突然の君の訪問。』の作文集

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突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/28/2023, 3:59:23 PM

くつわ。
くつわ。

           呼
           び
           掛
           け
           る
           声
           が
           ぶ
           つ
           か
           る
           窓

           暗
           い
           だ
           け
           の
           闇
           の
           蒙
           昧

8/28/2023, 3:53:58 PM

またおんなじことを繰り返してしまった。

自分が責められているような雰囲気を感じると、それを否定するための嘘をついてしまう。

自分が悪いと思われたくなくて、嫌な子だと思われたくなくて。

それで家に帰って一人、自分の代わりに誰かが悪く言われているのを想像して。数珠繋ぎのように、事態が悪くなるビジョンが見えて、苦しくなって。

眠りにつけないんだ。

8/28/2023, 3:48:01 PM

「久しぶり。元気してた?」

自宅の玄関前に突然現れた、よく見知った顔。

「元気してた?って…こっちが聞きたいよ。今までどこに行ってたの?」

高校の同級生である彼は、突然消息を絶ったまま、もう5年ほど経っていた。

「ちょっと…まあ、色々あったんだよ。」

彼は苦笑いしながら、言葉を濁す。
ベージュのダッフルコートに、落ち着いた赤色のマフラー。少し癖のついた黒髪。
5年という月日を感じさせないほどに、彼の姿は"そのまま"だった。

「色々、って…まあ、とりあえず入りなよ。聞きたいことは山ほどあるし。」

そう言って私は、彼を部屋に招き入れようとする。

「いや、ごめん。それはできない。これから行かなきゃいけないところがあるんだ。」

そんな、せっかく久しぶりに会えたのに。と私が言う前に、彼は続ける。

「君に渡したいものがあるんだ。」

そう言って彼は、右手に持っていた白い紙袋を差し出した。

「ありがとう。これは何?」
「…後で開けてみて。」

一体なんだろうと紙袋を眺めていると、彼が言う。

「元気そうでよかったよ。それじゃあね。」
「え、待っ──」

顔を上げた時、彼はもうそこにはいなかった。

紙袋に入っていたのは、彼と私が写った数枚の写真と、メッセージカード。
そのカードには、彼の字で、『今まで楽しかったよ。ありがとう。』とだけ書かれていた。

友人づてに、彼が亡くなっていたと聞いたのは、その3日後のことだった。

8/28/2023, 3:33:26 PM

お題「突然の君の訪問。」


事前に連絡が当たり前で
こんな突然の訪問はめっきりない
相手を驚かそうとか
喜ばせようなんてのはもう面倒
そんな事を思ってくれる相手もなし
たとえ切羽詰まった事情ならば
やはりひとこと連絡は欲しい
ひとの生活の中に足を踏み入れるならば
こちらにもひと呼吸の時間は欲しい

ねぇ君、聞いてる?
笑ってないでさぁ

8/28/2023, 3:30:00 PM

突然の君の訪問。

え!ちょっと待って!
部屋散らかってるから10分待って!

あ、やっぱ1時間
いや、1日…1週間……1ヶ月ほしいかも

気持ちの整理は10分じゃ終わらない

8/28/2023, 3:27:18 PM

それは唐突な出来事だった。
「よっ、まだ残ってんの?」
「え、羽田派君?」
 教室で1人、日誌を書いていた時に羽田派がやって来た。
「忘れ物しちゃってさー。んじゃーなー」
 彼がひらひらと手を振る。なのでこちらも振り返した。
 そう言えば羽田派君、最近私が日直の日は毎回忘れ物をしているような……?

8/28/2023, 3:17:11 PM

突然の君の訪問

雨の日からあの9人と会うことが多くなった
もともと同じ高校ってことで、学校でも、話したりしている

今日は、一人で帰っていた
家につきベットに寝転ぶ
いつの間にか寝落ちしていたらしい
幸いな事にも10分も寝ていなかったみたいだ
私が起きた理由
それは



あの9人が突然訪問してきたようだ
下でワイワイガヤガヤと騒いでいた声で起きたみたいだ

ふと、机を見ると


おはよ
ゆっくりねれた??
起きたら下来てね!
9人より!!

