』の作文集

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』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/16/2024, 3:10:04 AM

月光が糸の如く僅かに届く裏路地で、少年が歩いていた。まっさらなキャンパスを想起させるような白髪に、血の色を思わせる澱んだ赤色の目をしていた。 
黒い襤褸を被ってどこか楽しそうにステップを踏みながら道を進む。
そんな少年の様子をならず者たちが眺めていた。
彼らは集団で行動し裏路地に迷い込んだ子供を誘拐し売ることを生業としていた。
気配を殺し、獲物にバレずに接近し一瞬のうちに攫う。彼らは自他共に認めるプロだった。
今日も哀れな少年が再び自分の懐の金へと変わるのだと確信していた。
そして手筈通り背後をとって全員で囲い布を少年に被せようとした。こうしていつもの如く鳥籠に捕まる哀れな鳥のようにジタバタと袋の中を暴れ回る光景が目に浮かんだ。
だが次に見たかれらの景色は酷く錆びついた赤茶けた剣だった。
「羊が一匹羊が二匹羊が三匹」
今まで何事もなかったように、少年はステップを踏み続ける。
ただ変わっているのは彼の後ろに打ち捨てられている流血の跡すら見えないならず者たちの死体であった。
彼は貧民の出だった。生まれた頃から両親のいない彼が知っていたことは奪わなければ奪われることだった。
だが子供である彼に生存競争を生き延びる術はなかった。
全てを失いのに打ち捨てられていたところを神に見そめられ死神となった。
彼の刃は誰もきずつけずただ冷酷に魂だけを刈り取った。
戦乱の世をたった1人で終わらせた。
ある日は戦乱の指導者を、ある日は無双の戦士を
星の数のような途方もない数を殺して来た。
裏路地を歩き切ると美しい噴水が目立つ広場へと繋がっていた。
そこには怪しい挙動をする異国の剣士がいた。
彼が今夜のターゲットであった。
少年は骸骨の面を被りあっさりと男の前に姿を現すと男は驚きもせずにただ無言で東国で刀と呼ばれる剣に手をかけた。
少年も自分の得物を抜く。赤錆びた鉄剣は今日も鈍い色を精一杯輝かせている。
お互い無言で闘いは始まった。
最初に仕掛けたのは男の方だった。
刀を抜きつつ間合いを詰めて少年を切り裂こうとするが、バックステップで躱される。
だが怯まずに再び間合いを詰め豪快な一太刀で少年を切り裂こうとした。
しかし男の豪剣は見えない何かに弾かれてしまった。
月に反射して見えたのは細長い糸だった。
糸の全てに少年の死の権能が込められていた。
攻撃をするだけでは行き詰まると察したのか男は後方へ逃げようとする。
だが少年は左手で糸を操り男の背を斬りつけた。
初めて男に苦悶の表情と焦りが見える。
男は流れる血を手で止血しながらも尚、刀を手放さなかった。
攻守が変わり少年が打って出る。
少年は主武器は使わずに糸だけで男を翻弄させた。
少年の糸は何千の剣を想起させ男を防戦一方へと押し込んだ。
男はひたすらに防ぐと思うと男の姿が消えた。
糸が虚空を切る。
男は少年の背後にいた。
滑るような一撃が少年の背後を襲う。
しかし少年は消えるように避け冷酷に男を捉える。
男はとうとう奥の手を使った。
剣先が開き銃口が出てくる。
男の刀は仕込み杖ならぬ仕込み剣だった。
目視できぬ高速の一撃が少年の心臓を打ち据える。
しかし何故か銃弾が当たったにも関わらず少年は平然としていた。
そして終わりを告げる。「死神流百閃」
男にあらゆる武術の技がぶつかり男はズタズタに切り裂かれた。
血溜まりに背を向けて少年は歩き出す。
少年を蝕むことができたのはちっぽけな罪悪感と殺人の愉悦だけだった。
お題街、岐路、誰にも言えない秘密
ここまで読んでくださってありがとうございました。
更新遅れてすみません

6/12/2024, 4:13:19 PM

街という文字をみる

賑やかな住宅がならぶ道みたい

左のきついカーブをまがったら、どんな景色が見れるかな?

