『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
突然の君の訪問
(ワールドトリガー夢創作)
「おう。今お前の家の前いるから、開けてくれや」
君が突然、訪ねてくるのはちょっと珍しい。驚きはしない。私も君のこと、よく突然に訪ねるし。けど、今は具合が悪い。
「……なんで」
「顔が見たくなった」
なんだそれ。1週間前には顔合わせたじゃん。でも、そう言われたら私も拓磨の顔が見たい気がする。重たい身体を引きずり、玄関を開ける。部屋が散らかっているけど、拓磨相手だし気にしない。拓磨はなんだかたくさん食べ物を買ってきてくれていた。でも、食べる気がしなくてソファに寝そべって、知らんぷり。見兼ねて、拓磨が私の鼻先にマドレーヌを差し出す。渋々受け取って口にする。餌付けだなこれ。マドレーヌが思ったより美味しかったので、身体を起こす。あれこれ買ってきて貰ったものを漁り、食べる。
「ありがとう」
「おう」
「でも、なんで来たの」
もう一度、質問をする。拓磨が私に構う必要なんて、ない。幼馴染だからって、面倒を見なきゃいけないわけじゃない。理由が知りたかった。
「…………心配だったからだよ」
「ふーん……?」
素直に受け取っていいものだろうか。本当に心配なだけで来てくれたんだろうか。君を疑ったりはしないけれど、ちょっと不思議で。
「ぶ」
「心配かけたくなかったら、さっさと元気になれ」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。安心する。しばらく笑ってなかったが、少し笑みが溢れた。やっぱり、拓磨いないとダメなんだな、私。
「俺に隠し事とか、すんなよ」
「?してないよ」
「ならいい」
変なこと訊くなぁ。今日の拓磨、少し変だな。頬を撫でられるけど、これ多分誤魔化してるな。でもま、突っ込むほど今元気はないし。拓磨の大きな手を、両手で抱えて眠る。指を絡めたり、揉んだりするのが好き。それが許されるから、安心出来る。お腹が膨れて、また少し眠くなってきた。寝てもいいよね。
貴方とは別れた
別れてから何も無かった
何も会わなかった
貴方とは会いたくなかったのだ
何故会いたくないのか
答えは分かる
分かるから会いたくない
でも貴方は現れた
また私の前に
「まだ好きだから会いに来た」なんて
もう通じないのに
でも
また期待して仕舞う私が居る
お題『突然の君の訪問』
主様の16歳のお誕生日の翌日。
俺は約16年間にわたる担当執事生活の幕を閉じた——はずだった。
今日から主様の担当執事はハウレスだ。完璧主義のハウレスになら主様を任せても安心だと思う。
それにしても、俺は主様をお育てしてずいぶん変わったと思う。どうしようもなく卑怯で臆病者で泣き虫だった俺を救ってくれたのは、紛れもなく主様の存在だ。
主様が生まれてからというもの、泣いてる暇なんてほとんどなかった。主様がいるから卑怯な姿はお見せできないと思ったし、主様をお守りするために臆病でいることなどできなかった。
350年近くの人生の中で、たったひとときの親子ごっこだったかもしれない。無償の愛を捧げてきたつもりだったけれど、だけど実は逆で、俺が主様から無償の愛を受け取ってきたのだ。【親はなくとも子は育つ】というけれど、【子供がいるから親は育つ】ということがよく分かった。
俺は書庫の整理をしながら、後で育児生活の総括を日記にしたためるべく日々感じたことを反芻していた。
午後3時がきた。主様のお茶の用意をしなくては……そう思って日記から顔を上げて、担当執事ではなくなったことに気がついた。少し寂しくはある。
うーん、なんだかスッキリしない。
「こういうときは、ランニングかな」
近くの湖までひとっ走りすれば気分が晴れるかも。
しかし主様とお散歩した記憶が邪魔をして、胸のモヤモヤは解消されない。それならば筋トレだ。
けれども、これも主様を背中に乗せて腕立て伏せをした記憶と結びついて、ついに寂しくなってしまった。
これが空の巣症候群……? いや、でもまだ1日目だし、環境の変化に慣れていないだけかもしれないし。
夜、主様が寝付くはずの時間が過ぎた。
そろそろハウレスが仕事を終えて執事室に戻ってくるだろう。主様が1日どう過ごされたのか聞きたくて、このあと一杯付き合ってもらうことに決めた。
琥珀色の液体で満たされた瓶と、ロックグラスをふたつ。
——しかし、いくら待ってもハウレスは戻って来なかった。
まさか、主様と何かトラブル? いや、あのハウレスが何かするとかあり得ない。でももしも何かあったら俺はどうすれば……?
