街へ』の作文集

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街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

1/28/2023, 11:35:24 PM

在宅勤務になり、毎日電車に乗らなくてもいい生活が始まったときは、自分の足だけで用事を済ませることができる気楽さに驚いた。
通勤していた時は買い物もすべて会社帰りに行っていたからだ。
重い荷物を持って、混雑した列車の中で立っているのが当たり前だった。

でも今は、徒歩圏内のスーパー、ドラッグストア、図書館に、いつでも、気が向いたときに行くことができる。
その道すがら、清々しい太陽のひかりを浴びたりできる。
そして、真にひとりでいられるという気楽さ。

1時間に1本しかない電車に合わせて行動する必要がない。
とんでもなく早い終電に追われなくてもいい。

もうこの生活しかしたくない。
街へ出たくない。

/街へ

1/28/2023, 11:29:07 PM

前回の続き(1/27)

[居酒屋で再会する片桐と須藤]


40年前に開かずの部屋を見た私たちは、校長や教頭に口外禁止を要求された。


さらにこの先の人生の安泰を約束する代わりに、彼らに協力することになった。


開かずの部屋は"地下世界への入口"だったのだ。


学校の地下200メートル下に地下鉄が走っており、駅に通じていた。歴代の校長は、そこの駅長も兼務しているという。

勿論、一般社会には一切知らされていない極秘事項だ。


地上の移動手段は人・モノ共に混雑を極め、こういった手段がとられている。公にはできない物資の輸送や要人の往来にも利用されるので、まさしくウラ世界。

須藤はこれらを管理・運営する政府の裏機関に入った。事の真相を知りたいのが一番の理由だったが、納得いかないことがあるからだと言う。


「この国は世界イチ税金が高い。その理由がこんな一部の既得権層だけが利用する、地下世界の運営のために使われてる。おかしいだろ?」


須藤の言い分は至極真っ当だ。裏仕事とはいえ、国の機関で働く身としては風通しの良い社会を実現したい。


私がこの小学校の校長に赴任することも、機関のリストを事前に入手して知ったと言う。そしてこの機会に私に話しておきたかった事を伝える。


「片桐、俺と一緒にこの地下世界を一般に開放しないか?俺はその為に機関の中で地位を上げて同志を募り、今まで尽力してきた」


私が教師を経て校長に選ばれたのも、彼らの既得権を存続させる為なのだろう。私だって、彼らの安泰を条件に校長になったつもりなど毛頭ない。


「須藤の活動がここまで踏み込んでいたとは。私も何か協力できるなら是非手を貸したい」


その後、私たちはそれぞれ地上と地下で、これらの事実を広めていく活動を行っていく。

勿論、既得権層の抵抗は激しく、時には妨害や圧力・生命を脅かされることが幾度もあった。だが、その度に支持者は集まり、やがては全国に波及していく。

この活動はお互いの家系を引き継いで続けられた。


[50年後]

あの小学校は巨大なショッピングモールに様変わりし、いまや街の観光拠点に。

地下鉄は一般開放されて、ビジネスマンや旅行客の快速・特急の足に盛んに利用されている。物流効率も飛躍的に改善された。

[ショッピングモールに併設された図書館]

ほらアヤコ。お母さん、買い物終わったから帰ろう。本は受付でダウンロードできるから
┐(´~`;)┌

お母さん。あの入口の銅像は何?

あれがね。この街の象徴"片桐さんと須藤さん"。ここが昔、小学校だった時にここで本を読んで育ったの。
今年で生誕100年祭やってるから、商品もお買い得なのよね(^^ゞ


入口には本の貸出と受け付ける2人の小学生の銅像が建っている。

1/28/2023, 11:22:41 PM

街へ。
 ぼくらには一つの目標がある。
「期末、どう」
「中間考査よりは落ちたけど」
 まあ、それなり。
 彼女は、はあ、と息を吐いた。ぼくはその二酸化炭素混じりの空気を吸う。駅のホームには誰もいない。次の列車まであと45分。呼吸するだけの45分だ。
「札幌?」
 掲示板の札幌行きの文字をぼんやりと眺める。
「せめて、ね」
「いいね」
「きみは出るんだっけ、ここから」
 出るよ、と呟いて、彼女の手元の英単語帳に目を落とす。この英単語、期末考査で意味を間違えたところだ。
 彼女が息を吸う。
「生きていく上でさ、」
 勉強って役に立つのかな。
 唐突な話の転換に、思わず目を合わせて、はは、と笑う。
「なに? 悩んでるの?」
「そんなんじゃないけど。そういうこと考えない?」
「考えるけど」
 でも。それでも、ぼくらの手札は勉強しかなくて。とりあえず、息のしづらいこの町から出て、街へ。

