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前回の続き(1/27)

[居酒屋で再会する片桐と須藤]


40年前に開かずの部屋を見た私たちは、校長や教頭に口外禁止を要求された。


さらにこの先の人生の安泰を約束する代わりに、彼らに協力することになった。


開かずの部屋は"地下世界への入口"だったのだ。


学校の地下200メートル下に地下鉄が走っており、駅に通じていた。歴代の校長は、そこの駅長も兼務しているという。

勿論、一般社会には一切知らされていない極秘事項だ。


地上の移動手段は人・モノ共に混雑を極め、こういった手段がとられている。公にはできない物資の輸送や要人の往来にも利用されるので、まさしくウラ世界。

須藤はこれらを管理・運営する政府の裏機関に入った。事の真相を知りたいのが一番の理由だったが、納得いかないことがあるからだと言う。


「この国は世界イチ税金が高い。その理由がこんな一部の既得権層だけが利用する、地下世界の運営のために使われてる。おかしいだろ?」


須藤の言い分は至極真っ当だ。裏仕事とはいえ、国の機関で働く身としては風通しの良い社会を実現したい。


私がこの小学校の校長に赴任することも、機関のリストを事前に入手して知ったと言う。そしてこの機会に私に話しておきたかった事を伝える。


「片桐、俺と一緒にこの地下世界を一般に開放しないか?俺はその為に機関の中で地位を上げて同志を募り、今まで尽力してきた」


私が教師を経て校長に選ばれたのも、彼らの既得権を存続させる為なのだろう。私だって、彼らの安泰を条件に校長になったつもりなど毛頭ない。


「須藤の活動がここまで踏み込んでいたとは。私も何か協力できるなら是非手を貸したい」


その後、私たちはそれぞれ地上と地下で、これらの事実を広めていく活動を行っていく。

勿論、既得権層の抵抗は激しく、時には妨害や圧力・生命を脅かされることが幾度もあった。だが、その度に支持者は集まり、やがては全国に波及していく。

この活動はお互いの家系を引き継いで続けられた。


[50年後]

あの小学校は巨大なショッピングモールに様変わりし、いまや街の観光拠点に。

地下鉄は一般開放されて、ビジネスマンや旅行客の快速・特急の足に盛んに利用されている。物流効率も飛躍的に改善された。

[ショッピングモールに併設された図書館]

ほらアヤコ。お母さん、買い物終わったから帰ろう。本は受付でダウンロードできるから
┐(´~`;)┌

お母さん。あの入口の銅像は何?

あれがね。この街の象徴"片桐さんと須藤さん"。ここが昔、小学校だった時にここで本を読んで育ったの。
今年で生誕100年祭やってるから、商品もお買い得なのよね(^^ゞ


入口には本の貸出と受け付ける2人の小学生の銅像が建っている。














1/28/2023, 11:29:07 PM