『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
蝶よ花よ
私は遊郭で生まれた。
名前は、蝶蘭
神は、私にこの世のものではない美貌と知識を与えた。
私は男共を相手にするがたいていの奴は銭が足りず労働者として働いている。
私はある時子供を身ごもってしまった。
それは名家の跡取り息子とのこどもだった。
だが仕事には変えられない、私は子供を下ろした。
子供が好きな私にはとてもつらいことだった。
子供は女の子だった、妹を思いだした。
妹の名前は花、私達は二人で一つだった。
花は私になければいけなくて私は花になければいけないものだったから。
花が咲き誇ろうとしたとき、枯れてしまった。
その事実を知ったとき心がへし折れた。
私よりも、美しくて、純粋で、すべてが美しくて、遊郭ナンバーワンになれるといわれ続けてきた。
遊郭の蝶と花だった。
だが、死んだから、私がナンバーワンになった。
あの子がとるべきだったものをとってしまった罪悪感で逃げ出しくなった。
それで、現世というなの場所を逃げ出した。
後日
蝶蘭は薬を飲んでしんでいた。
死んでもなお、美しかった。
妹は醜くい遺体だった。
心の美しさが死体にでると私は実感した。
貴方と私は「蝶」と「花」。
その場から動けない私を求めるように、貴方は何時もここに来る。
毎日毎日私の元へ来ては、私のミツを吸って帰って行く。
そんな貴方を、何時しか嫌いになってしまっていた。
何も与えられることのない私から、貴方は毎日吸い取って行く。
私には何もないのに、何も残らないのに。
前は好きだった貴方の笑顔が、今や憎くて仕方がない。
けれど、貴方はきっとそんなことは知らず、また私の元へやって来るのでしょう。
ねぇ。知ってる?私ね、もうすぐ枯れるのよ?
もうすぐ、貴方に会えなくなるのよ?
そう言ってしまえば楽なのに。何故か貴方を目の前にすると、言葉が出ないの。
言おうとすると、心が苦しくなるの。
嗚呼、どうして今気が付いてしまうの。
どうして、今の今まで憎たらしかった貴方に、会いたくなってしまうの。
嗚呼、これが「恋」ってものなのね。
これが、貴方が私に熱弁していたものなのね。
ごめんなさい。私、貴方が好きよ。でもきっと、言えぬままなのね。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
美しい「蝶」の貴方は、最後まで美しく生きて。
「お姉っちゃん! 見て見て、またママが買ってくれたの」
そう言って妹は、わたしが欲しいものを見せた。
「お姉ちゃん、買って貰えなくてかわいそ! やっぱりさ、ママの言う通り、"出来の悪い子"は与えられないんだから、お姉ちゃんも頑張ってね」
妹の精一杯の励みの言葉は、少しひねくれていて、母の思想を受け継いだものだと実感する。受け継ぐことができなかったわたしが淘汰されるのは当然のこと。
自分に思想が似ているものを好み、異なった価値観を持つものを排除する。妹だけを愛でて、わたしには形だけの世話をする。わたしを、可哀相だと、不当だと思う人間も在るだろう。ただ、わたしはもう愛でられることを嫌悪してしまうから、妹が不憫で不憫で仕方なくなる。
自分が受けた子育てを、そのまま我が子にする人がほとんどだと言う。母はきっと、区別される子育てを受けたのであろう。どちらの立場かは知る由もないが。
「お姉ちゃん? どうしてそんなに行動しないの? ママに睨まれちゃうよ。わたしママには笑ってほしいんだけど、お姉ちゃんはそう思わないの?」
親に無駄に甘やかされて育った人間が、大人になれる気がしないのは、わたしだけだろうか。程よく愛でられるのは非常に快いものではあるが、妹に対する母のそれは、過剰であるように感じてしまう。
それでも、わたしは母に愛でてほしいと偶に思ってしまうのだ。
#蝶よ花よ
蝶よ花よ
高校三年の夏は暑さで前も見えない。
空はカンカン照りで、わたしの黒髪を痛めつける。
