「一雨来そうだな」
どんよりとした雲が広がる――物憂げな空を見つめながら男はつぶやく。
「……雨しのぎに飯でもどうだ?」
珍しく親友からご飯の誘い。男は少し悩んだが、
「んー、すまん。雨がひどくなる前に帰るわ」
帰宅したら連絡するから、と男は手を振って足早に姿を消した。
親友もまた帰宅することにした。
歩いて1キロ程の道のり。道中コンビニに立ち寄り家に着く直前、どんより気味の空を見上げる。
「あのときすぐ降ったらどれだけよかったか」と親友は物憂げな顔で雨の降らない空を見つめた。
2/25/2024, 3:25:14 PM