1/28/2023, 11:19:46 PM

【街へ】

街へ行くのはちょっとこわい
色々な人がいて
キラキラとした日常がなんかまぶしくて
その空間は自分とって息苦しくて、

昔は楽しかったのにな…

1/28/2023, 11:13:43 PM

青い空は今日も憎らしく、
人を見くびりきっている。

1/28/2023, 10:56:54 PM

「街へ」

都会にいるからなのか常に商店街の近くにいる、といる感じがする。
身近なのに、大体隣町のショッピングモールにでかけている。
広い世界に行ってみたい。どこか新しい街へ。

1/28/2023, 10:51:46 PM

まだ街へ行かないで

私もあなたも

まだ君だけを見ていたいの。

街に出たら

私とあなたは一緒にいられないの?

あなたは大丈夫って言うけど

私はどこにも言って欲しくないよ。

出来ればずっとここに居よう

少なくとも半日

いや5分とかでもいいから

まだあなただけを見て居たい

街へ行って離れても

きっとあなたを探してしまうから

私がすきになる人はあなたしかいないから

私があなたを探しても怒ったりしないでね。

行ってらっしゃい

気をつけて





─────『街へ』

1/28/2023, 10:25:40 PM

「街へ」



   感染症のせいか、以前より繁華街へ足を

   運ぶ人が少ないことを知った。

   車移動の多い地域だからか郊外の大きな

   ショッピングモールで全ての買い物が済

   んでしまうのも仕方が無いのかと思う。

   駅前でのお祭りも催しものも感染症の影

   響で無くなってしまったが、やっと復活

   することになった。

   以前のような賑わいは期待できないが、

   また少しずつでも街へ足を運ぶ人が増え

   ることを願う。

1/28/2023, 8:49:42 PM

いつかは引っ越して住んでみたい



そしたら、今いるここは、ふるさと、になるんだ

胸がキュッとした

ふるさとを置いていけない


もう、遠い場所に憧れるのを

やめなくては


夢も幸せも遠くを見る癖

すべては、今ここにあることがわかった私は



心の旅人をここで終わりにしようと決めた

1/28/2023, 7:51:23 PM

風が花の香りをわたしへ運ぶから
外へ出てみようと思わせる

花の香りは季節が変わることを
知らせてくれる

そうなれば部屋と服の衣替えだ
新しく服を買いに街へ行こうか

きっと素敵な出会いがあると
信じて一歩を踏み出す

__街へ

1/28/2023, 7:28:30 PM

『街に生きる』

 田舎から出てきてから、もう十年になる。都市とまでは呼べないが、この辺では一番に栄えるこの街で、相応の時間を過ごした。ここにはまっすぐな畦道も、広大な稲穂の海もない。カエルやコオロギの鳴き声も聞かなくなって久しい。十年前は厭わしくて仕方なかったあの田舎の雰囲気が、今では随分恋しかった。
 高校を卒業する頃、とにかく親元から離れたかった俺はこの町で就職した。田舎で一生を終えることは嫌だったが、東京に出るほどの勇気はない。地方都市ですらないこの街は、中途半端な俺にはお似合いと言えばそうかも知れなかった。親の反対を押し切って就職した会社は、白か黒かと言えばそれはもうどっぷり墨に浸かったかのような…有体に言えばブラック企業だった。平日は残業、土曜は休日出勤が常態化していて、日曜の休みも家で死んだように眠るだけで終わってしまう。あるいは親の言う通り、素直に農家を継いだ方が随分と幸せだったのかも知れない。適当な啖呵を切って家を出たものだから、今さら田舎へ戻るようなこともできず、毎日を惰性で暮らしている。
