『物憂げな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
きみと別れてからの日々は物憂げな日々だった。
でも、「あ、私、彼が居なくても生きていけるんだ。」って気づいた日からは、とても生きるのが楽になりました。
今までありがとう。幸せになってね。
泣きたくなる時空を見る。せめて見上げて元気を出そうとする。亡くなった母の教えだ。母はすごく明るかった。私が泣いていると母は「泣いてる時こそ空を見上げて元気を出すのよ。」と雲ひとつない青空のように眩しい笑顔でいつも支えてくれた。でも、一年前に亡くなってしまった。母が亡くなった後ずっと空を見上げていた。泣かないように、涙が溢れてしまわないように、空を見て涙を堪えた。私に笑いかけてくれた眩しい笑顔で私も母を送り出すために。
物憂げな空がゆっくりと下を向いて微笑んだ。私を見て微笑んだ。ざまぁみろ、そうなることは決まっていた、全部自分のせいだと私を嘲笑しながら微笑んだ。
そうだ、全部私のせいだ。何が悪い。人間ならばこうなるのも仕方ないだろう。あの人を追い詰めたのもあの人が苦しんだのも私のせいだ
5時32分。
寝静まった家の中、家族で一番の早起き。
5時47分。
炊いてある白ご飯と、鮭フレークと海苔。
6時38分。
家を出て、駅まで歩く。
6時45分。
いつもの電車、7号車2番ドア。
6時50分。
窓際の場所が空き、特等席に立つ。
いつもと同じ光景、物憂げな空。
7時03分。
君が、乗ってくる。
君と同じ空間にいる14分間だけが、
一日の中で、僕の世界に色のある時間だ。
-物憂げな空
題 : 物憂げな空
高3の冬。3年間を振り返る。思えば、幼稚な事でばかり喧嘩をしていた。
入学してすぐは、「一軍になりたい」と、自分というキャラを作り過ごしていた。このポジションを守れるならと、愛想笑いばかりしていた。
くだらないことから喧嘩になり、絶交。これを繰り返した。友達が1人、また1人減る。3年になると教室に入れなくなった。「あいつが悪い」と、ずっと誰かのせいにして過ごしていた。
しかし、今思えば自分の過ちを振り返らなかった事がこうなった原因だろう。人のせいばかりして自分は棚に上げていたのだ。私はこんな自分がとても醜く感じる。
卒業式。物憂げな空の下で「やっとこれで開放される。やり直せるんだ」そう思った。
次は絶対失敗しない。
消えたくなるほど泣きたい夜に
頼れずひとり 声を殺した
暖房もないこの部屋で
氷点下と体温を闘わせ
天から溢れる結晶を眺める
物憂げな冬空は
大量の涙を
凍らせているようだ。
_ ₁₅₈
「一雨来そうだな」
どんよりとした雲が広がる――物憂げな空を見つめながら男はつぶやく。
「……雨しのぎに飯でもどうだ?」
珍しく親友からご飯の誘い。男は少し悩んだが、
「んー、すまん。雨がひどくなる前に帰るわ」
帰宅したら連絡するから、と男は手を振って足早に姿を消した。
親友もまた帰宅することにした。
歩いて1キロ程の道のり。道中コンビニに立ち寄り家に着く直前、どんより気味の空を見上げる。
「あのときすぐ降ったらどれだけよかったか」と親友は物憂げな顔で雨の降らない空を見つめた。
お題:物憂げな空
タイトル:空の気持ち
今日は一日中しとしとと雨が降っていた。
まるで空がしくしく泣いているようだった。
だが、これは私の思う「物憂げな空」とは少し違う気がする。
言葉にするなら、悲しみに暮れる空、とかだろうか。
「物憂げ」のように「〜げ」とつく言葉は、ついていない言葉よりもぼかされた意味合いを持つ気がする。
特に古文を読んでいると、その違いがわかりやすい。
古文では「〜げ」とつく言葉は、現代語に訳すとき「〜の様子だ」とか「〜らしい」とする。
だから「物憂げな空」を言い換えるとするなら、「憂鬱そうな空」とか「空が悲しんでいる気がする」だと思うのだ。
雨粒を涙に例えるなら、雨降りの空は涙が止まらないくらい泣いているように見える。
でももしそんな風に泣いている人を見かけたら、その人には何か悲しいこと、悔しいことがあったのだということは誰が見てもわかる。
そんな人は物憂げには見えない。