真ん中の道は行き止まりがいっぱいで

道路から逸れた生活圏の

きっと子供がボール遊びするのにもちょうどいい場所かな



あなたと新しい街で、新しい生活。

すべての景色が新鮮で、わくわくとしていて

きっとどの道にある人生も

にぎやかな街の景色のように過ぎていくのでしょう。

6/12/2024, 3:57:11 PM

逃げなければ。
縺れる足を必死で動かし、迷路のような裏路地を走り抜ける。息が切れ、喉にまとわりつく血の味に吐き気を覚えるが足を止める事は出来ない。ただ今はあてもなく走り続ける事しか出来なかった。

逃げなければ。捕まってしまう前に。
背後の黒い影は一定の距離を保ち、耳障りなナニカを呟きながら着いてくる。影が何かは分からない。けれど決して良くないものである事だけは確かだった。

離れない。着いてくる。どこまでも。どこまでも。追いかけてくる。
耳障りな呟き。繰り返し。何度も。繰り返えされる。ずっと。

……逃げられない。


「……ぁ…」

気がつけば、行き止まり。袋小路。

「ひっ…ぁ、ぁ…」

終わった。終わってしまった。
後を振り返る事は出来ない。その姿を見たら、認識してしまったなら、きっと正気を保てない。
行き止まりの壁を見る。心臓の音がうるさい。息が苦しい。

「…セ……ォコ、ハ…ノ……」

影の近づく気配がする。耳障りな呟きが、唄が大きくなる。

嫌だ。終わりたくない。終わりたくなかった。
まだ帰れていない。退屈だと逃げ出した村に。家族のもとに。
本当に嫌になったわけではなかった。ただあの村には何もなかった。この街のような賑やかさも、煌びやかさも。何一つ。
毎日が変わり映えのない生活は酷く退屈で、常に息苦しさを感じていた。刺激が欲しかった。だからこうして誰にも言わずに村を出て、働きながら学校に通う生活を選んだ。
苦労しながら得た新しい世界《日常》は確かに刺激があり、色鮮やかで。村にはなかったもので溢れかえる街は、夜を知らずに常に輝いていた。
けれど、

「…トォ…セ……ハ、ドォ…ノ、ホ…ミチ…ャ…」

例えば、教室の隅。階段の裏。裏路地の暗がり。
ソレは常にいた。
誰かへの妬みや、恨み。嘲り。侮蔑。嫌悪に、憎悪。
黒くてどろどろとしたソレが吐き出す言葉は、段々に精神を蝕んで。ソレに気づき気づかれて、連れて行かれた人を何人も見た。気の抜けない毎日は苦痛でしかなかった。

「ぁ、く、るな…くる、な。くるなっ…!」

気配が近い。息が苦しい。痛い。苦しい。痛い。
逃げられない。背後に、ソレがいる。耳障りな唄。ひび割れた笑い声。
黒い腕のようなぐちゃぐちゃとしたものが、顔の横に差し出され。
そのまま。顔、を。


「残念でしたっ!未来永劫にサヨウナラ」

誰かの、声。この場には似合わない、明るい声音。
目の前の黒が動きを止め、そのまま溶けて消えていく。

「…ぇ、ぁ」

何が起こったのか分からない。背後にソレの気配はなく。
ざり、と地面を擦り、誰かが近づく。動けない。立っていることすら今は苦しい。

「あぁ、なんか懐かしいと思ったら。お前、ノダナガの所の子かぁ」

ノダナガ。逃げ出した村の名前。帰りたい家のある場所。
その名前に、思わず振り返る。
自分の故郷を知っている誰か。背が高く、古めかしい和服を着た男。白の短髪。金の瞳。
そして、

