『落ちていく』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ちていくのは
自分以外のものだったら、感傷的に見る事ができる。流れ星やミルクの王冠とか。しかし、自分が落ちていくのを感傷的に見るなんて、全くできない。
競争で負ける、試験に落ちる、失恋する、降格する、大切だった人達の優先順位から落ちていく、敏感だった感覚が鈍くなっていく、記憶が抜け落ちる・・・こういった自分に起こる事を、もののあわれのように受け入れるのは、本当に難しい。
本当は、自分が他者に向けるように、自分自身を客観視したい。しかし全くできてない。小さなことでずっとモヤモヤするし、何十年も前のことをふと思い出し、恥ずかしくなったりする。
その根底には、自分は特別で落ちるはずがないという、素朴な自己中心性があるのだろう。
でもわかってはいても、落ちていくような状況が起こると、すぐに感情的に自分を特別視してしまう。落ちたら悲しいしやりきれないし、最悪だーとグチグチ言うしグダグダするし、醜い。そんな自分を受け入れたくない。
それで、その後どうなるかというと・・・しばらく自分をいつものように特別視したあと、誰もそれに共感してくれないので、だんだん1人でグダグダすることに疲れてきて飽きてきて、なんて自分はめんどくさい奴だと思うようになって、ほんの少しだけ、自己中心性から距離が取れる時がある。ほんの少しだけ。
落ちていく
落ちていく
堕ちていく
堕ちていく
底なしの
闇の中へ
沈んでいく
わたしは
堕天使
-光を失い
闇に抱かれる
#落ちていく 756
余命を生きる
私は死の間際に何を考え、何に思いをはせるだろうか?
何と恐れの多い人間だったのだろう。
もっと恐れずに自分が考えたように思い切って生きるべきだったと感じている。
何と弱い小さい人間なのか。
何と臆病だったのか。
何をそんなに恐れていたのだろう?
聖書には恐るなという言葉が365回も出てくるらしい。
しかし、今となってはすべては過去のことだ。
後悔している時間はない。
最後の仕事をやり終えて死にたい。
何をしておくべきなのか?
墓?
誰かとの別れの挨拶?
そんなことはもうどうでもいい。
この情けない心とボロボロのからだでやっておくべきことを行動に移してその後、死の門をくぐっていきたい。
最後に会いたい人など1人もいない。
生きた証など残したくもない。
自分の心に正直に向き合う最後のチャンスだ。
命が落ちて行く前に、やり終えたい。やり切ってみたい。
私の心臓の鼓動よ、時をわきまえてくれ。
【落ちていく】
彼の瞳はいつも地面だけを映していて、どんよりと暗い雰囲気だけをまとっていた。
どう見たって幸薄い、絶望にうちひしがれたような姿。
いつも自分から報いを受けにいっていたその末路。
理由を聞くと、彼はいつもこうやって答えたのだ。
「僕の人生に光はない」と。
彼は教室で一番の悪者だった。みんなに嫌われて、恐れられてた。でも私にはそう見えなかった。
私だけにはちゃんと見えていた。本当の彼のことを。
この腐ったクラスの中で、いじめを止めるため。
彼をクラスの共通の敵として認識させ、団結を深めるため。
自分を劣等だと信じて疑わなかった彼は、自ら悪役になり、結果この教室はどのクラスより協調性を深めた。
彼は悪行の報いでいつも痣だらけだった。
そんな彼が飛び降りた。私の目の前で。
重力に従いその身体は落ちていく。
なのに何故、彼の目は光を反射して輝いているのだろう。そんな優しい表情で風を抱きしめているのだろう。
その腕の中にいるのが私なら良かった。
闇に落ちていく貴方。どうか私のこの恋心も共に奈落へ。
「 落ちていく 」 ( 妙 ふぶ若 )
君は冷静沈着で、大食いで、優しくて、体術も出来て、剣術もできる。
鍛錬の相手を良くしてくれたり、普段は見せないような笑顔で笑ったり、私にしか見せない表情や行動をしてくれる。
私しか聞けない声色で呼んでくれたり、私しか見れないような振る舞いや、私にしか見れない、聞けない言動を取ってくれる君に ___
「 落ちていく … 。 」
「 落ちていく 」
『モーニングコール』
昨日の紫は灰になったよ カーテンも煙になったよ
朝の光が嬉しくて 慣れないダンス踊ったよ
寝落ちの果てに シーツの上、山塊になる私
おはようと言った いまたしかに おはようと言った
❴落ちていく❵
落ちていく、、、
海に、、?
