ハナムグリ

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病室の窓からは桜が見えた。
点滴のチューブの独特な匂いがしていた。

腕の内側の柔らかい所は、連日の点滴で赤紫色に変色していたし、看護師さん達は冷たい印象だった。

朝の回診に前触れなくゾロゾロとやって来た研修医達。
驚き固まっていた私は、追い詰められた野生動物のように見えた事だろう。

毎日面会に来てくれた母が、内緒で作ってきてくれたおにぎりが美味しくて、ほっとした事を覚えている。

8/2/2024, 2:42:24 PM