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止まない雨はないと言うけれど(テーマ 物憂げな空)


 人生がうまく行かない。

「 いつか、いいことあるよ。」

 そう言っていた人は、とっとと会社を辞めていった。

( いつかって、いつさ。)

 曇り空は、いつまでも晴れない。



 我慢を、続けてきた。

 遊びたいのを我慢して勉強。

 友達と旅行に行くのをキャンセルして、幼い弟の面倒を見た。

 社会人になってからは、思い切り休みたいのを我慢して、休日出勤。



 30になる頃から、両親から結婚について催促され始める。

( いや、結婚なんてしたら、それこそ死ぬまで我慢しないといけないじゃないか。)

 特に好きでもない人と家庭を築き、その家庭を守るためにまた身を粉にして働く。

 我慢我慢我慢。

 人生は我慢でできている。


 一方で、人に我慢させて自分が好きなようにする人もいる。

 一度しかない人生だから、と、彼らは言う。

( 我慢させられている我々も、一度しかない人生なんだけど。)

 彼らに、逆にこちらに付き合って我慢するように言うと、ひどく驚いた、鳩が豆鉄砲食らったような、あるいは実に嫌な顔をする。

 彼らは、自分が我慢することは、許容出来ないのだ。



 ただ、そんな私達が、子どもや後輩や部下を持ったとして、我慢以外を教えられる気がしない。

 我慢の再生産だ。

 我慢して苦しみながら、この物憂げな空を見上げる人種を増やしてしまうのである。

(結婚せず、子どももいないことの、唯一の救いがこれだ。我慢の再生産を止められる。)


 いつか、晴れた空を見ることがあれば、結婚しなかったことを後悔するだろうか。

(余裕がない今は、空の色すらまともに見れていない。)


2/25/2024, 2:45:59 PM