『無色の世界』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
とあるお坊さんが、ひとに執着する必要はないと言った。縁のある人とは繋がるものだし、そうでなければ自然と繋がりは切れるものなのだからと。
しかし、私は思う。人は互いに少なからず執着するからこそ、縁を繋いだままでいられるんじゃないのか、と。
私は、人に依存しやすい傾向がある。そう自身でも自覚するほどだ。執着しなければ、私は多分社会から外れてしまう。容姿も、能力も何ひとつ秀でたものは無く。なんなら劣るところが多いと思う。
私は坊さんが見ている世界をみてみたい。沢山の色に溢れているのだろう。きっと、素敵な色なのだろう。私は、私自身の欠点のせいで無色に近い日々を生きてきた。人はいう、それは単なる努力不足なのだと。だけれど、少しこれに言い訳をさせて欲しい。これは私の欠点が生んだトラウマのせいなのだと。偶然にして、悪意と欠点が交わればあまりにも酷い衝突を起こす。それは当たり前のことだ。当たり前のことなのだ。
無理矢理脱色されたのだからこりゃあ酷いもので、無色といえど汚い色が混じってしまった。憎悪、嫌悪、苛立ち、孤独という最低な色だ。ここまでいくと、もはや透き通る透明さがほしい。透き通る透明さを、水を、潤いを、無垢なその心を返して欲しい。
まあ、とどのつまり言いたいことは人には執着が必要だ。特に、私みたいな人間には必要なのだ。ぷつりと、今にも途切れかかるその細い糸を漸く手繰り寄せているというのに、全くもって恵まれた方々は理解してくれませんね。素敵な人々に囲まれていたのでしょうか。いやはや、これは妬みの類の言の葉でございますな。申し訳ない。今日はここらでお仕舞いにいたしましょう。
一度でも色の世界を見たなら、無色の世界を想像することは無理でしょ。見てみたいなら、目を潰せばいい。
無色の世界
無色の世界
どんな世界なのか
色が無い世界は
無なのか
何も境目がなく
私もそこに同化し
いるのに
いない
【無色の世界】
透明で僕は全てをすり抜けて記憶に残れず何も得れず
色が欲しい無色の私は何になれる?認めて欲しいだけなの
「私が悪いのかな」「どこで間違えたんだろ」親の呪いが抜けず
色が世界から消えたら美しい何かを見つけられるだろうか
綺麗な透明に矢が刺さると黒く腐敗しどろり蝕む
跳ね返らない光次は何を色と名付けるか瞬く視界
『無色の世界』
手に触れた愛は、いつの間にか姿を消す。
なくさないように抱え込んだ愛は、気持ちが溢れすぎて潰してしまう。
壊さないよう飾った愛は、他の人に連れ出されてしまう。
最後に残ったのは、いつもあなたを愛した私だけ。
君が笑む 無色世界 踏み入れば
透けたハートや 赤が抜けきる
私にとってこの世は、無色の世界だった。別に、本当に色が無かったわけじゃない。
朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って、帰って来る。そしてまたご飯を食べて寝る。そんな、変わり映えのない生活。色を感じたところで面白くもない世界。
それが変わったのは、彼女との出会いだった。
小説なんかでよくあるような、破天荒な人柄ではない。むしろ逆で。慎重で几帳面で、人をこう言うのはアレだが生きるのが下手な人間。でも私には、そんな彼女が誰よりも輝いて映った。
勉強が出来ないなら死に物狂いで勉強して学年トップの成績を掻っ攫ってきて、運動が出来ないなら毎日早朝ランニングなんて始めて、可愛くない自分が嫌いだとメイクを極めて自分のモノにした。
誰よりも自分を嫌っていて、誰よりも自分が大好きな人間。それが彼女だった。
それを高校時代3年間隣で見てきた私は、社会人になった今…また山も谷も無い道を歩くことに甘んじようとしている。
…そんなこと、耐えられるわけが無い。再び無色の世界に戻るなんて真っ平御免だ。
それに、彼女にまた負けてしまうのは、彼女と出会ったせいでプライド高くなってしまった自分が許さない。
負けず嫌いの彼女は、よく私と勝負をしたがった。最初は何もかも私の圧勝、もはや何故負け試合を挑んできたのだろうとさえ思ったこともあったが…驚くべきことに、彼女はもう一度同じ勝負を挑むと、次は私に完勝してきたのだ。
そうして私たちは勝負し続けてきた。そして高校を卒業する時、最後の勝負を始めたのだ。
「どちらがより幸せになれるか」
負けられない。最後くらい、彼女に勝ったまま逃げ切ってしまいたい。
さあ、何を始めようか。勉強をして資格でも取ろうか?ジムにでも行って新たな自分になろうか?それとも人脈を広げてみようか?