空に、、?
地に、、?
母のお腹の中に、、?
それとも、、
闇?
私達の人生の落とし穴は、何処にあるか分からない
急にくるかもしれない、、
逆になだらかな穴かもしれない、、
浅い穴かも、、、深い穴かも、、、、
人生、、一つの事に限らずに生きてみた方が、、、
自由に生きてみた方が、、、
人間、、、合っているにかもしれないですね
「そこまでです」
冷ややかな幼い声が聞こえた。こちらをみているのは、わたしと同じくらいの年頃の女の子だ。
わたしは、右手の剣をその女に構えた。
「やめとけよ、あんた」
少年。左手の剣を突きつける。
わたしはスカートのポケットに入れた聖なる薬草を意識した。これだけは持って帰る。友だちの命が助かるのだ。
「落ちていくつもりですか? この森は立ち入り禁止です」
「わかってる」
鋭いナイフを投げつけるように言った。
「あんたら貴族のための、薬草があるから」
男の片方の眉が上がった。女の方は、冷ややかな顔のままだった。
「死ぬつもり」
女が言った。
「まさか。それはあなたたちじゃない?」
シャラン、と金属音がして、女が剣を抜いた。男もだ。
わたしは、踏み込んだ!! 右手の剣は、女の腕を掠った。浅い。女は間髪を入れず横薙ぎに剣を閃かせた。それを両手の剣で受けると今度は男が武器を振りかぶるのが視界に見えた。わたしは、勢いよくその相手にタックルをした。体重は重くないけど、その構えを崩すことに成功し、相手は二歩下がった。
「あなた、何者?」
「ただの、貧民街の虫ケラよ」
さっと、踵を返して走った。向こうは鎧を着ている。軽装だから、逃げ切れるはず。わたしは、友だちの顔を思い出していた。かならず、助けるよ。
こうして、革命の騎士たち、二刀のセラと聖騎士ミューネ、剣聖ハリオは、最初の邂逅を果たしたが、彼女たちの名が歴史に出てくるのはもう少し後のことだ。
『アリスになりたかった』 テーマ:落ちていく
覚束ない浮遊感。灯りもないのに、やけに明るい穴の中を落ちていく。
顔に張り付く髪の毛が不快でしょうがなくて、とにかく梳かそうと、壁に掛かっていた櫛を咄嗟に手に取る。
持ち手に剝げかかった猫のシールが見えて、一気に自覚した。
これは、夢だ。
分かってみれば、ちぐはぐ過ぎて笑えてくる。大穴を落ち続けている状況すら変なのに、その壁に実家の櫛が掛かっているなんて、めちゃくちゃだ。
おまけに、夢の解像度も決して高くない。周りの景色も、自分が着ている服さえ判然としない。ただ、穴を落ち続けている。
『不思議の国のアリス』だ、とふと思った。
脈絡のない思考だ。まあ、夢の中の思考なんて脈絡のないものだろう。
それにしても、アリスか。旧友の名を聞いたような、感慨深い気持ちだ。
確か幼い頃に読んだ。少女が兎を追って、穴に落ちて、不思議の国で冒険を……。
いや、そうだ。アリスなら、もっといろいろあるだろう。身体が大きくなったり、縮んだり。お茶会やら裁判だってあったはずだ。
夢に出てくるシーンが、よりにもよってここなのか。
まあアンタの夢なんて、そんなもんだろうね。
母親が突然横に現れ、平然とした顔で言う。夢にまで出てこないで欲しい。
文句を言おうとしたが、口を開いても声が出せない。
記憶よりも妙に若い母親が、薄笑いを浮かべている。
それなりに生きてきたつもりだろうが、アンタは結局鬱屈としたヤツなんだよ。
だから、夢もこんなになっちまうんだ。
