花畑』の作文集

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花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/17/2023, 6:41:21 PM

エノテラを贈ろう。

君によく似た、優しい花を。

野辺に咲き誇る、楚々としたその花を。

君に贈ろう、たくさんのエノテラを。

私の真心を、君に。

テーマ「花畑」

9/17/2023, 6:28:44 PM

私は花畑が好きだった。あたり一面に咲いている花が綺麗だから。風が吹くと揺れる花たちが可愛いから。その風に乗ってくる花の匂いも。

でも、あなたは一輪の花が好きだと言った。自分のために咲いた花が特別に思えて、儚げで…

それから私は一輪の花が好きになった。
これはあなたのせい。花屋で見かける一輪の花を見るたびにあなたを思い出す。

あなたは花畑をわざわざ観にいかないだろうけど
どこかで花畑を見た時私のこと思い出してくれたらいいなと思う。

9/17/2023, 6:25:33 PM

『花畑』


涼宮葉乃 Suzumiya Hano
霧島空雅 Kirishima Kuga








世界一大好きな人と結婚する。


それって、本当に夢みたいで、本当に素敵なこと。


いつか、、、私にもそんな王子様が現れるって、信じてる!!



ゴンッ

「いたっ!」


「あーごめんごめん、まーた変な夢物語語ってる馬鹿がいるから」


思わず手が動いたわ、なんてふざけたことを言いながら、私の頭に下ろした拳をどかす憎たらしい奴。


「空雅には別に理解してもらわなくていいもん」


「理解したくてもできねーよ」


この空雅っていう奴とは、なぜか中学3年間同じクラスで、なぜか同じ高校に合格して、なぜかまた高一のクラスが一緒っていう、、。


いわゆる神様のいたずら、意地悪。


ただなんとなく、唯一同じ高校に進学した同中メンバーで気軽に話す仲だから、今もたまに話すっていう、、、それだけ。


「だいたい結婚なんかに夢見てる奴って、結婚できずに終わるか失敗して離婚だろ」


でなかったらこんな失礼な奴、、、関わらないよね。


「あーもううるさい!いいもん!絶対素敵な運命の人見つけて幸せになって空雅見返してやるから!」






これが私たちの日常。





「はぁ......あいつまじ馬鹿」



こうやってほぼ毎回呟かれてることは、私は知らない。




———————————————

———————



「葉乃って、なんでそんなに結婚したいの?」


「今って、結婚願望ある人減ってるじゃん?」



お昼の時間。仲良くなったいつめんの結衣ちゃんと莉央ちゃんに問いかけられた。


「んー、なんでって、、、」


結婚っていうものに憧れたのは、私の母の妹の結婚式が始まりだった。


ガーデンウェディングで、純白のドレスに包まれ、幸せそうな顔で微笑むのを見て、私もこんなふうになりたいって思った。


それから、街でいろんなカップルやご夫婦、子供連れの方々を見る度に、憧れの気持ちが膨らんでいったんだ。


世界で一番愛し愛される存在がいたら、どんなに幸せなんだろうって、、。


「お前ってほんと夢見てるよな」


聞きなれた皮肉が聞こえた。


「結婚なんて縛られるだけじゃん?だからみんな結婚願望なくなってくんだし。だいいち、人間の気持ちなんて変わりやすいもん本気で信じられるのとかまじで馬鹿だなおまえ」


今まで、沢山言われてきた。


そんな夢くだらない。現実で起こるわけない。それ本気?


