Tanzan!te

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4/2/2024, 3:10:53 PM

Episode.44 大切なもの


段々と春の訪れを感じる頃となりましたね。
みなさん、如何お過ごしでしょうか。

先日、一度失われた日常が再び戻ってきました。
楽しみ二割、緊張三割、困惑五割といったところでしょうか……充実と共に疲れが舞い込んできています…。
みなさんは僕が何を言っているのかさっぱり…なのではないでしょうか、きっとそれが正しい感覚です。

僕はみなさんが想像するよりも、遥かに生きている時間が短いのです。
何より未熟で、幼稚なあどけない仕草も抜けない程に。
そして日本語にまだ慣れていないところもあるので、文章がどこか幼く、拙く感じると思います……。
時間の経過と共に努力して参ります…。

さて、そんな僕ですが大切なものはあります。
勿論、形に残る物の中にも大切なものはありますね。
しかし僕にとっては形のないものの方が多く感じます。

例えば、僕には親愛なる家族がいます。
人は物だと捉える見方もありますが、僕はあまりそう感じません。(大きな声では言えませんが、溶かしてしまえば形も残らず消えてしまうこともありますから…)
僕の家族からは愛を感じます。
何気ない会話や素振り、記念日の祝福など…様々な場面で僕の心を一瞬にして満たしてしまいます。
今後のことなんて分かりませんが、きっと最後まで、僕を幸せでいっぱいにしてくれるような気がしています。

そしてもう一つ、愛おしくて堪らない親友です。
親友だと認識し合ってからは五ヶ月程ではあるものの、一つ一つの考え方や発言が重なることが多いんです。
重なるのが嬉しいのではなく、重なった瞬間に、お互いのことを考えていることに幸せを感じます。
血の繋がりのない人と初めて打ち解けられたんです。
そして親友は何よりも、心の奥底で眠っている僕を救いあげてくれます。
長く寄り添っている訳でもないのに、深く慰めてくれる優しさが心に染み渡ります。

これでもまだ一部でしかないんです。
大切なものが沢山あると伝えると、何でも大切だと思うなよ…と軽蔑されることもきっとあります。
それはその人にとっての大切が極わずかなだけ。
その人の考えも良いんです、思考の押し付けは宜しくないですが…。
ただ、大切なものが沢山あってもいいと思います。
大切なもので溢れている人生はきっと、辛いことがあろうとも乗り越えられる糧になるかもしれないんです。
乗り越えられない、そんな時に大切なものが見つかることもあります。

本当に、人生何があるか分かりませんね。

ああ、最後に余談となりますが…初めに僕は生きている時間が短い、つまり若いと言いました。

確かに…今の、人生では短いんです。

4/1/2024, 3:15:24 PM

Episode.43 エイプリルフール


「ねえ、きみ村の人だよね?きみが悪いことしてるの僕 
 知ってるよ………って、死のうとしてるの?
 へへ、じゃあ僕が痛くないようしてあげる」

「…本当か?」

___。

「もーいいかい」

「ま、まーだだよっ…」

「ねえ、はやくぅー!何を手こずってるの?」

「ックソ…ごめんなぁ?…はぁ、はぁッ……」

グッ ギシッ ギシッ

「…もーいいかい」

「もッ、もういいよ…!」

「おお、ちゃんと足縛れたねえ!首も丁度いいや!
 手は僕が縛ってあげるね………はい、できた!」

「な、なあ少年、本当に痛くねえんだろうなあ?」

「んー?試したらわかるよう…じゃあ始めるね!」

グッ

「…ハガッ!…グ、ゥアア、ア!…ガ…ギッ……グゥ…」

「ねえどう?短時間でラクになるとこに当てたけど…」

「…」

「今日はもう4月2日だよ、時計もあったのに……」

ビクッ

「死んだのに足動くんだ!初めて見た、気持ち悪いね。
 …僕達の村は、1日の午前は嘘をついてもよくて、午後
 に本当のことを教える…きみも知ってたよね?」

……

「僕は疑われるのが嫌いなんだよ、本当にラクにしてあ
 げたのにさ、君は感謝もせずに死んじゃって。
 というか、村のしきたりも知らないのかなあ…」

ビクッ

「…ほら、この本にも載ってるでしょ?ちゃんと見て」

"相互を疑うべからず、皆良心を持ち豊かな人生を歩め。"
"これに違反する者、皆で執拗に罰せよ。"