あまりにも気になり過ぎて、とうとう俺は主様のお部屋へと足を運んでしまった。
中からクスクスと笑う主様の声が漏れ聞こえてきた。それから「参りました」とハウレスが何やら降参している声。
「フェネスを呼んできます」
コツコツと革靴が床を叩く音が聞こえてきて、まずい! と思った時には扉が開かれていた。
「……フェネス、どうしてここに?」
「や、やぁ、ハウレス……戻ってこないから、どうしたのかな、って」
まさかハウレスを疑っていたとか、おくびにも出せない! しかしそんな俺の心中を知らないハウレスは「ちょうどよかった」と言って俺を室内に押し込んだ。
「俺の睡眠サポートだと安眠できないと言われてしまった……後は頼んだぞ」
そしてそのままハウレスは出ていってしまった。
「あ、主様?」
なんで? どうして? そんな言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡った。
「ずっとフェネスに寝かしつけられてきたから、なんだか落ち着かなくて。ハウレスに悪いことしちゃった」
そう言って、まったく申し訳なくなさそうな顔をしていらっしゃるのは……
「フフッ」
思わず笑ってしまった。
「あー! 私のこと、子供っぽいって思ってる!」
「すみません、そうではなくて」
むくれる主様に、ほんのわずかしかない前の主様のお話をすることにした。
「前の主様が『フェネスが手を焼くような親子になる』って、俺におっしゃったのです。そのときの話し方と寸分違わぬ表情をされていたので、つい」
そのついでにいろいろ話し込んでしまった。
気がつけば主様は夢の戸口に立っていらっしゃったので、その背中を押して俺も自分の部屋へと引き返した。
明日からまた平日だぁ……
仕事とかクッソだ~~るい。もうおうち引きこもる。
それができるなら苦労しないんだよなぁ……。
ピンポーンと、突然インターホンが鳴る。
「誰だよ……」
友達はいないし、家族がこっちにくるとは聞いていない。
イライラしながら玄関の扉を開けると、
「誰ですかぁ~?」
『N○Kの集金です。』
「うちテレビないですよ。」
『突然の君の訪問。』
『突然の君の訪問。』
日が暮れて、夏の夜特有の涼しげな空気が辺りを包む。俺はいつも通り、公園という愛しの我が家で眠りに就く準備をしていた。すると、住宅街の隙間から一筋のライトが静かに走ってくる。こんな時間に原付で帰ってくるサラリーマンがいるとは思えない。公園の木々の間からその原付を注視していると原付は公園の入り口で止まり、ライトがパッと消えた。原付から降りてこちらに歩いてきたのはまだ高校生くらいの青年だ。時間も、場所も、年齢も、全てが常識から外れているのに、青年は当たり前のように俺に話し掛けてきた。
「おじさん、今日だけ僕も此処に泊まっていってもいい?」
青年の口から出たその言葉で幾つもの可能性が浮かぶ。ただの家出少年か、ちょっとしたワルに目覚め始めた不良高校生か、それとも…。
「いきなりで驚いたよね、僕はハル。旅人なんだ」
俺の沈黙をどう受け取ったのかは知らないが、青年はそのまま自己紹介を始めた。「旅人」というワードが普段一般人の間でどれほどの頻度で使われているのか知らないが、生憎俺は一般的な生活を送っているとは言い難い。なにせ、公園に住み着くホームレスだ。旅人という人達がいることもホームレス仲間から聞いたことがある。確か、旅人は「旅人協会」というものに属する者の総称で、俺達と同様に定住する家を持たないが、代わりに日本全国を旅して廻るほどの財力を持つという究極のホームレスのはずだ。
「俺は金も無いただのホームレスだ。この公園だって別に俺のもんじゃないし、好きにしな」と、金持ちな旅人に対して少し嫌味な言い方をしてみたが、ハルには全く響かず、「ありがと!」と元気な返事で返される。