どれも私の心を抉ってきたけど、耐えられた。


だって、どんなに非難されても、私はそれが憧れだし、夢だから。


そうやって胸張ってきたけど、、、、


「別に、空雅がどう思おうが関係ないし。」


なんか、刺さった。刺さって抜けない。鋭い棘が、痛い。

じんじんと痺れさせるような痛みが、心を傷つける。


お昼ご飯食べ終わってなかったけど、、

なんかしんどくて、片付けもせずに教室を出た。


結衣ちゃんの引き止める声が聞こえたけど、無視しちゃった。


だってさ、、なんだろ、なんかわかんないけど、空雅のあの言葉がグサって来たんだ。


たぶん、自分でもわかってることだったから。




人の気持ちは永遠じゃない____


周りにいたカップルがどんどん別れていくのを見た時。

ついこの前まで付き合ってた人が、すぐに新しい恋人を作った時。


疑ってしまった。人の気持ちっていうものを。


本当の気持ちって、どれなんだろうって。


もし自分を好きと言ってくれてる人が現れたとして、、その気持ちは真実なのかな?って、、



そこを突いてきた空雅の言葉は、私の心に深く刺さった。


きっと、、頭の片隅では理解してる事だったから。


それでも心で拒否して、夢に縋ってきた私。


夢は夢でしかない、って突きつけられたようで、。



「苦しい、」



この気持ちは、誰にもわかってもらえない。




———————————————

———————



それから、どことなく空雅を避けるようになった。


またあの言葉を言われたら今度こそ、自分の夢が終わってしまう気がした。




結衣ちゃんと莉央ちゃんは気を使ってか、空雅がいる教室だったりでは、あの話は持ち出さないようにしてくれた。


それでも2人は、葉乃の夢聞くの好きだよって笑ってくれたから、私も素で話せた。




そんな日々が半年続いたある日、、



学校祭の最終日だった。





みんなが祭りの余韻を感じながら片付けを始めた頃に、クラスメイトの男子から呼び出された。


そのままついていったら、、、


「入学式で一目惚れしました!それから、同じクラスで過ごしていくにつれ、どんどん好きになりました、、。俺でよかったら付き合ってください!」


まさかまさかだった。告白なんてされたこともなかった。


予想外すぎて、テンパった。


とりあえずなにか言わなきゃ、、って思うのに、脳は上手く機能しなくて。



なんとか絞り出せたのは、少し時間ください、。っていう我ながら失礼な言葉。



姿が見えなくなって、ようやく息ができた。



「ど、どうしよ、、」


「断るだろ」


居るはずのない人の声がして振り向けば、超不機嫌を丸出しにした顔でこっちを見る空雅がいた。


「……なんで、ここに」


「んなことより、」


断るよな?って、光のない目で私を見下ろす。


「な、なんで、、空雅にそんなの決められなきゃいけないの」


「んじゃあ好きでもないのに付き合うのか?」


「好きかどうかなんて、空雅にはわかんないじゃん!!」


「んなことくらいわかるわ!」



どんだけお前のこと見てきたと思ってんだよ、、と、さっきまでの威勢を失ったように細い声で呟く空雅が、空雅らしくなくてこっちの調子が狂いそうになる。


「空雅が見てきた私って何?ただ、私の夢否定してきただけのくせに!」


「それはお前がっ、、!」


「私が何!?哀れだった?可哀想な奴だなって思った?現実で彼氏の1人もできたことないくせに結婚なんか語って馬鹿だなって?言ってたよね沢山!数え切れないくらい!今更なに躊躇してんの?言えばいいじゃん!思ってること全部!」


「っ!おい、葉乃落ち着けって」


「落ち着いてる!これまで空雅に言われたこと、ちゃんとわかってる!人の気持ちなんて変わるって言いたいんでしょ?今付き合っても結婚なんてできないって、、、」



なんで、、、なんだろ、


急に止まらなくなった。きっと、怒りかな。空雅への。


だってさ、ずっと否定してくるんだもん、私の気持ち。


今まで耐えてきたんだもん、、




「空雅がどう思おうが関係ないから」


私が誰と付き合おうが、弄ばれようが、裏切られようが、、、
空雅には一切関係ないこと。


だって私たちはただのクラスメイト。


それ以上でもそれ以下でもない。




私を見て呆然と立ち尽くしている空雅を睨みつけてから、背を向けて歩き出す。


もう空雅に干渉されるのは御免だっていう意志を込めて。



なのに、、



「……っ!? 空雅はなして!」


「いやだ、離したくない」


「後ろから抱きついてくるとかほんとに信じらんない!」



抵抗しても、男の力には敵わない。

何一つ状況を打開できないまま、ただただ抵抗する時間。



「葉乃が好き」



耳元で、あと少しで聞こえなくなりそうだった声を拾い、思考が停止する。



「え、、いま、」


「葉乃が好きって言った」



今度はしっかりと、、

いつもの空雅のよく通る声で。



「いや、意味わかんない」


「ずっと、、中学の頃から好き。 気づいたら好きだった」


聞いてもない情報が、どんどん耳から流れ込む。


「葉乃が、他の奴と楽しそうに話すのに嫉妬した、、葉乃の夢を聞くのがしんどかった。いつか、、俺以外の誰かの隣で、夢を叶えるんじゃないかって思ったら、、気が狂いそうだった、。」



「あんな酷いことばっか言ってごめん、、全部嘘だから、」なんて、らしくないことばっか言う空雅に戸惑いが隠せない。


あの空雅が、、私を好き、?有り得ないよね、?


「これから、今まで最低なこと言ってきた分頑張るから、、俺のことも少しは考えて」



隣の花壇で花が揺れる。まるで、おとぎ話に誘うように。


ゆらゆら揺れる花々が、夢の続きを紡いでくれる気がした。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






「新郎 霧島空雅さん。

あなたは新婦 葉乃さんを妻とし、病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命ある限り心を尽くすことを誓いますか?」



「はい、誓います」



「新婦 霧島葉乃さん。

あなたは新郎 空雅さんを夫とし、病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命ある限り心を尽くすことを誓いますか?」



「はい、誓います」






「では誓いのキスを」















これまでの私へ




やっと、夢が叶ったよ。



世界で一番だいすきな人と結婚するよ。



中学の私にこのことを伝えたらきっと驚くよね?