オシャレでも出来たら、外に出てもいい気持ちになるかもしれない。自信のなさから服を着る勇気が無くなってきた。
"ネット恋愛なんて、だめだよね。会ったこともない人好きになっちゃった。彼に会えるわたしになれてないよ。"
不貞腐れ、萎むわたしを見て、負のオーラを嗅ぎつけた猫が、体を擦り寄せてきた。柔らかい肌触りと、ただただ無垢な愛を感じ、ひたすらに涙を零した。
今のわたしは、明日のわたしに期待をすることはできない。きっと変わらずわたしは今日の私のままなんだろう。いつかこの涙が、わたしに染み込んで綺麗になれたらいいと思う。蝶よ、来てくれてありがとう。
蝶よ花よ、そんなことは望まないから。
せめて少しの愛情だけでも欲しかった。
……まあお手本のような毒親との母子家庭だった俺は、あの女が逮捕されるまで口にするのも憚られる虐待をされていたんだけれど。
心の拠り所だった幼馴染みに助けられて、精神的にも回復したと思った矢先、アンタは俺達の輪の中にすんなりと入ってきて。
嗚呼、いや、それだけなら良かった。別にアンタのことは嫌いじゃなかったから。
でも。
クリスマスの日、何気なく作ったカップケーキを渡したとき、彼女は酷く喜んで。
そして誰よりも、何よりも酷いことを言った。
「ありがとう。……なんだか、サンタさんみたいだね」
自分は貧乏だったから、サンタなんて来たことない、と。
ふざけんな。
俺だって来たことねぇよ。
そこそこ金持ちの俺の家とは対照的に、彼女は貧乏な家系の生まれだった。
けれど、それでも。アンタは愛されてる。いくら生活が苦しくたって、家族からの愛を知ってる。
金持ちの家で育ったけれど、俺はそんなの知らないから。…だから。
それがどれ程幸せなことなのか、蝶よ花よと大事にされてきたアンタには分かんないんだろうな。
自虐気味に笑う彼女を、あくまでも少しだけ、憎しみの籠った目で睨み付けた。
「蝶よ花よ」
蝶よ、花よ、とは
あなたはまるで蝶や花のように美しい
と、
相手をチヤホヤするときの表現だが
蝶も花も 驚くほど寿命が短い。
それを知っていて使うのであれば
結局はバカにしているのだろう。
その道でのトップに立った人に対して
「いつまでも現状維持してください」
と声をかけるのなら
「象よ、亀よ」といったところか。
どちらも成体になってから長生きだ。
いやもう こっちにしても
結局はバカにしているのだろう。
「蝶よ花よ」
【蝶よ花よ】
「鳶が鷹を生んだと持て囃されて、蝶よ花よと育てられて期待されて、蛙の子は蛙だったって諦められて。おれはただ、ひとでいたかったよ」
自分の膝に顔をうずめて小さく丸まる夜雨の背中を、肩を、頭を、そろりそろりと何度も撫でる。隣に座ってぴたりとくっついて、ただひたすらにゆっくりと撫でる。
人の形を失いやすいこの人の、輪郭はここだと教えてあげたかった。あなたはひとだと、ひとのかたちをしているのだと、気づかせてあげたかった。
傷つきうずくまるこの人は、蝶でなくとも花でなくともただ、春歌の大事なひとだった。
自然な こと
なくなっている
人の 頭の中 から
蝶も 花も
強く吹かれながら
どこかにある
何かを
探して
探して
探して
…
風のなかの
軌跡
それを見て 微笑む
いつかの
人
短絡する
愚かな
私
蝶よ、
花よ。
陽を浴びて
香りの中
とまっては
また
飛んで
…
*「蝶よ花よ」、2023/08/09 加筆修正
蝶よ花よ
あなたは私の憧れで
一番の友だちで
ずっと傍にいたかった人です
招待状の『出席』に丸をした
あっけないものだった
きれいな人に成りたい。
容姿のきれいな人は、それだけで優遇される。
容姿が整っていたら、貧しくともお金持ちの男性と結婚できる。
わたし自身、容姿には自信があった。でも、所詮は井の中の蛙だった。
此処には、わたしより美しく、色っぽい女たちで溢れていた。
美しいと綺麗は、違う。と、此処で思い知らされた。
わたしは、美しくは、成れなかった。
「おまえは、きれいだが、美しくは無い。」と、楼主に、客に、言われた。