嫌なことを言う。母親はこんな悪意に満ちたことを言う人では無かったはずだ。
いや、果たしてそうだっただろうか。足元がぐらぐらする。そういえば、落ちているんだった。
心配しなくても、すぐ目は覚めますよ。ほら、もう朝だ。
今度は帽子を被った男が現れた。もしや、あの帽子屋だろうか。よく顔を見ると、しばらく会っていない同期の顔だった。
気味が悪い。所詮この夢は記憶の切り貼りなのだと見せつけられた気分だった。
帽子屋の男がまた、何かを言おうとしている気がする。やめてくれ。早く目を覚ますから、それでいいだろう。そもそも、何だってアリスの夢なんか見たんだ。
「俺は、男だろう」
階段を踏み外すような、がくっとした感覚で目を覚ます。
薄暗い天井。時計を見ると、朝の4時半だった。ついさっきまで見ていた夢の内容がもう思い出せない。思い出せないのに、心臓が痛くてしょうがなかった。
アリスになりたかった、のかもしれない。
2024.11.24
落ちていく
私は起立性調節障害になった
友達が毎朝家に迎えに来てくれた
だけど私は起きれなくて先に行ってもらう日々
申し訳なかった
毎朝私を信じて迎えに来てくれるのに
それに応えられない
申し訳ない、その気持ちが強くなるにつれて
朝起きるのがしんどくなっていった
毎日その友達に謝った
最後には不登校になってしまった
友達にも親にも怒られ、それでも朝起きられない
どうしようもない自分が嫌になった
1年ぐらいかけて克服したはいいものの
自分から話しかけることが出来なくなった
友達が出来ても壁を作り一定の距離を置くようになった
どこまで行っても先は暗いままだ
だれかこの暗闇から救い出して欲しい
そんなことを思いながら今日もまた一日過ごしていく
冬の夜は案外好きかもしれない。
少し前、夜が少し嫌になった。
その前はもう少し好きだったのに。
いつの間にか、夜が楽しみにならなくなった。
なにがあった。
色々あった。泣いた、辛かった。
なんで、なんでが分からなかった。
夏の夜は虫の声もほんとは少しうるさかったのだと、今気づいた。
だから、自分の足音が耳元に届くぐらいに空気までも、静かに、ひんやりとさせてしまう冬の夜はなんだか、自分だけが生きてる音がした気がして、心地いい。
今、分からなかったことが腑に落ちていく。
丁寧に、一つひとつ。
あの時の問いが腑に『落ちていく』
落ちていく。
やっと始まった
紅葉が。
落ちていく。
今日も
ゆうに
堕ちていく。
電気代が高いので
暖房つけずに寝たら
寒くて結構早くに起きた。
水色の何かが床にでろぉーんってなってて
なんだあれと思って、
メガネかけて見てみたけど
なんだあれ。
冷たい床を裸足で歩いていって
近くでよく見てみると
なんだパジャマか。
階段を登りきったが、
バランスが崩れて
何着か服が落ちていく。
UFOキャッチャーのように
手で鷲掴みにして
適当にカゴに入れた時の
多分拾いきれなかったやつ。
もう一度カゴに入れ、
クラゲが描かれた靴下を履く。
まあ、履いたところで
裸足とほぼ変わんない気がするけど。
モコモコじゃないから。
ところで
ある話から、
突然好きな歌手聞かれて
パッと頭に出てくるのは
DECO*27さんだけど、
口から出るのは
あいみょんなんだよ。
それで
おすすめの曲聞かれて
めっちゃ考えたけど
曲名ド忘れして、
ずーっと頭ん中にある曲、
「夢追いベンガル」なんだよ。
そりゃ夢追いベンガルって言っちゃうじゃん?