この人が、私の運命の人だよって___






「なにわらってんの」


「んー空雅と結婚するなんて予想もしなかった頃の私に話しかけた」



「なんだそれ」



「だって、あの空雅だもん」



「俺以外がここに立つの許さないからな」




あの頃と同じ、意地悪そうな自信ありげな顔をした空雅が近づいてくる。



目を閉じてそれを受け入れれば、少し緊張気味な感覚。



そして、割れんばかりの拍手が私たちを包み込んだ。






「愛してる」


「一生?」


「もちろん。葉乃の夢を叶えるのが俺の幸せだから」






足元の草が揺れた。


周りに咲く花々も揺れた。



暖かな風に身を委ね、甘い香りをふりまくそれに、



私たちは新たな未来を誓った。

9/17/2023, 5:18:14 PM

花自体にはそれほど興味がないのだが、それでも花畑へ行くと壮観で素晴らしく感じる。
様々な花があるのだなと一つ一つずつ花をのぞいてみては、変わった形であればつい撮りたくなる。
もちろん、それと比較するためにも定番の形であろう花にも撮ることを忘れない。

花畑が魅惑的なのだ。普段は花屋にもよそ見もしないのに、人々は見事な花畑に引き寄せられてゆく。

今まで行ったことのある花畑というと、向日葵はもちろん、秋桜、菜の花、彼岸花も美しく惹かれる。
そういえば、花畑とは言わないけれど-それに近いものでいえば、桜の花見。

なるほど、日本人は桜のある頃から花見を、花を愛でるのが好きなのだろう。
人生には色々とあるけれど、ふと足を止めて、しばし美しく咲く花に心を寄せては癒しを求める。

まだ自分にも花を愛でる余裕がほんの少しでもあったなら。まだ、もう少し、頑張れそうだと思える。

花畑には、人々を癒やし、幸せを与えてくれるのだ。

9/17/2023, 5:06:18 PM

[タイトル:花畑にパンジーが咲く]
[お題:花畑]

 アンティーク調の揺り椅子が緩慢な速度で揺れている。
 その様を僕は玄関から眺めている。犬走蓮花の一軒家は広いけれど、代わりにたった一部屋しかないので、玄関から全てが見渡せた。
 ベッド代わりのLOGOSのハンモック。キッチン代わりのパナソニック製IHクッキングヒーター。風呂とトイレはそのものが別々の扉の奥にあるけれど、たいていはこの一部屋に収まっている。
 しかし、肝心の犬走の姿が見えない。揺り椅子はひとりでに、主人の帰りを待つ犬の尻尾のように振れている。
 どうやら、たった今、彼女は椅子から降りてどこかへ行ってしまったらしい。
 戸を叩いて扉を開くまでの間に、どこかに逃げてしまったのか。もしくは、ただの偶然か。今にも止まりそうな揺り椅子の速度は絶妙で、とてもその判断はつきそうにない。
「犬走さーん!」
 僕の声が部屋に虚しく響く。目で見てわかったことが、耳で聞いてより深くわかっただけだ。犬走はここにいない。
 しかし、焦る事はない。彼女のいる場所は、二つに一つだ。すなわち、この部屋か、あるいは裏庭の花畑か。

「犬走さん」
 少し声を低くして言うと、犬走はビクッと肩を震わせた。背中越しでも、その動揺が容易に見て取れる。彼女は一平方メートルを隙間なく埋める、黄色いバンジーの花畑の隣にしゃがんでいた。格好はオーバーサイズの白いニットセーターに、紺のジーパン、そしてそれらに似合わないサンダルを履いている。彼女の藍色のペディキュアが、春先の少し肌寒い空気に抱かれている。
 彼女は恐る恐るといった様子で、こちらに振り向くと、バツの悪そうな苦笑いを浮かべた。
「き、北川、さん・・・・・・」
 僕は、はいそうですよ、犬走さん、と義務的な返事をした。僕が北川誠太郎である事はどちらも分かっているが、互いの立場をはっきりさせるために、改めて苗字で呼び合う。
「どのくらい進みましたか?」
「・・・・・・、じ、じゅう、かな?」
 犬走は、目を逸らしたまま、両の手のひらを広げて『十』を作る。
「・・・・・・十ページですか?」
「・・・・・・十文字、で、すぅ・・・・・・」
 消え入るようなか細い声。すると、犬走はプイッと顔を背け、花畑から溢れた花壇用の土を弄り出した。そして、何やら人に聞かせない程度の声量で、ぶつぶつと何事かを呟いている。
 あの日はパンジーを強風から守っていたからだ。次の日は暑すぎてノーパソがダメになる寸前だったから。さらに次の日は朝の星座占いが下から三番目だったから。などなど、小説家とは思えない子供じみた言い訳を述べている。
 およそ二分ほど、その様子を無言で見守っていると、遂に観念したのか、彼女は急に立ち上がって頭を下げた。
「すみません! まだ全然出来てません!」
 四十五度の素晴らしく美しいお辞儀である。これが小説新人賞を満票で勝ち取り、授賞式で涙ながらに下げた頭と全く同じであると思うと、なんともいえない気分になる。
「・・・・・・とりあえず、十文字を見せて下さい」
 僕がなんとかその言葉を絞り出すと、彼女はパッと頭を上げた。その顔には、良かった、許された! と書いている。残念ながら、その期待には応えられない。たとえその十ページが文学史に残る名文であろうとも、担当編集者として、締切を守らないのを当たり前と思わせてはいけない。この社会をまるで知らない小説家と、社会を繋ぐのが僕の役目なのだから。
 
