みとり

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お題:物憂げな空
タイトル:空の気持ち

今日は一日中しとしとと雨が降っていた。
まるで空がしくしく泣いているようだった。
だが、これは私の思う「物憂げな空」とは少し違う気がする。
言葉にするなら、悲しみに暮れる空、とかだろうか。

「物憂げ」のように「〜げ」とつく言葉は、ついていない言葉よりもぼかされた意味合いを持つ気がする。
特に古文を読んでいると、その違いがわかりやすい。
古文では「〜げ」とつく言葉は、現代語に訳すとき「〜の様子だ」とか「〜らしい」とする。
だから「物憂げな空」を言い換えるとするなら、「憂鬱そうな空」とか「空が悲しんでいる気がする」だと思うのだ。

雨粒を涙に例えるなら、雨降りの空は涙が止まらないくらい泣いているように見える。
でももしそんな風に泣いている人を見かけたら、その人には何か悲しいこと、悔しいことがあったのだということは誰が見てもわかる。
そんな人は物憂げには見えない。
物憂げに見えるのは、例えばあまり自分のことを話さず、ふとした時にとても悲しそうな表情をするような、そんな人、そんな空ではなかろうか。

人の感情というのはとても複雑で、喜びや悲しみといった単純な感情も絵の具のように他の感情と混ざり合っている。
時には、様々な理由から感情を押し殺したり、他人に見せないようにしたりすることもある。
他人の感情を推察するのは本当に難しいことだ。
現代の科学力を以てしても完璧な天気予報が難しいのとどこか似ているのかもしれない。

2/25/2024, 3:17:26 PM