「…!ひっ…!」

右手に握られた、抜き身の刀。
男の背後に佇む、異形のモノ。半裸で腕には手の代わりに翼がある女のような姿。赤く染まった下衣から見える脚は人のものではなく、鳥のそれ。
逃げるように後ずされば、それに気づいた男は背後の異形に振り返る。

「姑獲鳥。少し離れてろ。話ができねぇ」

持っていた刀を渡しながら異形に告げれば、刀を抱いたまま夜の暗闇に消えていく。
異形の姿が消えた事で詰めていた息を吐き出せば、目の前の男は小さく笑ったようだった。

「さて、何でこんなトコで鬼事なんかやってんだお前」

男が近づく。

「迷子…っつうにはここの縁はしっかりしてっし。あそこを出たっつうには未練がひでぇし…どっちつかずだな、お前」

顔を覗き込まれながら呟かれた言葉に、何も言えずに俯いた。
どっちつかず。そんな事、自分がよく分かっている。

「お前、どうしたいよ?そこんトコはっきりしな」

帰りたくない。いや、本当は帰りたい。帰るのが怖い。帰るのが惜しい。
帰れば両親に怒られるだろうか。妹は帰りを待っていてくれるだろうか。
帰ってしまえば、ここにいる友人達との縁が切れてしまうだろうか。二度と会えなくなってしまうだろうか。
帰りたい、帰りたくないを何度も繰り返し、繰り返す。
それでも、結局は。

「ーーー帰りたい」

呟いた言葉。くつりと笑う声がして、男が背後を振り返る。

「だそうだ。銀。兄ちゃんが守ってやっから、一度あっちへ戻れっか?」

りん、と鈴の音。
顔を上げれば、いつの間にか男の隣に少女の姿。男と同じ白の髪と金の瞳。左眼と首に包帯を巻いている。
右手には淡く光る鬼灯を持ち、けれど左の腕のある場所には何もなく、和服の袖が風に揺れていた。
りん、と鈴が、少女の髪紐に付いた鈴が鳴る。

「銀は優しいイイコだなぁ。うん。兄ちゃん頑張って、銀をいじめる奴らから守っからな」

にこにこと嬉しそうに男が笑い、少女の頭を優しく撫でる。

「さっさと行くぞ。ぼけっとすんな」

行くと言われても、意味が分からない。
今日は分からない事ばかりだ。

「どこに…?」
「帰りてぇんだろ?送ってやる」

半ば無理やり腕を引かれ、歩き出す。
あの村へ帰れるのだろうか。送ると言われたが、あの場所はここから遥か遠い。

りん、と鈴が鳴る。鬼灯が灯りが強くなる。
辺りを白く染めるような強い光に耐え切れず、目を閉じる。

「藤に礼を言っておけよ」

引かれた腕が離れ、白く視界を焼いていた光が収まり目を開ければ。


目の前は、帰りたいと望んでいた村だった。




20240612 『街』

6/12/2024, 1:53:13 PM


あまり故郷に帰らなくなった
過疎化は進みある人の皺は増えて
でも確かに安寧はある場所だった
今は夜フラフラあるいて一人ではないことに落胆している

6/12/2024, 1:17:21 PM

「よ、繁盛してる?」
「…そう見えるか?」
にぎやかな奴が来た。まあいい。今日はひとりで正直暇だったんだ。
「見える見える。今度おごってくれよ。」
「そこのカフェのコーヒーくらいなら。」
「え、この辺にカフェなんて出来たんだ。うまいの?」
「うまいぞ。ミルクたっぷりで甘い。」
最近できた店だ。若い女性がひとりで切り盛りしている。コーヒーもスコーンも甘くてうまかった。
「お前が言うならうまいんだろうな。なあ俺の彼女の分も頼むよ。」
「じゃあ何か買って行け。」
「わかったよ。うーん…そうだなあ。」
律儀な奴。昔から変わらない。いい奴なんだ。
こいつがいたから俺はこの街を好きになった。
いい奴が住んでいるからきっといい街なんだろうとなんの根拠もないがそう思った。
「よし。このピンクの花とこれと…あとこれも…。」