と書かれたメモ帳があった

あー下行くか、と
ボサボサになった髪の毛
ボロボロになった顔を治す

まあ、メイク落としただけだけどなんて、思いながら
すっぴんで



突然の君たちの訪問

を受け入れた




今日、仕事の皆さん学校の皆さん❗お疲れさまでした!
お忙しい中読んでくださりありがとうございます❗
ゆっくり休んでください。
おやすみなさい

8/28/2023, 3:07:50 PM

Episode.10 当然の君の訪問。


やはり君は、何がしたいのか分からない。
そんな所も、まあ。


____ピンポーン。

インターホンから姿を確認すると、そこには俺の親友がいた。

「いつき〜…これ、また作りすぎちゃってさあ…一緒に
 食べてくんない?」

「おー、いいよ。
 どうせなら俺の部屋で一緒に食わない?」

彼女の名前は夏乃で、俺と同じ大学生だ。
そして、俺の好きな子だ。
俺がこの街に引っ越した時、同じマンションの隣に住んでいたのが夏乃だった。

夏乃はいつも自炊をしているらしいが、どうも作る量の感覚だけは未だに掴めないらしい。
作りすぎた日には、俺におすそ分けをしてくれる。

いつもはそのまま一人で食べるが、今日は一緒に食べよう、と誘ってみた。
夏乃は喜んでるように見えたし、とりあえず1週間お願いすることにした。


1日目。食べながら俺の部屋をぐるぐる見回す。
部屋に入ること自体が初めてのような仕草だった。

2日目。今日は落ち着きがない。
ずっと何かを気にしているように、ソワソワしている。

3日目、4日目、5日目。普段の夏乃に戻っている。
少し落ち着いたのか、笑顔も自然に見える。

6日目。夏乃はこんなことを聞いてきた

「…あのさ樹、」

「んー?なに?」

「また次の時も、一緒に食べに来てもいい?」

「おう!いつでも言ってくれよー」

7日目。夏乃は、少し真面目な顔で話しかけてきた

「そいえばさ、樹は恋人とか好きな人、いないの?」

「…好きな子ならいるけど。」

「えー!?初耳なんだけど!だれっ?誰なのー!」

「…飯食い終わったらな。」


食後、俺は心臓が飛び出るんじゃないかという気持ちでいた。
もう我慢ならない、はやく好きだと言いたい。
…夏乃も好きだと嬉しいが。

「で!好きな子、だれなの?」

「…なつの」

「ん?」

「…っだから、夏乃が好きなんだってば!」

「…はあっ!?」


俺の部屋で、お互いが顔を真っ赤にしていた。
……あ、れ?なんで夏乃まで?
期待で胸が膨らんだ。はやく、はやく。


「…い、いつから私の事すきなの。」

「会ってから1ヶ月位の時から。」

「な、ながいな…そっか…うん…」

「んで、夏乃はどうなの。」

「へ。」

「俺は夏乃のことが好き。付き合って欲しい。
 …返事は?」

「え、えと、ぁ……お、ねがいします…」

「…マジ?ほんとに?」

「ま、まじ!ほんとに!」

「やべー……めっちゃ嬉しい、好き…」

「わたしも、私も、樹のこと好き!だいすきー!!」


それから。


「樹、起きてー!朝!仕事行くんでしょ!」

「んー…おきた……」

「えらい!おはよう!」

「おはよう…ちゅーして」

「…早くしなきゃ時間なくなるよ!」

「ちぇ、けち。」

「もー…」

そう言いながら、彼女は俺の腰に手を回しハグをする。
その左手には、キラキラ輝くリングが見えた。
何度見てもにやけてしまう。

それを見た彼女がひとこと。

「なにニヤけてんのー!キモ!はやく準備しろ!」


…今日も頑張りますか!

8/28/2023, 3:02:12 PM

疾うの昔の話しである。

 私の父には、多くの側室がいた。全て、政略結婚だった。富豪の娘に、上級貴族の娘、大臣の娘…など、有力な家ばかりとの繋がりを持つためだった。
 彼にとって婚姻とは、その家の力と弱みを握る手段でしか無かった。

 そんな彼は、遂に正室を迎える。その女性は、階級の中でも最下層の出だった。当時には珍しい、恋愛による格差の結婚だった。そして、彼は正室の彼女しか、生涯愛さなかった。彼から唯一、寵愛を注がれた女性。それが、私の母だった。

