『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
肌に当たる静かな風
木の葉が舞い地を掠る音
街に広がる橙色の絨毯
あぁ 秋だ。
秋風
昼間は暖かいのに、夕方はちょっと寒くて風が冷たい。片思いしてた時は心があったかかった。けど叶わないとわかってしまえば、寂しい。けどそれも少し経てば少しずつ消えていく。でもきっと消えていくようでものすごい何かが襲ってくるのだろう。あの白が似合う季節のように。そしてクリスマスという去年までとは違う心が少し痛い日がもうすぐやってくる。
テーマ:秋風 #364
秋風が走っている私の頬に冷たく靡く。
持久走って寒いし、走ったあと喉痛くなるし、
疲れるし、足痛くなるし、嫌いだ。
でも、やりきったという達成感が憎いほどある。
それがいつも悔しいほど感じてしまうから、
楽しいと思ってしまう。
好きにはなれない。
でもだからといって大嫌いじゃない。
複雑だ。
「秋風」
肌寒い。薄暗い。枯れた葉が落ちる。
寒い時期は嫌い。暑い方がいいな。
なんだか悲しい気持ちになっちゃう。
ようやく暑い季節が終わったけど、海にも行けないし、かき氷も食べられないし。
でも、今しか見れないものがある。
今年も銀杏、紅葉は綺麗だな。
きっとこの肌寒さがあるから綺麗なんだよな。
寂しさも運ぶけど美しさも運んでくれる。
寒いけど少し我慢しようかな。
秋風
二階の窓から見える木が揺れている。
伯爵はお気に入りの椅子に座りその様子を眺める。どの時期の景色も好きだがこの季節は特にいい。すべすべした褐色の肘掛けに腕をあずけながら過ごすこの時間を、伯爵はとても大事にしていた。
寒くなり始めたので部屋の暖炉には火を入れている。パチパチと火の爆ぜる音が心地よい。ランプのだいだい色の灯りで本の続きを読む。世界から隔絶されたひとりきりの時間。
こんこん。
窓をたたく音がする。
二階の窓をたたくことが可能なのはあいつだけだ。こんなふうに風の強い寒い日にやってくる。風はごうごうと勢いを増し始めているが、窓をたたく音はやまない。
こんこんこん。
伯爵は椅子から立ち上がり窓に近寄った。窓にほど近い木の枝が風に揺られて当たる。この時期になると伯爵の部屋の窓をたたく枝のことを伯爵は気にいっている。
冷たさを秘めた秋風が揺らす枝のことが、伯爵はことのほか好きなのだった。
あっついなぁ…まだ3限かよ…
うんざりするような古文の授業に俺はもう限界と
言わんばかりに机に突っ伏した。
「おい!寝るんじゃねえぞ!」
すぐ怒号が飛ぶ。定年過ぎた再雇用の爺様先生だ。
よく分からない昔話をしょっちゅう挟むせいでおれの眠気は増すばかり。いい迷惑だ。
まあ、この暑さじゃあ、爺様のお経みたいな授業でも寝られないか。
秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ
「え~、これは百人一首の81番目でな…だいたい今頃のことを詠んだ歌とされていて…」
始まったよ。またよく分からない。第一こんな暑い中昔の人はよく月だなんだと言えたな…俺なんて蒸し暑くて寝るのに精一杯だよ。
「私が小さな頃は、秋風が気持ちよくてなぁ」
そもそも秋風って何なんだよ。10月に吹く風は、蒸し暑くていやーな風じゃないのか??
