『突然の別れ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
別れはそれ自体嫌なものだ。
それが突然ならなおのこと。
突然の別れで浮けるであろう衝撃を緩和するため、常日頃から備えている。別れが訪れたときのシミュレーションをしている。
だから楽しい日常すら別れの匂いを感じて生きている。
【突然の別れ】
私はラギーさんの話に、黙って耳を傾けていました。
いつも元気で、自由なイメージを持つラギーさんにも、愛する人がいて……今でもその人を大切に思っている。
放火事件……それは、二人にとって、あまりにも突然な別れだったと思います。
私は、何も言うことができませんでした。
「……ね?思った通りの恋バナじゃなかったでしょ?」
ラギーさんは、当時を思い出したのか、空のように澄んだ瞳を、少し潤ませて言いました。
「確かに、思ってたのより重かったよ」
私は、彼女の目を見ずに言いました。
「ちょっとぉ!自分でねだっといて───」
「でも、」
いつもの口調で言いかけるラギーさんに割り込んで、私は言いました。
「ラギーさんの口から、ラギーさんたちの大切な話が聞けて、本当によかった」
彼女は、一瞬キョトンとした顔で私を見つめました。そして、
「変なのー」
と少し頬を赤らめました。言った私も、何だかキザっぽいセリフが恥ずかしくて、頬が熱くなりました。
でも、私はラギーさんとの仲が深まったようで、嬉しく思っていました。
「ねえ、あたしだけ話すのはやっぱフェアじゃないよ!君も何か話して!」
ラギーさんは、私にそう詰め寄ります。
「うーん、わ、分かったよ……でも、直ぐには思いつかないし、そろそろ時間も時間だから、明日でもいい?」
「まあ……いいけど。絶対忘れないでよね!あと、考える時間があるんだから、面白い話してね!」
そう言うと、彼女は立ち上がって歩き出しました。
「分かったよー、じゃあね」
「はいはい、また明日〜」
そうして、その日は終わったのです。
私は、ラギーさんの話を聞けて、本当によかったです。
彼女と話した時間は、私にとって、かけがえのない宝物になりました。
でも、そんな彼女とも、お別れする時が来ることを、私は考えていませんでした。
人との別れは突然来るもので
あるふとした時に出会って
ある日を境に唐突に離れ
離れになってしまうけど
どんなに遠距離でも
その相手の事を信じて
あげてね
[突然の別れ]
「また明日!」
僕の言葉にあの日の君は曖昧に微笑んだ。
/「突然の別れ」
【突然の別れ】
いつものようにpixivで閲覧してた
ふと自分のブックマークした一覧にあった
『削除済み もしくは 非公開』
この表示を見た瞬間
とても心に残っていたのに、忘れないようにしていたのに
どんな絵だったのかもう思い出せない。
『突然の別れ』
「別れ」とは何度経験しても慣れない。
進学先の違いという別れ。引越しという別れ。
これらの「別れ」は、今後、絶対に会えなくなるというわけでは無い。連絡を取ろうと思えば、スマホを片手にすぐにメッセージを送ることが出来る。
別れの瞬間は、寂しさに支配されてしまうが、それでも、一生会えないということでは無いと信じているから、寂しさは緩和される。それどころか、どこか暖かさに包まれているような感覚さえする。
しかし、今生の別れ。
この別れは、1番嫌いだ。
あの時の景色を、感情を、僕は決して忘れないだろう。
夜。電話が来たと、スマホから着信音が流れる。電話に出ると、残酷な言葉が伝えられる。…貴方が亡くなったと。不思議なことに、悲しさよりも驚きが勝った。もしかしたら、現状に理解が追いついていなかったのかもしれない。
けれど、棺で眠る貴方を見た時。貴方は数ヶ月前に会った時と変わらない顔であるにも関わらず、魂だけが、そこに無かった。抜け殻のようだと思った。