『花畑にパンジーが咲く』
 ノートパソコンに立ち上げられたWordアプリには、その十文字がひっそりと添えられていた。
 作業机に座る犬走の横で、それを認めると、極めて穏やかな表情で目を閉じる。
 なるほど、と思う。なるほど。
 そして、深く息を吸って、静かに吐く。何か言おうとしたが、中々言葉にならない。ここまで長く続く絶句は初めての経験だ。
「あの、頑張ります。頑張るので、頑張ります」
 おまけに書いた張本人が、こんな慰めをしてくる。今から頑張れるなら、もっと前から頑張ってほしかった。
「・・・・・・頑張ってください。とりあえず、今日は今から缶詰めです。後一週間で十万字に達していなかったら、プロットなしで編集者会議も通さないなんて横暴はもう二度とできないですからね」
 犬走はあからさまに怪訝な表情をして、サッとパソコンに向き直った。一文字ひらがなを入れては、一文字消してを繰り返している。
「少し、外の空気を吸ってくる」
 僕が居ては集中できないだろう。
 玄関から裏庭に出て、パンジーの花畑が見える場所に行く。家の壁にもたれると、電子タバコを取り出して水蒸気をふかす。
 タバコ休憩、というものがどれだけの会社に残っているのかわからないが、これをしたくなる気持ちはよくわかる。仕事のストレスは、仕事のうちに打ち消してしまいたい。
 少し感情がなだらかになった。すると、不思議なもので、ずっと視界入っていたはずのパンジーが目に止まる。そこから、先ほどの十文字が思い出され、そして頑張っている犬走の姿が浮かび上がる。
 頑張っている。犬走はいつだって頑張っている。でもそれだけでは生きていけなよな、と思いながら、僕は水蒸気を口と鼻から吹き出した。


 犬走蓮花は直情的な作家だ。自分の目と肌で感じた、現代の現在を、パワフルなワードセンスでフィクションに落とし込む。それも、プロットと呼ばれる小説の骨組みを作らずに、感情の揺れ動くまま、一気に一つの作品を書き上げる。その代わりに、何も思いつかなければ、文字通り一文字も書けない。無理に絞り出して十文字が限度である。
 そして、並の小説家と負けず劣らずの変人奇人っぷり、さらには締切を守らず、加えて世間知らずときた。やがて多くの出版社が、その才能を惜しみつつ、彼女に別れを告げた。小説において、一作限りの天才も少なくはない。そういった、後にコアなファンによって密かに語られる『消えた天才小説家』の地位に甘んじるのだろう、と多くが思った。
 実際、二作目は泣かず飛ばずだった。華々しくデビューした、衝撃的な一作目から、時間が経っていたのもあったのだろう。犬走に新人賞を与えた出版社も、二作目のこの結果を見て手を引いた。そこから数年ほど、彼女は完全に消息を絶った。

