紅華

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何もない田舎から都会の街へ出たかった。

いつも変わらない殺風景な田園のなかを歩きながら、人数の少ない学校へ向かう。
中学を卒業後、本当ならたくさん学べる高校へ進学をする予定だった。だけど、両親の離婚で必然的に地元の高校へ通う羽目になってしまった。
地元の高校なのだからみんな顔見知りばかりで、高校生になっても子供じみた言動や行動する男子たち、それを止める女子たちを見て、『みんな、大人になりたくないのかな?』なんて思う日々に嫌気がさす。
窓から見える景色は、都会の街並みじゃない。
田舎ののどかで退屈な田園風景。
本当なら今頃、都会の街を歩きながら新しい友達と学校へ向かっていたはずだ。
それで、帰りには流行りの服や流行りの化粧品を見て帰るのだ。
そんな楽しい都会ライフを楽しみたかった。
私は教室にいる子供のままのクラスメイトたちを眺める。
男子は廊下でチャンバラ遊びをして、女子はどこかのクラスの子とどこかのクラスの子が付き合っているって話しで盛り上がっている。
退屈な教室。退屈な日常。早く、卒業してこの何もない田舎から出て行きたい。

【終わり】

6/12/2025, 3:24:21 AM