帰燕[Kien]

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作品No.124【2024/08/02 テーマ:病室】


 今でも、時折思い出す。
 母方の祖母に連れられて行った、どこかの病院。私は、おそらく祖母の手づくりなのだろうワンピースを着けていた。
 薄暗い病室のベッドに、一人の痩せた老婆が横たわっていた。目を閉じて、動かない。眠っていたのか、昏睡状態だったのか。
 ただ、それだけの記憶。
 その老婆が自分にとってどういう間柄の人なのか、よくわからないまま今に至るけれど。
 思えばあれが、私の記憶にある最も古い病室の記憶。

8/2/2024, 2:59:02 PM