『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
彼は交通事故に遭って、足の骨を折って病室にいる。完治するのは2ヶ月先らしい。交通事故に遭う前の彼は、体調が悪かった。帰り道でふらついたのがよくなかったと、彼は言っていた。あなたは何も悪くないよ。ごめんね。あのとき、私が家まで送っていけばよかったね。ごめんね。つらいよね。苦しいよね。私は何もできなかった。
病室
白いカーテンが揺れた。眩しい光と生温い風が枯れた肌を撫でる。それは、一人朽ちる私を慈しむようだった。
日々家
病院は無機質で殺伐としている。
人生で2回病室に行ったことがある。
私が初めて病室に行ったのは、父方のおじいちゃんのお見舞いに行ったときだ。
鮮明には覚えていないが、点滴や器具が備え付けてあるベッドに横たわる叔父を覚えている。
次に行ったのは、友達が糖尿病で入院しているときだ。
受付で部屋の場所を聞き、薄暗くて蛍光灯に照らされた廊下を歩いていった。
入院棟にいる患者さんとすれ違うと、何だか悲しい気持ちになった。
中には幼稚園生くらいの子と、看病しているお母さんもいた。
部屋につくと、友達がいるのだが、何だか不思議な気持ちになった。学校や外で一緒に遊んだ友達が、病院という施設で過ごしている。
友達が言うには、食事が味気なかったり、風呂、検査の時間が決まっているそうだ。
このような、時間を管理され無機質で殺伐とした施設の中で長い間を過ごす人を想うと、何だか申し訳なくなった。
そして、何不自由なく外の世界で活動できる事は、なんて幸せなことだろう、と肌身で感じた。
大きい観葉植物が置いてあればな、と病院事情を知らない私は思う。
まあ、求めることは人それぞれか。
#9 【病室】
四角い窓に、淡いグレーのカーテンがかかっている。
窓の外はすぐ隣の病棟だから、見えるのは壁ばかり。心癒される景色などはありもしない。
この部屋にいるのは、明日まで。
もう退院が決まっている。
身体にいくつかの傷が増えたが、体調は良くなった。
長かったような、短かったような入院生活が終わる。
昨日退院していった、向かいのベッドは数時間後には跡形もなく片付けられてしまった。今日このあと、新しい患者さんが入るらしい。
退院しても、まだすぐ社会復帰は出来ないので、しばらくは自宅でリハビリ生活になる。
不安や焦りもあるけれど、とりあえず命は永らえたのだからなんとかやっていこう。
天井の白いポツポツとした穴のデザインを眺めながら、ぼくはふーっと小さくため息をついた。
〘病室〙
こ こ は 何 処 だ ろ う か
当 た り を 見 渡 す と 病 院 の よ う だ
<作り途中>
窓の外を見つめる。
満開の桃色と、芽生え始めの緑が広がっている。
柔らかな風が吹き、木々が揺れた。
(もうそろそろかな)
ずっと待っていたあの人がやってくる予感がする。
あの葉っぱが落ちれば、きっと来てくれる。
気が付くと眠ってしまっていた。
耳もとで声がする。
「おまたせ」
私を待っていてくれるのは、あなただけだよ。
病室に漂うスイートピーの花の匂い。
「君は中々起きないね。」
ベットで人工呼吸器をつけて寝ている彩希の髪を撫でる。
「こんなに管つけちゃってさ、、」
その声は少し震えていた。
外は雲ひとつもない晴天だった。
彩希は小さい頃から持病をもっていってその病気が進行し2週間前に意識不明になった。
「彩希、、、彩希は小さい頃から体が弱かったけど誰よりも元気だったよね、早くこんな病室出てさ、私、彩希と話したいこといっぱいあるんだよ、?」
彩希の手を握る力が少し強くなる。
「、、優ちゃん、?」
弱々しい声で私を呼ぶ声が聞こえた。
「彩希、?目覚めたの?」
嬉しさのあまり目からは涙がポロポロ落ちていた。
そんな優花を見て彩希が
「優ちゃんが泣いてるのレアだな〜、」
とクスッと笑った。
「うるさい、泣いてないし、、ちょっと待ってて先生呼んでくるから、」
優花は目を擦りながら病室を出ていった。
「優ちゃん、元気そうだったな、早く病気治して優ちゃんと遊びたいな、、」
優花はそう言って意識を無くした。
ー続くー
お題『病室』
202482
箪笥の角にぃ!
