『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
物を溜め込まないようになる
掃除が楽
探し物がすぐ見つかる
冷暖房がすぐ効く
光熱費が安い
家族の顔を自然と毎日見れる
居心地が良い
狭い家の狭い部屋、
控えめに言って最高
「そこ」は「狭い」かもしれない
だけど案外「広い」のかもしれない。
それはあなたの目先の眼ではなく
心の見方次第で変わるかもしれない。
だから人によってはその広さはそれぞれ環境や状況によって常に変化する。
ものの見方や時と場合によっては一時的に狭くなったりするかもしれない。
でも常に狭いとは限らない。
今、あなたの心の部屋はどうですか?
広いですか?それとも狭いですか?
一時的に狭くなっているのであれば一度その環境から離れてみるのも一考かもしれません。
世界という部屋はとてつもなく広いのですから。
立ち直れない事もたまにはあるかもしれません。
しかしながら、人は心の部屋を持っているからこそ
時が経てばいつかは立ち直れるのです。
挫けたっていいんです。
人生とはあなた自身のとてつもなく広々とした部屋なのですから。
狭くなってもいいのです。
物事を細かく考える事も時には大事なのですから。
「心の部屋」
押入れを大改造
寝床で使う強者
入ってごらんよ
落ち着くからさ
少しお邪魔して
襖を閉めないで
暗いの苦手なの
うんうんいいね
秘密基地みたい
包まれるような
安心感があるね
小さな宇宙の中
浮いていた頃の
お母さんの体温
思い出すのかな
言わないけどね
そう思ったんだ
『狭い部屋』
「失恋」(一行詩)
失恋は花弁とともに散り
◆
失恋で恋の軽さを知る
◆
失恋は盲目じゃなくなり目を覚ます
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「狭い部屋」(一行詩)
ネガの喜怒哀楽を見る薬品の濃度よ
◆
部屋中を嗜好品で埋めつくしの
今日のテーマは『狭い部屋』らしい。
俺が借りているアパートの部屋にぴったりのお題だ。
いま俺が住んでいる部屋はかなり狭い。
しかも天井も低い。男子平均身長の俺が手をあげると、掌がぴったりと天井についてしまうくらいに。
部屋は狭いし天井も低いしで異様な圧迫感がある独房のような部屋だ。
さらに辺り一面に散乱している脱ぎっぱなしの衣服、ゴミ回収日に出し忘れて放置されたままになっているペットボトルが詰め込まれた袋、無作為に転がっている酒の空き缶、そして100円ショップで買った使いもしない便利グッズの数々…
それらの膨大なゴミに覆われて、ただでさえ狭い部屋は足の踏み場もない状態になっている。
俺はゴミから逃げるようにベッドに避難して、タブレットを使ってこの文章をポチポチ打っている。
「どうしてこんなことに…」
さんさんたる有様の部屋を見回してポツリと呟く。
どうしてこうなったのか、その原因を探るために俺は目を閉じてこれまでの歴史を振り返ってみることにした。
遡る事、数年前。
都会で夢破れた俺は逃げ込むように、家賃の安い田舎にあるこの狭い部屋に引っ越してきた。
あの頃はまだよかった。夢破れはしたが心機一転の心持ちと、ここから這いあがってみせるというハングリー精神が俺の中にあった。
あの頃の俺はタスク管理アプリを活用して朝6時に起床し、それから筋トレ、部屋の掃除をしてヘルシーな朝食を摂り、爽やかな気分で出社……と健康的な生活を送っていた。
部屋も整理整頓されていて、酒の空き缶や100均グッズが入り込む余地などなかったはずだ。
ではなぜ…というか、いつから俺はダメ人間になってしまったのか。いつから部屋はゴミ屋敷になってしまったのか。
閉じていた目を開けて、低い天井を見上げながらボーっと考える。
俺はなぜダメになった…
仕事を辞めたのがきっかけか?
強くなりたくて通っていたキックボクシングジムがわずか4ヶ月で潰れてしまって月謝を持ち逃げされたのが原因か?
スーパー銭湯で水虫をうつされた事に憤慨した時からか?