葬式は、心ここに在らず、と言ったところだろうか。現実であるはずなのに、どこか夢を見ているような感覚だった。
そしてついに。貴方が霊柩車に乗る前の、最後の別れが来てしまった。ずっと夢を見ていたかのようにぼんやりとしていた頭が、冴え渡る。
もう貴方に会うことはできない。貴方は、もう、優しい眼差しや、体温を、僕に与えてくれることは、この先、1度も無くなってしまうのだと。
急に現実を突きつけられた気がした。電話を受けてからしばらくの時間が経っていたというのに。
悲しみが襲ってくる。涙が溢れてきた。今に至るまで、流れることはなかったのに。
…別れは嫌いだ。
突然の別れ:(if)
「ある日突然さ。突発的に、俺が自死してこの世からいなくなったらどうする?」
急に妙な質問をされて目が点になった。
あまりにも自死という言葉が似合わなくて、青天の霹靂すぎた。
「それはまあ怒るね」
「………そんだけ?」
「死んでるからね」
「……………」
そりゃあまあそうなんだけど、となぜかむくれる親友に苦笑する。
「そんな物騒な予定立てるなよ」
「立ててねーよ、勝手に殺すな」
だったら聞くなよ、と思いつつ少しは真面目に答えるかと真顔になる。
「お前がいなくなったら、お前が今大事にしてるもの全部貰ってく」
「何だよそれ、こえーなぁ」
適当に返す親友に、僕はさらに続けた。
「あと、これからお前が欲しいと思ってるものも」
「は?」
欲しい………もの?
「あら、二人して何の内緒話?」
―――その瞬間。どきりと心臓が波打った。
「………覚悟はある?」
不敵な笑みにたじろぎそうになる。
まさかお前も狙っていたなんて。
「前言撤回。死んでる場合じゃねーわ」
頭を抱えて苦虫を噛み潰すように呟いた俺に、親友は、お互い頑張ろうなと綺麗に宣戦布告をして―――
ただ涼しげに。笑った。
END.
『惜別』
今にも千切れそうなピアノ線 ていうかこれは私の血管だ 紅い波打ち際 ただの液体になる夢を見た 君にぎゅっと抱きしめられても 白いシャツを汚すだけ
どうせ溶けてしまうなら 野原の上で 微生物の力を借りて 私、立派な花になるから
突然の別れって悲しいよね
寂しいよね、辛いよね
でもね、だとしても私達は前に進まないといけないよ
そう言って彼女はこの世を去ったんだ
きっと、僕に生きていて欲しくて
僕が死なないように
きっと彼女は、私のことを忘れて幸せになってね
ってことを言いたかったんだと思う
でもね、ごめんね僕はやっぱり君がいないとダメだ
今、僕はそちに逝くね
突然の別れ
さいごまで
よんでくれない
うそつきの君
なくのは飽きた
らいん消す
end
それは、本当に突然の別れだった。
君が死ぬなんて思ってなくて、何が起きたのか分からなかった。ただずっと呆然としていて、時間も忘れていた。しばらく経ちやっと理解を始めようとしたが、それを拒むように頭痛がして吐きそうになる。こんなことを経験したことなんてなかったし、したくもなかった。
君がもし死ぬと分かっていたなら覚悟を決めたし、ここまで苦しむことはなかったかもしれない。いや、それは流石に強がりか。
もっと、君と話をしたかった。君について教えて欲しかったし、僕のことも話したかった。あのとき、君の秘密を後で教えてくれると言っていたじゃないか。あの約束はどうしたんだよ。
僕と話をするときに見せてくれたあの天使のような笑顔はもう見ることができない。目を瞑ったまま動かない君をいくら見てもあの笑顔はどこにもない。もしかしたら何事も無かったのかのように目を覚ますんじゃないか、というありえない思考まで浮かぶようになり、君から目が離せない。
1秒でもいいから、目を覚ましてほしい。あの2文字を君に伝えるのは、それで十分だから。
お題『突然の別れ』
父は、ホントに器用な人で…
出来ない事は無いくらい色々な事が出来た
毎日の愛犬の散歩も欠かさず、野菜も上手に育てた…