もはや無色の世界などではないこの視界は、眩く輝く明日を映している。彼女も、きっと同じような景色を見ているのだろう。
さあ、共に行こう。隣には居なくとも、同じ方向を向いて歩いて行けるのなら、いつかはその道が交わることをあるだろう。その日を待って、また出会った時には「どちらがより幸せになれたか」で勝負をしよう。
これは、彼女と出会って、別れて、また出会うための私の世界の物語なのだから。
無色の世界
三方向を壁に囲まれた埃くさい四畳半は、鉄格子の向こうを夢に見せる。壁をつたわる外の気配が、私に反省を促した。
無限に広がる空想の世界が、かえって私の身柄の不自由を確固たる現実のものだと認識させた。惨めさを紛らわすために、再び格子の前にたち左手を壁につけた。壁に奪われる体温は、私を四畳半に引き戻し、無限の世界は無色であったことに気がついた。
無色の世界
最近、周りの景色が、モノクロのようで…別に、目が悪くなったとかではなくて、目に映る景色は、色彩に溢れている…
それなのに、心に落ちる頃には、色が削げ落ちて、無色透明な世界に変わってしまう…音も、匂いもなく、ただ形だけがあるだけで…
それはまるで、砂上の楼閣の様に、朧げで、虚しい気持ちに覆われる…
わたしの心は、ただ目の前の景色すら、受け入れられないまま…
【栄光を背に伸びた暗影】
走って、走って、たどり着いた栄光。
君を越えてたどり着けた。
君も、あなたも嬉しそうに微笑んでくれている。
偶然でもまぐれでもない、わたしの実力だって証明できた。
ティアラを3つ、取れた。
けれどみんなから返ってきた言葉は残酷すぎた
ーどうして勝つの
ーあの子の勝つ姿を見たかったのに
ーふざけるな
ーお願いだからレースに出ないで
ー主人公に勝ちを譲ってよ
やっぱりわたしは君のようにはなれないのかな
それはまるで──残酷すぎるほど脆く、暗く透明な世界に突き落とされたような非現実味を帯びていて。
それが同時に、長い…悲しいほどに長い迷宮の始まりだった
【無色の世界】
自分は何もない
無色の世界にいるみたいだ
周りはキラキラ輝いてるのに
自分は何も取り柄がなくて
誰一人として見向きもしない
そんな世界に
生まれてきて良かったと
一度も思ったことはない
いつか
生きてる意味を
自分の価値を
分かってくれる人が
現れますように
無色の世界
皆は色とりどりだなぁ。と、ときどき思う。
みーんな違う色をしていて、明るさも違う。
暗い人や、明るい人。暖色の人や、寒色の人。
その人の、個性が出ていて面白い。
別に、目に見えるわけではないけれど。
なんか、オーラというか雰囲気というか。
それと比べて、自分は無色だと思う。
純白の白でも、漆黒の黒でもない。
透明、とでも言おうか。
けれど、別に嫌とは思わない。
でも、これは自分にしかない“無色の世界”だから。
馬鹿なやつだと笑って、笑い話のまま終わってほしい
一口呑んで、舌を甘く痺れさせたあと飲み込む。カッと焼けるような痛みは一瞬で流れ落ちて、じわじわと食道から胃を熱くさせる。痛みのある甘さだけ口内に残ってその香りの余韻を楽しむのだ。
美味しくても、不味くても、呑み交わせたらいい
おつまみは好きだが、お酒と一緒に食べるのは好きじゃない。アルコールのあの香りと余韻が好きなのに塩辛い味はそれを上書きするし、甘い味はねっとりと残り続けて味覚を狂わせる。余程相性のいいもの同士でもなければ口にしたくもない、そういうこだわりなんだよ。
嫌いなくせに合わせようなんて失礼じゃないか
嫌いな人に勧めたりなんかはしない。嫌そうな顔して嘘つかれたらそれが好きな自分まで否定された気分になって興冷めだからだ。
ただ食わず嫌いはもっと嫌いだ。何か呑めない事情がないならば舐めるくらいはした方がいい。自分では見つけられなかった味を知れるチャンスを捨てるのは勿体ないからだ。まあ信頼できる相手の勧めにだけ乗ることは徹底しないと痛い目を見る、というか遭う。
…なんだ、こんな話を真に受けたのか
好きなときに呑んで、気が向いたときに誘いに乗ればいいんだ。酒は楽しくなければただの毒なんだから飲まないのが正解だ。
断れない誘い?そんなものは相手おだてて酔わせて前後不覚になったら捨て置けばいい。そんな酒の楽しみ方も分からない屑に付き合うだけ無駄だ。刺されても文句をいう立場じゃない。毒を呑んで相手にも強要する奴は自殺志願者だとでも思えばいい。そんな奴のために命かける理由あるのか?
