺の不安が解消される日は、来るのだろうか。
(所要時間:10分)
1/24「逆光」
「また寝てる」
カナミの声が降ってきた。顔に被せていた本がどけられる。
「ミカってほんと、どこででも寝るよね」
そんなことはない。初夏の河川敷は誰しも絶好の昼寝スポットだ。
眩しさに薄く目を開けると、カナミは肩越しに太陽を背負って私の顔を覗き込んでいた。
「起きた?」
「まだ」
「何言ってんの」
鈴を転がすような声でカナミは笑う。
ああ。眩しくて、君が見えない。こんなに近くにいるのに。
(所要時間:8分)
天気が良いので行ったことのない場所の街を
散策する
すると今まで行ったことのない場所で
思いがけないものを発見する
普段とは見られない景色に最初からキョロキョロ
してしまう
おしゃれな建物やカラフルな色使いで歩行者を
楽しませてくれる