まあ、爺様の作り話か…
無関心私の髪で跳ね遊び引いたささくれきちんと痛む
(秋風)
仕事が思いの外、遅くなり、急いで終電にかけこむと
一葉から一通のLINEが入った。
「ねぇ、ふくひろ閉店するらしい…
来月こっち来るなら一緒に行かない?」
ふくひろというのは、地元にある喫茶店で
中高生のたまり場のようなものだ。
名物メニューは一つ100円の大判焼き。
定番のあんこクリームに加えて、マヨじゃがやナゲット等個性的なラインナップが10種類ほど。いつ来ても飽きない。
頑固な店長に見つからないでテーブルに
好きな人の名前を掘りきれば両思いになれる迷信もあった。
「ふくひろか〜。懐かしいな。」
絵美は東京で編集の仕事をすることが夢だった。その為、東京の国立大の進学を望んでいた。
だが、結果は失敗。
部屋でこの先の将来に絶望していると奏汰からメールが届いた。
……虹の写真一枚。
待てど暮らせどその後のメッセージは来ない。
奏汰はそういう男子だった。奏汰らしいな〜とつい笑ってしまう。
続いて追撃のメール
……ふくひろの大判焼きの写真一枚。
ん???これ私の家の前?
窓から外を見ると、奏汰がぼーっと立っていた。
私達は近くの河川敷で無言で黙々と大判焼きをむさぼり食べた。
食べ終わると奏汰は「じゃっ。」と言って帰っていった。
奏汰の小さくなる後ろ姿を見ながら、
優しくて独特な光を放つ奏汰が好きだと思った。
私達は7年付き合った。
お互い大学は東京に出て、それなりに楽しくて過ごし、
それぞれ希望の会社に就職した。
絵美は向上心が強く責任感もある性分だったからか
すぐに仕事を任され、3年目には主任の位置まで登りつめた。
一方奏汰はマイペースで自分らしくを大切にするタイプだった。
次第に仕事を理由にすれちがい、私達は別れた。
毎年二人で行っている六義園の紅葉。秋風も愛交じり、
とても風流なのだ。
「きれいだね〜。ここの葉っぱはいつも笑っているみたい。風も気持ちいいね。」
とのんびり微笑みかけてくる奏汰のマイペースさに飽き飽きした。
今年は仕事でプレゼン資料の納期に間に合わなそうだからパスしたいと言ったが、
そんな時にこそ自然はいいと奏汰が譲らなかった。
六義園を出た後、カフェに入ると
「私達、今わかりあえてると思う??」と聞いた。
「そうだね。」と奏汰は言った。
「そうだね?って何?」
「……。」
「奏汰がなに考えているかわかんない。将来も考えられない…………。なんか言ったら?」
「……。」
「何か言ったら?ねぇ。かばんにさ、大判焼き入ってるよね。私が欲しいのそういうのじゃないから。」
絵美がトイレから帰って来た際に六義園の休憩所でテイクアウトの大判焼きを買っていたのを見た。
大方、あの時の様に元気つけようとしたのだろう。
その行動にもうんざりしていた。
「別れましょう。奏汰もその方がいいと思うでしょ。」
「………。そうだね。」
「オッケー。そしたら奏汰、仕事の日荷物取り行くから。鍵はポストいれとく。うちにある荷物は送るわ。」
最後の一言を言い終えるかどうかで立ち上がり、店を後にした。
絵美は来月結婚することになっている。
彼とは仕事の取引先で出会った。
おしゃれなスーツが似合って、笑顔が爽やかで
とっても活動的な人だ。
いろんなところに旅行に行き、時にはビール片手に仕事の話で盛り上がり、気づくと深夜になっている。
コロナ禍で大変な時期も二人で二人三脚、工夫しながら楽しく関係を築いてきた。
今、私は幸せだと思う。
懐かしいことに想いを巡らせたからだろうか。
あの時、大判焼きを二人で笑いながら頬張っていたら
全く違う人生だったろうかと思いを馳せる。
「 秋風 」
秋風
寒さを称えた風が体をなぞる
髪が風になびき、
一年の終わりを教えてくれる。
愛おしき風
300字小説
故郷
青い空に細い雲がたなびく。
紅葉した木々の向こう、煌めきながら揺れるススキの穂の上を、もう地球では見られないという赤トンボがつうと飛んでいく。
古風な家の庭の木の葉陰から覗くオレンジ色の柿の実。それをもぎ取る歓声が秋の里に響く。
やがて、日が傾き、空が赤から藍に染まっていく。
終わりを告げるような秋風が吹き、シルエットになった山裾に夕陽が沈んでいく。
プログラムが終了し、一人、また一人と名残惜しげにVRグラスを外して、人々が惑星開拓基地の部所へと戻っていく。
半円形のドームの向こうは、灰色の岩と土、点在する重機。
いつか、この地がVRで見た、情緒あふれる故郷になることを願って、彼等はまた開拓作業に勤しむ。
お題「秋風」
「私を放置してどこへいく!」
すっぽんぽんの女の子が降ってきた。思わず逃げ出したけど、細い腕が腹に絡みついてくる。
背中にふにっと当たるの…もしかしてもアレですか?