そしたら
プレイリストにあった気がする!
調べて聴くわ!
やめてー、、。
それ聴かれた後に
この曲好きですって言うの
ちょっと勇気いるー、、。
いい曲ではあるんだけど。
っていう、
ちょっと気まずくなりそうな話。
自称マイペースの私は
急ぐってことが出来ないから
今日みたいに早めに起きた方が
本当はちょうどいいんだけど、
一回寝たら
起きれないし
起こしてもらっても
寝起き機嫌悪いから。
まじでありえない。
一生オールしとけって言いたくなるよ。
自分に。
どこも
もうクリスマスですみたいな感じだけど、
早すぎてついていけないね。
私の体感はまだハロウィンなんだけど?
ってなる。
最後に私が大好きな漫画の
ある一言を。
"Good Midnight!"
お洒落だろ。
寝てるだけで終わる休日は
こんな小さなことだけでも
洒落てた方がいいんだ。
【落ちていく】
(最悪だ…。)
今日はすこぶる調子が悪い。1限目を終えた今もなお、頭痛と寒気が止まらない。熱がないからと登校したことを後悔し始めていた。
(…ダメだ。保健室で休ませてもらおう…。)
席を立つと、軽い目眩に見舞われる。
同級生たちの楽しげな話し声が頭に響く。
「どうした?ふらついているぞ。」
階段に差し掛かったところで、後方から声をかけられた。
振り返ると、他クラスでの授業を終えたところであろう古文担当の先生がいた。
『っ、すみません…。体調、悪くて…保健室に…。』
いやに息苦しい。声を出すことさえも辛い。
「そうか。保健係はどうした?1人で行けるのか?」
先生の問いかけに、ゆっくりと頷いて答える。
話をしていると、丁度2限目の数学担当教師が階段を登って来た。
『せんせ…すみませ…。…たいちょ…わるくて、…。』
まともに話すことすらも出来なくなってきた。
何でよりによって数学の担当がこの教師なんだ。
「あぁ?なに?」
…やっぱり、こいつ、きらい。
「この子、体調がすぐれないようなので、これから保健室に連れて行きます。」
「それくらい自分で言えないのか。先生も、生徒を甘やかさないでください。」
私のせいで、先生も怒られている。
私が弱いせいで…。
「甘やかすことと助けることは違うと考えています。そして私は、生徒を甘やかしているつもりはありません。」
弱い私が悪いのに、先生は庇ってくれている。
その言葉に、目頭が熱くなる。
胸が、呼吸が苦しくなる。
視界が、揺れる。
「!…急ぎますので、そろそろ失礼します。」
息苦しさに耐えかねて、前のめりになったその時、バランスを崩して階段から落ちそうになった。
痛いのは嫌だなんて考えていたけど、身体を打ちつけるような痛みを感じることはなかった。
先生が、咄嗟に支えてくれていたのだ。
文系科目の担当とは思えないほど、先生の腕は安定していた。
2限目の授業はないからと、先生は保健室まで付き添ってくれた。
保健室に着く頃には、迷惑をかけてしまった罪悪感や情けなさ、庇ってくれた嬉しさや安心感で、涙腺が緩みきっていた。
『グスッ…すみません…。』
「なぜ謝るんだ。君が気に病むことは何もないだろう?」
『…ゥッ、ごめ、なさ…。』
「大丈夫だ。何も悪いことはしていないのだから。」
先生の声を聴いていると、何だか安心する。程よい低くさで、柔らかくて、それでいて芯がある響き。必要以上に張り上げられることのない、優しい声。
「深呼吸できるか?…そう、もう1度。」
穏やかな声を聴いているうちに、瞼が重くなってきた。
「落ち着いてきたな?…よし。さあ、横になって。ゆっくりお休み。」
微睡んでいても、先生の声が、言葉が優しく響いてくる。私はそのまま身を任せるように、眠りの世界へと落ちていった。
落ちていく
極々あたり前に皆経験することだと思います
今に感謝して過ごそう!!
