夏子

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父は、ホントに器用な人で…
出来ない事は無いくらい色々な事が出来た
毎日の愛犬の散歩も欠かさず、野菜も上手に育てた…
ぶっきらぼうでちょっと話す事には不器用だけれど、本質はすごく優しい父が私は
大好きだった…
人とは死期が近くなると、無意識に行動を
するようだ…
自転車がパンクすると工具を持って来て
プロ並みに直してくれたが、その時は違った…
「もう、度々は直しにこれないぞ」
そう言って、「新しい自転車を買いに行こう!」と私を誘い出した。
「突然の別れ」が迫る前の晩、平日にも関わらず父は色々な親しい人を家に呼び宴会をした…上機嫌だった。
一夜明けて早朝…いつも日課の散歩中に
いきなり別れを告げた…たった1人で…
悲しみは深く呆然としたが、突然過ぎて涙も出なかった…
ショックが大き過ぎると感情さえ無くす…
ただ、心配を掛けたくないと「私は大丈夫だからね」と体温の残る父の手を擦りながらずっと呟いた…
今秋、父の十七回忌…「父さん、私大丈夫だったでしょ…」
きっと、はにかんだ笑顔で頷いてるよね。

5/19/2024, 1:11:09 PM