 多くの側室が居れば、子も多い。私には、腹違いの多くの兄と姉が居たが、正室の子の私が嫡男となり、家督を継ぐこととなった。

   つまり、そう…。感の良い方はお気づきの事だろう。

     私の子ども時代は、地獄と化した。

  私が幼少の時に、母は病に伏し、若くして亡くなっていた。

 そんな地獄にも、希望があった。一部の兄弟が、私の味方に付いたのだ。

  それにより、勢力争いを勝ち抜き、生き残ることが叶ったのだ。

 兄弟たちが隣国に嫁いだ、その後も文通による交流は続き…、その兄弟たちとは、再会の約束を取り付けることに成功した。

 
待ちに待った今日、ドアのベルと再会を喜ぶ、音が玄関ホールに響き渡った。

8/28/2023, 2:53:22 PM

「驚かせたかったから」
 チャイムの音で玄関を確認すると、モニター越しに君が佇んでいてびっくりした。
 急いで玄関に行きドアを開けると、そこには少し申し訳無さそうな、でもどこか嬉しそうな顔の君がいる。
「今日は、研究、忙しいんじゃないの?」
 昨日の時点で言われていた事を反芻すると、研究は一段落ついたの、と君は苦笑気味に言った。
 その手には少し重そうなスーパーのビニール袋が握られていて、思わずそれを持ち上げる。
「一緒に夕食、どうかしらと思って、内緒で色々材料買い込んじゃった」
 君は、小首をかしげて両手を後ろで組んで、片方の靴を立てながら、ご迷惑じゃなければ、と僕を覗き込んでくる。
 その、夜色の瞳に、僕は年甲斐もなくドキドキした。
 人間、二十五を過ぎても胸はときめくものなのだとどこか他人事に思いながら、突然の君の訪問が嬉しかったと告げると、今度は君の顔にとびきりの笑みが咲く。
「私も、あいたかったのよ…!」
 そう言われてしまえば、玄関先にも関わらず思わず君を抱きしめていた。
 君の顔が赤く熱くなったことは首筋で知る。その反応もまた嬉しかった。
 突然の君の訪問。
 僕の休日に鮮やかな彩りが生まれた瞬間。

8/28/2023, 2:48:37 PM

"ピンポーン"
静かな家に突然鳴り響くインターホン
待ってたよ、待ってたんだよ。

自分からは行けないから、でも他の人に取られたくなくて、わたしだけの貴方であって欲しくて

2日前
貴方のインスタのストーリーを開く、
そこに写るのはお友達さんとのプリクラ
「あぁ、わたしのなのに」
「わたしだけの貴方であればいいのに」
きっと、異性が恋愛対象な貴方にとって
私は恋愛対象外

わかってるけど、むりなの、抑えようなんて
だって、止められないんだもん



「なにしよう」
「恋バナしようかな」
「映画見ようかな」
「なんの映画にしよう」

いろんな案を1人で出し続けながらインターホンに
向かう

「はーい」

ほんとうは、たまらないくらいドキドキしているけど
あえて隠して、余裕感を出す

「ねぇ、伝えたいことがあるんだけど」

8/28/2023, 2:44:50 PM

突然の君の訪問。
破天荒なところはあったが、連絡なしに来るひとだとは思っていなかったので、驚いた。
会えた嬉しさと心配と、少し困惑もあったがうまく隠せたのではないかと思う。

なまぬるい微糖の紅茶を飲むと、あの夜を思い出す。

どうしたのと問う私に、君はなんともいえない笑顔を返した。
突然の訪問に続き予期せぬものを見せられて、しばらく言葉を忘れてしまった。
それ以上踏み込ませない、硬く脆い盾のような笑顔だった。

よく分からないまま、ホットの紅茶を買った。
私と同じように、ストレートが好きなのは知っていた。ストレートを選んだつもりだった。けれど微糖だった。こんなことは初めてだった。私も、動揺していた。

今夜の選択肢を間違えば、その先が全て崩れてしまうと確信していた。
あたたかなボトルを握っても、指先が気持ち悪い冷え方をした。

私の動揺が選ばせた微糖の紅茶を君が飲んで、やっと少し空気が弛んだように思えた。
それでもなお、無意識に呼吸が浅くなるような、そんな空気だった。
緊張に締まる喉を舐めていく、なまぬるい微糖の紅茶。
その心地の悪さを、冬が来るたびに私は思い出すのだ。