足の小指ぶつけてぇ!
骨折もしてないのにぃ!
病室?
入院とか、おーげさかよ!
みんな お見舞いよろしくー!
騒がしい教室の中よりはよっぽど、
煩いくらいに静寂な病室の方がよかった。
この病室は
思い出が詰まってるね。
毎日毎日、2人で
話をしたり、笑いあったり
時には、2人で神様を慰めに行ったよね。
そしたら神様が
「2人は、私の元に居てくれるのですね」
って。
病室
何度目か分からない真っ白な天井。
でも、もう次なんてない気がした。
体は思うように動かせず、窓の外には壁があるだけ。
ただ眠ることしか出来ない環境が無力感を煽った。
来世は自由に暮らせるか、なんて夢も見てられなくて、
諦めてまた目を閉じた。もう覚めなくてもいいかなぁ。
〖 病室 〗
外に出たい。
でも私は外に出れない、
友達と遊びたい。
病室には「ぴっぴっ」と言う
規則正しい音しか聞こえない。
消毒の匂いがする。
病室に来てくれるのは家族だけ。
病室
快適で
病気のことを忘れさせてくれるなら
喜んで入室しようと思う
病室
地元にある古い病院には奇妙な噂があった。
入院すると絶対に退院できない
そんな曰く付きの部屋があるという。
そして運の悪い事に、今俺が入院してるのが
その部屋らしい。
昔からの友人に、そんな情報を聞いて、
ただでさえ憂鬱な入院生活に陰りが見えた夜
俺は恐ろしい体験をした。
俺が入った病室は、
入口から左手にトイレ、奥にベッドがある
普通の個室で、入口のドアには廊下から
中の様子が覗える小さな窓が付いている。
夜になると廊下の非常灯の緑色が薄っすらと射し
ベッドの横にあるはめ殺しの窓の外は、
打ちっぱなしの壁ばかりで
非常灯の明かるさから
室内が反射して見える。
時折、看護師か誰かの足音が聴こえる以外
何も無い静かな環境が不気味に思えたが、
なんとか眠りにつく事が出来た。
夜中にふと目覚めた俺は、友人から聞いた話を
思い出し、年甲斐もなくビクビクしていた。
自分の鼓動ですら聴こえてきそうな、
そんな環境もあって気付く。
微かに聴こえる、自分以外の呼吸音。
隣の部屋からか?と思い耳を澄ます。
ひゅー、ごぽぽぽ、こっ。
ひゅー、ごぽぽぽ、こっ。
コレは大丈夫なんだろうか?
明らかに普通ではない息遣いで
例えるなら、水責めされているような‥‥
俺は悩んだ末、ナースコールを押すことにしたが
確かにあったはずのボタンは
どこにも見当たらなかった。
しばらく探していると、呼吸音は
どんどん大きくなっていった。
ひゅっごぼぼぼっ、ひゅこぼっ。
ひゅっごぼぼぼっ、ひゅこぼっ。
これは、絶対に不味い
早いとこ看護師を呼ばなければ、
焦るばかりだったが、呼吸音に紛れて
足音がする。
一瞬、看護師の見回りだ、
良かった、と思ったが
呼吸音と足音が
一緒に大きくなっている事に気付いた。
背中にヒヤリとしたものを感じ
咄嗟に布団を被り、
窓の方に身体を向けた。
窓の反射で入口のドアを
薄目で見ていたが
やがて、何もないまま
呼吸音と足音は止んでいた。
窓にも何も映らず
音も消えた事で、難を逃れた、
と寝返りをうつと
ひゅ、おこぼぼぼひゅっ、ごぽっ
全身びしょ濡れで、頭や手足が緑色に
異常に肥大した看護師らしき女が
こちらを見下ろし、立っていた。
その後
どうやら気絶してた俺は、
逃げるように退院した。
あの夜の事はまだ話せてなかったが
友人は、結局噂は噂だったな、と
笑っていた。
それはどうだろうな
最近、喉が腫れて
身体が浮腫んできた
何より、暗い部屋にいると
あの呼吸音が自分からする事に気付く
そして。
誰かの視線を感じるんだ。
お前の後ろから。
「貴方は、病室って、好き?」
珍しく彼女から話しかけられる。
「好き、といえばそうだし、嫌い、といえばそうだよね。どちらも、かな。」
職業柄どうしてもね、と苦笑しながら答える。
「………そう。」
彼女から聞いてきたのにあまり興味がなさそうだ。
「君は好き?病室。」
「嫌い。………あの場所に、似てるから。無機質な感じが。」
