胃弱

Open App

 僕の愛した街はとても美しい所だった。
自然と社会が均等に保たれていて、街には笑顔も溢れていた。

 それはまるで幻想郷の様な街だった。

 僕は、旅好きで旅の途中で出会った彼女と一緒に色んなところに出掛けていた。

 僕は、いつも彼女に僕の愛した街について話していた。彼女もそれを喜んで聞いてくれて、いつか2人であの街に一緒に行こうと約束した。

 
 今は、別の街に来ている。
彼女は、出かけたままずっと帰って来ない。

なので僕は、彼女を探して色んな街を転々としている。

 でも、どこへ行っても彼女は見つからない。
それにどんなに向かっても、僕の愛したあの街には辿り着けない。

 どうして、、、
見つからないんだ。
 どうして、、、
辿り着けないんだ。


 彼が昏睡状態になってから1年が経った。
私が出掛けている間に事故に巻き込まれ、彼は未だに目を覚ましていない。

 彼はずっと、あの街の話をしてくれた。
きっと、貴方の事だから眠りながらも探しているのでしょ?

 だから、せめて私の手で……


                 タイトル:街へ

1/29/2024, 1:14:23 AM