「死んでよかったね!犯罪をしてないにしろ、拷問を受
 けて苦しむよりマシだったんじゃない?」



「馬鹿なきみに教えてあげるね。
 元々君がしきたりに反してるのは知ってたよ、だから
 犯罪に働くように精神を追い詰めたんだ!
 その後できみを罰したんだ、僕は反してないからね」



「もう動かないね、つまんないの。
 じゃあね!僕は暖炉のついた家に帰って眠るよ」



「それじゃ、おやすみ」

3/30/2024, 2:06:18 PM

Episode.42 何気ないふり


はあ。

"なあに、どうしたの?"
"嫌な事でもあったのか?"

なんも、大きく息ついただけだよ。

"ほんとうに?"
"…"

うん、ほんとだよ。

"…やっぱり代わるわよ"
"ああ、俺も代われるぞ"

いや、いいんだ、1人でやらなきゃ意味無いよ。

"だけど…辛い時に代わるのは私の仕事よ"
"無理して倒れられても困るんだ"

そんなんじゃ普通の人になれないから、大丈夫。

"でも…"
"…わかった、ただ何かあれば無理にでも代わる"

…うん、ありがとう。

"…気持ちが変わったら呼んでもいいからね"
"そうだ、中心はお前だといえ同じ体だ"

わかった、じゃあまた後で。

"気をつけて"
"行ってらっしゃい"


「燈ー?どうした、俺もう行けるけど」

「あー、大丈夫、今行くよ」

「…別に代わっても俺は平気だけど」

「いいんだ、今日は俺が頑張りたい」

「うっし!なら行こうぜー」


何気ないふりなんて無理なのかも。

"私達にもバレてるものね"
"そんだけ大切に思ってる証拠だろ、自信持てよ"

うん、いつもありがとう。

3/28/2024, 2:57:27 PM

Episode.41 見つめられると


そんなに見つめられるとどうしていいのか分からない。
蒼葉は真っ黒な大きい瞳で、頭のてっぺんからつま先まで眺めた後、僕の顔をまじまじと見つめてくる。

「えと、どうかな…?」

僕は目が合う度に吸い込まれそうになる。

思えば、蒼葉に惚れたと自覚した日も、あの真っ黒な大きい瞳で見つめられた時だった。


蒼葉は高二の春に転校してきて、それからは席が近いのもあってよく話すようになった。
腰まで伸びた黒く艶のある髪、重ための前髪に、綺麗に切り揃えられていた姫カット。
宝石のように真っ黒な大きい瞳と白い肌。
そして、僕と話す時だけに見せる八重歯の見える笑い方と、繊細で透き通る硝子のような声。

既に惚れていたのかもしれないが、僕はまだ気づかないフリをしていた。

しかし嘘をつけなくなったのは高二の冬、しんしんと雪が降る公園でのこと。
寒気で薄紅に染まった頬をマフラーから覗かせた。
ただ振り続ける雪の中、蒼葉は真っ黒な大きい瞳で僕を見つめながら、世界で一番甘い声で囁いた。

「私、楸くんのことが好きよ」

全身に電撃が走ったようにジリジリしたのを覚えている。
クリスマス一週間前、僕と蒼葉は恋人になった。


_____あれから5年後が、今の僕達である。

「ふふっ、すごく素敵ね…見蕩れちゃうわ」

「照れるなあ…蒼葉も、今日が一番素敵だよ」

きっと世界で一番の幸せ者だ。


「ねえ蒼葉、愛してるよ」

「私も、楸くんのこと愛してるわ」


僕達の薬指に光るダイヤのリングが、そう言っている。

3/27/2024, 4:40:26 PM

Episode.40 My Heart


Vous avez changé votre vie qui était toujours ennuyeuse tous les jours.

Mon cœur était rempli de toi et noyé en toi.

Mais vous avez un avenir, donc je ne suis pas autorisé à m'en approcher et à le détruire.

Merci de m'avoir dit que vous m'aimez, et je suis désolé.

Je vous souhaite du bonheur pour toujours___

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