ハルは背負っていたバックパックをベンチに置くと、いそいそと滑り台に登り始めた。何度かごそごそと位置を変え、寝るのに丁度良いポジションを見付けたのか、満足げにひとつ頷いて「おやすみおじさん」と言うと、ハルはそのまま眠り始めた。嵐のように訪れてきたかと思えば、彼はすぐに深い眠りに就いて、住宅街はまた元の静けさを取り戻した。
俺はというと、どうしても眠る気にはなれなかった。旅人が今、目の前でバックパックを手離している。その中にあるお金を盗めば、俺の今後の生活は一変するだろう。その事実を頭では分かっているが、思ったより心は冷静だった。もう少し葛藤とかするかなと思ったが、そこで人としての一線を越えないあたりが俺らしくて良いだろう、と一人で勝手に満足し、俺も眠りに就いた。
朝目覚めると、ハルはもう顔を洗って荷物の整理をしていた。俺が起きたのを見ると、ハルは嬉しそうに話し掛けてきた。
「おじさんのこと疑ってた訳じゃないけど、僕のバッグ全く触らなかったんだね。おじさんがいい人でよかった」と笑う青年は爽やかそのものだ。
「いや、次からはもっと用心しろよ阿呆」とツッコムが、何故だか俺の心も爽やかな気持ちになっていた。
ハルはヘルメットを被り、水色のカブに跨がると、こちらを向いて「じゃ!」と言って旅に出てしまった。恐らくもう会うこともないだろうが、彼の一夜限りの訪問は、少しだけ俺とこの公園を明るい空気で包み込んでくれた。
【突然の君の訪問。】
深夜0時
インターホンに映る君
急いでドアノブを回す
そして一言
「ハッピーバースデー、おめでとう」
君はにっこり微笑んだ
題:突然の君の訪問。
私が悲しむ度に
君は私のドアを開けに来るんだ。
君を見ると何故か涙が出てきて、
帰らないで欲しいと願ってしまっている。
この前突然、
私は悲しんでいる訳でもないのに、
私のドアを開けに来た。
「僕はね、君が大好きなんだ。だから君が辛い時、僕は助けに行くよ。ドアを開けに来るよ。」
そう言って帰って行った。
何日かすると、急に心がズキンッと痛くなった。
悲しい訳でもじゃない。
すると、勝手に体が動いた。
気付くと私は君のドアの前に立っていた。
私はドアをコンコンと叩いた。
ドアが開いた先で、
君はうずくまり目には光がなかった。
私はそばに居き君が私にしてくれた事と同じように
隣に座り、背中をさすり、ギュッと抱きしめた。
君の目からは大きな涙がこぼれ落ちた。
突然の君の訪問。
僕はインターホンの音と彼女の声でウキウキと満面の笑顔で玄関に走った。
「久しぶりだね!!」
「そうだね。私も会いたかった」
彼女とは一年越しに会う。一年前に彼女の乗る駅のホームで「もう一度会おう」と約束したきりだった。
「今日は暑いね、部屋ん中クーラー効いてるから入って入って」
「ありがとう。…だけど、私ね、もういいの。あなた、もう三十歳手前でしょ?
仕事も見つかったんだ、って嬉しそうに言ってたし。だから私じゃない人見つけて、」
「なんで」
「僕になんの遠慮もいらないよ。仕事が見つかったのは確かに嬉しかったけど、何より嬉しかったのは一緒に喜んでくれた君だよ。君以外には考えられない」
「私はいつか消えるのに」
「は…」
「会うのはお盆の時期だけよ。あなた、本当は分かってたでしょ。
私も勿論悲しいよ。でも私じゃない誰かと幸せになって?ね?お願い」
僕は、拭えない彼女の涙を拭った。
_2023.8.28「突然の君の訪問」
ある日曜日の平和な午後の出来事。
謎の腹痛によりトイレに篭っていた。
この謎の腹痛はいつも突然やってくるのだか、オレは慣れていた。
というのも、一日の中で何度もこの腹痛は起こるので次第に自分のケツの穴がどれぐらいの時間耐えられるのか、耐久性も理解出来る様になった。
よく漏らしてしまった話を聞くが、
オレは日々の鍛錬によりコントロールできる様になっていたのだ。
オレは絶対に失敗はしない。
誰よりも自信があった。
おっと今日は長丁場だとトイレに向かう。
うーん…今日はなかなか…出が悪いな。
ーピンポーン
訪問者だ。邪魔されたくないな。
ーピンポーン
うーん…しつこいな。
ードンドン、ドンドンドンドン!