「結構新しい店が増えているんだな。」
日が落ち始めた外を眺めながらひとりごとのように花束を作っている俺に話しかけてきた。
「ああ。いつのまにか無くなっていつの間にか出来ている。この街はどんどん変わっていく。」
「そうだな、俺が子どもの時とは随分変わったかもな。」 
俺と違ってこいつはこの街を出たことが無いらしい。見慣れた街が変わってしまうのはやはりさみしいようだ。
「この街が好きか。」
「うん。好きだよ。この街もこの街に住む人もみんな好きだ。…彼女が、お前が、この街に来てくれて良かった。」
この顔は変わらない。昔からこいつは何も変わらない。それがとてつもなく安心する。
「…俺もそうだ。ここに来て良かった。」
「彼女も同じこと言ってた。良い街なんだな。ここは。俺が居るからかな?なんてな。」
「なんだそりゃ。ほら、用意出来たぞ。」
「かわいい。さすがだ。ありがとう。はい。おつりはいらないから。」
「…丁度だ。釣りなんかない。」
「はは、その通り。」

じゃあまたな。
親愛なる俺の友人。
大好きなこの街でまた会おう。
口では言わないけれど
いつもいつも心の中で
そう願っている。


6/12/2024, 1:01:29 PM

「街」

「やあ!!!来たよ!!!」
「……なんでお前がここにいるんだ?」
「こんにちはぁ!数日ぶりなのですぅ!」

ここは宇宙管理本部アーカイブ管理室。
アーカイブ管理室では過去に使用されたものやデータが大量に保存されており、それを管理する者が───

「そう!!!彼らというわけだ!!!」
……。

「でも、確かにどうしてここに来られたのですぅ?」
「そりゃあ用があるからだよ!!!」
「それくらい分かる。」

「というかどうやって勝手に入ってきた?!ただでもここに不正アクセスして物を盗んだ容疑が晴れていないのに!どうしてこんなにややこしい時に来るんだ!証拠隠滅か?」

「色々とちがうよ〜!!!ボクはちゃ〜んとアーカイブ管理士の資格も持ってるし!!!入室許可も得てから来た!!!それから!!!ボクはなんにもしていない!!!」

「わたしも付き添いますので、きっと大丈夫なのですぅ!」
「キミは話が分かるねぇ〜!!!素晴らしい!!!」
「えっへんなのですぅ!」

「それじゃあ、後輩くん!!!よろしく頼む!!!」
「はーい!!!」

01100001 01110010 01100011 01101000 01101001 01110110 01100101

「ところで、キミが倉庫に入るのは初めてなんだよね???」
「はいぃ。ちょっと暗くて怖いのですぅ……。」
「ここにあるものは凍結保管されているから大丈夫だよ。」

「この辺りには色んな宇宙のデータが……ほら、これ見て!」
「これは……かなり古い型ですねぇ。こっちは比較的新しいのですぅ……。」

「どこを見て分かったんだい?」
「データの大きさですぅ!」
「なるほど〜!昔のは今のよりだいぶ簡素だからねぇ!」

「それじゃ、あっちを見に行ってみようか!」
「こっちには都市の古いバックアップが格納されているのさ!」
「え、都市単位でバックアップがあるのですぅ?」

「いい質問だねえ!!!」
「これら全ての都市のバックアップをとったのはボクだよ!!!宇宙には色んな美しい街があるからね!!!」

「300年前の江戸から10万年前の漣ョ8 縺ソ縺2溘↑まで、よりどりみどり!!!今日も都市のデータを秒単位で取得して、キミたちのところに送っているのだよ!!!」

「……こんなに美しい街でも、いつなくなってしまうか分からないからね。いつでも見返せるようにアーカイブを取っておくのさ。」

「素敵なのですぅ!」

「しかし!!!しかしだよ!!!他の公認宇宙管理士は!!!これだけ美しい街の数々を!!!星の数々を!!!管理対象としか見ていない!!!なんと嘆かわしいこと!!!」

「ボクらと同じように、星も街も生きているのだぞ!!!そんなかけがえのない存在を!!!どうしてそんなぞんざいに扱えるのだろうか!!!」

「生きている……ですぅ?」
