【街へ】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/29 PM 1:35
ハーフタイムになり、ベンチに戻った
選手たちが、休憩を取りながら
顧問の話を聞いている。
後半戦へ向けての作戦会議だろう。
「12点差か。追い付くのがどの位
大変な差なのかピンと来ないな」
バスケは体育の授業でやったことが
あるだけで、ほとんど知識がない。
観戦していて感じたのは、授業レベルとは
選手のスピードがまるで違うということ。
「あと2Qあるから、逆転出来なくはないよ。
宵の強みは、バテてくる後半になっても
シュートの精度が落ちないことだから」
宵のポジションはスモールフォワードと
いうらしい。
古結(こゆい)が《流川くんのポジション》と
分かりやすそうな漫画で例えてくれた
ようだが、残念ながら俺が知っているのは
『あきらめたらそこで試合終了』という
名言だけだった。
あの名言に関しては、全てのスポーツに
通ずると思っている。
真夜(よる)の説明はもう少し具体的で、
3Pシュートで得点を稼ぐことが多いけど、
リバウンドやスティールで守備もこなすし、
サッカーならミッドフィールダーに
近いんじゃない、と言われて合点がいった。
「でも、これ二試合目なんだよな?
こまめに選手交代してるとはいえ、
スタミナかなりキツそうだな」
「そうだね~。それでも、負けないと思うな。
だからね、天明(てんめい)くん。
勝ったらわたしたちと一緒に
街へ繰り出して、宵ちゃんの勝利を
お祝いしてくれる?」
「勿論」
真夜も古結も、宵のいるチームが
勝つことを疑っていない。
だから、俺もただ信じることにした。
1/28/2023, 5:44:41 PM