えっなんだ?なんだ?
急いでパンツをあげる。
クッソ!戦いを中断された気分だ。
はい?
あれ隣の部屋の吉田さん。
ー青木さん!早く、兎に角来て!出て!
???
アレよアレよという間に部屋の外に出される。
吉田さんはオレの隣り部屋の60過ぎのおじさんで奥さんが3年前に出て行ってしまった。
所謂、熟年離婚だ。
まぁ、1人で全部やんなきゃいけないから大変だけどさーもう子供も大きいし、気ままにやってるよー
青木君も独身なんでしょ? まぁ、何か困ったことあったら言ってよー あっ彼女とかさ、夜の方も気にしなくていいからね!オレは女はもういいや〜ガハハハ。
ーこのスケベジジイ。
そうは言っても吉田さんも寂しいのかしょっちゅうゴミ捨て場で他の若奥様達に混じって雑談をしているのを見かけた。
その吉田さんが血相を変え、慌てた様子でオレを部屋から引っ張り出した。
どうしたんすか?
ーこれ見て!!!
目をやると
サボテンだ。サボテンが花を咲かせていた。
ーあいつ(出て行った奥さん)が置いて行ったサボテンが咲いたんだよ!なんかさ、嬉しくなっちゃってさ、誰かに伝えたくてさ!!!どう!!?
いいよね!!
はぁ、いいっすね。
オレは漏らした。
突然の君の訪問。
君と「俺ら、だいぶ長いし、そろそろ同棲しよ」と話していたとある日。私が家でゆっくりしていると、急にインターホンが鳴った。「はーい」と出ると、そこには、慌てた表情の君がいた。「急にどうしたのー?」と言うと、君は、「良いから早く開けてくれ」と言うので、家にあげると…君は、突然変な事を言い始めた。「なぁ。明日から同棲しないか?」と君は、問う。「え?急にどうしたの?」と聞くと、君は、「毎日毎日君に何かあったらどうしようって考えながら寝るのが怖いんだ。俺と一緒に住めば、何かあった時、俺が君を守れる。だから、明日から俺と一緒に住んで欲しい。」私は、君のその急な言葉に少し焦りながらも嬉しくて、気付いたら思わず泣いていた。君は、慌てて、なだめてくれた。こうして、私達の同棲生活は、突如始まった…
なーんてね。貴方との恋が、まるで、漫画とかの世界でしか有り得ないと思ってたのに、叶ったから、未だにこれからもまだ、漫画とかの世界でしか有り得ない事が起きる気がして、毎日、貴方との妄想ばかりしている21歳の私です。これからもずーっとあなたのそばにいます。
真夜中の突然の君の訪問に
ちっとも驚かなかった僕を見て
君はその小さな頬を膨らませて
僕に怒って見せた
長い髪は夏の湿った空気で濡れていて
白い肌は汗の雫でしっとりと艶めいていた
さぁ こっちにおいで…
夜が明けるまで君を離さないよ
一緒に夢の続きを見よう
夜が明けたら 僕達はきっと…
いつまでも一緒にいられる
「すいません、ありがとうございます。」
私が宿題を渋々進めていると、母が彼女を家に上げた。
先日、傘を貸した彼女だった。どうやら、休日にわざわざ返しに来てくれたらしい。
私は驚いて、彼女に
〔マジ?〕
と、失礼な言葉を漏らしてしまった。
慌てて、
〔いや、ありがとう。今度の学校で会った時でも、
大丈夫だったんだけれど。わざわざありがとう。〕
と付け足した。
彼女は、苦笑しながら
「そうなんだけれど、ちゃんとお礼を伝えたくて。
でも、お家の前まで来たのに、押しかけになって迷惑かなって怖気付いてしまっていたの。」
彼女のその言葉に、先程漏れたマジ?という言葉に罪悪感が湧いてくる。
彼女は少し嬉しそうに、続ける。
「そうしたら、お母様が玄関前で立っている私に気付いて、お家に上げてくださったの。優しいお母様ね。」
ニコリとして、そう言われた。
うん、気恥ずかしいな。
私は恥ずかしさを誤魔化すように笑った。
そして、話題を切り替える。
〔そういえば、今日って何か予定ある?
