突然の別れ:(if)
「ある日突然さ。突発的に、俺が自死してこの世からいなくなったらどうする?」
急に妙な質問をされて目が点になった。
あまりにも自死という言葉が似合わなくて、青天の霹靂すぎた。
「それはまあ怒るね」
「………そんだけ?」
「死んでるからね」
「……………」
そりゃあまあそうなんだけど、となぜかむくれる親友に苦笑する。
「そんな物騒な予定立てるなよ」
「立ててねーよ、勝手に殺すな」
だったら聞くなよ、と思いつつ少しは真面目に答えるかと真顔になる。
「お前がいなくなったら、お前が今大事にしてるもの全部貰ってく」
「何だよそれ、こえーなぁ」
適当に返す親友に、僕はさらに続けた。
「あと、これからお前が欲しいと思ってるものも」
「は?」
欲しい………もの?
「あら、二人して何の内緒話?」
―――その瞬間。どきりと心臓が波打った。
「………覚悟はある?」
不敵な笑みにたじろぎそうになる。
まさかお前も狙っていたなんて。
「前言撤回。死んでる場合じゃねーわ」
頭を抱えて苦虫を噛み潰すように呟いた俺に、親友は、お互い頑張ろうなと綺麗に宣戦布告をして―――
ただ涼しげに。笑った。
END.
5/19/2024, 1:15:20 PM