俺が絶望し、部屋が荒廃するまでに至った原因はいくつか思い浮かんだものの、どれもいまいちしっくりこない。
俺は再び目を閉じて熟考することにした。が、汚部屋の宙を舞っているハウスダストに鼻をくすぐられて、どでかいクシャミと鼻水が出たことにより瞑目はあえなく中断された。
床に転がっていたトイレットペーパーをむしり取って鼻をかむ。
そこで、はたと気がついた。そうか…とピーンときて、ツーンときた。
俺がダメになってしまったのも、部屋がゴミにまみれているのも、その原因は全てトイレットペーパーにあったのだ。
どういう事かというと、現在の俺はトイレットペーパーをティッシュペーパーの代用品として使用している。
つまり、常備していたティッシュペーパーが無くなったのに気付いてるはずなのに、トイレットペーパーがあるからまあいいやで済まそうとする怠惰の極みが悪い気を呼び、その負のオーラに侵食された俺は無気力人間に成り果て、部屋の片付けを後回しにし続けた結果が今の悲惨な現状を作り出しているのだ。
大きな問題の原因を突き詰めていけば、こういう小さな問題こそが解決の鍵を握っていたりする。
なので俺はトイレットペーパーにかけられた我が身の呪縛を解くために、なんとしてもティッシュペーパーを入手しなければならなかった。
「大変だ、こうしちゃいられん!」
俺は数年ぶりにタスク管理アプリを起動すると『今日の夕方6時に起きてドラッグストアに行ってお徳用のティッシュを購入する!』と予定を記入した。
「ふぅ…」
日記代わりの駄文を書き終えて一息つく。
今日のテーマが『狭い部屋』じゃなかったら、この重大な問題を永久に解決できなかったかもしれない。そう考えるとゾッとする。
俺は本日のお題という天啓を与えてくれた『書く習慣』に心の底から感謝して、ゴミだらけの狭い部屋で眠りにつくのだった。
狭い部屋、又はカーテン
裾のほつれたカーテンに一切の感情もなく腕を伸ばす。腰ほどの高さの窓には丈の合わない、濃紺をしたそれを勢いに任せてシャっと開ける。
未だ夢を見ているような薄らとしたした夜の暗闇から、一転、目を背けたくなるほどに眩しい朝の陽光と明瞭な現実が、狭い部屋に一人、逃げ場のない私の五感全てを襲う。
余分なカーテンの生地は、自身と現実を過剰なほどに隔てる壁を無意識に表しているのか、或いは、ただ単に安さに惹かれて選んでしまった、私の浅慮の結果なのか。(恐らく後者であろう。)
目につく度に気になるくせに、買い換える気など更々無い、2枚の大きなネイビーブルーに、窓の向こうの小さな景色たち各々が持つ鮮烈さが取って代わるとき、私の相も変わらず狭い部屋、たった一人から広がる夢の世界は、日々変わり続ける広い世界、ひしめき合う群衆や事象を伴う狭い現実と接続されるのだ。
あぁ、やはりまだカーテンは閉めておこう。
お菓子の家
全然違うわ~ってかあε=(ノ・∀・)ツ
それは、お菓子の国のアリスの
話しじゃあ~ってかあε=(ノ・∀・)ツ
お題は👉️狭い部屋👈️
じゃあ~ってかあε=(ノ・∀・)ツ
ってかあε=(ノ・∀・)ツ
狭い部屋の中に閉じこもっているときほど
世界は広く眩しく見えて。
部屋を飛び出してみると自分の小ささや無力さ、
孤独を強く感じてしまうのはなぜなの?
私の心の中にある狭い部屋は、
小さいけれど居心地がいいの。
私の好きなもので飾ってあって、安心できる場所。
その中にあなたがいることに慣れてしまったから、
いなくなったあなたをいつまでも探してしまう。
いなかった頃に戻っただけのはずなのに、
どうして涙が溢れてくるの?