8/28/2023, 2:43:04 PM

さっきはごめん
               20:18
別にいいよ。気にしてな
いし        20:20

                    よかった
                  20:21

                うそついたからさ
               20:22

                 なかよくしても
                 らえないって…
               20:22
大丈夫。心配すんな。
        20:23

俺はずっとお前の親友
だからな。   20:24
        
                  ありがとう。
                 20:25

             お前が親友でよかった。
            20:25

お前今何処に居るんや
        20:26

おい 20:26

返事しろ 20:26

📞キャンセル 20:26

📞キャンセル 20:27

今からお前ん家行くから
         20:27

10分もかからん 20:27

それまでなんもすんなよ 
         20:28


ー突然の君の訪問。ー

8/28/2023, 2:43:03 PM

「突然の君の訪問」



じつは1日中ずっと

君のことを考えていたし

会えればいいなと

心から願っていたから、


「ビックリした?」

という君の笑顔も

突然の君の訪問も

じつは驚かなかったよ。


そのドアを開ける君の笑顔を

何度も何度もずっと

想像していたんだから。



でもね、嬉しさを隠しながら

「びっくりしたぁー」

そういって僕も顔をほころばせる。



        「突然の君の訪問」

8/28/2023, 2:32:35 PM

飽きの訪れが早い私には、、
到底叶わない
私は小動物をこよなく愛している
家族のように身近に 共にすごしたいと、、
どれほど夢見たことか、、
されど叶えることは出来ない
、、私は飽きを迎えることが早い、、
〜突然の君の訪問。〜
毎朝通る散歩道 そこに癒しは舞い降りる
、、野良猫、、飼えずとも,
飽きるとしても,
野良猫なら気軽に振る舞える
責任のともあわない癒しは素晴らしい
、、筈であったのに、、何故、、
何度も会う度に
より近くにいて欲しいと考えてしまう、、
「突然の君(猫)の訪問。」、、未だ決断に悩んでいる
この辺りで話を閉じよう
〜完結〜

8/28/2023, 2:30:24 PM

雨に佇む












あぁ、もう行ってしまう。行かなきゃ、追わなきゃ。次いつ雨が降るのか分からない。




















突然の君の訪問。














百合注意、前回の『雨に佇む』と繋がっている




















今日は久しぶりに雨が降った。
私には、雨が降ると必ず行く場所がある。
習慣のように聞こえるかもしれないが、これは習慣とは全く違う別物。

そう、これは''呪い''だ。

私のせいで君に掛けた呪い。
そして君が私に掛けた呪い。

まるで<呪い愛>だ。


つくづくこの世界の創造者樣であるここの神樣は皮肉だと思う。



あの子の姿を神隠しの様に消す癖に、あの子と一緒に過ごした記憶は一切消さないでおいとく。

私たちに''普通''に愛し合って生活出来る同性愛は許さないのに、
呪いのような愛し合いは許すどころか強行する。
神樣は自己中心的にも程がある。












雨が降っている中、彼女が消えた場所に行き、花を添え、【あの子がどうか帰ってきますように】と、叶うはずも無い願いを神樣に祈る。
永遠の制裁なのだから、戻ってくるはずもない。だけど、祈らずには居られなかった。
今日は雨の量も多く、長い時間降っているのでもしかしたら会えるかもと思った。でも会えることが出来るのは聖霊のみ。精霊の彼女とは会えない。









家に帰り、晩ご飯と風呂と課題その他もろもろを終え、部屋でぼーっとしていると、何故か窓の外から気配を感じた。私の部屋は2階、もちろん常人が届くような高さじゃない。
不審者かもしれない、害のある生き物かもしれない。
でも、体が窓を開けろと言うことを聞かないのだ。



