透明の糖分

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程よく冷えた部屋、ホットアイマスク、イヤホン、充電器、抱き枕、少し針が進んでいる目覚まし時計、完璧だ。
ここのところずっと働き詰めで疲れていた私にとって今日は待ちに待った日だった。そう、明日は休日。朝早く起きる必要もなければ面倒な上司と顔を合わせる必要もない。なんて素晴らしい日なのだろうか。

「今日は早めに布団に入って翌日の昼まで…いや目が覚めるまでとことん寝てやる!」
そんな独り言を発しながら布団に片足を突っ込んだ瞬間、部屋中にインターホンが鳴り響く。カメラに映っているのは付き合って2年ほどの彼氏で、渋々ドアを開けると両手いっぱいに袋を下げてマスク越しでもわかるくらいにこにこしていた。

「…来るなら連絡してって前に言ったよね?私今から寝るところなんですけど。」
「うわーー本当にごめん…!でも急に に会いたくなって。あと流しそうめんの機械買ってきたから明日一緒に食べよ!明日休みよな?」

泊まる気満々なところとか突拍子もなく押しかけてくるところとか、色々突っ込みたい気持ちはあったけど、偽ってない私をいつもまっすぐに受け止めて好きでいてくれる彼のことが私も大好きで、気を使わずくだらない事で笑い合える関係がすごく嬉しくて、自然と上がってしまう口角に私は小さな幸せを感じた。

あーあ、せっかくの休みの日がそうめんで終わっちゃいそう。だけど不思議と嫌な気はしなかった。
私の疲れに何より効くのは他の誰でもない彼だけだから。

8/28/2023, 2:26:39 PM