「うち 狭いですよ」
突撃取材でインタビューされた男性が回答する。
「来ても良いけど
うち 狭いですよ」
電話先で奥さんも同じことを云う。
行ってみると。
そこは宝箱だった✨
「夢だったんです。ログハウスを建てるのが。
これだけのサイズしか作れなかったんですけどね」
リビングダイニングだけのそこからの階段。
1LDKのようなお家。
小さいけれど、老夫婦の夢の詰まった素敵な空間。
本当に欲しいものだけを詰め込んだ
部屋だけのお家がそこに建っていた。
あれもこれも要らないんだ。
私の中も
あの小さなログハウスにしたい。
勿体無いから
絶対にいつか使うから
置いておきたいから
それで埋め尽くされた私と離別したい。
そしたら
私も宝箱になれるかな。
この先を
キラキラさせる
第一歩
五七五できた。
一日一回唱えよう。
難しく考えないで。
目に付いた一つと向き合ったらいいよ。
楽にそれを繰り返そう。
寝るための部屋。
そういって案内された部屋には家具らしいものはない。あるのは机とベッドのみ。
テレビでチラッと見た独房のほうがまだ広さはあった。
それくらい何もない部屋。
ここがしばらく私の部屋。
でも十分。
ここからがわたしの出発点。
1人で居たら落ち着くような狭い空間。
たまにこの狭さが私の息を詰まらせる。
何処よりも落ち着くはずの場所が
何処よりも苦痛の場所になる深夜2時。
この空間の外は息をするには広すぎるのに
この空間は私を押し潰そうとしている。
誰にも見つからない空間で私は今日も
静かに目を閉じる。
明日は少しいい日になりますように。
狭い部屋で縮こまって膝を抱え
何もできずに未来に怯え
なぜかも分からない罪悪感に身を腐す
そんな永遠のような暗いときを過ごしても
さなぎを割るように狭い部屋から出て
羽化をするときが必ず来る
新しい姿で、あなたも
『狭い部屋』
汚くて狭い檻の中でたくさんの奴らとくっ付き合って寒さを凌いでた。それが俺の最初の記憶だ。
「お母さん」
夜中になると小声でそう呼んでいつも泣いていたのは、シロと呼ばれていたヤツだ。
「お兄ちゃん」
新入りが入ってくる度に誰かを探しては安堵なのか失望なのかよく分からない表情を浮かべていたのは、ミケと呼ばれていたヤツだ。
「──」
夜空に丸い月が昇ると決まって取り憑かれたように眺めていたのは、コウと呼ばれていたヤツだ。
皆、愛してるヤツと引き離されたんだって聞いた。
俺には愛してるヤツの記憶なんて無かったから、寂しさだとかそういうのはよく解らなかった。
寂しいも、期待と失望の繰り返しも、怒りも、どれも全部苦しそうだった。
何も無い俺は、苦しくないだけきっとコイツらよりはマシなんだろうって思ってた。
これは俺の遠い過去の話だ。
今の俺は、温かくて甘くて優しいものを知ってしまった。
全部、全部。お嬢が与えてくれた。
頑張りやですぐに無理をするから、心配で仕方ない。
本当は泣き虫で甘えん坊なのを俺だけに見せてくれるのが、たまらなく嬉しい。
どうか笑っていて欲しい。泣かないで欲しい。
シンプルな感情が、幸せを形作っていく。
今の俺は、あの狭い檻に居た俺には到底戻れやしないんだ。
今日もふたりで、はしゃいで芝生に寝転がる。
愛してるんだ。
どうしようもない程に。
知り合ってから一五年が経った。
それからいろいろあって、付き合って、結婚して、子供が生まれ、広い家に引っ越して、また子供が生まれ、犬も二匹増えた。
みんなが起きていれば、賑やかで温かく感じる家も、夜が更けるほどに冷たく静寂に支配される。
音もなく走る秒針すらうるさく感じてしまう侘びしさの中、思い出すのは昔のこと。
今からすればとても狭い部屋に二人で住んでいた。部屋のあちこちに転がる、くちゃくちゃに丸められた紙屑。大学ノートにボールペン、そんなアナログスタイルでないと作業できないせいで、気に入らないものたちはどんどん千切られ放られゴミへと変わっていく。