ああ、これは独り言だからな
これっぽっちも楽しくない世の中を呪うくらいなら酒に溺れて知らないうちにポックリ逝きたいね。自分から毒を煽る理由なんてそんなもんだろ。
ちなみに無色透明の度数の高いやつは美味しい。好みはそれぞれだが辛口でさっぱりしてるやつなんかは最高だ。
そう、教えてくれた人がいたんだよ、昔の話だ
【題:無色の世界】
無色の世界
世界から色がなくなる。
感知できるものが次第になくなる。
感情も次第になくなる。
ただ風が吹いている。
いつの間にか生まれていて、いつの間にか消えている。
風は、生も死も含んでいる。
それを全身に受け、僕らは生きている。
死ぬためには、生き抜かなくちゃいけない。
色のない風の冷たさ。
生きているはずの命を、まるで生かし続ける日々。
死に損ないを、私を。
無色を嘆くな
この世界にもとより色などない
色づけよ
この世界を
この世界に意味を持たせよ
さもなければ、淘汰されるのを待つのみ
淘汰の波を見上げるのは、恐ろしい
無色の世界
青も、黄も、赤も、緑も、紫も
まだ、知らないまま。
お母さんの瞳も、
空も、春に咲く桜も、
花畑も、虹も——
私には、触れられない色。
私の世界は、ただひとつの色でできている。
名前も、輪郭も、よく分からないけど、
それだけが、ずっとここにある。
みんなはそれを「白」と呼ぶらしい。
白は綺麗だと、教えてもらった。
同じ白でも、明るい白や、沈んだ白があると。
でも、私にとってはどれも同じで、
ただ、静かに広がっているだけ。
その中でひとつ、
足元にある白が、いちばん好き。
「土」と呼ばれるそれは、
どこまでもやさしくて、
なぜか、少しあたたかい気がする。
——それでも、思ってしまう。
プールの色も、
星の色も、
誰かが選んだ服の色も、
一度でいいから、この目で見てみたい。
きっと、世界は
今よりも、ずっと遠くて、ずっと近い。
だから私は、願ってしまう。
この、静かすぎる白の中から
いつか、抜け出せる日を。
いつか
別れる日が来ると
そう思った日から
かなりの日が過ぎた
通り雨は
いつの間にか止んで
虹は
遠かった
それでも
手を差し伸べる貴方は
永遠の様に
今もそこに居る
それが
当たり前じゃない事を
随分と昔に
思い知ったけれど
それでも
私は同じ過ちを繰り返す
色の無い世界では
貴方は生きられない
そんな思い込みは
私が生きられないから
無職の世界
まって…。
「むしょくのせかい」って打ったら、「無職の世界」って変換されたんですけど。
マジ笑い止まらん。
こんなくだらんこと書くつもりなかったんだけど。
なんか私の世界まだ色ついてるっぽい。
僕がいるのはどこなのだろう。
暖かさも冷たさもなにも感じない。
少しでもなにかに指先で触れたならば、その途端にボロボロと崩れていくのだ。
香りがない。
風がない。
すん、と己の肺へ空気を入れるも硬水を飲んだ時のように異物感だけが残った。
胸が痛い。
誰かに用意された食事を前に座る。
いつもと異なる箸に違和感を持ちつつ、ドロドロとした緑色のものを口にする。
噛みごたえがない。
味がない。
いつのまにか食事が終わっている。
「 」
なにかを発しようとした。
音になる前に消えて唇がかすかに動いただけ。
梟のキーホルダーが机から落ちた。
落ちただけだった。
あったのは静けさだけ。
ぐるりと周囲を見渡す。
こんなにもなにもない場所だったろうか。
どこを見ても変わらない同じ景色。
そのことに気がついた時、足元が崩れ出した。
落ちていく感覚に、なにかがせりあがってくる。
そもそも僕は落ちているのだろうか。
上へ上へと登っているのではないだろうか。
何も見えない暗闇が眼前に広がっている。
手を伸ばせば、案外壁に触れることができるのではないか。
僕はどこにいるのだろうか。
終わることのない無色の世界に飲み込まれた。
せっかく白くなった腕を再び出さないといけない季節になってきた。ボーダーのシャツにアイボリーのキャップ、シルバーのピアスとリング。遠足だっていうからスポーティにまとめてみた。彼は普段から帽子を被るのが好きだから実はちょっと期待してたお揃い。
「それハンコ注射?かわいいね」
袖から隠れきってない3個の点々。
負けた。
あたしはハンコ注射に負けた。