霜月 朔(創作)

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狭い部屋



窓もないこの狭い部屋で、
貴方は静かに、眠っています。

まるで、眠れる森の美女の様だと、
溜息混じりに独り言ちて。
私がそっと口付けたとて、
貴方が目覚める事は無く。

あれから。
悠遠の時が流れてしまったのか。
僅かな時しか経っていないのか。
それさえ解らなくなる程に、
私は、ただ。
目覚めぬ貴方だけを見詰めています。

貴方さえ居てくれるなら、
他には何も、要らないのです。
明るい陽の光も、
爽やかな風も、
色鮮やかな草花も、
手を差し伸べてくれる友達も。

そう。
貴方と二人きり。
この暗く狭い部屋の中だけが、
私の世界の全てなのです。

6/4/2024, 5:33:01 PM