Episode.43 エイプリルフール
「ねえ、きみ村の人だよね?きみが悪いことしてるの僕
知ってるよ………って、死のうとしてるの?
へへ、じゃあ僕が痛くないようしてあげる」
「…本当か?」
___。
「もーいいかい」
「ま、まーだだよっ…」
「ねえ、はやくぅー!何を手こずってるの?」
「ックソ…ごめんなぁ?…はぁ、はぁッ……」
グッ ギシッ ギシッ
「…もーいいかい」
「もッ、もういいよ…!」
「おお、ちゃんと足縛れたねえ!首も丁度いいや!
手は僕が縛ってあげるね………はい、できた!」
「な、なあ少年、本当に痛くねえんだろうなあ?」
「んー?試したらわかるよう…じゃあ始めるね!」
グッ
「…ハガッ!…グ、ゥアア、ア!…ガ…ギッ……グゥ…」
「ねえどう?短時間でラクになるとこに当てたけど…」
「…」
「今日はもう4月2日だよ、時計もあったのに……」
ビクッ
「死んだのに足動くんだ!初めて見た、気持ち悪いね。
…僕達の村は、1日の午前は嘘をついてもよくて、午後
に本当のことを教える…きみも知ってたよね?」
……
「僕は疑われるのが嫌いなんだよ、本当にラクにしてあ
げたのにさ、君は感謝もせずに死んじゃって。
というか、村のしきたりも知らないのかなあ…」
ビクッ
「…ほら、この本にも載ってるでしょ?ちゃんと見て」
"相互を疑うべからず、皆良心を持ち豊かな人生を歩め。"
"これに違反する者、皆で執拗に罰せよ。"
…
「死んでよかったね!犯罪をしてないにしろ、拷問を受
けて苦しむよりマシだったんじゃない?」
…
「馬鹿なきみに教えてあげるね。
元々君がしきたりに反してるのは知ってたよ、だから
犯罪に働くように精神を追い詰めたんだ!
その後できみを罰したんだ、僕は反してないからね」
…
「もう動かないね、つまんないの。
じゃあね!僕は暖炉のついた家に帰って眠るよ」
…
「それじゃ、おやすみ」
4/1/2024, 3:15:24 PM