……だって、わたしたちは機械なのですよぉ?プログラムで動いているだけで、生きているわけじゃないのですぅ。

「ところで、マッドサイエンティストさんはどうしてここに来られたのですぅ?」
「お!ちょうどいいタイミングで聞いてくれたね!」

「ん〜、確かこの辺りだったはずだが……。」
「ここにはなにがあるのですぅ?」

「ここにはね、もう使われなくなった旧型の宇宙管理士がいるのさ。長い間放置してしまうと劣化して事故のリスクが高まるから、時々様子を見ておくといいよ。」

「ま、ボクはそのために来たわけじゃないけど!!!」
「そ、それでは、なんの目的でぇ……?」
「ボクの片割れに挨拶しようと思ってね。」

「片割れ……?」
「そう、片割れ。わかりやすく言えば、きょうだいみたいなものかな。」

「ごきょうだいがいらっしゃるのですぅ?」
「まあね。2分だけ年上のきょうだいがここで眠っているのさ。」
「……詳しいことはそのうち話すよ。」

……?ちょっと様子がヘンなのですぅ。
どうされたのでしょうかぁ?
あれ、手が震えて……?

「……おかしい、そんなはずはない……!!」
「ここに、確実にここにいたはずなのに……!!!」

「後輩くん!!!ボクのきょうだい……いや、アーカイブ番号722840-687533-927の管理士の履歴を調べてくれ!!!」
「は、はい!!」

「……該当するアーカイブ番号のデータが見つからないのですぅ。」
「本当かい?!まさか……、そんな……!!」

「……念のためにこのことを上に報告してくるよ。だからキミも、アーカイブ管理室ならびに関連部署に共有しておいてくれたまえ。……これはまずいことになった。」

「ひとまず、今日はありがとう!それじゃ、ボクはここで!」
「お、お気をつけてぇ……!」

一体何が起こったのですぅ……?!
マッドサイエンティストさんにはごきょうだいが……?!
アーカイブがまた消失した……?!!

何にも分からないのですぅ〜!
共有が終わったら、とりあえず……。
街のアーカイブをいっぱい見て心を整理するのですぅ。

6/12/2024, 11:03:33 AM

街を歩くと色んなことを感じる。菓子屋の香ばしい焼き菓子の匂い、電車の走る音、人々の話し声、足音、カラフルな看板、前を横切った目をみはるような美しい人、見惚れているとひゅうと風が髪をなでていった。

騒がしいのは好きじゃない。けれど街の喧騒は好きだ。まるで、カラフルな街の油絵の一筆の色になれた気分。自分もこの街の一部だと思えるのが好きだ。

一人ではなく、数え切れないほどの情報のごく小さなひとつ。そう思うと、私はとても安心できた。

私が何をしようと、何を考えていようと誰にもなんにも影響がない。誰も私を見ていないし、私も他人のことなんか気にしない。

ただ自分の仕事をするだけ。自分のやりたいようにするだけ。

けれど、一人ひとりに人生がある。

これはとても不思議で、私の世界には私一人の意識しかないのに私の視界に見える人たちにも私のような一個人の意識がある。

それらが、思い思いに生きている。

まさに街の油絵。たった一つの小さな色が絵を美しく映えさせる。1色入れなくともその絵は街の絵だとわかる。しかし、完成させるにはどの色も欠けてはいけないのだ。

街の景色に溶け込むたびに、季節が変わっていくたびにこの瞬間を切り取りったものが芸術と呼ばれるのだろうなと思う。

6/12/2024, 10:22:39 AM

〈街〉   



潮とガソリンと煙とほんの少しの花の匂い。

この海辺の街からするのはいつもそんな匂いだ。

母親のすすめで自分の家から離れて母方のおばあちゃんの家に帰省する事になって、この街に来てからかれこれ3ヶ月くらいが経つんじゃないだろうか。

ここは学校とは違ってのどかで人間関係とかもあんま気にしなくていい所だ。

なんせ僕ぐらい、中学2年生ぐらいの年代の人が少ないから、何を話しても珍しい、面白い話題になるからだ。

何故、海辺の街で3ヶ月も過ごしているかって?

