霜月 朔(創作)

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1/17/2025, 7:43:34 AM

透明な涙



お前の心は、
いつも、独り。
今は亡き、大切な友以外、
もう、その瞳には、
映らないんだろう。

どれほど多くの仲間に、
囲まれていても、
孤独に沈むお前の心は、
いつも、静かに泣いている。

失った友を想い、
胸の奥で流し続ける涙は、
後悔と無念に染まり、
深い紅に変わっていく。

そんなお前に、
俺が出来る事は、
ただ傍に、寄り添うことだけ。

死して尚、
お前の心に住み続ける、
想い出の彼は、
きっと、消えはしないし、
俺がその代わりに、
なれやしない。

だから、いつの日か、
お前の流す後悔の雫が、
温かく、美しい
透明な涙に変わるように。

涼しい顔の裏で、泣き続け、
漆黒の未練に、
絡め取られているお前が、
いつか、自分自身を赦し、
透き通らせる日が来るように。

ずっと、ずっと。
近くて遠い場所から、
見守る俺の想いは、
静かに流れ落ちる、
透明な涙と共に、
消してしまおうか。

1/16/2025, 7:24:07 AM

あなたのもとへ



貴方が去ったあの日から、
幾度も冬は訪れて、
氷の粒を降り積もらせる。

貴方への想いは時と共に、
消えゆくものだと、
信じていたのに。

季節は巡り、
記憶は薄れゆく筈なのに。
貴方の面影だけが、
まるで氷の欠片のように、
冷たく綺麗に輝いてる。

今でも私は、
思い出の中で、
優しく微笑む貴方に、
心を奪われてるんだ。

貴方が、新しい恋に出会えば、
貴方を忘れられるのかな?
でも きっと、
この未練がましい心には、
貴方の幸せすら、
素直に喜べないほどに、
貴方が、深く刻まれてる。

堪えきれない想いが、
私の口唇から溢れ、
風花となって舞い上がる。

私はただ独り。
鉛色の雲に覆われた、
寂寥の空を見上げて、
白い煌めきに祈るんだ。

この想いを込めた言の葉が、
舞い散る粉雪となって、
そっと、貴方の元へ、
届きますように。

1/15/2025, 5:05:01 AM

そっと



見えますか?
世の中は、
肉食動物の牙よりも残酷で、
人の心は、
淀んだ沼の汚泥より醜くて。

こんな醜悪な世界に、
身も心も翻弄され続けて、
心を削られた貴方。
私の愛しいひと。

一時の安らぎを迎える夜。
疲れ切って眠る貴方に、
そっと、語り掛けます。
お疲れ様でした、と。

そっと、そっと。
私は両手で、
貴方の両頬を包み込みます。
貴方の瞼は閉じられ、
微かな呼吸が聞こえます。

そっと、そっと。
私の両手は、
貴方の頬から首へと、
滑り落ちていきます。

静かに眠る貴方に、
私は微笑みかけます。
…怖くはありませんよ。
直ぐに私も逝きますから。

これから行く先が、
どんな所だろうと、
醜いこの世に縛られるよりは、
遥かに幸せな筈ですから。

私は手に力を込めます。
貴方の魂も、心も、
全ての愛も。
最期の一息さえ、
奪い取り、抱き締めるように。

そっと。そっと。
それは、
終わりを告げる鐘の音。
そして、
始まりを知らせる足音。

1/14/2025, 9:45:10 AM

まだ見ぬ景色

1/13/2025, 9:23:54 AM

あの夢のつづきを



私は、貴方と夢を見ます。
それは、余りに背徳的で。
けれど、酷く甘美な夢。

夢の中では。
私には、貴方以外の恋人はなく、
貴方には、私以外の想い人はない。
そんな…二人だけの世界。

けれど、外の現実では、
私も、貴方も、
立場と責任という鎖に縛られ、
触れ合う事は、赦されません。

それでも、私は、
何処か空虚で満たされぬ、
心の空洞を埋めるように、
貴方の温もりを、
求めずにはいられないのです。

現実が幻であり、
この夢こそが真実なのだと、
そう信じながら、
貴方の熱に蕩けて、
魂の輪郭が溶け合い、
魂さえ、一つになるのです。

夜という闇が、
優しく包む夢の中で、
甘い毒に酔い痴れます。
それは。
蠱惑的な罠に囚われた、
二人だけの秘密。

私はただ、
あの夢のつづきを、見たいのです。
今夜も、明日の夜も。
例えこの罪が、白日の元に晒され、
互いの破滅を迎える日が、
訪れるとしても――。

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