物憂げに見えるのは、例えばあまり自分のことを話さず、ふとした時にとても悲しそうな表情をするような、そんな人、そんな空ではなかろうか。
人の感情というのはとても複雑で、喜びや悲しみといった単純な感情も絵の具のように他の感情と混ざり合っている。
時には、様々な理由から感情を押し殺したり、他人に見せないようにしたりすることもある。
他人の感情を推察するのは本当に難しいことだ。
現代の科学力を以てしても完璧な天気予報が難しいのとどこか似ているのかもしれない。
ずっと楽しみにしてきたこの日なのに
気持ちは期待で晴れ渡っているのに
空を見上げても曇り空
あたしたちにはこんな物憂げな空がお似合いなのかな
物憂げな空
雨って嫌い。踊る前髪を抑えながら思う。
でも、晴れはもっと嫌い。沈んだ心の上で無責任に「がんばれ」って笑ってるみたい。
ちょっとだけ、灰色の空が愛しく思えた。
どこか物憂げで儚いあの空を眺めて
いつかは綺麗だと思えるのでしょうか。
貴方と同じ空を見て
同じ気持ちで居られたら
それ以上の幸せはないと言うのに。
そんな願いさえ叶わない気がして
それがどれだけ辛い事か、貴方は分かっているのかしら。
あの時は
曇った私の心さえも「綺麗だね」と笑う貴方がいて
初めてあの空を、自分自身を愛せる気がしていたのに。
第二十八話 その妃、死す
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「幾たびも 雪の深さを 尋ねけり」
寝た切りで起きられないまま、布団の中から物憂げな空を見上げていると、不意にその句が頭を過ぎる。
当時は不治とされていた病に罹ったその俳人が、少しばかり羨ましい。そんな事を口に出して言えば、不謹慎だと罵られるだろうか。
彼には、看病をしてくれる家族がいたと聞く。
故に、孤独とは闘わなくて済んだのだ。寒さに凍える中も、その心はあたたかかったのだ。
……らしくない事を考えるのは、弱気になっているからだろう。自分も、それと同じ病におかされているからだろう。
そして、弱い心を貪り尽くすように。
少女は冷たい雪が降り頻る中、真っ赤な血を大量に吐いて、苦しみ悶えながら孤独に息を引き取った――……
『納得できません! たとえそれが御上の命だとしても!』
『何故このような事をする必要が⁉︎ 別の方法があるはずです!』
『……お前たちの気持ちは、痛いほどよくわかっているよ』
『それでも父上は、考えを変えるつもりはないのですね』
『我々の命よりも大切な妹を見殺しにしろと。……父上も、御上と同じ事を仰るのですか』
『……それが、御上に支える我々の宿命だから』
『私はそれで構いませんわ。御父様』
――……そう。
これは、そういう筋書きだった。
『……何を、しているんだい』
『折角独りにしてくださったというのに、誰かに遷っていては元も子もありませんから、こうして自分の目で、皆様の無事を確認しに来たまでですけど?』
無事に完治した事を伝えると、兄たちにはそれはそれは揉みくちゃにされたが。
『あと、兄様たちはよく考えてから物を発言なさいな。どう考えても、私の命一つで済むならそうすべきじゃない。わざわざ一族の首を差し出すなんて、馬鹿以外しないわよ』
『だからって! お前ばかりがどうしてそんな目に遭わないといけないんだよ! 俺は反対だ!』
『そうでしたわ。兄様みんな、妹馬鹿でしたわね……』
『どうして、かな……』
着物を着た父は、胸を抑え付けた。
そこにある、懐中時計を握り締めながら。
『……ねえ、御父様。それから、兄様たち』
昔、父の誕生日に懐中時計を贈ったことがある。父は、それを怪訝な顔をしながら受け取っていた。
隠しているつもりらしいが、それはただの照れ隠しだ。陰でそれをよく眺めているのを知らなければ、今でも気付いてはいないだろう。
人当たりはいいが、優しいが故、自分の素直な気持ちを上手く口に出せない人なのだ。
だから、ぽろりと溢れてしまった問い掛けには、笑ってこう答えた。
『写真を撮りませんか? 最期に……みんなで』
代々忠誠を誓う、御上の為。
“橘”と“藤”の家紋の契りの為。
そして、……小さな少年の命を守り抜く為に。