傷だらけのアコースティックギターを模索して、譜面へと落とし込んでいく横顔。
お金はないけど、夢はあった。温もりもあった。確かな繋がりもあった。
では、今はどうだ。
誰もが知る人となった彼は、何かに理由をつけて帰ってこない。その理由がどこまでがほんとうで、どこからが嘘なのか、私は知っている。知っていて、知らないふりをする。
だって、子供たちはまだ小さい。父親が大好きで、父親を誇り、信じている。
私一人が我慢すれば何事もなく過ぎていく。
我慢すればいい。目を閉じて、耳を塞いで、心に殻を被せて。
それでも、ふっと、特にこんな静かな夜は押し込めていたものが溢れ出てしまう。
こうなるのなら、あのままの方が良かった。貧しく苦しくとも、それでもあの狭い部屋の方がずっとずっと、間違いなく幸いに満ちていたのに。
部屋は狭い方がいい
家賃は安く住むし、無駄に広い所為で孤独を感じないで住む
エアコンはすぐに効くから電気代だって節約できるし、そもそも人間の活動にそんな広い部屋は必要ない
だから僕は畳四畳半の部屋を借りた
僕は窓が嫌いだから、この部屋に窓はない
まずはベッドを買って
エアコンを設置して
ハサミを買って
ロープも買って
目隠しを買って
手錠を買って
「ようやくお楽しみだね。」
目隠しをしたまま暴れ回る彼女の腕を力強く掴みながら、ベッドの柵と彼女の腕を手錠で繋げる
僕は暖房のスイッチを人が死なないギリギリのラインの温度で入れた
「これから、ずっと一緒だよ。」
僕は彼女の上着にハサミを入れて、露わになった彼女の全てを端から舐めるのだった
狭い部屋の窓辺で、ロッキングチェアに座る君は退屈そうだ。
いつも同じ本を繰り返し読んでいるが、なんの本なのか。いくら新しい本を買ってきても、次の日の朝にはその本を読んでいる。ブックカバーの着いたその本に何が書かれているかは、いまだに知らない。
「なぁ××。」
声をかけると少しムッとして、君はパタリと本を閉じた。
「なんですか」
「…少し、ドライブしないか?」
ドライブという言葉に明らかに機嫌をよくする君。
準備してきなよと声をかければ、本を椅子に置き、嬉しそうに洗面所に向かって行った。
ふと不意に、椅子に置かれた本を手に取る。少しだけ日に焼けたそれには、緑のブックカバーがかかっていた。
中を見ようとしたそのとき、洗面所から呼ばれる。また中を見れなかった、と残念に思う。
ドライブの途中で、本の内容について聞いてみよう。
そう決めて、本を置き、部屋を出た。
人が居なくなった部屋に風が吹き込む。風でぱらぱらとめくれたその本のページは真っ白。
何も書かれてなどいなかった。
『狭い部屋』
目が覚めると、
見知らぬバスルームに閉じ込められていた
悪役令嬢とセバスチャン、魔術師に道化師。
狭い部屋の中央には謎の死体が転がっている。
「この状況知ってますわ。ここからデスゲームが
始まって、一人だけしか生き残れないやつですわ」
「お前の仕業か?オズワルド」
「まさか、違いますよ」
出口は一つだけ。
魔法や物理攻撃を持ってしても
扉はビクともしない。
「😚~♪」
3人が脱出方法を探る傍らで、
道化師が呑気にトランプタワーを積み上げている。
疲れ果てその場にへたり込む悪役令嬢。
「お腹空いたですわ」
「魔法で食料を作れたりできないのか?」
魔術師がチッチッと指を振る。
「セバスチャン、無から生み出せるのならば
それはもう神の領域です」
「😞」
トランプ遊びに飽きて、床をゴロゴロと
転がっていた道化師が突然立ち上がり、
セバスチャンをじーっと見つめた。
「🤔。oO(🐺 → 🍖)」
(訳:狼のジビエ料理が食べたいな)
「😳❗️」
(訳:目の前にぴったりの食材があります!)
「😁」
(訳:オマエを食ってやる!)