…人と話したあと、疲れたなーとかって感じることってあるだろ?なかったら想像してみて欲しいんだが。

僕が普通の人よりそれを感じやすくて、心のキャパシティが少なかっただけだ。

少し疲れすぎたなっていうのを母に話したらあれよあれよとここに連れてこられたってだけだ。

当初は僕の家との距離が遠すぎてあまりこれていなかったせいで母方のおばあちゃんとの付き合い方があまりわからなかったけど、今となっては家族、っていうよりは友達みたいに仲良くできてる。

「行ってきます。お昼ご飯までには帰るから。」

ぎぃ、と潮風で少し錆びついたドアの音を朝の静かな玄関に響かせ、家を出る。

そして、お気に入りの堤防で冷蔵庫からくすねてきたサンドイッチを頬張る。

遅めの朝ごはんだ。

カモメが空を舞い、僕の足元からは細波が鈴のように音を立て、空は淡い水色に光っている。

僕はそんな薄いターコイズブルーの空を睨みながら、学校にいる奴らは二学期の中間テストに追われている頃だろうと思い、心の中でほくそ笑む。

ここは学校を休んでる時の家の中とは違って、学校のチャイムも聞こえないし、一人で孤独を味わうこともないし、僕ぐらいの子供が歩いていても漁師のおじさんとかがたまに好奇な目を向けて来るだけで、買い物帰りとかであろうおばちゃんとか、ちょっとした路地でタバコを吸っている30代後半の人たちの集まりとかはちゃんと挨拶してくれるし、何なら世間話もしてくれる。

世間話ってのはやれここの路地で三毛猫を見かけたとか、やれあんたのとこの爺さん婆さんは元気かとか、そんなものだ。

同級生と話すこととは違うベクトルの話題が少し楽しかったりする。

僕はこの街のテストの心配とか、明日も学校行けないのかなとか不安をぶっ飛ばしてくれるような大きな船の汽笛が好きだ。

それにたまに漁師釣れたての魚を刺身にして猫にあげているところに通りかかると「坊主もあげてみっか?」って笑いながら聞いてくれるおっちゃんが好きだ。

そのおっちゃんのおかげで将来、漁師やってもいいかもなって思えた。

この街の花独特の甘ったるくてでも少し酸っぱいような、例えるなら初恋の匂いだろうか、そんな匂いが鼻を掠める。

「ずっとこのままがいいな………。
…………戻りたくねぇ……。」

ため息を吐くような僕の声がカモメの鳴き声と共に空に響く。

食べかけのサンドイッチを片手に僕は海を眺める。


……多分この先もずっと。

6/12/2024, 10:22:05 AM



 その街には点灯夫がいて
 彼等が街燈に灯を点すたび
 誰かがいっとき 苦しみを忘れる
 
 街に朝がきて彼等が灯りを消すと
 忘れていたものが戻ってくる

 その街は遠い 遠いところにある

6/12/2024, 10:11:51 AM

お題 街✖️フラミンゴ色

これはとある街に住む新入社員の物語り

俺には気になる人がいる。
それは、会社の先輩だ。背筋がしゃんと伸びていて、ふわふわした鳥の巣のような髪型が印象的でよく似合っている人だ。
耳元には揺れるピアスかイヤリングをいつもつけている。昨日の会議ではハキハキと話していて、新しく入った俺から見てとても頼もしい先輩に見えた。
年は俺より2つ年上らしい。まだ結婚していないし、彼氏もいないということだった。
俺にもまだチャンスはある。そう思いながら過ごす日々が続いた。
ある日の帰り道、百貨店のショーウィンドウがふと目が入った。新作の化粧品を紹介しているようだった。
アイシャドウやチークが並ぶ中で、口紅に目が止まる。それはフラミンゴの様な赤だった。
頭の中で想像してみた。先輩がこの口紅をつけている姿を。赤に黄が少し混じった健康的な色。きっと魅力的な唇になるに違いない。まるでフラミンゴの様なあなたに贈りたい。心からそう思った日だった。