ぶっきらぼうでちょっと話す事には不器用だけれど、本質はすごく優しい父が私は
大好きだった…
人とは死期が近くなると、無意識に行動を
するようだ…
自転車がパンクすると工具を持って来て
プロ並みに直してくれたが、その時は違った…
「もう、度々は直しにこれないぞ」
そう言って、「新しい自転車を買いに行こう!」と私を誘い出した。
「突然の別れ」が迫る前の晩、平日にも関わらず父は色々な親しい人を家に呼び宴会をした…上機嫌だった。
一夜明けて早朝…いつも日課の散歩中に
いきなり別れを告げた…たった1人で…
悲しみは深く呆然としたが、突然過ぎて涙も出なかった…
ショックが大き過ぎると感情さえ無くす…
ただ、心配を掛けたくないと「私は大丈夫だからね」と体温の残る父の手を擦りながらずっと呟いた…
今秋、父の十七回忌…「父さん、私大丈夫だったでしょ…」
きっと、はにかんだ笑顔で頷いてるよね。
突然の別れ
私の突然の別れという経験はまだない。
これからもないといいな。
【突然の別れ】
あの子のおかげで私たちのあいだには
温かい空気が流れ始めた
冷え切った関係を終わりにしようとしていたのに
空気は一変した
けれどあの子は
この世で五分しか生きられなかった
ずっと会えるのを楽しみにしていた
それなのに
突然の別れは
私たちを前よりもずっと
暗く冷たく深いところに突き落とした
もしもあの子がいてくれたら
今ごろ笑顔が絶えなかったはずなのに
突然の別れ
きっかけはなんだったか。
疲労が爆発した際、物を捨てることで発散をしていた。
突然やってくるそれを「その時」と呼び、制御することをせず、心を放し飼いにし、安寧を保っていた。
物はなんでも良いのだ。
好きな人に渡せなかった贈り物、中学だったか部活を引退する時に後輩から贈られた色紙のような思い出の品、いつか取り組むと思われるやりたいことリスト、など
自虐行為に近かったが、身の回りの整頓は心の調整に最適であった。
ある時、「その時」がやってきた。
心は乱れ、涙は止まらなく…など、疲労の爆発である。
ゆっくり息を吸い、呼吸を止め、吐き出し、それを繰り返し、
よし、捨てを、するか、と前を向いた先にあったのは鏡。
目の座っただらしない自分、の、腹が映っていた。
素っ裸で荒れていたようだ。
そういえば自分の物や思い出、魂と呼べるような生き甲斐すら捨ててここまで来たが、自分の体を捨てたことはなかった。
体…。体かあ…。この感情の爆発、勢いでできること…
……………
……………走るか………。
それ以降、筋トレに目覚めた。
きっかけはなんだったか。
ふとした思いつきで走っただけだった。
マッチョになった自分の姿を見て、育て上げた筋肉がささやく。
君が努力をしたから今の僕がある
そのきっかけを産むために捨てられた君の思い出も
きっと無駄ではなかったんだよ
筋肉が、体力となって自分に言い聞かせてくる。
もう突然自分の身を削る行動は、しないように。
自分の身を自分で傷つけるのではなく、守れるように。
突然の別れ
辞めるってこと 知らなかったよ
離れていても通じ合えてるように
感じていて毎日頑張れていたから
またいつか会える日を願っています
『突然の別れ』
施設にいるとさ
『別れ』に慣れるんだよ
毎年出会いが合って
毎年別れが合って
どんなにいなくなって欲しくない人でも
突然、いなくなります。と言われる
慣れもある意味大事なんだよ笑
#26
ずっと君が
隣に居てくれると思っていた
いつもと変わらない日々を
送っていた
君は突然いなくなった
理由も言わずに
あの日から
今でも君のことを
探している僕がいる
公園の池いる鯉にエサを投げる。
何度目かもわからない恋の終わりには、いつもここに来てエサをやっているのだ。
悩みなんてなさそうな鯉を見ていると、なんとなく安心してしまう。
彼らは彼らなりに悩みがあるのだろうけども、やっぱりこうしてエサを貰う様子を見る限りは、悩みなんてありそうには見えない。