 朝起きて、朝食もそこそこに家を出る。満員電車に揺られて着いた職場で、何の意味があるのかもわからない朝礼を終えて、一向に効率化の進まないシステムで仕事に忙殺される。昼休みはゼリー飲料を流し込み、栄養補助食品で空腹を凌ぐ。午後の記憶はほとんどない。授業中の教室、窓の外の空に流れる雲をぼんやり見ていたあのゆったりとした時間の感覚は、もう数年と味わっていない。あの頃の空と、仕事の合間に一服しながら眺める空は、今の方が数倍くすんで見える。体に悪い煙で肺を満たしながら、そうでもなきゃやってられない毎日を恨んだ。だからといって上司に辞表を提出する勇気もなく、会社と自宅の往復のような日々を繰り返している。
 憧れていた都会の喧騒は、自分には耐えられそうにもない。所詮は地方の一都市で仕事に忙殺されて生きる人生と、長閑な田舎の片隅で汗をかいて生きる人生と、どちらが自分にとって幸福なのか。つらつらと考えてはみても、結局結論は出せずにいる。結論を出す勇気がないと言ってもいい。今まで耐えてきたこの時間が無駄だったとは思いたくない、いわゆるサンクコストのせいだろうか。こんなことを考えている時点で、もしかすると結論は明白なのかも知れない。
 今日もまた、昨日と同じ一日だ。明日もきっと何も変わらない。あるいは変わらないことが幸せと言えるのかもしれないが、それが自分に当てはまるかと言えば明確な肯定はできなかった。
 ため息混じりに最後の一息を吐き出して、灰皿に煙草を押し付けた。そろそろ仕事に戻らなければ、残業時間が増えるだけだ。俺はガラスに反射する自分の疲れきった顔から目を逸らして、仕事の積まれたデスクへと歩き出した。

1/28/2023, 7:16:44 PM

買った傘でも盗った傘でも
どちらでも雨は防げる
買った人にも盗った人にも
どちらにも晴れる時はくる
そんな街に居たんだと
盗られた僕は思い知る

盗った傘では 盗った人には
持ち主でないと開かないような
凍える雨がずっと降るような
勧善懲悪な何処かの街へ
ずぶぬれで僕は駆けていく

「街へ」

1/28/2023, 6:35:27 PM

人が多いところは嫌い
あなたを探してしまうから

大好きで大切で
その隣にいられるだけで幸せで
だから愛してると言えなかったあなた

何も言えないまま
いつしか道は分かれ
それでも今でも
私はあなたを探してる

1/28/2023, 5:49:25 PM

私の居るべきところ
どこに居れば満足なのかな

あてもなく
街から街へ

私という小さな生き物は
この大きな街まで
長い年月をかけて

流されるまま
気の向くまま
たどり着いたけど…

幸せかと言うと…

でもね不幸とは決して思わない

それなりに年を重ねたせいなのかもな

1/28/2023, 5:45:45 PM

青く晴れた木曜日、段々と暑くなって来た初夏。
僕は学校をサボる事にした。電車を乗り継ぎ当てもなく知らない街でおりた。まだ街は日常へと向かう人達がそれぞれの道へと進んでいる。そんな中僕だけが逆流していく。知らない街、知らない道、知らない…サボり方。どうしようか。…歩いているとふと普段なら興味なんて湧かない筈なのに妙に心惹かれる店を見つけた。今思えば暑さから、目的のある人々から隠れたかったのかも知れない。自然と店内へと入っていた。
本。右も左も本だ。少し古い、そして独特の匂い。何とはなく広くない店内を見回る。太宰治、芥川龍之介。僕でも知っている名前。その隣には武者小路実篤…読めない。知らない。そもそも漫画くらいしか読まない。どうしようか?

「いけないんだ〜。学生さんなのにサボり?」

急に後ろから声がして驚き振り返る。少し気だるげな女性が満面の笑みでこちらを見ている。どうしよう学校に言われる?怒られる?