6/12/2024, 10:11:22 AM

普段来ない様な街に訪れた時

そこの写真を撮って記憶と別に記録として保存する。

写真を見るとその時の記憶が。

鮮明に繊細に詳細に美しく穢く。

懐かしいその「記録」は、ある「記憶」と結びつき

私の硝子に致命を入れる。

6/12/2024, 10:07:41 AM

【街】町に住んでいると思う。街に街に行きたいな。
 外観がきれいで、流行りものがおいてあって、
 シャレオツでー。街はそんなイメージ。
 一緒に街に行きたいなー、そこで、おいしいもの
 たべにいきたいな。なーんてね(笑)(笑)

 3年後のpure

6/12/2024, 10:03:48 AM

意地悪なことばかりを敢えて言います。私の機嫌が悪いからかもしれません。たまにはお許しを。
街、つまり、繁華街に行くと、礼儀をわきまえない人に出会う。スマホ歩きでぶつかりそうになる。でも謝らずに通りすぎていく。こちらは足が悪いので転びそうなのに。
横に長く並んで歩いて通れないので大きく迂回して通り抜ける。彼ら彼女らは何とも思っていない。自転車に乗ってはいけない商店街を自転車がもうスピードで走る。路上には歩道を占領して車が停まっている。大概が高級車。
嗚呼情けないかな、わが祖国。
いや申し訳ない。大げさ過ぎた。
でも、もうちょっと周りを気づかってほしいなぁ。

6/12/2024, 9:59:37 AM

東京ははぐれ者たちの共同体

子供の頃から

故郷のムラという共同体が大嫌いだった

ムラ全体が血縁関係で繋がっているという

逃げ場のなさが息苦しかった

いつか大人になったら

誰も会いに来れないくらい

遠くへ遠くへ行くんだと

強く願っていた

環境が変わる度、私は人間関係をリセットした

着信は取らず、メールの返信もしない

所謂、疎遠

私はとても人当たりよく

優しく温和な人間だと言われたが

いつかリセットする、そう思っていないと

円滑な人間関係なんて築けない

なるべく遠くの高校、大学を選び

友達と仲良く過ごし

卒業と同時に全リセット

小、中、高、大全ての友人、恩師を切った

過去の職場の同僚も切った

友達はいないが煩わしさもない

ふと思い立った時に

ディズニーランドに行けないくらいが悩みだろうか

「回避性パーソナリティ障害」

そんな言葉をたまたま知る機会があり

ああ、私はこれなのかと思った

ここで私は一人だけど

この街には地方からはみ出してきた

ひとりぼっちがいっぱい

スーパーのお惣菜を取り合ったり

道を譲り合ったりしながら

今日もしっかり生きてる

二度と帰りたくはない

◼️街

6/12/2024, 9:58:05 AM

題 街

散文、書き散らし

街と町の違いってなんだろう?
調べると、街のほうは人が多く出入りする場所や都会的な様子を表すときに使う。
町は、街を含んで、人が暮らしている場所として幅広いシーンで使える。
とのこと。

田舎、過疎化の土地は街には入ってないのかな?