#物憂げな空/和風ファンタジー/気まぐれ更新
『空色の鏡』
ここのところ雨降りで 空の素顔をみてないな
鼻頭の腫れ物を気にしながら鏡を覗く 突然魔女が映ったらどうしようっていらない心配をしながら
こんな日は あゝこんな日は 空も私もらしくない
らしくないまま一日が終わろうとしている お風呂上がりに仔犬みたいに首を振る その水滴はまさに空色だった
物憂げな、私。
物憂げな、日常。
どこもかしこも…。
パッとしない、晴れ渡らない。
スッキリしない。
電車に揺られ、いつもの改札口を抜け
いつものスーパーで
少しの食料を買い、家に帰る。
静かな部屋。
風呂を済ませて
簡単な、夕食を食べ始める。
するとガチャガチャと、玄関の鍵が開き
彼が、ただいまーっと入ってきた。
彼が靴を脱ぐよりも早く
私は、彼に飛び付いた。
後ろの方で、握っていた箸が
落ちる音がした。
出張ばかりで、いつ会えるかも
まともに、わからない。
だけど、この瞬間がたまらない。
私は彼が、大好きだ。
【お題:物憂げな空】
「物憂げな空」
朝焼けの 薄紫に 光る空
憂いと共に 夜を連れ去る
天高く 大地を照らす 太陽は
我の憂いを 照らすことなし
数多なる 憂いを燃やし 沈む星
明日も晴れろ 私は願う
星紡ぎ 憂いを紡ぎ 光る空
きっと明日は いい日になるよ
ふとした瞬間、どうしようもない孤独に
襲われてしまうことがある。
辛くて、苦しくて、消えたくて。
死んでしまいたくなる、そんな瞬間。
涙を堪えて上を向くと、
そこにはいつも孤独な空がある。
空は、孤独だ。
声を上げることができないし、
声を上げていてもきっと私たちは気づけない。
今を生きることで精一杯の私たちには、
空の小さな変化になんて気づけない。
晴天の日も、土砂降りの日も、
私たちはいつも空を恨んでいて、
空の声に耳を傾けたりすることなんてない。
空も私たちもみんな、
52ヘルツのくじらみたいだ。
五、物憂げな空
今日は朝から暗く厚い雲が空を覆っていた。窓から覗く物憂げな空を、一人部屋にしては無駄に広すぎるこの寝室の持ち主が静かに見上げる。
「これから雨が降るぞ」
主人の寝台のシーツを今まさに回収しようとしていたミアは、アルバートが零した言葉に手を止めた。
「……雨ですか?」
「ああ。それも、嵐に近いやつだな」
それからは早かった。
アルバートの言った通り、ぽつぽつと空から雨が降り出した。風も吹き始め、木々を大きく揺らす。
「本当に降ってきましたね」
アルバートと肩を並べてミアは窓から空を見上げる。次第に強まる雨脚に、何故かミアは得も言われぬ不安に襲われた。
「すぐに止むでしょうか」
ミアの問いにアルバートは肩を竦める。
「さてな。このあと雷あたり落ちそうな気配だが」
「かみなり?」
ミアの口から紡がれたそのたどたどしい四文字の音に、アルバートは隣に立つ少女へと目を向ける。
「何だ。お前、雷も知らないのか」
「はい。知りません」
ミアの返答に、アルバートはどこか愉しげに「へえ」と相槌を打つ。
「まあ、この辺りは降水量が少ない地域で有名だからな。雨自体あまり降らないし、雷を知らずともおかしくはない」
「……そうなんですか。かみなりとは、どんなものなのでしょう」
己を見上げる純粋無垢な少女を前に、アルバートはニッと口角を上げる。
「それなら自分の目で確かめてみるといい」
不思議そうにするミアに、アルバートは「今に分かる」と再び窓の外を見やった。
――刹那、フラッシュにも似た眩い光が、ミアの片側の視界一面を白く彩った。思わず目を瞑ったのもつかの間、まるで空(くう)を真っ二つに裂くような、聞いたこともない轟音がミアの鼓膜を揺るがす。
驚きのあまり声すら出ず、腰が抜けてその場にへたり込みそうになるミアの体を、アルバートがすかさず支える。
「大丈夫か?」
「……は、はい……」
鳩が豆鉄砲喰らったような顔をする彼女にアルバートがたまらず笑っていると、部屋の照明が突然消えた。
「あ……電気が……」
「停電だな。ブレーカーが落ちたんだろ。ちょっと見てくるから、お前は大人しくここで待ってろ」
「えっ」
この暗い中に、たった一人で?
