少しショック表現あり
ハッと気がつくと、俺はどこまでも続く花畑で寝転がっていた。
上半身を起こし、周りを見てもただ花畑が広がっているのみで、誰かがいる様子も無い。
取り敢えずタバコでも吸おうかとポッケを手探りで探すが、見あたらない。
そもそもポッケがないようだ。
不審に思って自身の格好を見ると、どうやらどこかの入院着を着ているようだった。
これまでの記憶を思い起こしてみるけれど入院をした記憶おろか、全ての記憶が思い出せないままだった。
宛もなくさ迷っていたが、どうやらここは夢の世界らしい、どこまでも花畑が続くのみ。
自信になにか変化がないか見回してみるけれど、なにも……あれ。
首元がとても痛い。何かに切られたような痛み。
思わず手を当てると、ぬらりとした感触が手に伝わる。
反射的に手のひらを覗けば、真っ赤に色がついた血液。
「っひ、」
これは自分のものなのだろうか。
すごく怖くなり、呼吸も怪しくなってしまった。
苦しい、首からはとめどなく血液が溢れ続ける。首元もナイフで切られたような痛みが続く。
跪いて口元を覆うけれど、何も変わりやしない。
視界が霞んできた。
足元に咲乱れる白いアネモネに、俺の血液が溢れ続け、赤く染っていく。
あぁ、思い出した。
俺は恋人に殺されたんだ。
アネモネの花言葉には、「見捨てられた」「恋の苦しみ」「見放された」などがある。
普段からのクズな生活から嫌気が差した恋人が、カッとなって、そう、首元、を。
もう力も出ない。前に倒れ込み、全身の力を抜く。
目の前には、沢山のアネモネと、1本の黒百合。
後悔しても、遅かったんだ。
黒百合の花言葉「復讐」「呪い」
#花畑
9/17/2023, 3:33:56 PM