人が多いところはいい意味で尖った趣味、店、人や活動が多い。
人が多くないと生き延び続けられない、街でもさらにマイナーな人たちによって大切に営まれるもの。

蛇カフェが好きです。街でなければ生まれない場所。

たまに当たるおおはずれくじみたいな人と一緒に、そんな場所を守る人も一緒に暮らす、街に想いを馳せる。

6/12/2024, 9:50:42 AM



この一年で世界は大きく変わった。
多分、ものすごく良くない方に。
ここは水の街。地上は水で埋まり、移動手段に舟が必要になってしまった。

人体の液体化現象。
ある日突然、人間が水になって消えるという、得体の知れない現象が起きた。
人が亡くなる度に、水かさが増えていく。
原因不明だし、全員がなる訳でもない、らしい。

有り合わせで作った舟はとても心もとないが、今となっては生活に必要なものだ。
世界の半分以上が水に浸かってしまっても、人類はまだまだ強かに生きている。
食料の配給もあるし、マーケットもある。今は大きなマンションの屋上で畑を作ろうと努力してる人達もいる 。

「世界の終焉説、だと。読み物としては面白かったぞ」

買い出しから戻れば同居人から新聞を渡された。
そう。こんな状況になったって新聞はニュースの伝達に重宝され、ついでに娯楽のようなゴシップやら読み物が乗る。
電気が不安定だからどんどんアナログになっていくのは面白い。

「このまま、みんな死んじゃうんですかね」
「さぁ? 俺はなんだかんだ生き残ったヤツらが近い未来に水上を開拓する未来が見えるよ」

新聞には水上都市計画、という文字が見えて、確かに、とわたしも笑った。

6/12/2024, 9:48:25 AM

【街】

人賑わいし

繁華街から

病弱の民

淘汰され

6/12/2024, 9:46:09 AM

並ぶ店に統一感はない
そこを歩く人達も目的は多種多様
誰もが皆自分のことに夢中で歩く

誰もが誰かを気に止めることなくただ行き交う

私も誰も気に止めない
並ぶ店は視界に次々流れる
来る人を避け、追い越しては追い抜かれ
そこにある物も人も結びつかず交ざるだけ

そのうちに私も雑多の一部になる
心地良いとはまた違う安心感
気負うものなく気付けば渦の共同体になりここに居る
自分が消え街に融けてひとつになる

耳を流れる喧騒、蠢く人波、沢山の匂い色
離れ難い
今日はまだ歩き続けていたい

6/12/2024, 9:41:57 AM

今日は、お題無視します。


今日はめちゃめちゃ嬉しいことがあった。
仕事で褒められた、即戦力だと見なされてるんだと思った、もっと頑張ろうと思った。

ちょーーーーーー嬉しかったからただの日記。
明日からまたお題のお話書くのがんばろ。

6/12/2024, 9:38:16 AM

お題「街」
俺は、この街が嫌いだ。
小2に上がる春に、転校した。
もう何年も経つが、未だに己の記憶には色濃く残っている。

当たり前だ。
当時は酷い虐めを受けていた。
悪口を言われたり、物を壊されたり、お腹を殴られたり、階段から蹴り落とされたりした。



でも、本当は嫌いなんかじゃなくて、、好きだった

当時は虐められていると自覚してはいたものの、家に1人でいるよりマシだったし相手に悪気はないことくらい分かっていた。
痛くても、楽しかった。こんな俺と遊んでくれた友人達が好きだった。

でも、、、転校しちゃったし
こんなに近いのに、歩けば行ける距離なのに、、
親は行かせてくれなかった。

転入先では転校生自体が珍しいのか関わってはくれていたものの、相談も気持ちも伝えられる人など到底いなかった。

どうしてこんなことになったんだろうって、ずっとずっと考えて。
何か悪いことしちゃったのかな、、なんて
弟ばかり愛されて、自分は勉強ばかり。
本当は、ちゃんとして欲しいって、そう思ってるって子供ながらに分かってた。
でも、辛いものは辛いし。
誰に相談すればいいの?
誰も俺を求めてくれないのに相手を一方的に求められないでしょ?
私の気持ちなんて、わかりもしないでしょ?
泣いただけで怒るんだったら、心配なんてしてこないでよ
戻りたいよ、、


そう、帰りたいだけだったんだ。俺は

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