『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
消毒液のツンとした匂いが鼻を突く。真っ白なカーテンが風に吹かれ、パタパタと揺らめいている。窓辺には、小さな花瓶にそっと生けられた可愛い花が、一輪。
清潔そうなベッドに、おばあさんが一人横たわっていた。私はおばあさんをじっと見下ろす。真っ黒で薄汚れた服の私は、我ながら病院にいるべきでないと思う。
「綺麗でしょう、そのお花」
おばあさんが言った。たくさん管が繋がれたその体を、私の方によっこらせと向ける。
「病院にいた女の子がね、くれたの」
おばあさんは目を細め、窓辺のその花を愛おしそうに見る。私は目をまあるくして、言った。
「私が見えるの」
「ええ、ええ、見えますよ」
おばあさんは私の目を見て、にこっと笑った。その瞬間、私はなぜかひどく泣きたくなって、このおばあさんの前から逃げ出したくなってしまった。おばあさんはそんな私の心を見透かすように、ただにこにこと笑っていた。
作品No.124【2024/08/02 テーマ:病室】
今でも、時折思い出す。
母方の祖母に連れられて行った、どこかの病院。私は、おそらく祖母の手づくりなのだろうワンピースを着けていた。
薄暗い病室のベッドに、一人の痩せた老婆が横たわっていた。目を閉じて、動かない。眠っていたのか、昏睡状態だったのか。
ただ、それだけの記憶。
その老婆が自分にとってどういう間柄の人なのか、よくわからないまま今に至るけれど。
思えばあれが、私の記憶にある最も古い病室の記憶。
真っ白な世界、消毒液の匂い
ここがどこかはわかってる。またやったんだ
けど落ち着くな、ここでは誰も怒らない
だめだな、また迷惑かけちゃった
けど、ごめんね?僕はここでしか息ができないんだ
この閉鎖された病室という鳥籠でしか
病室
彼女は、毎日病室の窓から向かいの病棟の外壁に絡まり伸びる蔦の葉を見つめている日々。一枚ずつ散っていく蔦の葉と自分の命を重ね 「最後の一枚が散ったら、わたしも死ぬんだわ」と呟く。そんなジョンシーの呟きを売れない絵描きは聞いた。
そんな絵描きは、人生最大の一枚を描き上げる決心をするのであった。
彼女が病室の窓から、自分の命を重ね見つめていた蔦の最後の一葉は、次の日も次の日も、その次の日も、嵐が来ようとも散らなかった。
彼女は、この生命力に満ちた最後の一葉に励まされ、少しずつ体調を回復させた。
やがて、彼女の病気は全快し病室から動き出せるようになった。嬉しさに彼女は活動的になり病室の窓から、蔦の最後の一葉を見つめることもなくなった。
退院が決まった日、ふと病室の窓から外を見つめた… 「あの最後の一葉は何故散らないのかしら」窓際に近づいて目を凝らしてよく見るとそれが絵であることに彼女は気づいて驚いて尋ねた、病室に居た黒い服を着た老人が「あの絵は、貴女のために描かれました」そう言って、彼女の前に歩み寄った。
生きる希望を無くして生気を失いかけながら、絡まる蔦の最後の一葉を見て呟いた言葉「最後の一葉が散ったらわたしも死ぬんだわ」その言葉を呟いた時の目とはまるで違う力強く生気に満ちた目で彼女は問うた。
「どういうこと?」
黒い服を着た老人は、売れない絵描きがこの病室の扉の向こうから、来る日も来る日も彼女を見つめ、窓際のベットに座り壁に絡まる蔦の最後の一葉を見つめ溢した言葉を聞いたことを打ち明けました。
そして、その売れない絵描きが嵐の夜に描き上げたのが、あの蔦の最後の一葉だと話しました。
彼女は胸をつまらせ、カーテンを掴んだ。
「わたしは、この散らない最後の一葉にどれほど励まされたことか、是非お会いしてお礼が言いたいわ」そう言った彼女に黒い服の老人は首を横に振りました。
「絵描きは、この絵を描いた2日後に肺炎を拗らせ亡くなりました」
