Frieden

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「街」

「やあ!!!来たよ!!!」
「……なんでお前がここにいるんだ?」
「こんにちはぁ!数日ぶりなのですぅ!」

ここは宇宙管理本部アーカイブ管理室。
アーカイブ管理室では過去に使用されたものやデータが大量に保存されており、それを管理する者が───

「そう!!!彼らというわけだ!!!」
……。

「でも、確かにどうしてここに来られたのですぅ?」
「そりゃあ用があるからだよ!!!」
「それくらい分かる。」

「というかどうやって勝手に入ってきた?!ただでもここに不正アクセスして物を盗んだ容疑が晴れていないのに!どうしてこんなにややこしい時に来るんだ!証拠隠滅か?」

「色々とちがうよ〜!!!ボクはちゃ〜んとアーカイブ管理士の資格も持ってるし!!!入室許可も得てから来た!!!それから!!!ボクはなんにもしていない!!!」

「わたしも付き添いますので、きっと大丈夫なのですぅ!」
「キミは話が分かるねぇ〜!!!素晴らしい!!!」
「えっへんなのですぅ!」

「それじゃあ、後輩くん!!!よろしく頼む!!!」
「はーい!!!」

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「ところで、キミが倉庫に入るのは初めてなんだよね???」
「はいぃ。ちょっと暗くて怖いのですぅ……。」
「ここにあるものは凍結保管されているから大丈夫だよ。」

「この辺りには色んな宇宙のデータが……ほら、これ見て!」
「これは……かなり古い型ですねぇ。こっちは比較的新しいのですぅ……。」

「どこを見て分かったんだい?」
「データの大きさですぅ!」
「なるほど〜!昔のは今のよりだいぶ簡素だからねぇ!」

「それじゃ、あっちを見に行ってみようか!」
「こっちには都市の古いバックアップが格納されているのさ!」
「え、都市単位でバックアップがあるのですぅ?」

「いい質問だねえ!!!」
「これら全ての都市のバックアップをとったのはボクだよ!!!宇宙には色んな美しい街があるからね!!!」

「300年前の江戸から10万年前の漣ョ8 縺ソ縺2溘↑まで、よりどりみどり!!!今日も都市のデータを秒単位で取得して、キミたちのところに送っているのだよ!!!」

「……こんなに美しい街でも、いつなくなってしまうか分からないからね。いつでも見返せるようにアーカイブを取っておくのさ。」

「素敵なのですぅ!」

「しかし!!!しかしだよ!!!他の公認宇宙管理士は!!!これだけ美しい街の数々を!!!星の数々を!!!管理対象としか見ていない!!!なんと嘆かわしいこと!!!」

「ボクらと同じように、星も街も生きているのだぞ!!!そんなかけがえのない存在を!!!どうしてそんなぞんざいに扱えるのだろうか!!!」

「生きている……ですぅ?」
……だって、わたしたちは機械なのですよぉ?プログラムで動いているだけで、生きているわけじゃないのですぅ。

「ところで、マッドサイエンティストさんはどうしてここに来られたのですぅ?」
「お!ちょうどいいタイミングで聞いてくれたね!」

「ん〜、確かこの辺りだったはずだが……。」
「ここにはなにがあるのですぅ?」

「ここにはね、もう使われなくなった旧型の宇宙管理士がいるのさ。長い間放置してしまうと劣化して事故のリスクが高まるから、時々様子を見ておくといいよ。」

「ま、ボクはそのために来たわけじゃないけど!!!」
「そ、それでは、なんの目的でぇ……?」
「ボクの片割れに挨拶しようと思ってね。」

「片割れ……?」
「そう、片割れ。わかりやすく言えば、きょうだいみたいなものかな。」

「ごきょうだいがいらっしゃるのですぅ?」
「まあね。2分だけ年上のきょうだいがここで眠っているのさ。」
「……詳しいことはそのうち話すよ。」

……?ちょっと様子がヘンなのですぅ。
どうされたのでしょうかぁ?
あれ、手が震えて……?

「……おかしい、そんなはずはない……!!」
「ここに、確実にここにいたはずなのに……!!!」

「後輩くん!!!ボクのきょうだい……いや、アーカイブ番号722840-687533-927の管理士の履歴を調べてくれ!!!」
「は、はい!!」

「……該当するアーカイブ番号のデータが見つからないのですぅ。」
「本当かい?!まさか……、そんな……!!」

「……念のためにこのことを上に報告してくるよ。だからキミも、アーカイブ管理室ならびに関連部署に共有しておいてくれたまえ。……これはまずいことになった。」

「ひとまず、今日はありがとう!それじゃ、ボクはここで!」
「お、お気をつけてぇ……!」

一体何が起こったのですぅ……?!
マッドサイエンティストさんにはごきょうだいが……?!
アーカイブがまた消失した……?!!

何にも分からないのですぅ〜!
共有が終わったら、とりあえず……。
街のアーカイブをいっぱい見て心を整理するのですぅ。

6/12/2024, 1:01:29 PM