道化師は目にも留まらぬ速さで
トランプを数枚、セバスチャン目掛けて投げ放つ。
セバスチャンは即座に反応するが、一枚のカードが
彼の頬を掠めて、血がツーッと流れた。
鋭利な刃物の如く切れ味抜群だ。
「何の真似だ」
唸るような低い声を出すセバスチャン。
「🤤🍴」
(訳:ごはん♪ごはん♪)
そんな彼に臆することなく
余裕綽々な態度を取る道化師。
ビリビリと張り詰めた空気が漂い始め、
動揺する悪役令嬢。
「喧嘩はやめてくださいまし!」
すると魔術師が、杖の先端で
道化師の肩をバシッ!と叩いた。
「スタンチク、彼を食べる必要はありませんよ」
「にゃ~、チェシャ猫
う〜ばぁい〜つの登場だにゃ」
丁度のタイミングで、
紫色の猫が壁をすり抜けてやってきた。
両手には大きな配達バッグをぶら下げている。
「ありがとうごいます、チェシャ猫」
どうやら魔術師が呼んだらしい。
彼が注文したのは、ヤンニョムチキン、
キンパ、トッポギ、キムチ、チーズハットグ。
「美味しそうだな」
スパイシーな匂いにつられたのか、部屋の中央に
転がっていた死体がひょいと起き上がる。
「お、お父様?!」
なんと死体の正体は悪役令嬢の父であった。
「伯爵、これは貴方が考えた余興ですか?」
魔術師が尋ねると、お父様は首を縦に振った。
「左様。皆の親睦を深めるために我が
考案したものだ。楽しんでくれたかな?」
「もう、お父様ったら!」
「「………」」
「😋💓」
ぷりぷり怒る悪役令嬢と微妙な表情を
浮かべるセバスチャンと魔術師。
待望のごはんにウッキウキの道化師。
何はともあれ一件落着。
細かいことは置いといて、皆で
仲良くキャンコク料理を食べたのであった。
狭い部屋
窓もないこの狭い部屋で、
貴方は静かに、眠っています。
まるで、眠れる森の美女の様だと、
溜息混じりに独り言ちて。
私がそっと口付けたとて、
貴方が目覚める事は無く。
あれから。
悠遠の時が流れてしまったのか。
僅かな時しか経っていないのか。
それさえ解らなくなる程に、
私は、ただ。
目覚めぬ貴方だけを見詰めています。
貴方さえ居てくれるなら、
他には何も、要らないのです。
明るい陽の光も、
爽やかな風も、
色鮮やかな草花も、
手を差し伸べてくれる友達も。
そう。
貴方と二人きり。
この暗く狭い部屋の中だけが、
私の世界の全てなのです。
2LDK南向き、
風呂トイレ別のカウンターキッチン。
朝起きた時、トントントン。と包丁とまな板の音がする。
カーテンを開けると、暖かな優しい陽が差し込み、小鳥の囀りさえ聞こえてくる。
「ねぇ、私たち 別れよっか。」
あまりに急な台詞に僕は言葉を詰まらせる。
典型的な幸せの情景に不釣り合いな会話をした後、彼女は効率よく荷物をまとめて部屋を出ていった。
一緒に買って組み立てた家具。
「未来への投資だよ」って買った高い家電。
この部屋で過ごした君との思い出が嫌に蘇り、僕はスマホを投げた。
1年後、駅徒歩6分の1Kに引っ越した。
部屋は狭くなったはずなのに、玄関が遠い。
扉の外にがちりと付けられた錠前が
閉じられているとは知りたくなかったから
こちらから見えないことは幸いだった
狭い牢獄は私次第で城となり
窓の外に関心さえ向かなければ
大抵の事は幸せなのだと思えていた
朝月夜を背景に飛ぶ鳥が朝を告げ
吹き込む風が香りという便りを置いてゆき
夕暮れという友が部屋の中を駆け抜け
灯りを混ぜ過ぎた夜の帳も下りた頃には
星達も空に敷かれた布団に潜り隠れんぼ
手元の薄い毛布でも夢は暖かく鮮やかで
ある物だけを数えれば
食うにも困らず
雨風にも晒されず
袖を通せる衣服がある
なんと贅沢で幸せな事だろう
いつかは覚めると知っているから
私の城は豊かなのだと安心出来るのだ。
願いは一つ、目が覚めない事に違いない。
ー 狭い部屋 ー