「な、な、なに?!」
「あんた、あったかいね。下界がもうこんなに寒いなんて思わなかったぁ」
慌てるオレの声なんて届いてないみたいだ。そのままぎゅーっと引っ付いてくる。
「服着たらいいんじゃないかな…」
「服ない」
服が無いって…どういう状況なの…。
とりあえずオレのTシャツ着てもらったけど…
「ほら下着がないとスースーして。上のもん、持ってきたらいけないルールなんだよねー」
オレのベッドに座って服をぺろんとめくって白いお腹を見せてくる。ほらじゃない!お腹しまいなさい!もっと大事なとこ見えちゃうよ!
と、言いたいけど言えない。
どう見ても人間じゃないんだよ。
漫画で出てくる悪魔かインプか…
金髪幼児体型なのにTシャツから存在感ばりばりにあるバスト。背中から生えたコウモリみたいな羽。オマケに尻尾。どう見てもの人間じゃないじゃん…。
秋風なんて最近感じたことないですよ。
だって寒すぎて死にそうだから……
最近は秋を通り越して冬が来るので……
うう……寒い寒い…
最近は寒さが急に強くなって、秋よりも冬、秋風よりも冬風みたいな感じだよね。でも、秋を感じる瞬間は一瞬でもあったはず。
さて、秋といえば何を思い浮かべる?食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋……色々あるよね〜。
私は秋といえば、物悲しい季節とか、1年の折り返しの季節ってとらえるんだ。
秋が物悲しい季節…。これは昔の考え方で、よく和歌とかには秋は悲しさを表す際に使われる季節なんだ。
私には今年の秋は物悲しいなあとか、悲しさを感じる瞬間がいっぱいあった。
季節は秋。葉っぱが色づき始め、気づけばもう枯れ葉になって、冬を迎えようとしている。
新しい環境にも慣れてきて、ようやく落ち着きはじめたなと思う。春も忙しかったし、夏も夏で忙しい毎日を送っていた。慣れることも大変だったし、毎日こんなハードな日々を送るなんて…ちょっと辛かった。そんなハードなにもようやく慣れた気がする。
しかし、慣れてきて気が抜けたのか、人から注意を受けることが多くなって、気が沈む毎日を送ってしまっている。急に夏の頃の自分が最高潮だったように感じてきてしまう。あの頃の自分を忘れて、また1からやり直しになってしまった。夏の自分を取り戻すのはとても辛かった。ストレスと周りからの期待で自分が潰れてしまいそうだった。「こんなことになるくらいなら、あのときに頑張りすぎなきゃ良かった…!」と、あのときに努力していた自分を後悔しそうになった。好きなことも嫌いなっていく。努力する気を失い始める。「これではあの頃と変わっていないじゃないか!」と言い聞かせ、頑張ろうとする自分もいたが、頑張ろうという気が全く起きなかった。そんな風にしていた私の帰り道、私の横を吹き抜ける風はひどく冷たく感じた。
ある日、家に帰って、妹が懸命に勉強していて努力している姿をみて、今までの自分の行動をひどく後悔した。
「何をしていたんだ!?目の前で必死に頑張ってる人がいるじゃないか!」
それから今に至るまで、私は毎日必死に勉強している。ちょっとの私とは違う。
今の私を吹き抜ける風はとてもすがすがしい秋風だ。
秋風に当たりながら、私はスケッチブックに自分の世界を描いていく。
現実なんかよりキラキラしてて、きっと平和な世界を思い描く。
少し強く、秋風が吹く。その瞬間、現実に引きずり戻された。
スケッチブックから目を離して、目の前の噴水広場に目をやる。