けれど、嵐の中この絵を描いたことが原因だとは言いませんでした。けれど、彼女は察して泣き崩れました。
老人が言いました。
「わたしは、貴女には彼の存在を知って欲しかった、絵描きはそのことを望んでいないかも知れないが、わたしは、貴女に絵描きの真実を迷惑でしょうが知って欲しかった、それが絵描きのこの最後の絵を最高傑作にするのだとわたしが信じたからです」
彼女は、涙をふいて「わたしは生きます、わたしのために描かれた最後の一葉に誓って」
胸に手をあて彼女はキッパリと言いました。
朝露に濡れた、最後の一葉の絵はキラキラと光っていました。
オー・ヘンリー著書
「最後の一葉」オマージュ。
心幸
病室の外から見えた君はとても綺麗だった。桜の花びらと君のきれいな顔が重なってとても綺麗だと思った。
君が、僕に気づいたとき、「あの桜が全て散ったら私も死のうと思うの。」といった。僕はなら、一緒に死のうよと言った。君は嬉しそうだったけど悲しそうだった。君は、なんて言ってほしかったんだろう。
あなたはまだいますか
あの空間に
つらかったよね
さあおうちへ
一緒に帰ろう
お題:病室
私は他人よりも明らかに優れている。
美しい顔に白くて綺麗な肌、其れに他とは考えてる事が違う、皆が私の考えについていけていない。
どうしてかそんなの簡単、
私が他よりも優れている天才と呼ばれる人物だから
そう考え今日も病棟に足を運ぶと
「 うわ、彼奴また来たよ 」
「どうせいつもの話だろ、勘違いしてることにまだ気づかないのかな〜w」
「やめなよ、そういう病気なんだからさw」
ほら、噂をすればすぐこれ。
明らかにお前立ち寄りも私のほうが有能
そんなの話してないでもっと自分の為になるより良い話でもしたらいいのに、低脳の考えていることは私には分からない。
「𓏸𓏸君、食事届けにきたよ、今日は完食行けるかな〜?」
お昼になるといつも看護師さんが届けに来てくれる
今日はお腹も空いてるし、全部食べられる気がする
「わぁっ!凄いっ!凄いよ𓏸𓏸君、完食できたね!」
・・・完食?あんなにあった量をこの美しい私が完食?…嗚呼、ダメだこんな量食べたら美しくなくなる、太って見にくくなる。。笑われる、ダメだ、吐かないと吐かないと全部、今のままで入れれるように
そう思い込みまた吐いた、完食しては吐くの繰り返し
「あ、また吐いちゃったね…次頑張ろうね。
お片付けしよっか、シャワー行こうね」
この優れた体に肌を保つ為には完食なんかしちゃダメだ、だって太って太って醜くなるから、あの方はそんな姿望まない。今の私の姿美しい姿を望んでいるんだから、早くここを出てあの方の元に…
嗚呼、こうして今日も退院までの道が伸び永遠に同じ病室でこの悲劇を繰り返す。
だって彼は食摂障害に自己愛性パーソナリティ障害
を持っているから、他の方にはよく思われなかったのだ
病室
“ありがとう”と窓から手を振る。あちらも手を振りかえす。
入院してからというもの、もう何人来たのかもわからない。花は店が開けそうなほどある。私は花粉アレルギーなのだ。花は要らないと言ってるのに、全員持って来るのだ。飾りようもなく、看護師さんにも困った顔をされる。
本も随分ともらった。まだ読んでいないものがあるのに、どんどん溜まっていく。こちらも、もうすぐ本屋が開けそうだ。
スイーツなどの食べ物は、同室の方々にお分け出来るからまだいい。“いつも賑やかでいいですわね”“いつもうるさくてすみません”この繰り返しも慣れた。
それでも食べきれないものは看護師さん達にこっそり“どうぞ”と言ってある。
たいそう喜ばれる。
お見舞いに来てくれるのはありがたいのだが、もう限界だ。花も本もスイーツもその他の可愛いなんかしらのグッズもベッドの周りに山積みだ。
そう言ってるそばから、今度は大勢が花を抱えて来たらしい。もう無理、さすがに限界、看護師さんどうにかしてください!