わけも分からないまま、私は窓を開ける。

するとそこに居たのは、あの日、あの場所、この天候で私に好きと伝えてくれた子。神隠しにあって雨の精霊になった彼女だった。

ただ1番最後に見た時と違って、水のように透けていて、触れたら今にも崩れてしまいそうなほど儚く見えた。
これも精霊になったからだろうか。


どうして、


と聞こえるかも分からないような小さく掠れた声で呟く。

すると彼女は、あの日と変わらない柔らかく優しい笑顔で

わかんない、笑

と答えた。


【雨が強かったからかもしれない】
【もしかしたら聖霊になれたのかもしれない】

きっと私も彼女も同じことを思っている、それだけで嬉しく思ってしまう私は、かなり重症。




でも、そんな分かりきった答えも否定して、今目の前の少女は今私が1番欲しい言葉を言ってくれた。





<常日頃から思っているあなたに会いたい、触れたい、話したいという気持ちがこの日の強い雨と重なって、こうやって移動してここへ来れたのかもしれない笑>



そう言って彼女は自分の手を私の手と絡ませて遊ぶ。



【もし聖霊になれたら、またこうやって来るね。】



約束だよ。と言って指切りの約束をした。

すると彼女は満足そうに笑いながら、水のように夜の闇の中へ馴染んで消えていった。



















指切りの約束を交わした少女達の小指には赤い糸
薬指には彼女達にしか見えない指輪がついていました。
透明な宝石がひとつついただけの、シンプルな指輪。
でもその透明な宝石は抜けるような青から、茜色へと変化し、星空を散りばめたように煌めいたあと、虹色の光を放ち、それを繰り返し続けた。

少女達の薬指には、今でもその指輪が輝き続けている。

8/28/2023, 2:30:12 PM

おかしいなあ、しっかり隠したはずなのになあ、

いったいなんでだろうかなあ。

君の服は全部捨てた。

君の香水も、大事にしていたアクセサリーも。

君がいつも身につけていた赤色だけはヤケクソで撒き散らした。

少しだけ名残惜しいけれどサヨナラした。

部屋の温度がひんやりと下がったのを感じた。

僕はこんなだけれど、今でも君を愛してるよ??



カーテンは赤い光でチカチカと光っていた。


ふと、チャイムに気づいて扉を開ければ


ぼくは大勢の大人に囲まれていた。


あーあ、どうせこうなるならぼくの赤色も混ぜればよかった

8/28/2023, 2:28:29 PM

【突然の君の訪問。】

 突然、君がやってきた。もちろん、部屋の掃除はしていない。

 「相変わらず、汚いね~」
 レオナが言う。彼女がこの部屋に来るのは、かなり久しぶりだ。
 「なぁに、幽霊でも見たような顔してる」
 自信に満ち満ちたような表情はあの頃と変わらない。
 「だって。そりゃ、驚くでしょ。ずっと部屋から出てないって聞いてたから。」
 ユウキは声を絞り出すようにして、答えた。
 「焦るとメガネ直す癖も変わってないね。」
 ユウキの言葉は無視して、レオナが指さしてくる。ユウキは少しムッとして、
 「なに?急に来て。」
 せっかく引きこもってた幼馴染が来てくれたんだから、ほんとは嬉しい気持ちでいっぱいなのに、レオナの横柄な態度につい応戦してしまう。
 
 「別に。元気かな、と思っただけ。」
 レオナは悠然とユウキの机のへりに腰かけ、ユウキのヘッドホンを耳に着けた。
 「最近は何やってんの?」
 優雅な仕草でパソコンを覗き込む。
 「ゲームだよ。」
 ユウキはドキドキしながら、最近やっているゲームの画面を開いた。

 実を言うと、内緒でレオナのSNSのアカウントをフォローしている。というか、フォローするだけに留まらず、素性を隠して仲良くなり、一緒に楽曲制作をしているのだ。そして、それが今バレるのは良くない。
 ユウキはSNSをログアウトできているかハラハラしながら、少しだけそのゲームをプレイして見せた。
 「やば。めっちゃ強いじゃん。」
 ヘッドホンはレオナがつけてるので無音で操作せざるを得ない。

 ドサッ。

 画面上の敵が倒れた。
 「ふーん。」
 レオナはヘッドホンを外して、今度はベッドでくつろぎ始めた。艶のある黒髪ストレートのボブに、いつの間に入れたのかブルーのメッシュが入っている。小さい頃はモデルをやっていただけあって、その長い脚を組むだけで妖艶な雰囲気さえ漂う。
 (中学生とは思えないな・・・)
 昔から、レオナは女王様だった。いつどこにいても、あっという間にその場を支配してしまうオーラがある。
 「ねぇ、学校、行かないの?」
 「うーん。どうだろうね。」
 「レオナなら今から勉強しても間に合うだろ?」
 彼女はユウキとは違うお嬢様中学校に通っている。高校はエスカレーターで上がれるはずだ。
 「まぁね・・・。」
 煮え切らない返事をしながら、ベッドに投げ出してあった音楽系の雑誌をめくっている。主にピアノ曲の雑誌だ。
 「まだピアノやってるんだね。」
 「うん・・・。」
 何か突っ込んだことを聞かれるんじゃないかと、ついそっけない返しになってしまう。
 「ん。帰るかな!また遊びに来るね。」
 来た時同様、突然レオナは立ち上がった。