 そして、ある日突然、三作目が発表される。それが犬走の運命を、そして僕の運命を変えた。
『久しぶり誠太郎。私のこと覚えてる?」
 ある日、僕の元にやってきた電話の主に、全く心当たりはなかった。深夜三時に電話を掛けてくる非常識な友人はいなかったし、残念ながら、寂しくて声を聞きたくなった、なんて言ってくれる恋人もいなかった。
『どちら様でしょうか』
 少しもイラつきを隠さずに言った。しかし向こうにはこちらの感情は一切伝わっておらず、粛々と会話が続く。
『犬走蓮花です。小学校以来だけど、覚えるよね』
 名前を聞いて、記憶の奥底から怪物がフラフラと立ち上がる。十数年もの歳月を超えて、思い起こす彼女の声は、電話の主よりもずっと甲高かった。けれど、深夜三時にアポなしで電話をするという、この常識知らずが、彼女が犬走蓮花だという確信を与えた。
『あ、あぁっ、久しぶり! どうしたの、こんな、こんな時間に』
 この時ばかりは本当に驚いた。犬走蓮花は僕の憧れだったからだ。
 恋や好きでは無く、憧れ。彼女が新人賞を取る以前から、つまり小学生の頃から、彼女は自身の非凡をこれでもかと全身で表現していた。
 一言でいえば、破天荒、だ。生徒の誰よりも校長先生と仲良くなり、気に入らないクラスメイトとは殴り合い、イジメには断固として屈しなかった。少なくとも、僕にはイジメに見えていたが、果たして犬走にその気があったかどうか。彼女にしてみれば、ただの一対複数人の喧嘩だったのかもしれない。
 こうした、彼女の自分を貫き通すその在り方に、僕は憧れていた。決してそうなることは出来なかったが、僕の起源には確かにそれがある。
 そんな小学校時代が終わり、僕は犬走とは別の中学に通うことになる。進学先が真面目な校風であったことも相まって、あまり犬走の噂を聞くことは無かった。しかし、その数年後には小説新人賞受賞という形で、彼女の破天荒の続きを見せつけられることになる。
 それから犬走の二作目執筆期間中に、僕は大学生を卒業して出版社に入社する。いつの間にか出されていた二作目が、古本屋の端に置かれていくうちに、僕は編集者の仕事をすることになった。
『うん、えと、私が小説を書いてることは知ってるよね?』
 犬走の声は少し不安げだ。
『勿論、僕の界隈で、知らない人はいないと思うけど』
『そう、界隈。誠太郎の界隈のことで、ちょっと頼み事があるの』
 犬走は、どこからか僕が出版社に入社した情報を掴んでいた。そのコネを利用したい、という。
『私の三作目を、誠太郎の出版社から出して欲しいの。今の私じゃ、自費だとほとんど見てもらえないから』
 今に思えば、この時、聞こえてきた衣擦れの音は、きっと頭を下げた時の音だ。姿勢のいい、四十五度。あの四十五度のおかげで、彼女は小学校の校長に随分と気に入られていた。
 僕はどうするべきか、しばらく考えて、彼女の顔を思い出してから、言った。
『・・・・・・ウチは持ち込みやってないから』
『・・・・・・』
 電話口で黙りこくる犬走に、ただ、と続ける。
『掛け合うだけ、掛け合ってみる。勿論、中身を確認して、だけど。とりあえず、原稿を僕の方に送って欲しい。それを読んで判断する』
『・・・・・・分かった』
 この言葉は、どんな感情を元にして吐かれたのか。少なくとも、僕には『嬉しさ』ではないように思えた。

 この時、僕に送られて来た三作目は、悪くなかった。一作目ほどのパワーはなかったが、現代をシニカルに礼賛した歪さは、癖になる読後感があった。それは、この原稿を受け取ってくれた先輩編集者も同じだったようで、間も無く発刊が決まる。犬走の、第二と言っていい小説家人生が始まり、僕にとっては第一の担当編集人生が始まる。

 僕は、二十分ほど経って、そろそろ部屋に戻って様子をみようという気になった。ただし、彼女の様子を見るのは、慎重に、が原則だ。集中が途切れやすく、さらには集中するまでに時間がかかるので、もし激励が不必要なら、音も立てずに退散すべきだ。
 玄関をそっと開けて、中を覗き見る。犬走は作業机にはいなかった。彼女はノートパソコンを持って、揺り椅子に座り、穏やかに揺られている。
 犬走にとって、この揺れが肝要だ。彼女は肉体と精神は深く結びついていると考えている。つまり、肉体が揺らされれば、感情も揺れ動くと思っているのだ。なんて無理筋な論理だろう、と思う。それでも、彼女はこの方法で、多くの人々を魅了した小説家だ。それが彼女の世界観だ。
 その時、ふと気づく。どうして、今日初めてこの家に訪れた時に、揺り椅子が揺れていたのか。
 彼女は、きっとあの揺り椅子に座って仕事をしていた。そして、感情が揺れたのだ。自分で書いた『花畑にパンジーが咲く』という一文に。そして、実際にパンジーを見ようとした。現代の現在を正確に書き起こすために、現実に咲いているパンジーの情報が欲しかったのだ。
 であれば、僕はなんて無粋なことをしたのだろう。これが僕の仕事だと割り切ればそれまでだが、この小説家に対して、そんな対応は間違っている。
 なぜなら、彼女は犬走蓮花なのだから。
 破天荒で、常識知らず。そして人を動かす力があり、僕の憧れ。
 真剣にノートパソコンと向き合う彼女の表情は、どんな地上の花よりも美しく見えた。
 