もういやーー!
「先生!513号室の例の方、また暴れてます!」
「あー,あの人か。この頃酷くなったな」
「そうですね、鎮静剤を増やしているんですけどね」
「もう何年もいるのにあの人だけなんだよな、誰も見舞いに来ないのって。
意識はないけれど、孤独は感じてるんだろうな。可哀想に」
「ひどいですよね、お花の一つもないなんて」
end
ここは病室である。
しかし、周りには誰もいないし、
ナースコールは鳴らせない。
この完全なる個室には窓が存在している。
その窓は順々に人々をうつす。
僕はなんのやる気も起こせなくなる病に罹っていた。
何年も前にもらった診断書には、
もっと難しい言葉で書いていたようだったが、
もうとっくの昔に忘れてしまった。
でも、ここでは何もする必要がない。
僕はベッドで横になったり、ゲームをしたり、
音楽を聴いたり、歌を歌ったりするだけ。
スポーツだってしたい時にすればいい。
僕は身体が不自由な訳ではなかったから、
この個室をでて真っ白い体育館で遊ぶことができた。
また今日もあの窓には人々がうつる。
どうしてみんな同じような地味な服を着て歩くの。
どうしてみんな急いで同じ方向に歩いていくの。
どうして俯きながら電車に乗るの。
どうして。
僕は、この病室で楽しく暮らせる。
どうしてみんな働かなきゃいけないの。
ロボットに働いてもらって、
文化に触れたらいいじゃないか。
僕は誰にも会わないで、
この病室で1人で過ごしているけど、
幸せだよ。
僕がしなきゃいけないことは全部、
機械に任せちゃったから。
「病室」
「書く習慣っていうアプリやってる人おいで!!!!」
というオプチャの管理人です!!
誰でもかーんげいです!ぜひ来てください!
色の基調は白
家具はシンプル
コンセプトは清潔
ミニマリストを
目指す人には
参考になる部屋だろう
でも、
できるならそこの
世話にはなりたくない
これからのわたしの人生、
それが目標になる
まー
病室
窓から見える、硝子越しの世界は、遠い違う次元の様に思える…
昨日迄、普通に暮らしていた、日常が拡がる、この窓の向こう側、けれど、勿論昨日と今日で大きく変わっているわけではないのに…白いベッドの上で、白い天井と白い壁に囲まれている所為なのか…
昨日迄は、忙しい日々に、嫌気がさしていたのに、静かに過ごすこの部屋の一日が、こんなに辛いなんて…この、非日常的な世界からこの窓の向こうに戻れるのか…
「病室」
病室に対して、いい思い出がある人はいないだろう。
大抵、死がまとわりつく。
ちゃんと治して退院する人もいるが、仕事の関係で亡くなった人の棺桶を見ると、気が滅入る。
入院している時間が短いと無機質だが、長期入院している人は、各々が物を持ち込んでそれなりに彩りを見せる。
いいとも悪いとも言えないそれが、なんとなく生を感じる時がある。
仕事関係で病院にいるが、知り合った人が1人でも多く、退院できるように私はいつも祈っている。
病室の窓からは桜が見えた。
点滴のチューブの独特な匂いがしていた。
腕の内側の柔らかい所は、連日の点滴で赤紫色に変色していたし、看護師さん達は冷たい印象だった。
朝の回診に前触れなくゾロゾロとやって来た研修医達。
驚き固まっていた私は、追い詰められた野生動物のように見えた事だろう。
毎日面会に来てくれた母が、内緒で作ってきてくれたおにぎりが美味しくて、ほっとした事を覚えている。
病室
私が入院してた時、
1番要注意な人だったらしく、
スタッフルームから見えやすい所のベッドで寝てた。
お見舞いは来てくれるけど、
早く帰りたかったのに、
いいよと言ってくれなくて、
何回も泣いた。
今思い出すだけで苦しい。
想像してみてください。
貴女の母君が、必死の思いで貴女を産み落とし、病室で貴女を初めて腕に抱いた瞬間を。