わたしには、変えることの出来ない容姿に烙印を押されような、呪いの言葉に思えた。
しかし、わたしの姉様となった人は違うと言った。
「綺麗な容姿とは、それだけで武器だ。
一見すると、その綺麗という武器は 無敵のように思えるかも知れない。
しかし、それは違う。
それだけでは、人を魅了することは出来ない。
それだけでは、美しいとは、言えない。」と、姉様が言った。
「では、美しい方々と綺麗な方々の違いは、何なのでしょう。」と、わたしは
姉様に問うた。
「内面だよ。見かけだけでは、人は魅了することは叶わない。
美しさとは、心に響くものだと思う。
美しい者は、知っているのだろう。
己の心の有り様は、玻璃の鏡のように、周囲の目に、はっきりと映すことを。
だから、美しい者は 芸や容姿だけではなく、学を身につけ、内面を磨く。
見かけだけでは、到底、測ることの出来ない『心』を。」と、姉様は教えてく
れた。
だから、わたしは、内面を磨いた。
『心』が鏡なら、『学』は、絵画だと思う。
自分の『心』の鏡に映したものを、『学』は言葉に表すことで、互いに見せ合い、写しあうものだと、感じた。
【蝶よ花よ】
庭に咲いたペチュニアに蝶が集まる。白に黄色にピンクといった様々な色の花びらに、モンシロチョウやアゲハチョウがワルツを踊るみたいに舞っていた。
ヒマワリの、絵の具で塗ったように明るい黄色が空を彩る。アサガオのつるはネットに巻きついてするすると伸び、立派なグリーンカーテンを作っている。
アジサイは、土の酸性度によって色が変化するらしい。庭のアジサイは赤の混じったような紫色。「昔は濃い青色だった、きっとアジサイも歳をとっているんだね」と、おばあちゃんは言っていた。
薄い緑色のじょうろに水をたっぷり入れる。今は芽すら出ていない植木鉢にも、しっかり水を与えておいた。湿った土の匂いが鼻をくすぐる。
ホースで水を撒かないのは、足でしっかり土を踏んで雑草を生やさないようにするためだ。梅雨の時期なんかに少し庭を歩かないだけで、雑草はすぐに生い茂ってくる。根っこが土に埋まっている花もあるから、除草剤は使えない。
「ふう・・・ちょっと休憩」
じょうろを置いて、ベンチに腰かける。今日は鉢替えをしたし、水もいつもよりしっかり撒いた。
これをおばあちゃんも毎日やっていたんだと思うと、本当に頭が上がらない。いつも腰が痛いと言っていたのに、庭の手入れだけは決して欠かさなかった。私はおばあちゃんと同じ歳になっても、変わらずこれを続けられるだろうか。
思い出す。よくおばあちゃんが言っていた言葉。
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「昔、『秘密の花園』っていう本を読んでね、おばあちゃんは自分だけのお庭を持ちたくなったの」
そんな話を聞いたのは、おばあちゃんと一緒に水やりをしていたときだった。
夏休みに入る前に学校から持って帰ってきたアサガオ。クラスの誰よりも早く花が咲いて、自慢げにおばあちゃんに見せていた。
おばあちゃんはそれはもうたくさん褒めてくれて、それからはおばあちゃんの家で水をやるのが日課になっていた。
「ひみつのはなぞの?」
「そう。偏屈な女の子が、自分だけのお庭を見つけて、だんだん明るく元気になっていくお話」
そう言って庭を眺めるおばあちゃんの横顔は、なんだかいつもより若くて、まるで夢見る少女みたいだと思った。
おばあちゃんの庭の手入れは、それはもう丁寧だった。苗替えから始まって、鉢替え、水やり、剪定。全部に愛がこもっているようで、私はおばあちゃんのそんな姿を見るのが好きだった。
「花園っていうほど豪華なお庭にはできなかったし、秘密でもなんでもないけれど、それでも私はこのお庭が好きよ。お花に誘われてやってくる小さいお客様も、とても素敵だと思うもの」
「はちさんとか、ちょうちょさんのこと?」
「そうね、ミミズさんやダンゴムシさんなんかも。特に蝶々さんなんか、色んなドレスを着てるみたいじゃない?」