気付けばミアは、部屋を出ていこうとするアルバートのジャケットの裾を強く握りしめていた。
「い、行かないで……」
懇願するミアの声は弱々しく、ジャケットを掴む手は震えている。暗くてよく見えないが、きっと彼女は今にも泣き出しそうな顔をしているに違いない。アルバートは己の一連の行いをすぐさま悔いた。今この瞬間、自分自身が目の前にいたのなら、有無を言わさず殴りつけていたかもしれない。
「……悪かった。悪ふざけが過ぎた。どこにも行かない」
アルバートはミアに向き合うと、そのまま優しく抱きしめる。ミアの小さな背中をさすってやれば、彼女の震えは次第に収まっていった。
「ちゃんとそばにいるから」
自分を包み込む温もりと、優しく諭すようなその声に、ミアは知らず知らずのうちにほうっと息をつく。同じようにアルバートの背中におずおずと両腕を回せば、アルバートはそれに応えるかのようにさらに力強くミアを抱きしめた。
雷はいつの間にか鳴り止んでいた。二人の間に言葉はないまま。雨はまだ、降り続いている。
止まない雨はないと言うけれど(テーマ 物憂げな空)
人生がうまく行かない。
「 いつか、いいことあるよ。」
そう言っていた人は、とっとと会社を辞めていった。
( いつかって、いつさ。)
曇り空は、いつまでも晴れない。
*
我慢を、続けてきた。
遊びたいのを我慢して勉強。
友達と旅行に行くのをキャンセルして、幼い弟の面倒を見た。
社会人になってからは、思い切り休みたいのを我慢して、休日出勤。
30になる頃から、両親から結婚について催促され始める。
( いや、結婚なんてしたら、それこそ死ぬまで我慢しないといけないじゃないか。)
特に好きでもない人と家庭を築き、その家庭を守るためにまた身を粉にして働く。
我慢我慢我慢。
人生は我慢でできている。
一方で、人に我慢させて自分が好きなようにする人もいる。
一度しかない人生だから、と、彼らは言う。
( 我慢させられている我々も、一度しかない人生なんだけど。)
彼らに、逆にこちらに付き合って我慢するように言うと、ひどく驚いた、鳩が豆鉄砲食らったような、あるいは実に嫌な顔をする。
彼らは、自分が我慢することは、許容出来ないのだ。
ただ、そんな私達が、子どもや後輩や部下を持ったとして、我慢以外を教えられる気がしない。
我慢の再生産だ。
我慢して苦しみながら、この物憂げな空を見上げる人種を増やしてしまうのである。
(結婚せず、子どももいないことの、唯一の救いがこれだ。我慢の再生産を止められる。)
いつか、晴れた空を見ることがあれば、結婚しなかったことを後悔するだろうか。
(余裕がない今は、空の色すらまともに見れていない。)
拝啓20才の奏太くんへ
暖かな春風に包まれて近所の公園には桜色の絨毯が敷かれた頃でしょうか?
私たちも周りがピンクに色づく頃に出会ったね覚えてる?
面白かったなぁ奏太くん。私の目の前ですっ転んで。
ねぇねぇ
あなたは今何をしていますか?
なにか嬉しいことはありましたか?
嬉しいなぁこの手紙を開いてくれたってことはさ私の事まだ好きでいてくれてるんでしょ?
でもさ新しい恋もちゃんと探すんだよ?
私は今もずっと奏太くんを空から見てるからね成長した奏太くんを見てるからね、
私はもう元カノかな?
それでもいいや!奏太くんの好きなように生きて!!!
伽耶より
「今日は暖かいよ、俺ん家の前まで絨毯敷かれてるなぁ、
ちゃんと覚えてるよ。俺ほんとダサかったよな、鼻血までだしちゃって。俺今ね伽耶の事考えてるよ。嬉しいことはこの手紙読めたことかなぁ。うん好きだよずっとずっと好きだからね。そんな事言わないでよ。うんありがとう。違うよ今もずっと伽耶が今カノだよ。良くないでしょ、うん生きる。」
伽耶からの手紙を読むと物憂げな色だった空が一気に明朗な色へと変わった。
物憂げな空は涙をこらえるのが上手。
泣くかと思えばなかなか泣かない。
持ってきた長傘の出番はなかなか来ない。
いっそ一度太陽を見せてくれたらいいのに。折り畳みにしておけばよかった。長傘はかさばるなぁ。
なんて思っていたら家に着いた。そして降り始める雨。なんだかなぁと複雑な思いになりながら、玄関に傘を引っかけた。