 僕は静かに扉を閉じて、もう一度パンジーの花畑の前に来た。

『花畑にパンジーが咲く。

 黄色のモザイクが風に揺らぐ。
 
 春の鳳蝶が、パンジーを選んでいる。

 好きにすればいい。

 君の好きにすればいい。
 
 どれを選んでも、きっと正しい』

 あ、そうか、と僕は気づく。電子タバコの水蒸気を吸い込んで、消えた現代のストレスの隙間で思考する。
 僕の憧れが、犬走を特別にしている。
 犬走は僕の憧れであるために、頑張っている。
 どうしてそう思えたのか。僕は先ほど犬走がしゃがんでいたところに行って、腰を落とす。溢れている花壇の土を拾い上げて中に戻し、少し引き抜かれたパンジーを植え直した。
 あの犬走蓮花に、たった一平方メートルでもパンジーが育てられるものか。
 これが証拠だ。犬走はパンジーの話を書くためにパンジーを植えた。現実を映す彼女が、現実を自ら作り上げた。この捏造が、僕が急かしたことで生まれたのでなければ、もはや僕にこの仕事は向かない。
 
 花畑にパンジーが咲く。

9/17/2023, 4:56:21 PM

【花畑】

「あ!先輩だ!」
「先輩ー♪」
「愛斗先輩ー!」

オレは学生の頃
『ハーレム』を作っていた。

「やあ 後輩ちゃん達」

後輩だけではなく
同級生にもハーレムはいた。

ホームルーム前、休み時間、放課後
図書室にて集まり話していた。

「先輩…あのね」
「よしよし 大丈夫だよ
君が良い子なのはオレがよく知っているよ」

『優しい子』は『よく気を使う子』だと
オレはわかってる…『苦労している子』だと…。
だからオレは優しく問いかけてそしておとした。

優しい言葉と頭をなでれば
女はだいたいおちる。
そうすれば「この人はわかってくれてる」と
オレに好意をいだいた。

オレは紳士的に女の子と向き合ってきた。

もちろん相手とは真面目に向き合って話す。
そうすれば更に女の子はオレを信頼し、
心を開いてくれた。

もちろんわがままな子や
ヒステリックなやっかいな子もいたが、
それはそれで悪い気はしなかった。

いつも「女の子に「好き」と言わせたら勝ち」と思っていた。
また、「オレに良くしてくれる子は
『オレに惚れてる子』」とおもっていた。

ほとんどの子は
素直で可愛い女の子でオレの周りにはたくさんいた 。

「愛斗 一緒に帰ろう?」
「先輩 私と帰りましょう?」
「可愛い子ばかりで悩んじゃうな…
なんならみんなと帰ろうか!」

そしてハーレム達は何故か喧嘩したり取り合いもせず
仲が良かった。

たまに人気のない場所に女の子を連れこみ
特別感を出して、
「君には特別だよ …他の人には内緒だよ…?」と
イケナイコトもたまにしたこともあった。

オレはいわゆる『ハニー達』に恵まれていた。

今でもオレは『女好き』、
または『女たらし』が治っていない。
だが決してオレは悪くない。
オレがただ優しいだけだ。

そして期待の『お楽しみ』は
にのつぎだ。

9/17/2023, 4:52:29 PM

「ねぇ、ママ赤ちゃんどこ行っちゃったの?」
ママは天井を向いて答えた
「お空にねぇ、赤ちゃん帰っちゃったのよ」
まだ幼い私には当然分かるはずがなかった。
「赤ちゃんは今、お空のどこにいるの?」
母から一粒の涙がほほをつたっていく
「ちぃちゃんはね、とっても綺麗なお花畑にいるのよ、、、」

「ねぇ光介、あなたももういっちゃうの?」
私は不規則な心電図を眺めながら静かに語った

お花畑って言ったら、美しく色鮮やかに咲かせる花を想像することでしょう

きっと、そう、彼だって

私は愛人の頬をそっと撫でた
生暖かい彼の感触が私の涙をこみ上がらせる
「生きてると思うんだけどなぁ、、、」


「ねぇ、お互いいつ死ぬかわから無いんだよ?」
「またそんなこと言う」
「本当の事だよ,だから僕は君との時間を大切にしたいんだ」
思っても見なかった、彼がこんな目に遭うなんて、、、
「もし、あの場所でちぃちゃんにあったら、ちゃんと、ちゃんと、守ってね、そしていつか、私と出会ったら、あなたの胸元でたくさん泣かせてください、、、」
私はまだ生暖かい彼の手を強く握った。
その瞬間一定だった心電図がピョコンと上がった、まるでそれは返事をしているかのように
私は涙を強く拭き取った



