なめこの妖精さん🧚‍♀️

Open App

少しショック表現あり




ハッと気がつくと、俺はどこまでも続く花畑で寝転がっていた。

上半身を起こし、周りを見てもただ花畑が広がっているのみで、誰かがいる様子も無い。

取り敢えずタバコでも吸おうかとポッケを手探りで探すが、見あたらない。
そもそもポッケがないようだ。

不審に思って自身の格好を見ると、どうやらどこかの入院着を着ているようだった。

これまでの記憶を思い起こしてみるけれど入院をした記憶おろか、全ての記憶が思い出せないままだった。

宛もなくさ迷っていたが、どうやらここは夢の世界らしい、どこまでも花畑が続くのみ。

自信になにか変化がないか見回してみるけれど、なにも……あれ。

首元がとても痛い。何かに切られたような痛み。
思わず手を当てると、ぬらりとした感触が手に伝わる。
反射的に手のひらを覗けば、真っ赤に色がついた血液。

「っひ、」

これは自分のものなのだろうか。

すごく怖くなり、呼吸も怪しくなってしまった。
苦しい、首からはとめどなく血液が溢れ続ける。首元もナイフで切られたような痛みが続く。

跪いて口元を覆うけれど、何も変わりやしない。

視界が霞んできた。

足元に咲乱れる白いアネモネに、俺の血液が溢れ続け、赤く染っていく。



あぁ、思い出した。

俺は恋人に殺されたんだ。

アネモネの花言葉には、「見捨てられた」「恋の苦しみ」「見放された」などがある。

普段からのクズな生活から嫌気が差した恋人が、カッとなって、そう、首元、を。


もう力も出ない。前に倒れ込み、全身の力を抜く。

目の前には、沢山のアネモネと、1本の黒百合。





後悔しても、遅かったんだ。








黒百合の花言葉「復讐」「呪い」

#花畑

9/17/2023, 3:33:56 PM