その瞬間の母君が、どれだけ貴女を想う愛に溢れていたことか、貴女にも少しは分かるのではないでしょうか。
そして、忘れないでください。
貴女はいつだって、その愛に値する人間なのです。母君だけでなく、父君からも、ご伴侶からも。多くの、本当に多くの人から、貴女は愛される人間なのですよ。
【病室】
陽の光が差し込む教室
みんなの賑やかな声
駆け回る足音
安心する感覚
でも慣れない
実際にここにいるような感覚ではない
微かに聞こえる一定のリズムでなる電子音
硬い布団の感覚
それらは大きく鮮明になっていき
私を現実へと引き戻す
目を開けて視界に映るのは
所々にシミのある白い天井
点滴に繋がれた折れてしまいそうなほど細い腕
顔につけられた呼吸器
さっきまで見ていたものとはかけ離れた景色
誰が見ても病室だと分かるだろう
唯一の共通点は窓から差し込む陽の光
それだけが変わらず私を包み込んでくれた
病気になって初めて入院したとき。
療養中だし、仕方ないのだろうけど。
消毒薬の匂いの中で歯ごたえのないアスパラソテーとカニ玉とおかゆが出たんだ。
一口しか食べれなかった、味がというよりも。病室の雰囲気や匂いに完全に気圧されていた。
次の日手術だったし、緊張もあったし。
手術前の最後の食事だったけど。
受け付けなかった。
手術が終わり、麻酔が切れて。高熱が出て。
その夜も食事はおかゆが出ていたけど受けつけなかった。
上京して社会人三年目、
初めての入院手続き、準備、支払い。
健康優良児で通ってきたのに手術するとは思っても見なかった。
点滴を転がしながら、売店で菓子パンを買って食べた。ホワイトチョコデニッシュ、学生時代の時からお世話になっていたものだ。
繁忙期に手術することになって顰蹙買って
「それって今手術しないと駄目なの?」
「休まれて忙しかったんだから(怒り口調)」
とか色々言われたりしたけど。
今思えば病人にかける言葉とは思えないなと。
迷惑かけたくてかけたわけじゃないし。
迷惑だって思われたって仕方ない。
申し訳ないと思って手術するの悩んでたけど、手術しないと治らないし。
実際、周りに皺寄せいってるし。
そう思われても仕方ないよ。
でも面と向かってそれを言うのは残酷なことだ。
我慢し続けて悪化して、責任なんか取れないのに
取り返しのつかなくなることだってあるだろうに
どれだけ身を粉にして働いても、そんな言葉を吐く人の為に体をボロボロにしたって何も残らない。
何の為に働くのか自分の為に働いてるのだから。
限界を迎えたら、もう休んだっていいと思う。
今日のテーマで思い出した、というか再確認した。
自分を大切にね。と
病室#70
空っぽになった心と天井から景色の変わらない視界。
もう三週間病室から出ていない。
メンタルと体調は比例しているとかしていないとか。
詳しいことは分からないけれどただ苦しい。
日々を過ごすほど心は幼児退行を繰り返しよく泣くようになってしまった。
入院生活が続けば続くほど病院の外から聞こえる声が遠く響いていた。
この日記を書いてる最中もゆっくり時間は進んでいて気づいたら夜になってたな。
おやすみ今日の私。
・1『病室』
自分の病室がわからない。
お手洗いに行った。
出たら右?左?
◯◯さん
◯◯さん!
私のことですか?
こっちですよ
私、一人でお手洗いに行ったのよ。
ええ、ええ。それは、もう。
私の病室はどこかしら。
ええ、ええ。それは、もう。こっちですよ。
すぐなんですよ。
【続く】
窓の外から楽しそうな声が聞こえる
大きな声で子供たちが遊んでいるのだろう
ほんの少しの羨ましさと
ほんの少し楽しさをお裾分けしてもらっている
まだ我慢、もう少しだけ我慢すれば私も
なんて淡い期待を希望を胸に今日も我慢する
1000羽の鶴なんていらないから
外を自由に歩きたい
お見舞いなんてしなくていいから
一緒に遊びたい
咳が出る音と涙が窓際に落ちる音だけが
病室に響いた