「太宰治、読みなよ。坂口安吾もいいよ?」

「え?」

「これ、貸してあげる。読まなくてもいいけど、読んだら返してね。」

スッと棚から太宰の本が抜き取られ僕の目の前に突き出される。訳もわからず受け取ってしまった。

「人間失格もいいけど、他のもいいんだ。合わないなら違う話を読みな。」

「え、いいんですか途中でやめて違うの読んで?」

「いいの。分かる時と分からない時があるんだよ本は。つまらなかったり分からない時はまだの時だからまたいつか読むの」

作った落とし穴にターゲットがはまるのを待つ子供のような笑み。不思議と本を読んで見たいという気分になっていた。

「ありがとうございます。絶対返しに来ます!」

「うん。気をつけて帰りなね?」

手を振る彼女に僕は振り返す。腕時計を見ればまだ11時43分。今から行けば午後の授業を少しはできるだろう。駅へと走っていた。


「ということがあってね。」

「え、それで先生は国語のせんせーしてんの〜?」


少しクラスでも素行の悪い彼女は僕の教え子だ。ケラケラと笑っている。箸が転がってもおかしい年頃なのだろう。


「太宰治で先生になるなんて、せんせー変。」


おや?前言撤回。そういえばこの子は授業もまともに受けないし、素行も悪いが僕の所に来ては小説を借りて読んでいたな。


「僕も不思議だよ。けれどそのお陰で今君や3Aの皆と過ごせているから太宰治さまさまだ。」


正確に言うなら太宰治と本屋の彼女だが。


「…書を捨て町へ出ろと言う言葉がある。一方で本は人生を変えるという言葉もある。僕はあの日どちらもをいっぺんにしたんだよ。意図せずね。…君ももし何かあった時はしてみたらいいよ。おすすめだ。」


「ふーん。じゃあいつかなんかあったらやってみる〜。あ、チャイムだ!やば!!!」


気のない返事に苦笑すれば彼女もケラケラと笑うもすぐにチャイムの音が聞こえれば嵐のように去っていった。


次の日、彼女は学校にこなかった。そそのかしてしまったようで罪悪感を感じつつ確認のため保護者に電話をすれば困惑していたが、夕方あたりに帰ってきたとの電話が来た。…はは。彼女は果たしてどんな街に出会いどんな本に出会ったのだろう?きっと、明るく誰とでも仲良くなれる子だ。僕よりも多くの物と出会ったのだろう。


翌日、いつも通り早く来て授業の準備をしていれば、ふと気になり窓の外を覗いてみた。少女が走ってくる。彼女だ。キラキラと輝く瞳と溢れんばかりの笑みに良い経験が出来たのだと知り僕も自然と笑っていた。


彼女が準備室の扉を開けるまであと少し。麦茶でも用意してやろう。

1/28/2023, 5:44:41 PM

【街へ】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/29 PM 1:35

 ハーフタイムになり、ベンチに戻った
 選手たちが、休憩を取りながら
 顧問の話を聞いている。
 後半戦へ向けての作戦会議だろう。

「12点差か。追い付くのがどの位
 大変な差なのかピンと来ないな」

 バスケは体育の授業でやったことが
 あるだけで、ほとんど知識がない。
 観戦していて感じたのは、授業レベルとは
 選手のスピードがまるで違うということ。

「あと2Qあるから、逆転出来なくはないよ。
 宵の強みは、バテてくる後半になっても
 シュートの精度が落ちないことだから」

 宵のポジションはスモールフォワードと
 いうらしい。
 古結(こゆい)が《流川くんのポジション》と
 分かりやすそうな漫画で例えてくれた
 ようだが、残念ながら俺が知っているのは
 『あきらめたらそこで試合終了』という
 名言だけだった。
 あの名言に関しては、全てのスポーツに
 通ずると思っている。
 真夜(よる)の説明はもう少し具体的で、
 3Pシュートで得点を稼ぐことが多いけど、
 リバウンドやスティールで守備もこなすし、
 サッカーならミッドフィールダーに
 近いんじゃない、と言われて合点がいった。

「でも、これ二試合目なんだよな?
 こまめに選手交代してるとはいえ、
 スタミナかなりキツそうだな」
「そうだね~。それでも、負けないと思うな。
 だからね、天明(てんめい)くん。
 勝ったらわたしたちと一緒に
 街へ繰り出して、宵ちゃんの勝利を
 お祝いしてくれる?」
「勿論」

