Tanzan!te

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Episode.10 当然の君の訪問。


やはり君は、何がしたいのか分からない。
そんな所も、まあ。


____ピンポーン。

インターホンから姿を確認すると、そこには俺の親友がいた。

「いつき〜…これ、また作りすぎちゃってさあ…一緒に
 食べてくんない?」

「おー、いいよ。
 どうせなら俺の部屋で一緒に食わない?」

彼女の名前は夏乃で、俺と同じ大学生だ。
そして、俺の好きな子だ。
俺がこの街に引っ越した時、同じマンションの隣に住んでいたのが夏乃だった。

夏乃はいつも自炊をしているらしいが、どうも作る量の感覚だけは未だに掴めないらしい。
作りすぎた日には、俺におすそ分けをしてくれる。

いつもはそのまま一人で食べるが、今日は一緒に食べよう、と誘ってみた。
夏乃は喜んでるように見えたし、とりあえず1週間お願いすることにした。


1日目。食べながら俺の部屋をぐるぐる見回す。
部屋に入ること自体が初めてのような仕草だった。

2日目。今日は落ち着きがない。
ずっと何かを気にしているように、ソワソワしている。

3日目、4日目、5日目。普段の夏乃に戻っている。
少し落ち着いたのか、笑顔も自然に見える。

6日目。夏乃はこんなことを聞いてきた

「…あのさ樹、」

「んー?なに?」

「また次の時も、一緒に食べに来てもいい?」

「おう!いつでも言ってくれよー」

7日目。夏乃は、少し真面目な顔で話しかけてきた

「そいえばさ、樹は恋人とか好きな人、いないの?」

「…好きな子ならいるけど。」

「えー!?初耳なんだけど!だれっ?誰なのー!」

「…飯食い終わったらな。」


食後、俺は心臓が飛び出るんじゃないかという気持ちでいた。
もう我慢ならない、はやく好きだと言いたい。
…夏乃も好きだと嬉しいが。

「で!好きな子、だれなの?」

「…なつの」

「ん?」

「…っだから、夏乃が好きなんだってば!」

「…はあっ!?」


俺の部屋で、お互いが顔を真っ赤にしていた。
……あ、れ?なんで夏乃まで?
期待で胸が膨らんだ。はやく、はやく。


「…い、いつから私の事すきなの。」

「会ってから1ヶ月位の時から。」

「な、ながいな…そっか…うん…」

「んで、夏乃はどうなの。」

「へ。」

「俺は夏乃のことが好き。付き合って欲しい。
 …返事は?」

「え、えと、ぁ……お、ねがいします…」

「…マジ?ほんとに?」

「ま、まじ!ほんとに!」

「やべー……めっちゃ嬉しい、好き…」

「わたしも、私も、樹のこと好き!だいすきー!!」


それから。


「樹、起きてー!朝!仕事行くんでしょ!」

「んー…おきた……」

「えらい!おはよう!」

「おはよう…ちゅーして」

「…早くしなきゃ時間なくなるよ!」

「ちぇ、けち。」

「もー…」

そう言いながら、彼女は俺の腰に手を回しハグをする。
その左手には、キラキラ輝くリングが見えた。
何度見てもにやけてしまう。

それを見た彼女がひとこと。

「なにニヤけてんのー!キモ!はやく準備しろ!」


…今日も頑張りますか!

8/28/2023, 3:07:50 PM