「はあ」
彼には一目ぼれだった。
たまたま道をすれ違った、名前すら知らない他人……
一方的にこちらが認識しているだけの片思い。
声をかける勇気もなくうじうじしていたら、いつの間にか彼に恋人が出来ていた。
彼が女性と仲良さそうに腕を組んでいる姿を見た時は、持っていたカバンを落としてしまった。
そのカバンを拾ってくれた彼との会話が、最初で最後の会話。
始まる前に終わる恋物語。
私の恋はいつもこんな感じだ。
友人に言わせれば、鯉に恋――いや恋に恋するしているだけだそうだ。
いっそ鯉に恋すればすべては解決するのだろうか。
でも私泳げないんだよなあ……
と、脳内漫才をやっても気分が晴れない。
いつもなら気分が変わるのだけど……
しかたない、追いエサをしよう。
池の近くに餌の無人販売所があるのだ。
だが珍しい事に、無人販売所でエサを買っている人がいた。
驚いて固まっていると、向こうがこちらに気づく。
顔を見れば、私好みのイケメンだった。
一瞬で心が奪われる。
一目ぼれだった。
「こんにちは」
わお、声もイケメン。
ますます、私好みだ。
「貴女も鯉にエサをあげてたんですね?」
「はい」
「僕も鯉にエサをあげていいですか?」
「どうぞ」
せっかくイケメンが声をかけてくれたと言うのに、ろくに返事もできない……
自分の口下手が憎い。
そんな私の葛藤も知らず、彼は池の鯉にエサをやり始めた。
私は他に何もせず、ぼんやりしたまま彼の横顔を見る。
鯉にエサをやるのも様になるイケメン。
あまりのイケメンぶりに輝いて見える。
が、その横顔はどこかアンニュイだ。
私の目線に気づいたのか、イケメンがこちらに振り返る。
「やはり分かりますか?」
「え?」
「実は、ついさっき恋人に振られまして……」
なんだって。
こんなイケメンを振るなんて、相手は何考えているんだ。
「僕、よく振られるんですよね……
気迫が無いからって……
それで振られたときは、いつもここにきて鯉にエサをやるんです」
寂しそうに笑う彼。
そんな彼を見て、私の口から勝手に言葉が出てくる。
「同じです」
「え?」
「私もさきほど失恋しまして、ここに鯉にエサをやりに来たんです」
「そう、だったんですか」
こうして男性と話すのは何年ぶりだろうか……
もしかしたら私の恋は、今度こそ進展するかもしれない。
「その、奇遇ですね」
「はい、奇遇です」
「……」
「……」
だが会話はそこで途切れる。
当然だ。
彼とは初対面で、なにも共通の話題が無いのだから。
そして会話の無いまま別れて、ずっとそのまま。
二度と会うこともなく、私の恋は終わりを迎えるだろう。
さよなら、私の恋物語……
「あの」
「はい?」
油断していたので、声を掛けられて変な声を出す。
まさか、私の邪な心を読んだか?
「一緒に鯉にエサをやりませんか?」
彼の、私に向けられた言葉に意表を突かれる。
まさか、デートに誘われたのか?
もちろんOK――いや、すぐに受け入れても軽い女だとみられるのでは……
私が答えに悩んで何も言わない事を、聞こえなかったと勘違いした彼は、もう一度言葉を紡ぐ。
「同じ失恋したもの同士、一緒に鯉にエサをやりましょう」
まっすぐ私をみる彼。
もう尻軽だと思われてもいい。
ここで言わないと、何も始まらないのだ。
「喜んで」
こうして私たちは、二人並んで池の鯉にエサをやる事になった。
相変わらず会話は無いけど、ここまでやったんだ。
連絡先くらいは聞いてみせよう。
この恋、きっと成就してみせる。
何度目かもわからない私の恋物語は、ようやく本当の意味で始まる。
切っ掛けを作った池の鯉には感謝しないけないな。
そう思って鯉を見るが、相変わらず何も考えていない顔をして、エサに食らいついているのだった。
こんなことなら勇気を出して渡せば良かった木綿のハンカチーフ
“突然の別れ”