人間、落ちていくのは簡単です。
生きていくほどそれがわかる。
【落ちていく】
「自由」に憧れて、落ちてみた
頑張ることを辞めてみたんだ
けれどどうだ
後に待ってたのは、自由なんかじゃなく闇だった
【落ちていく】
落ちていく
自分、高所恐怖症のくせに、スカイダイビングはやってみたい気がする。
飛行機から飛び出して、風の抵抗を受けながら落ちていく、「落ちる」のではなく「落ちていく」感覚はどんなだろう。
数秒で地面に激突するビルからの飛び降りとは違うだろうから、自分みたいなビビりでも、すぐ落ちるよりは、落ちていく間になにを考えるだろうとか、なにが見えるだろうとか、ちょっと面白そうな気はする。
でも、いざとなったら、ビビって降りられないに決まっているけどね。
「な、なんだ、これ。」
大雨が降る森の急斜面で滑り落ち、死を覚悟をしたのも束の間私は古い木造建築の倉庫のようなものの屋根に寝そべっていた。
自分の傷を確認して大事でない事を確認してから起き上がってゆっくりと倉庫から降りると大量の枯葉が道を作っていた。まだ息が切れて動悸が止まらない。
私が今生きているのは奇跡そのものだ。
安堵していたが、不意に、ここはどこだと思い始めて不安に駆られる。
重症でないとはいえこの状態で遭難は危険だ。
慌てて周りを見渡すと倉庫の入り口から死角になっているところに古い立て看板が見てた。
「この先落石注意」
私の不安感はさらに増す。
さらに周りを見渡すとまた小さな木の看板が地面に刺さっていた。2000と書いてある。
ここもハイキングコースなんだと分かり私は安堵の溜め息をついた。
2000と書いていない看板の裏側がハイキングコースの進むべき道だ。つまり、2000と書いてある方角が下山に繋がる道である。
そう思いながら看板を確認しようと再度見ると、近くに枯葉が盛り上がっている部分があった。特別気になった訳ではないが私は安堵の気持ちから軽い気持ちで枯葉を足で払いのけた。
単に枯葉ばかりの山でなく下には何かあるようだ。黒い布のような....
枯葉が盛り上がってる部分はぱっと見150センチの横長だ。また一気に恐怖が押し寄せる。これは死体では?
急に足で払いのけるのが怖くなり、見たくないと思うようになった。
「別にいいよな。」
私は後づさりしてその場を後にしようとした。
すると、ビックリ仰天。落ち葉の盛り上がりがバッ!っと起き上がったのだ。
私は悲鳴をあげながら逃げた。
下山しようとするが先ほどまで降っていた雨のせいで地面が悪く、何度も転びかけた。はぁ、はぁと山の空気の薄さと一気に走ったせいで息切れして動けないと思ったとき、声が聞こえてきた。
「待って!待ってよ!!」
その声が凄まじく早く近づいてきていることに気づいた時には背筋に冷たいものが走り、冷や汗が止まらなかった。
しかし、その声に悪意が感じられず、幼い声に聞こえたので私は立ち止まった。
もし、怪我人なら大変だ。こちら側が一方的に驚いて逃げれば失礼だ。
妙に冷静になるもやはり、その姿を見た時は鳥肌がたった。
それの目は正気が全く感じられず、正に死んだ青魚の目だ。そして青白い顔、そして何より、頭がかち割れているのだ。前方の頭の三分の一ほどがない。頭の一部があるはずのところは欠けていて、赤黒く変色し、白いウジ虫が目立つ。
確実に死んでいる!!幽霊だ!