 彼女がさっさと出て行ってしまったので、なんとなく立ち上がるタイミングを逃してしまった。階下の玄関の方から、母がレオナを見送っている声が聞こえてくる。

 不思議な感じがした。

 さっきまで、この部屋にレオナがいた。彼女の妖しげな微笑を思い出す。ユウキはベッドの方に目をやった。さっきまで、そこにレオナが座っていた。

 なんとなく、見続けてはいけないような気がして、ユウキは慌ててヘッドホンをつけ、ゲームで無心で敵を倒し続けた。

8/28/2023, 2:26:47 PM

子供の頃からの夢だった。
きまぐれで、しなやかで、どこか気品漂うきみ。
生きている間に、1度は一緒に暮らしたい。
ああ、その小さな手に出来るくぼみに触ってみたい。

成人した私もその夢を抱えたまま、日々を過ごした。
家族にも、いつか。と物語のようにうっとり語っていた。
そんな、ある日。

職場の先輩から連絡があった。
近くのスーパーマーケットの駐車場にいた、きみを保護たと。
先輩の家には沢山の、大きく優雅な家族がいた。12以上の家族に加わるにはあまりに小さく、虫に栄養を取られてやせ細ったきみ。
写真を見て私は、一目で恋に落ちた。

きみを、しあわせにしたい。

迎え入れる為に3日で環境を整えた。初めてあったきみは、3ヶ月にも関わらず1.2kgだった。
それでも懸命に生きようと、好奇心いっぱいで。
一緒に迎えた子供たちは、きみが可愛くて、私のように一目で恋をした。
わたしの、かわいい末の息子。何より大切な、私の子供。

突然の出会いで家族になったきみは、あっという間に我が家のアイドルになった。
それでも何故だか帰宅した私に甘えるきみに、しあわせを感じる。

大丈夫。もう、怖いものはないよ。私がきみを守るよ。
今日も家を守ってくれてありがとう。
絶対に、私はきみのところへ帰ってくるよ。
かわいいこ、世界で一番、愛してるよ。


「突然の君の訪問」

8/28/2023, 2:26:39 PM

程よく冷えた部屋、ホットアイマスク、イヤホン、充電器、抱き枕、少し針が進んでいる目覚まし時計、完璧だ。
ここのところずっと働き詰めで疲れていた私にとって今日は待ちに待った日だった。そう、明日は休日。朝早く起きる必要もなければ面倒な上司と顔を合わせる必要もない。なんて素晴らしい日なのだろうか。

「今日は早めに布団に入って翌日の昼まで…いや目が覚めるまでとことん寝てやる!」
そんな独り言を発しながら布団に片足を突っ込んだ瞬間、部屋中にインターホンが鳴り響く。カメラに映っているのは付き合って2年ほどの彼氏で、渋々ドアを開けると両手いっぱいに袋を下げてマスク越しでもわかるくらいにこにこしていた。

「…来るなら連絡してって前に言ったよね?私今から寝るところなんですけど。」
「うわーー本当にごめん…!でも急に に会いたくなって。あと流しそうめんの機械買ってきたから明日一緒に食べよ!明日休みよな?」

泊まる気満々なところとか突拍子もなく押しかけてくるところとか、色々突っ込みたい気持ちはあったけど、偽ってない私をいつもまっすぐに受け止めて好きでいてくれる彼のことが私も大好きで、気を使わずくだらない事で笑い合える関係がすごく嬉しくて、自然と上がってしまう口角に私は小さな幸せを感じた。

あーあ、せっかくの休みの日がそうめんで終わっちゃいそう。だけど不思議と嫌な気はしなかった。
私の疲れに何より効くのは他の誰でもない彼だけだから。

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