肌寒くなってきたのに、子供たちがきゃっきゃと元気に鬼ごっこをしている。それをみている大人たち。
どこか、暖かそうだった。
現実もいいかもしれないと思って、秋風に当たりながら頬が緩んだ。
さぁ、
出勤だ。
ドアを開ける。
晴れてるけど
痛いくらいだった
日射しは
すっかり
穏やかになって
ちょっとだけ
肌寒くもある。
こうやって
ちょっとずつ
時間が
季節が
すすんでいく。
わたしの
誕生日まで
もうちょっとだ。
楽しみだなぁ。
#秋風
『秋風』
秋風吹くと思い出す
あなたを看取った
あの日の午後を
あれから何度も
繰り返し
同じ季節迎えたか
月日は巡り 歳重ね
記憶は薄れてゆくけれど
あなたに会いたい
思いは募る
そちらに呼んでと
叫ぶけど
答えてくれる 声もなく
秋風だけが吹きぬける
秋風
美容室の帰り道
ショートカットにした首筋に
秋風がことのほか冷たく感じる
肩をすくめ身震いひとつ
高く青い空のもと早足で歩き出す
深まる秋を感じる瞬間
秋風に たなびく雲の絶え間より
もれいづる月の 影のさやけさ
左京大夫顕輔
『秋風によって雲がたなびき、その絶え間から漏れ出る月の光の、なんと明るく澄んだものでしょう。』
私が好きな秋の季節に、あなたが目を閉じて佇む。
季節の好みに澄んだ空気というものがあるけれど、私はこの秋に吹く風が好きだった。
春の優しさも、夏の激しさも、冬の厳しさとも違う。ただ静かに、ありのままに吹く秋の風。
頬を掠めて、髪を揺らし、身体にふわりと纏わりつく。
それはあなたを愛しく思う私の気持ちにも似ていて。
月の光に照らされたあなたの髪にそっと触れる。
あなたはぴくりと身体を震わせて、隣の私を振り返った。その顔には驚きとともに、滅多にない私からの行動に少しだけ嬉しさを頬に染めている。
「秋も悪くないね」
あなたはそう言って、逃げた私の指を捕まえた。
たったそれだけの理由であなたは秋が好きだと言い始めたね。
ねえ、今もあなたは秋が好きかしら?
【秋風】
Theme:秋風
暦の上では夏はとうに終わり、涼しいと感じる日も増えてきた。
まだ気温の上下は大きいけれど、風は秋風と呼ぶのに相応しい冷たいものになってきた。
前日が暖かかったので油断した。
空は晴れ渡っているが、秋風が木の葉を巻き上げながら通りすぎていく。
腕に直に当たる風は身体の芯まで冷やしていくようだった。
早足で自宅に向かう途中、公園の日陰に真っ赤な彼岸花が咲いているのを見つけた。
何故だろうか。私は彼岸花を見ると恐怖に似た気持ちを抱く。
彼岸花。別名、死人花。
「彼岸」という言葉もどことなく死を連想させる。
私は赤い花から目を逸らすと、逃げるように公園から離れた。
焦燥感に似た気持ちが私の目を眩ませた。
気がつくと、私の身体は宙を舞っていた。車と衝突したと気がついたのは、道路に倒れてからだった。
寒い。
この寒さは秋風のせいなのだろうか。それとも、私の中の温かい血液が流れ出しているからだろうか。
ふと、秋風が青紫の花を揺らしているのに気がついた。竜胆の花だ。
まるで倒れた私を見て笑っているかのように、風に揺られている。
そういえば、竜胆の花言葉には「苦しむあなたは美しい」なんて怖いものもあったっけ。
そんなことを考えている内に、私の目の前は真っ暗になってしまった。
秋風
いつもそばにいたあなたが
ずっと遠い先に行っちゃったね
君の仕草
君の全て
全部僕の心に
沈んで、沈んで、海の底くらい
深く深く想い続けるよ
これからも
秋風にこの想いを乗せて
きみに届け