お花畑は残酷なほど美しい、人や虫を魅了させる
だけど花は枯れてしまう、今までの美しさとは反比例するかのように
「バイバイ、光介」
そこにたどり着いた人間は時を忘れて無我夢中になるだろう。
美しいものこそ弱いのだ
花だって、踏んだり、焼いたりさえすれば跡形もなく消える、蝶だってすりつぶせば粉々になる
美しい容姿や心の持ち主は、みんなからいじめられる。最初から綺麗事なんて通用しない
残酷を知って初めて美しく輝き始める。
私だってそう、現実を知った
今の残酷さだって、、、苦しんでも、叫んでも、あがきもがいても、どんなに人や神を憎み、恨んだって、もう彼は帰って来ないってことも
現実と残酷さがそう、教えてくれた
もうこれでいいんだと誰かが叫んでいる
苦しい、辛い、死にたい、呼吸ができないの、彼を、彼を、私のもとに返えして!!
今だってそう、彼が私の中で「生きてるって」訴えかけているの!!
彼女はモニターが鳴り響く部屋の中で、ヒステリックに叫んだ
「彼はまだ生きているの!!」

死神が嘲笑うように言った
「バカな人間もこの世にいたもんだな」
その死神は、女を見たあと自虐的な笑いをし、悲しそうに去っていった。

9/17/2023, 4:42:14 PM

『退院したら、一緒にお花畑に行こうねっ!』
そう無邪気に笑った君は、今頃何をしているのかな。
お花畑はあったのかな、
どんな花が咲いているのかな。
ああ。やっぱり、一緒にいきたかった。
でもぼくは、いけないから。いく勇気もないから。
きみに、フタリシズカをとどけます。

9/17/2023, 4:42:01 PM

花畑と聞くと
真っ先に頭に浮かぶのは
どう考えてもアチラの世界
アチラと言ったらアチラ
最近ではリアルな花畑なんて
とんと見ることがない
ある意味尊い場所なのかも知れません
そんな場所であって欲しいと
私自身の希望なのかも知れません

9/17/2023, 4:36:45 PM

花畑

生まれた時からずっと荒野を歩くのと
花畑で育てられてきたのに
いきなり荒野に放り出されるの
どちらが不幸せなんでしょうね。

9/17/2023, 4:36:04 PM

『花と蜜』
お花畑に寝転がって 午睡して そのまま天国でもいいような気分になって 秒で馬鹿らしくなって 照れ隠しに蜜吸って ハナムグリに怒られて 正午になって お昼はうどん 人間らしく汁啜る

9/17/2023, 4:35:09 PM

「違う。これじゃない」

「間違えないように、潰さないと」

グシャ…グシャ…っと

花を何度も踏みつける。

「どこに咲いてるの。私の花」

広大な花畑を見渡しながら

違う花をいくつも踏みつける。

「…あ」

その花の周りには

綺麗に咲いた花なんて無かった。

「……あれ」

周りの変化に耐えきれなくなったのか

はたまた自分で潰してしまったのか

探していた、たった一輪の花は

色褪せ、枯れていた。


ー花畑ー



もし、花畑が地球だったら。

花が人間で

探していたのが運命の相手だったら。

踏みつける事が、暴言を言う事だったら。

……なんてね。

9/17/2023, 4:07:17 PM

─花畑─

不思議な夢を見た。

気付けば僕は花畑に立っていて。

頭に違和感を覚えて触ると、

花で出来た冠がのっていた。

手先が器用では無いので、

僕が作ったわけではない。

誰が作ったのか考えていると、

遠くから声が聞こえた。

『あっ!やっと起きた~、ずっと寝てたよ?』

───誰だ?分からない。

分からない。知らない。怖い、筈なのに。

何故だろう。涙が出るのは。

『えぇ!?どしたの!?』

「わから、ないっ。知らない、筈なのに、何で、。」

何で、こんなに悲しくて、苦しいのだろう。

忘れてはいけない、大切な記憶のような気がする。

昔一緒に遊んで、幸せだった記憶。

思い出そうとしたが、酷い頭痛に襲われた。

嗚呼、何で。こんな大切な時に。

また夢で会えるかな。大切な、君に。


題名【数年前の事故】

9/17/2023, 3:56:17 PM

放課後、友達と帰っていた。
階段を降りている時、走っている人が上から来た。
ぶつかると思った時には既に遅くて其の儘階段から落ちた。
何時間寝ていたのだろうか。
目を覚ました。
けれど、起きた時には私の知っている場所ではなく、知らない花畑にいた。
前後左右を見ても、花、花、花。
建物などは一切なく、唯花が咲いているだけだった。
一つ頭に思い浮かんだのは死だった。
死んだんだ。
そう思った。
けれど、悲しくも、苦しくも、悔しくもなかった。
たった一つ....嬉しいという言葉のみだった。
死は私がずっと望んでいたものだったからだ。

# 126

9/17/2023, 3:49:41 PM

【花畑】
よく私の頭の中はお花畑と言われる


だけど私の素をしっているひとは皆口を揃えて


蟻地獄


という



私はただ裏と表を使い分けているだけなのに

今日も今日とて可愛いお花に誘われた

愚かな蟻が地獄に足を踏み込んでいる

9/17/2023, 3:38:06 PM

花畑
私はずっとそこで花を育てている

血のように赤いレッダブリル
初夏の空のようなビルノット
君の髪のような金色のアゴルテルカ
君の瞳のセグリンタノ
、、、

百を超えるであろう花の名が私の舌の上で羅列する
もう28年
ずっと花を植え 水をやり 育てている
春夏秋冬いつでもどれかひとつは咲いている
それは私にとっての楽園であり希望だった
私はずっとそこで花を育てている