彼女の目にははっきり恐怖が浮かんでいた。
彼女を安心させるように頭を撫でた。
『病室』🧡
退屈な日々。
外を見れば
太陽が世界を照らしてる。
いつ息をひきとるか
わからないまま
毎日を過ごしてる。
こんな事になるなら
もっと人生を
楽しんどけばよかったな。
無機質な空気を吸い込んだ瞬間に
切れる寸前まで張り詰めた糸のように
私の心は限界だったのだと知った。
ポロリポロリと
大粒の雫を零し続ける私に
おおげさだなぁと
少しうれしそうにあなたは笑った。
【病室】8月2日
【病室】
今、この病室は静かで何も無い
先週まではうるさくて、荷物が散らかっていたのに
先週までは毎日のように来ていたのに
今ではここに来ると辛くて涙が溢れてしまう
空を見上げると君が居る気がする
いつまでも見守っていてね
ぐにゃりとした脳内の印象が、少しずつ正常に戻っていく。その中で見上げると、ゆらゆらと小さな光が揺れ動いた。
ここはどこだろう。
水の中に見えるけれど息ができるのは、なんで?
温かい何かが手に触れたような気がする。
俺はそれが何か確認しようとしたけれど、身体が動かなかった。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……。
とても遠くに聞こえる無機質な電子音が、突然脳裏に響く。
視界に広がる光景と、無機質な音というアンバランスな世界に首を傾げつつ、底を蹴った。
光は少しずつ近づいて眩い光に包まれる。
それと同時に、無機質な電子音が明確に耳に入ってきた。
ゆっくりとまぶたを開く。
見慣れたようで、見慣れていない天井が、そこにあった。
ああ、俺、さっきまで意識がなかったんだ。
てか、どうしたんだっけ……?
「目が覚めたね!」
俺を覗き込むのは、職場の先輩だった。
「おれ……」
「無理に喋らなくていいぞ。こっちが説明するな」
ぼんやりとした中で、上手く首を動かすことができない俺は、瞬きをひとつする。
「連絡が入って、救助に向かった時に、事故に巻き込まれたんだよ」
そう言えば、そんなことがあったような気がする。
ぼんやりしつつも、記憶を巡らせるが、靄がかかったように上手く働かない。
「無理しない方がいい。まずはゆっくり休むんだ」
先輩の言葉を聞いて安心した俺は、もう一度意識を手放した。
それから数日かけて、状況の把握と記憶を掘り起こす。
先輩の言ったように、俺は救助に向かい、救助者をヘリに乗せた直後、事故に巻き込まれた。
幸い、救助した人は救助ヘリに乗せた後だったので、その事故に巻き込まれたのは俺だけだった。
中々派手に巻き込まれたため、意識不明の重体までいったらしい。
意識が戻ってから、少しずつ元気になった俺は、恋人が心配しているのではないかと焦りを覚える。
先輩に聞いてみると、それはそれは心配しているようだと言われてしまった。
それからしばらくして、面会謝絶が取れると、やっと面会出来るようになった。
その事を、先輩は俺より先に恋人に告げていてくれたらしい。
その日の面会可能時間になった瞬間、彼女が俺の病室に飛び込んでくる。
速攻抱き締められるかと思ったのに、彼女はそれを躊躇い、一歩後ろに引く。
そして、大きな瞳からぽろぽろと涙を零した。
「良かった……無事で……」
「心配させて、ごめん」
彼女は涙を拭いながら、首を横に振る。
彼女に手を伸ばす。
上手く動かせない俺の手をしっかり取って、俺の手に彼女が口を寄せた。
「無事で良かったです。本当に……」
溢れる涙を拭わないで俺の手に顔を寄せるから、彼女の涙も手に零れる。
とても温かい彼女の涙が、とめどなく溢れ落ちた。
「ごめん、こっち向いて」
俺がそう告げると、そのままじっと俺を見つめてくれる。
心配したんだよと、その瞳は確かに訴える。
それでも、その奥に見える俺が無事なことに安心する色。
早く治して、この病室から出なきゃ。
おわり
お題:病室
テーマ「病室」
【 蝉の声 この病室 響いてる 】
今日は俳句にしてみました。