「うん!わたしね、あお色のちょうちょさんがすき!」
「あら、そうなの!毎日お庭のお手伝いをしてくれたら、来てくれるかもしれないわね」
「ほんと!?じゃあわたし、いっぱいおてつだいする!」
約束ね、と言って、私とおばあちゃんは指切りをした。それから二十年ほどたった今も、私はまだおばあちゃんとの約束を守っている。
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ふと見ると、ひらひらと、目の前を蝶が舞った。
「あ、」
それは、空の色を分けてもらったような、淡い青色をしていた。
まるで、おばあちゃんと話したあの蝶のように。
思わず立ち上がり、蝶の行く方へと駆け出す。蝶はふわふわと飛び、やがてアサガオの花にとまった。
「私のアサガオにとまった・・・」
おばあちゃんが枯れないようにと、ネットに巻き付かせたアサガオ。昔、私が持って帰ってきた、あの夏休みの、アサガオ。
まるで秘密の花園のコマドリのようだと、思った。
それとも、おばあちゃんが褒めてくれているのだろうか。
少し羽を休めたあと、蝶はすぐに羽を広げて飛んだ。
どこに行こうか迷うように、蝶はひらひらと宙を舞う。と思うと、行先が決まったのか、一直線に飛び始めた。
上を見上げる。そこには二、三羽ほど、同じ青色の蝶が飛んでいた。
太陽の光に透けて、羽の青色が地面を照らす。薄く染まった土は、きらきらと輝いて見えた。
「また、来てくれるかな」
今度は、あの蝶たちも一緒に。
気づけば、さっきまでの疲れが嘘のように吹き飛んでいた。
思わず笑みがこぼれる。今日はいつもより、頑張れる気がした。
『人生はごくたまに、自分がいつまでも永遠に生きられると確信できる瞬間が訪れる』
蝶ではないが最近テレビで蛾の事で興味深い話があった。
雄の蛾は全く動かないらしく、動くのは雌のフェロモンに反応しているらしい。
それにしてもカイコのサナギは食され繭はシルクになり最後は蛾になる運命。
最後は最高に綺麗な蝶ならよかったのに…ちなみに私は蛾が苦手です
蝶よ花よ
そんなふうに育てられなくてよかったと思ってる。
本当に親に感謝しかない。
私は自然か好きだ
落ち込んだ時
悲しい時、寂しい時
花壇を見た
蝶が花に止ま
ゆうがに飛んでいく
それをみながら
こころがやすらぐ
蝶よ花よ
ありがとうと感謝
cat
『ヒロイン』
炙り出す 胡蝶の夢は花々に 儚く綺麗な希望をくれた 短いリボンがはらはらと 木々の間を結っていく
そう、私は純白でなければ あらぬ噂をたてられてしまう 純白でいなければとこの身を汚す 赤褐色になり吸い尽くされる
蝶よ花よ
君は蝶のようだね…って昔流行った歌にあったけれど…本当に貴女は、華やかで艶やかで、いつも不安になってしまう…否、僕のただの勘違いかも知れないけれど、本当は解ってる、貴女にとっては、ただの雑草の様な存在ってこと…でも、時折見える貴女の優しさに、淡い期待しまう…この想いいつか…
そもそもの意味はなんでしょう
子供を非常に可愛がり愛する
そんなことが書いてありました
育て方には様々あるので
個人差はあると思います
そして
血は繋がっていなくとも
蝶よ花よと育てることの出来る
そんな方も大勢いらっしゃることでしょう
子供は溢れる可能性と
屈託のない笑顔を与えれば
とても面白い存在になるでしょうね
全ての子供よ
健やかに
蝶よ花よ、どうかあの子を笑わせてくれ。
早くに希望を見い出せなくなったあの子を。ただ、心の底から笑ってほしい。花も蝶も今のあの子の希望になるから、僕じゃ力不足だから。
君の笑顔が見たい。でも君は手折った花も捕まえた蝶にもきっと言葉をかけるのだろう。
「可哀想だよ」と。
そこで咲いて舞うだけでいいから、僕の力に、あの子の笑顔のために協力してくれ。
あなたならできるわ
大丈夫
愛してる
期待してるからね
もっと頑張ろう
この言葉を使うひとは
きっとこの言葉のおもみを
きちんと理解できていない
重圧だらけの愛
/♯蝶よ花よ