みな、笑った
私を見て
私が狂ったように必死に花を育てる様を見て
笑った
それでも良かった
君よ、帰ってきてくれ

私は旅に出た
33年前 君と共に
私は君と共にならなんだってやれた
敵兵を殺すことも
敵を殲滅させることも 命をかけることが出来た
君も同じことを言った
そして笑いあった

29年前 君は死んだ
殺された
敵兵に殺された
新兵器の爆撃はあまりにも大きかった
君の肉も骨も拾うことはできなかった
私はあまりにも容易に君の死を受け入れてしまえた
それから
私はずっとそこで花を育てている

この花を
この花たちを君の肉だと
君の骨だと 髪だと 瞳だと 足だと 手だと 口だと 鼻だと
そう思って
そう思わなきゃ生きてはゆけないひとたちが
私の他にもたくさんいるだろうから
私はずっとここで花を育てている

今までも今もこれからも
戦いはこの世界のどこかでかならず行われているだろうから
私はここで戦うのだ
この花を必要とする人々のために
私はずっとここで花を育てている。
花畑

9/17/2023, 3:33:56 PM

少しショック表現あり




ハッと気がつくと、俺はどこまでも続く花畑で寝転がっていた。

上半身を起こし、周りを見てもただ花畑が広がっているのみで、誰かがいる様子も無い。

取り敢えずタバコでも吸おうかとポッケを手探りで探すが、見あたらない。
そもそもポッケがないようだ。

不審に思って自身の格好を見ると、どうやらどこかの入院着を着ているようだった。

これまでの記憶を思い起こしてみるけれど入院をした記憶おろか、全ての記憶が思い出せないままだった。

宛もなくさ迷っていたが、どうやらここは夢の世界らしい、どこまでも花畑が続くのみ。

自信になにか変化がないか見回してみるけれど、なにも……あれ。

首元がとても痛い。何かに切られたような痛み。
思わず手を当てると、ぬらりとした感触が手に伝わる。
反射的に手のひらを覗けば、真っ赤に色がついた血液。

「っひ、」

これは自分のものなのだろうか。

すごく怖くなり、呼吸も怪しくなってしまった。
苦しい、首からはとめどなく血液が溢れ続ける。首元もナイフで切られたような痛みが続く。

跪いて口元を覆うけれど、何も変わりやしない。

視界が霞んできた。

足元に咲乱れる白いアネモネに、俺の血液が溢れ続け、赤く染っていく。



あぁ、思い出した。

俺は恋人に殺されたんだ。

アネモネの花言葉には、「見捨てられた」「恋の苦しみ」「見放された」などがある。

普段からのクズな生活から嫌気が差した恋人が、カッとなって、そう、首元、を。


もう力も出ない。前に倒れ込み、全身の力を抜く。

目の前には、沢山のアネモネと、1本の黒百合。





後悔しても、遅かったんだ。








黒百合の花言葉「復讐」「呪い」

#花畑

9/17/2023, 3:32:50 PM

きれいなきれいな色の花
たくさんたくさん咲いていて
みんなの視線を奪っていく

きれいなきれいな姿の花
一人一人が輝いて
見ている人を魅了する

わたしがわたしが好きな花
見ているだけで幸せで
わたしの心が満たされる

わたしはわたしはどんな花
なにもできずにここにいて
輝いてる花畑の空想に浸る

9/17/2023, 3:32:36 PM

あなたに会えなくなって何日経つのでしょう。
そんなに経っていないような、すごく経っている
ような。
人を想うと体内時計がおかしくなるようです。
私にとってお花畑はあなたです。
いつだってキラキラしていてパワーを
くれる。
会える時は私も負けないぐらいキラキラ
してたいなって思わせてくれる。
また会える日を楽しみに今日もいつもと
変わらない時間を紡ぐ。

9/17/2023, 3:28:10 PM

♯4 花畑

私の地元ではひまわりの花畑が有名だった。

小さい頃は母が運転する車の助手席からひまわりの花畑をぼーっと眺めていたのを覚えている。

でも小さい頃の私はひまわりがあまり好きではなかった。
見た目がちょっと怖いって言うか…、大きいし、枯れてしまうとうなだれててキレイじゃない。

それから気づけば私も母になっていた。

息子が産まれた日の誕生花はひまわり。
好きではなかったひまわりだけど、今は怖いという感情もなくなった。
息子にはひまわりの様に大きく、強く育って欲しいと思っている。

そしてひまわり畑の様に、色鮮やかな素敵な人生を送って欲しい。

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