 真夜も古結も、宵のいるチームが
 勝つことを疑っていない。
 だから、俺もただ信じることにした。

1/28/2023, 4:56:07 PM

◇街へ
穏やかに吹く風がふわりと髪を遊ばせる、そんな気持ちの良い天気。生い茂る木々に、さくさく踏みしめる土。旅は順調、天気も好調。空に悠然と輝く太陽に、本当にいい天気だと腕を伸ばした。
「順調に行けば明日には着くかな」
木々を抜け、街道を歩いていけば見えて来るはずの王都に一体どんな所なんだろうとわくわくさせながら一歩一歩地面を踏みしめていく。
「街へ着いたら何しようかな」
人はどんなに多いんだろう、どんなお店があるんだろう、優しい人がいるといいな、早く街を見て回りたい、頭の中に次々と浮かぶ王都への憧れを胸に、気持ち早くなった足を動かし進むのだった。

1/28/2023, 4:52:44 PM

街へ


その場所の名前なんか知らない。
ただの住宅街、特にお店などある訳でもない、でもこの街が好きだ、理由は自分でも分からないがとにかく好きだ、それは君が住んでた街だからかもしれない。もう君が居ないことなんか分かってるのに。君との思い出がこの街に溢れてるから、もうこの街を出よう、周りの人達がこっちを見てる、
あぁ、どうやら僕は泣いてしまってるようだ。

1/28/2023, 4:50:09 PM

あなたとの待ち合わせ


初めてだね。駅前なんて。




やっぱり早く着きすぎちゃった。

あなたと歩く街はどんな感じなんだろう。


はやく逢いたい

1/28/2023, 4:30:30 PM

どうしようもない孤独に襲われた時ふとどこかへ行きたくなる。地名すら知らないどこかへ目的もなく。


今日は何故だか憂鬱な気持ちに襲われ全てを投げ出したくなった。仕事も人間関係も全てに嫌気がさして現実から逃げ出したくなるそんな衝動。

幸いにして休日な今日は,迷惑をかけない限りどんな行動をしようと指図されるいわれはない。タンスの中から服を選び着替えてハンガーからコートを外し財布を掴んで駅に向かって,来た電車に飛び乗ろうと誰にも何も言われない。


ゆっくりと加速する列車の中から見つめる見慣れたはずの景色は嫌にちゃちなミニチュアのように思える。

遠ざかる町並みはやがて認識できない程のサイズにかわり消えてゆく。一瞬で現れては消えるを繰り返す似通った景色。そんなものをただぼんやりと眺めていれば時間は流れ,聞こえてくるアナウンスが伝えるのは知りもしない地名。

ゆっくりと減速した小さな箱から降りたのは,丁寧にしかし猥雑に詰め込んだおもちゃ箱のようなその街並みが目に付いたから。


人にあふれる賑やかな駅を眺めながら適当にただ歩みを進める。行先などなくふらふらとさまようように,されど風を切るように歩を進める。

ふと立ち止まり眺めた空は赤みを帯びた紫に染まり,街が夕闇に覆われる直前であることを伝える。時間すら把握しないままの旅においては空の色は時を知る唯一の指標でもあった。


「忙しない場所」

通り過ぎていく誰もは足早に急いでどこかを目指す。小さな端末にだけ目を向け人を気にせず,立ち止まりもしない。

入れ代わり立ち代わり様々な人が,けれど皆同様にして何かに急き立てられるように先を急ぐ。その波に逆らうようにまた適当にただ歩く。

そうして辿り着いたそこは明るさだけを無理に集めて煮詰めたような,そんなアンバランスな煌びやかさを放つどこか。


「妙に明るい」

黒に染まるはずの場所は艶やかな光にさえぎられ,その眩さを引き立てる。赤青緑黄色青紫白 様々な色が乱雑に散りばめられたそんな世界。

いっそ毒々しく禍々しいほどにただ明るい。人工的な異物に塗れ空元気で持って保たれているかのような眠らない都市。


「.......なんか怖いな。人間みたい」

疲れ切ってそれでも笑う見知った笑顔を連想させるそんなところ。誰もが夢見心地のようなそんな恍惚とした表情を浮かべるそんな路。

得体の知れない恐怖を与えるそこは,けれど人に優しくて 少しだけ冷たい空気を放っていた。




テーマ : «街へ»

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