Aryth

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それは、本当に突然の別れだった。
君が死ぬなんて思ってなくて、何が起きたのか分からなかった。ただずっと呆然としていて、時間も忘れていた。しばらく経ちやっと理解を始めようとしたが、それを拒むように頭痛がして吐きそうになる。こんなことを経験したことなんてなかったし、したくもなかった。
君がもし死ぬと分かっていたなら覚悟を決めたし、ここまで苦しむことはなかったかもしれない。いや、それは流石に強がりか。
もっと、君と話をしたかった。君について教えて欲しかったし、僕のことも話したかった。あのとき、君の秘密を後で教えてくれると言っていたじゃないか。あの約束はどうしたんだよ。
僕と話をするときに見せてくれたあの天使のような笑顔はもう見ることができない。目を瞑ったまま動かない君をいくら見てもあの笑顔はどこにもない。もしかしたら何事も無かったのかのように目を覚ますんじゃないか、というありえない思考まで浮かぶようになり、君から目が離せない。
1秒でもいいから、目を覚ましてほしい。あの2文字を君に伝えるのは、それで十分だから。


お題『突然の別れ』

5/19/2024, 1:11:59 PM