私が再び逃げ出そうとした時、その幽霊はいった。
「怖がらないでくれよ。確かに俺は死んでる。でも、いい幽霊なんだよ〜!お願いだ、頼む。霊感あるやつが来る可能性ってめっちゃ低いからさぁ!」
霊感がある?私は幽霊なんて見たこともなければ信じてもいなかった。
「腰が抜けて動けなさそう?ならちょっと説明だけでもさせてよ。俺は言わば呪縛霊だ。そして幽霊歴が長い。
なんと45年だ。体は見ての通り少年だが歴だけは自信がある。しかし、45年もこうやってこの山を見ているとウンザリするんだよね。だって人に話しかけられないし綺麗な花を摘むこともできないし、腹も減らない、夜も眠れない暇のひとことだ。」
「は、はぁ。」
私は夢でも見ているんだろうか。冷静に考えてこれが現実なはずない。
「そんでね、成仏したり誰かの背後霊になったりするには、霊感あるやつに叶えてもらうしかないの。例えば浮遊霊だったらこの土地にいる幽霊達全員で協力して上に上がるしかない訳よ。運良くどこかの浮遊霊が俺たちの誰かをタッチしてくれれば浮遊霊になれる。」
「でもそれってすごい労力使うし、下には熟年の幽霊が勤めるしかないの。何故なら存在感が増すから。この世にいるとどんどん存在が濃くなって集中すれば落ち葉に触れることだってできる。だから、しっかりとした土台を作るには、ベテランじゃないとダメなの。でも最近の幽霊は不真面目なヤツばっかでさぁ。俺の体が少年だからって舐めて浮遊霊になれてもタッチしてくれないの。そして幽霊歴がドンドン長くなっていくって訳。」
「だっ、、大問題ですね...」
「うんうん、そうでしょ?浮遊霊になるのは若者ばかりで協力した浮遊霊は報われないって、酷い世の中よね。そんなことが続くと、ベテランもただじゃ協力しなくなってくるのよ。結局は破却してここの山には幽霊がウヨウヨしてる。でも見えて聞こえるのは俺だけでしょ?説明は後だからさ、浮遊霊じゃなくて背後霊だと今の状況じゃ楽なんだよ。君に憑けばいいから。君に憑くには君の許可がいる。幽霊の権限でなにかしてあげてもいい。君の背後霊になってもいいかな?背後霊になった後は簡単!地上の浮遊霊にタッチしてもらって浮遊霊になって俺の意思があれば成仏できる」
「はぁ。」
私は妙に冷静にこの幽霊の言うことが頭に入っていっていた。
「憑いていいよね?守護霊になってあげてもいいよ。」
私が口篭っていると、幽霊はもーっ、と頬を膨れさせて速く速く、とせかした。幽霊だから全く可愛くない。
「いいですよ...ただし、私の古い友人と会わせて下さい。」
「古い友人?いいだろう。君みたいな三十代くらいの男性の友人なんてどうせ高校時代か大学時代の友人だろう。」
私は何も言わずに頷いた。
「背後霊なってもいいですよ。絶対合わせて下さいね?」
「マッジで!?おけ、じゃあ呪文唱えるから待ってね。あ、涙は出さないで。ないと思うけど。」
「〒7548jtjtmtwpaj」
????
なんて言った?
そう思った瞬間どこからともなく風がやってきだと思ったら、幽霊の姿は見えなくなっていた。
「私の幻覚....?」
私が振り返ると先ほどの落ち葉の盛り上がりがあった。
その瞬間またあの恐怖が襲ってきた。夢じゃなかったのか。
そう思いながらもさっきの幽霊を起こすために今度は手で落ち葉を払いのけた。すると、そこにいたのは頭が片割れた幽霊でない、私の友人の姿があった。
10年前、行方不明になっていた古い友が見るも無惨な死体となって私の前に現れたのだった。
「タッチ!!よっしゃ!」
と言う声がどこからともなく聞こえてきた気がした。
胸が満ちていく あなたの言葉ひとつで
恋に落ちていく あなたの仕草ひとつで
心が朽ちていく あなたの行動ひとつで
地獄に堕ちていく あなたへの気持ちひとつで