子供の頃からの夢だった。
きまぐれで、しなやかで、どこか気品漂うきみ。
生きている間に、1度は一緒に暮らしたい。
ああ、その小さな手に出来るくぼみに触ってみたい。
成人した私もその夢を抱えたまま、日々を過ごした。
家族にも、いつか。と物語のようにうっとり語っていた。
そんな、ある日。
職場の先輩から連絡があった。
近くのスーパーマーケットの駐車場にいた、きみを保護たと。
先輩の家には沢山の、大きく優雅な家族がいた。12以上の家族に加わるにはあまりに小さく、虫に栄養を取られてやせ細ったきみ。
写真を見て私は、一目で恋に落ちた。
きみを、しあわせにしたい。
迎え入れる為に3日で環境を整えた。初めてあったきみは、3ヶ月にも関わらず1.2kgだった。
それでも懸命に生きようと、好奇心いっぱいで。
一緒に迎えた子供たちは、きみが可愛くて、私のように一目で恋をした。
わたしの、かわいい末の息子。何より大切な、私の子供。
突然の出会いで家族になったきみは、あっという間に我が家のアイドルになった。
それでも何故だか帰宅した私に甘えるきみに、しあわせを感じる。
大丈夫。もう、怖いものはないよ。私がきみを守るよ。
今日も家を守ってくれてありがとう。
絶対に、私はきみのところへ帰ってくるよ。
かわいいこ、世界で一番、愛してるよ。
「突然の君の訪問」
8/28/2023, 2:26:47 PM