まだ午前中だけど。〕
彼女は、
「いいえ。先日の書類はもう終わらせてあるし、
する事と言えば、予習と復習くらいだったから。
特にはないの。」
そう答えた。
ただ、暇だからとは云え、貸した傘を届けに来てくれる
その真面目さに、感心をする。やはり、同い年とは思えない程に、しっかりとしている性格だと感じる。
だけども、私には少し不安がある。
彼女は、その真面目さ故に苦しく無いだろうか。
いつも品行方正であり、皆の手本で有り続ける、
そのプレッシャーは私には分からないだろう。
〔あの、もし良ければなんだけど。
少し、何処か出掛けてみない?勿論、嫌なら大丈夫。〕
私が言い出すと、彼女は目をパチパチさせて、
すぐに笑って、
「えぇ、是非行きたいわ。
私、あまり友達と遊びに行けた事が無いの。」
と、了承をくれた。
眩しい程にキラキラと彼女は笑っている。
遊びに行けた事が無い。
行った事が無いじゃないのか。
私はその言葉に何とも言えない引っ掛かりを覚えつつ、
〔何処に行こっか、やっぱりあそこのデパートとか良いかな?涼しいしさ。〕
何も気にしていない様に笑い掛けながら、話す。
「デパート、良いなぁ。あそこ、文房具とか本屋さんしか
見に行った事が無いの。何を見に行きましょう?
折角だし、雑貨を買ってみたいなぁ。」
私は頷いて、出掛ける準備を始める。
彼女の言葉に、重さを感じる。
人の家に口出し出来ないけれど、言いそうになる。
彼女の苦しさは、彼女しか分からない。
だけれど、その苦しさを少し紛らわせる事ぐらいなら、
私にも出来るだろう。
そんなやるせなさと、少しの覚悟とともに、
私は彼女と、デパートに向かった。
【突然の君の訪問】
来ちゃダメじゃないけど、突然はやめてよ? 色々準備があるんだよ。連絡してるって? 日頃から備えとけって? えー、こっちを責めるの?
それに来たら来たで、散らかしてくじゃない? あれ、困るんだよね。片付け、大変なんだよ?
そっちにも都合あるんだろうし、来るなとは言えないけど……
お題《突然の君の訪問。》
無気力だから、生活感は水底。
泡沫となって消えてしまえと心の鉛を呑みこむ。
だから君が颯のように、玄関の扉を開けて入ってきた時――とてもとても嬉しかったんだ。
「一緒に食べよう」
きらきらした果物ゼリーとミネラルウォーターが眩しい。私の好物の、ハムとチーズの君特製のスペシャルサンドイッチも――。
きっと明日から浮上できる、陽だまりの花咲く場所へ。
突然の君の訪問。
いつも変わらず優しく接してくれた伯父が
大好きだった
89歳だけどお洒落でいかしてた
一緒に暮らして居た頃は
チワワのミルクといつも一緒にいたよね
でもあれから
なかなか来てくれなくて
日々逢いたいと願っていたら
突然家に来てくれた
「鍵なくしちゃってよ~」って言いながら
玄関の中に居るからね
伯父が暮らしていた部屋を見ながらミルクに逢っていけば?って声をかけた
亡くなった伯父が1度だけ逢いに来てくれた日
あちらでも
大好きなミルクを抱っこしているだろうか
あの頃のように
君は雨の日に突然やってきた
金色の毛並み 瞳には賑やかな光
小さな体はおぼつかない
それなのに
暖かい揺り籠を探して走り回っていた
君が来て
殺風景な家が生き生きと躍動し始めた
それは挑戦
毎日が冒険
君の訪問がどんな結末を迎えるのか
それはまだわからない
でもその未来に胸躍らせながら
私は君との物語を楽しむ覚悟を決めている
「やあ、ご機嫌よう」
「なんで…!?」
意趣返しだよ
ストーカーしてきたの、君からでしょ?
目の前の彼女は真っ青だ
ストーカーの標的がストーカーに恋をしていただなんて
"まさかのまさか"だろうね♡
-2nd story-
出会いたくなかった…!
それどころか見たくも無いくらいに
きみを嫌悪している
「消えてくれないか!?いやダメだ、潔く死んでくれ」
震えながら持つのは撃滅スプレー缶
棚の隙間から
突然現れたカサカサ音を立てる黒い物体に
否応なく心臓を鷲掴みにされている
#突然の君の訪問
突然の君の訪問。
ピンポーン。
家で曲を作っていた時に突然鳴り響いたインターホン。こんな夜中に鳴るなんて、危ない人か何かなのでは……と警戒してしまう。
「いやでも、うーん……ね、念のため……」
一応、覗き穴から見てみようと近づいた途端、身につけているスマートフォンが振動した。
「ぅわッ!?」
心臓に悪い……と少しぼやきながら画面を開いた。それは自分の知人からの連絡であった。
『突然の訪問ごめんなさい、邨松さん。
本当に急で迷惑だと思うし、嫌なら
断ってもらってもいい。邨松さんの家で
しばらく過ごしてもいいですか』
全ての文章を読み終わる前に玄関のドアを開けていた。自分の頭では理解できないくらいに体が反応して咄嗟に判断をしていた。
「額狩さ、ん」
「……ごめんなさい。本当に……」
彼女は非常に弱っているように見えた。生気の無い目。その下には泣き痕。常に美しく保たれていた服装にはアイロンがけがされていなかった。
「……大丈夫です、大丈夫ですから」
「傍に、いてもいい?」
「もちろんです」
「本当に……?いなくならない……?」
「はい、どこにも行きませんから」
「……」
「……一緒にわたしの家へ帰りましょう。エレクトーンが置いてあるので、少し狭いかもしれませんが……」
「帰る……」
「ええ、一緒にいましょう……」
#突然の君の訪問
今の家に越して来た頃の話。
家に独りで居ると、玄関の方から不意に音が聞こえた。
ガチャッガチャガチャガチャッ!
誰かが玄関ドアを開けようとしている。…旦那の帰宅には早過ぎる。そっとスマホを確認するが、帰るというメッセージは入っていない。
ガチャガチャガチャッ!
嫌、誰?!怖い!怖すぎる!!
合い鍵は自分と旦那しか持っていない。新築で入ったから、前の住人の可能性もない。
前の団地はオートロックが無かったから、空き巣らしき人にドアノブいじられる事も度々あったけど、オートロック着いてても駄目なの??
何のために前より良い設備の住宅に引っ越したの。゚(゚´Д`゚)゚。?
息を潜めていると、やがて音は止んだ。
少し時間をおいてから、のぞき窓から恐る恐る確かめたが…ホッ、人影は無かった。
同じ事が数回あり、住み始めてから半年ほど時が流れた。
ある日。
買い物から帰ってきて玄関を開けようとすると、鍵が開かない。
『?』
試しにもう一度…開かない??
(旦那帰ってて、鍵開いてる?)
念の為ドアノブに手を掛けてドアを開けようと試みる。
ガチャガチャガチャッ。
『??…あっ!(下の階の同じ部屋(゚Д゚;)!!)』
あの日の突然の訪問者は、上(又は下)の階の、人?!
そして、真相は解らぬまま事件は収束した。
引っ越してきた頃の…5年以上前の記憶。今でもあの時の恐怖は忘れられない。
そして私は。
この5年間で既に3回程、下の階の住人に恐怖を与えているのだった。
ごめんなさい(>_<)ゞ
いつものように誰にも会わない前提の服装で在宅勤務してたら、裏の保育園の先生と子供たちが来て、お泊まり会と花火のお知らせチラシを持ってきてオタオタ&つっけんどんな対応をしてしまった。